ローレンス・ウィナー/Lawrence Weiner
<プロフィール>
ローレンス・ウィナーは1942年、ニューヨークに生まれました。ダグラスヒューブラー、ロバートバリーなどコンセプチュアル・アートの創始者に数えられています。
16歳でスタイベサント高校を卒業した後は、石油タンカー、ドック、鉄道車両の荷下ろしなどの、アートとは無縁の仕事をしていました。
ハンターカレッジで一年足らず勉強したのちに、北米を旅しました。その後、ニューヨークに戻り、1964年と1965年にセスシーゲラウブギャラリーに出展しました。1960年代後半より、現在のテキストを使用したスタイルが確立されました。

個展も多く開催されており、ハーシュホーン博物館と彫刻の庭(1990年)、ヴォルフスブルク美術館(2000年)、アムステルダム市立美術館(2014年)など、世界各地で個展が開催されています。
また、グッゲンハイムフェローシップ(1994)、ヴォルフガングハーン賞(1995)、ニューヨーク市立大学大学院センターからの人道文学名誉博士号(2013年)などの賞を受賞しており、世界的な評価も非常に高いアーティストです。

<作品>
ウィナーの作品は一般にコンセプチュアルアートの分野として扱われることが多いですが、彼は自身の作品を彫刻として扱います。これは彼が、言語を彫刻的要素として考え、言語による構造は実際の造形物と同じように彫刻として機能すると考えているからです。
彼は自身の作品を、”言語は建造物(Constraction)のための素材”という意味において、「language + the material referred to」(言語+参照された素材)と定義しています。




ウィナーの言語を壁に描く作品の原点は、サウスブロンクスでの幼少期の経験がもとになっているといいます。彼にとってアートとは、壁に描かれた”表記(notation)”、誰かが残した”メッセージ”で、幼いころからそれを”読む”ことが好きでした。自身が壁に言葉を書き、読んでもらう、時に覚えてもらうことも好きで、その関係性は”考古学”であると述べています。



ウィナーは作品を発表し始めてから一貫して、自身の作品を「インフォメーション」と位置づけています。これは、作品とはその内容が伝達される鑑賞者がいて初めて成立するもので、それ単体では存在しえないと考えているからです。作品を見る鑑賞者は、その作品に対しそれぞれ異なる感覚、認識を持ちますが、ウィナーはそれらすべてを肯定します。




ウィナーの作品は、芸術とは貨幣価値を持つものではなく、そのコミュニケーションに価値があることを示しています。ロバート・ラウシェンバーグは「this is art if I say so(私がアートと言えばそれはアートだ。)」と述べました。ウィナーはこれをより包括的な「this is art if you think so.(あなたがアートと言えばそれはアートだ。)」にまで高め、私たち自身にそのように考えさせてくれます。
<参考文献>
TOP画像:https://www.lissongallery.com/artists/lawrence-weiner
https://www.artsy.net/artist/lawrence-weiner
https://www.nytimes.com/2007/11/16/arts/design/16wein.html
https://www.lissongallery.com/artists/lawrence-weiner