ジェームズ・ローゼンキスト/James Rosenquist
<プロフィール>
ジェームズ・ローゼンキストは、1933年、アメリカのノースダコタ州に生まれました。ポップアートを提唱したアーティストの一人とされています。
中学時にミネアポリス美術学校で美術を学び始め、ミネソタ大学ツインシティー校に進学しました。1955年にニューヨークに移り、Art Students League of New Yorkの奨学生に選ばれ、さらに絵を学びました。
ニューヨークに移る前、ローゼンキストは看板の絵を描いていました。ニューヨークに移った後も、タイムズスクエアの看板を手がけるなど、ディスプレイデザイナーとして生計を立てていました。この経験は、後にポップアートで名をはせる画家にとってうってつけの修行でもありました。
60年代に入るとアーティストとしての活動を本格化しました。初期の作品では、壁一面に描かれた「F111」(1964~1965)が国際的に評価されました。この作品は、ベトナム戦争に対し視覚的な批評を与えています。
個展も多く行っており、ニューヨークをはじめロンドン、ベルリン、北京など、世界各地で開催されています。彼の作品は現在、シカゴ美術館、ニューヨーク近代美術館、ロンドンテートギャラリーに収蔵されています。
<作品>
ローゼンキストの作品の多くは、商業的イメージ、大衆文化などの要素を断片的に用いて構成されています。アンディウォーホルを想起させるかもしれませんが、この不合理で神秘的な絵画の構成はシュールレアリスムから来るものです。
ローゼンキストはかつて自身の作品について、「Much of the aesthetic of my work comes from doing commercial art.」(私の作品の多くはコマーシャルアートから生まれています。)と述べています。
この作品は、マリリンモンローが突然死した直後の1962年に制作されました。アンディーウォーホルがマリリンモンローの写真を繰り返し使用したのに対し、ローゼンキストは彼女のコケティッシュさを保ちながら、目、唇、および手を分解し、すぐに彼女であるとわからない形で表現しました。
この作品、「火の家」では広告の視覚的なレトリックを利用しています。逆さまの食料品は今にも落下しそうな爆弾のように描かれ、突き出た口紅はミサイルのようなフォルムをしています。こうした脅威を感じさせるオブジェクトは、広告に取り込まれることの恐ろしさを示しており、典型的なセクシュアリティ、暴力、消費者の衝動のテーマを共有しています。
1990年代後半より、ローゼンキストは自身の作品に”抽象化”を取り入れ始めました。一見無秩序に見えるこの作品は、アルバートアインシュタインの相対性理論と光速に触発されており、”人々が画像をどのようにそれぞれの方法で理解し、見ているか”をテーマとしています。以前の作品では、マスメディアと消費者のイメージの二つのみを扱っていましたが、科学を取り入れることで、新しい関係性を絵画の中に作り出しました。
<参考文献>
トップ画像:http://goodtimes.hatenablog.com/entry/2014/11/30/001841
https://www.theartstory.org/artist/rosenquist-james/artworks/
https://www.kasmingallery.com/exhibition/james-rosenquist—two-paintings
https://www.moma.org/collection/works/72897
http://www.jamesrosenquiststudio.com/artist/biography
http://www.artnet.com/artists/james-rosenquist/
https://www.artsy.net/artist/james-rosenquist