この記事が3行でわかること
- バーバラ・クルーガーは、赤地に白のFutura(またはHelvetica)文字で批評的なフレーズを重ねる作風で知られる、1945年生まれ・存命のアメリカのコンセプチュアルアーティストです。
- 代表作に『Untitled (Your body is a battleground)』(1989年、The Broad収蔵)、『Untitled (I shop therefore I am)』(1987年)などがあります。
- ストリートブランド「Supreme」のボックスロゴは、クルーガーの作風を元にしたものと報じられていますが、本人同士のコラボレーションではありません。
こんにちは。ユアムーン株式会社 編集部です。
みなさんは『バーバラ・クルーガー』という人物をご存知ですか?
バーバラ・クルーガーは、赤い背景に白文字のロゴがとても有名なストリートブランド、『Supreme』に影響を与えたといわれるコンセプチュアルアーティストです。
彼女の作品は、批評的なフレーズとモノクロ写真を組み合わせるスタイルで知られています。
本記事では、そんなバーバラ・クルーガーの経歴や作品を見ていきましょう!
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Toggleバーバラ・クルーガーってどんな人?
基本情報
| 本名 | バーバラ・クルーガー(Barbara Kruger) |
| 生年月日 | 1945年1月26日 |
| 出身 | アメリカ ニュージャージー州 ニューアーク |
| 学歴 | シラキュース大学 パーソンズ美術大学 |
| 職種 | アーティスト コラージュ作家 |
年表
| 1945年 | 1月26日、アメリカ・ニュージャージー州ニューアークで誕生。 |
| 1960年代半ば | シラキュース大学で1年学んだ後、ニューヨークのパーソンズ美術大学へ進学。写真家ダイアン・アーバスや画家マーヴィン・イスラエルに学ぶ。 |
| 1967年 | コンデナスト社の雑誌『マドモアゼル』で主任デザイナーに昇進。 |
| 1977年〜1979年 | 制作を再開し、写真とテキストのコラージュへ移行。モノクロ画像にテキストを重ねる現在のスタイルを確立。 |
| 1989年 | 『Untitled (Your body is a battleground)』を制作(The Broad収蔵)。 |
| 1990年 | 『Untitled (Questions)』をMOCA(ロサンゼルス現代美術館)に設置。 |
| 1994年 | ジェームズ・ジェビアがストリートブランド「Supreme」を創業。後にボックスロゴがクルーガーの作風を元にしていると報じられる。 |
| 2005年 | 第51回ヴェネツィア・ビエンナーレで功労賞(金獅子賞)を受賞。 |
| 2013年 | Supremeが「Married To The Mob」を提訴した裁判に際し、クルーガーが声明を発表。 |
| 2017年 | 「Performa 17」でニューヨークのスケートパークに作品を展開。 |
| 2018年 | 『Untitled (Questions)』をMOCAに再設置。 |
| 2021年〜2022年 | 回顧展「Thinking of You. I Mean Me. I Mean You.」がLACMA・シカゴ美術館・MoMAを巡回。 |

作品・人生について
生まれと環境
クルーガーは、1945年にアメリカのニュージャージー州、ニューアークでシェル石油の科学技術者の父親と法務秘書の母親の間に生まれました。
彼女は、シラキュース大学に進学し1年過ごした後、ニューヨークのパーソンズ美術大学に通いました。
その後は、雑誌のグラフィックデザインやフリーランスの写真編集、本のカバーデザインなどをしていました。
1970年代初頭、クルーガーはニューヨークのギャラリーで作品を発表し始めています。当時は織物や絵画を主に制作していましたが、1976年に自分の作品には意味がないと感じて1年の間、完全に創作活動をやめます。
スタイルの確立
1977年に再び制作を始めると、以前のスタイルから写真やテキストのコラージュに移行し、1979年にクルーガーは大規模なモノクロの画像にテキストを重ねた独自のスタイルを確立します。
このスタイルは、FuturaやHelveticaのフォントで背景色に黒や白、赤を使った辛辣なフレーズのテキストと、彼女が見つけた画像で構成されており、短いフレーズやフォントから感じられる力強さが特徴です。
彼女がこのスタイルを選んだのは、「私たちが誰で、誰ではないかを判断する能力」によるものだと主張しています。
実際に、彼女は『I shop therefore I am(我は買う、故に我あり)』、『Your body is a battleground(あなたの体は戦場だ)』などのフレーズを用いて、フェミニズム、消費主義、欲望などの問題に対処する言葉を探求しています。

Untitled (I shop therefore I am)[1987]
この作品は1987年に制作されました。この作品は手を前に伸ばしている画像と、その画像の手がつまむように配置されたテキストによって構成されています。
『I shop therefore I am』というフレーズは、フランス生まれの哲学者であるルネ・デカルトの『I think, therefore I am.(我思う、故に我あり。)』という言葉を引用しており、当時の消費主義の考え方を反映したものになっています。
しかし、この作品は皮肉にも多数のバッグやTシャツなどの消費製品にプリントされました。
Untitled (Your body is a battleground)[1989]
この作品は1989年に制作されました。この年は1973年のRoe v. Wade裁判をきっかけとした中絶禁止法の新しい流れに抗議する多数のデモが行われた年でした。
『Untitled(Your body is a battleground)』は生殖の自由を支持するワシントンの女性の行進のために作られました。
Untitled(Not stupid enough)[1997]
この作品は、「Not stupid enough(バカにできない)」というフレーズと、マリリン・モンローの写真を用いて、フェミニストのメッセージを訴求しています。
現代における女性の非現実的な期待や、有名人が「完璧」な人間のモデルになろうとすることで、精神疾患や死につながる可能性があることを問題視しています。
クルーガーが与えた影響
彼女のとてもインパクトのあるスタイルは、様々なアーティストやブランドに影響を与えました。
Futuraフォントの白文字に赤背景のボックスロゴで有名なストリートブランド『Supreme』はまさにクルーガーの影響を直接的に受けています。
しかし、先ほど紹介したクルーガーの『I shop therefore I am』と比べてみると、Supremeとは対照的です。一方は消費主義への批判として、もう一方は消費の象徴となっています。
また、皮肉なことにクルーガーはSupremeの酷似したアートスタイルには異議を唱えなかった一方で、Supremeはこのアートスタイルの使用をめぐり別のブランドと法廷闘争を繰り広げました。
2013年、ストリートブランドの『Married To The Mob』は同様のアートスタイルで「Supreme Bitch」と書かれたアパレルアイテムを作成し、Supremeは訴訟を起こします。
この訴訟に対する、クルーガーの公式声明は、たったの3文でした。
“What a ridiculous clusterfuck of totally uncool jokers. I make my work about this kind of sadly foolish farce. I’m waiting for all of them to sue me for copyright infringement.”
「まったくクールじゃないふざけた連中が、なんと馬鹿げた騒ぎをしていることか。私はこのような悲しいほど愚かな茶番を作品にしている。彼ら全員から著作権侵害で訴えられるのを待っているのだ。」
クルーガーの知的財産に対する緩いスタンスと皮肉な性格は、彼女の魅力の一つであると感じます。

Untitled(Questions)
1980年代後半から1990年代前半にかけてのアメリカは激動の時代でした。特に宗教保守派とアーティストとの間で論争が続き、「カルチャー・ウォーズ」という言葉が生まれました。
こうした状況の中、クルーガーが制作したのが『Untitled(Questions)』でした。これはロサンゼルスのMOCA(ロサンゼルス現代美術館)の壁一面に設置され、彼女の中で最大規模の作品となりました。
作品にある、「WHO IS FREE TO CHOOSE?」「WHO DOES THE TIME?」「WHO IS BEYOND THE LAW?」「WHO IS BOUGHT AND SOLD?」という問いかけは、当時、非道徳的とされるアーティストの作品を攻撃していた宗教保守派に対する大胆な挑戦でした。
しかし、その戦いは過去30年以上にわたって衰える様子がなく、クルーガーは2018年にこの作品を復活させ、MOCAに再設置しました。
代表作一覧
| 作品名 | 制作年 | 所蔵先 | 概要 |
| Untitled (Your gaze hits the side of my face) | 1981年 | — | 女性の横顔の写真にテキストを重ねた、初期の代表作のひとつ。 |
| Untitled (I shop therefore I am) | 1987年 | — | デカルトの言葉をもじり、消費主義を批評した作品。 |
| Untitled (Your body is a battleground) | 1989年 | The Broad(ロサンゼルス) | ワシントンでの女性の行進のために制作されたポスター。 |
| Untitled (Not stupid enough) | 1997年 | — | マリリン・モンローの写真を用いたフェミニズム的作品。 |
| Untitled (Questions) | 1990年/2018年再設置 | MOCA(ロサンゼルス現代美術館) | MOCAの外壁に設置された大規模な壁画作品。 |
受賞歴と回顧展
クルーガーは2005年、第51回ヴェネツィア・ビエンナーレで功労賞にあたる金獅子賞を受賞しました。
2021年から2022年にかけては、自身のキャリアを振り返る大規模な回顧展「Thinking of You. I Mean Me. I Mean You.」が、ロサンゼルス・カウンティ美術館(LACMA)、シカゴ美術館、ニューヨーク近代美術館(MoMA)の3館を巡回しました。
よくある質問
Q. バーバラ・クルーガーとSupremeにはどんな関係があるのですか?
本人同士のコラボレーションや契約関係は確認されていません。Supremeのボックスロゴは、赤地に白い文字を重ねるクルーガーの作風をもとにしていると広く指摘されています。
Q. クルーガーはSupremeを訴えたのですか?
いいえ。訴訟を起こしたのはSupreme側で、2013年に似たアートスタイルを使ったブランド「Married To The Mob」を提訴しました。クルーガー自身が法的措置を取った記録はありません。
Q. Supremeの「元ネタ」は、クルーガーのどの作品ですか?
特定の1作品ではなく、Futuraの太字・斜体の白文字を赤い帯の上に重ねるという、クルーガーが1970年代末に確立したスタイル全体がベースとされています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は写真に批評的なテキストを重ねるスタイルが特徴のコンセプチュアルアーティスト、バーバラ・クルーガーについて作品と共にご紹介させていただきました。
ぜひバーバラ・クルーガーの作風に興味を持った人は、さらに調べてみてはいかがでしょうか?!






