秋冬ファッションに欠かせない、ブーツ。
防寒・防水・防塵など、足元をさまざまな障害から守ってきました。実用性はさながら、時代を超えても変わらない、そのデザインの豊富さも特徴的です。
今回はブーツの基本デザインから、代表ブランドをご紹介します。
目次
チャッカブーツ
ブーツの中でもフォーマル度の高いチャッカブーツ。カジュアルなデザインのタイプからフォーマルタイプまでデザインの幅が広いのも特徴的ですね。
フォーマルタイプのデザインだと、スーツスタイルやセミフォーマルシーンにも役立ちます。
【チャッカブーツの特徴】ショートレースアップ
2-3穴のシューホールの見た目のスマートさに反して、しっかりと甲をホールドしてくれる優れものです。
ショートレングスとはいえ、ブーツの仲間ですがフルレングスのパンツを履くと、ブーツの筒部分が露呈しないことに加えて、着席時などにくるぶし部分が隠れているので、フォーマルマナーも押さえています。
CROCKETT&JONES (クロケットアンドジョーンズ)TETBURY
英国きっての実力はメーカーであるクロケットアンドジョーンズ。さまざまなブランドのOEM生産を受け持っていることから、「世界で最もシューズラストを保管しているブランド」とも呼ばれています。
クロケットのテッドベリーは、ノーズが長い設計で角ばった豚の鼻のような「チゼルトウ」を採用したラストを使用しているため、スマートな印象でフォーマルシューズ”らしい”チャッカブーツに仕上がっています。
サイドゴアブーツ(チェルシーブーツ)
現代のファッション雑誌にも多く取り上げられているサイドゴアブーツ(別称チェルシーブーツ)。
最大の特徴はその脱ぎ履きのしやすさにあるといえるでしょう。
ゴムの伸縮で足入れを楽にしています。シンプルながらも近代的なデザインで、若い層を中心に愛されれているモデルです。
【サイドゴアブーツの特徴】サイドゴア
両サイドの大胆なカッティングにあてがわれた広巾のゴムによって、ミディアム丈のブーツでもワンアクションで履くことができます。
実用性はもちろんですが、サイドゴアブーツのアイコンとも言える大判のゴムの存在感はデザイン性の高さを感じるパーツです。
SANDER’S(サンダース) SA1140/ミリタリーチェルシーブーツ
ロイヤルワラント(英国王室御用達)の一つでもあるイギリスの老舗シューメーカー。サンダースのミリタリーチェルシーブーツ。
サンダースのアイコン的ギミックである、ピューリタンステッチと呼ばれるトリプルステッチのキャップトゥが特徴的です。
汚れに強いポリッシュ(樹脂)加工のカーフレザー(仔牛革)を採用しています。
ジョッパーブーツ
乗馬用のパンツであるジョッパーズ(jodhpurs)に由来し、「ジョッパーズ用のブーツ」という意味からジョッパーブーツと名付けられました。
乗馬に際して、正式にはくるぶしまで隠れているのが元のデザインですが、現代では短いものも含めてさまざま丈感のジョッパーブーツが作られています。
【ジョッパーブーツの特徴】クロスベルト
前部分と後ろ部分のパーツが分かれており、最後にクロスベルトで締めて履くスタイルで、革を締めることで足と密着し、履き込んでいくうちに独特の立体感、凹凸やシワを生んでいます。
元々デザイン性の高いブーツですが、現代のアパレルブランドなどではベルトにさまざまな装飾が施されたものも人気です。
F.lli Giacometti(フラテッリジャコメッティ) FG337
「イタリアの良心」とも呼ばれる老舗のシューメーカージャコメッティの作るジョッパーブーツFG337は、廃業してしまった同じくイタリアのシューメーカーTANINO CRISTI(タニノクリスチー)のジョッパーブーツの設計とデザインを踏襲しています。ジャコメッティでの歴史は浅いものの、タニノで長年愛されていた、伝説級のモデルです。
レースアップブーツ
シューレースで締め上げるタイプのブーツ全般を「レースアップブーツ」と呼びます。
短靴と同じく「内羽根」「外羽根」のデザインが存在し、細かく分類することもありますが、今回は広義でのレースアップブーツをご説明します。
ブーツの中、靴の種類の中でも最も足のフィット感を感じられる靴が、レースアップブーツです。
筒と甲の部分で足全体をホールドしてくれるのがブーツの履き心地の最大のメリットと言えますが、それに加えてレースアップブーツではしっかりシューレースで留めることで、自分の足なりにあったサイジングを行うことができます。
そのため、革靴に慣れていない方にも履きやすく、実際明治維新後の日本で履かれていたのはレースアップブーツです。着物や袴に合わせたスタイリングに見慣れている方も多いのではないでしょうか。
カジュアルな印象の強いブーツですが、シューレースで締めるデザインは、でクラシックな堅牢な印象を与えてくれますね。
【レースアップブーツの特徴】レースアップ
最大の特徴はなんと言ってもレースアップ。甲の部分まではシューホール(穴)に通して、筒部分はコの字型のスピードフック(別称カギホック)を使用しているモデルが多い印象です。
ブランドが異素材のシューレースを同封していることもありますが、シューレースの色や素材を変えたり、”味変”ができるのもメリットと言えますね。
EDWARD GREEN (エドワードグリーン)GALWAY
ドレスシューズの金字塔、イギリス生まれのエドワードグリーンのレースアップブーツ、ギャルウェイの出立の美しさは息を呑むものがありますね。
ワークブーツをはじめカジュアルなデザインも多いレースアップブーツですが、絞りが加えられた土踏まず部分、シャープなトウ、しなやかなレザーはフォーマルシューズと並んでも遜色ないほどの仕上がりです。
ワークブーツ
出典:楽天市場,ARKnets,https://item.rakuten.co.jp/arknets/10055965/?iasid=07rpp_10095___ey-l6xsy4qw-8j-60b0eaa9-3ae9-4182-bccf-fe9938360a10
実は「ワークブーツ」というと細かにはさまざまなデザインやモデル名が存在しているため、広義になります。そのため、今回は明記するワークブーツとは、レースアップ型のものを指すこととします。
その名の通り、ワーカーのために作られたワークブーツ。
【ワークブーツの特徴】泥除け
泥除けとは、タン部分と羽根部分が繋がっていることで、作業中に靴の中に汚れや水が入ることを防いでくれるパーツのことを呼びます。
今ではファッションアイテムとしての立ち位置となったワークブーツですが、細かいギミックに本来の姿に想いを馳せることができますね。
White’s (ホワイツ)SMOKE JUMPER
アメリカの老舗ワークブーツメーカーの一つであるホワイツは、元々は林業の作業員に向けた金鋲つきのブーツを売り出したことから始まります。
ホワイツの独特な曲線を描くヒールの形状と、強度をより強くするアッパーとソールを二度縫い付けている出し縫いのダブルステッチが特徴的です。
創業以来作られているスモークジャンパーは、男性を中心に広い世代から支持されているモデルで、ファッション性・実用性共に高いと評価されています。
エンジニアブーツ
ワークブーツの派生デザインとも言えるエンジニアブーツ。元々は工場で働く作業員(engineer)のためのブーツとして作られました。
足元が引っかからないように、シューレースを省き、脱ぎ履きがスリップオンのみでできるよう、筒の設計にゆとりがあるのが特徴で、甲部分のベルトと足の外側についたバックルで足を固定します。
ロング丈になるほど、履いているときに筒が邪魔になるため、履き口部分にもベルトバックルをつけているデザインも見られます。
また、現代ではオーバースペックとされて踏襲していないモデルも多いですが、つま先や踵部分に作業保護用の鉄板が埋め込まれているのが、本来のエンジニアブーツです。
【エンジニアブーツの特徴】甲ベルト
エンジニアブーツの唯一のサイズ調整パーツである甲ベルト。
ブーツは甲と筒部分で足をホールドしているため、多少サイズが合ってなくとも、なんとなく履けてしまう靴ではありますが、少し微調整を加えるだけでも履き心地に変化が生まれます。意外とエンジニアブーツを持っている方でもデフォルトのまま使用している方も多いので、ぜひお履きの際はベルトでのサイズ調整をお勧めします。
RED WING(レッドウィング)2268
ワークブーツの代表ブランドである、アメリカのレッドウィング。日本のABC大手靴販売店でも取り扱いがあることから、目にしたことも多いのではないでしょうか?
そんなレッドウィングの中でも定番アイテムとなっている2236のエンジニアブーツは、1936年にラインナップされてから変わらないデザインと設計で、多くのファンに愛されているモデルです。
ボタンブーツ
出典:楽天市場,hana online shop,https://item.rakuten.co.jp/shoes-hana/10001209/
クラシカルな印象を持つボタンブーツ。革でできているためボタンホールが硬くしなりも足りないので「ボタンフック」という専用の器具がないと着脱ができません。
18世紀から19世紀初頭までは、貴族たちのフォーマルシューズとして存在感のあるデザインで、日本でも明治維新の際に履かれていた歴史があります。
しかし作業効率の悪さから段々と生産数が少なくなり、フォーマルシューズのポジションも打ち羽根ストレートチップに代わられてしまいました。
今ではごく一部のブランドのみがラインナップしているボタンブーツですが、そのクラシックな趣にコアなファンがついているデザインです。
【ボタンブーツの特徴】ボタン
ボタンブーツのボタン付けは、手作業で固い革にボタンをくくりつけるため、靴職人たちを困らせたと言われています。
また、着せ替えに使用人を使う貴族にとっては不便はなかったと思われますが、脱ぐ破棄の際にボタンフックを使用するスタイルは便利とは言えません。
しかし、その手間さえも味わい深く、スリップオンタイプやレースアップシューズにはない風合いや趣はオツなものです。
plus by chausser (プリュスバイショセ)ローヒールボタンブーツ
アメリカ靴をデザインソースとし、日本国産にこだわっているショセの作るボタンブーツは、ころんとしたフォルムが特徴的です。厚手のレザーと燻加工されたアンティーク風の金具が相まって、無骨さとクラシックを演出しています。
ウエスタンブーツ(カウボーイブーツ)
アメリカのカウボーイが使用していたブーツで、そのままカウボーイブーツと呼ばれることもありますが、今回は認知度からウエスタンブーツとして紹介いたします。
ボタンやジップがついていないため、設計上足を通し易くする為にトウを鋭くし、サイドについたフープは「ブーツプル」という器具を引っかけることで、より履きやすくしています。落馬の際に足が抜けやすくするため、踵が高く作られているのも特徴です。
【ウエスタンブーツの特徴】独特なパターン
デザインの特徴である装飾はアメリカ工芸でもある打ち具を使用したカービングと言われる技術や、カットライン、メダリオンなどさまざまな技法によって生み出されています。
草花や動物などの自然的なモチーフや、クロスや人物などの宗教的なモチーフなど、そのデザインはさまざまです。
長い歴史がある分、アンティークものも多く唯一無二のデザインが楽しめ、マニアやコレクターも多いブーツです。
Tony Lama(トニーラマ)PATRON SADDLE
ウエスタンブーツの王道中の王道、代名詞と言っても過言ではないトニーラマの創立は1911年。100年以上続く老舗のブーツメーカーです。
創業者が、騎兵隊のブーツの修理をしながら技術を磨き、自身のカスタムメイドブーツブランドを生み出したことに始まります。
独特のカットワークと刺繍は、無骨ながらも息を呑むデザインです。
まとめ
今回は、ブーツの基本デザインについてご紹介してきました。
一昔前までは秋と冬だけの限定的なアイテムでしたが、現代では秋冬だけでなく、真夏以外のオールシーズンのスタイリングに使用されています。
クラシックなデザインの中にも、フォーマルからカジュアルまで幅広く、ご自身のスタイルにマッチしたデザインを探してみてくださいね。