【徹底解説】なぜ北欧デザインが愛されるのか?歴史と魅力を解説!

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アートコンサルティング

こんにちは。ユアムーン株式会社 編集部です。

皆さんは北欧デザインをご存知ですか?

近年、日本でイケアやマリメッコ、イッタラなど北欧ブランドの生活雑貨が人気を博しています。

あなたの身の回りにも、一つは北欧デザインがあるのではないでしょうか?

フィン・ユールやアルネ・ヤコブセンなど、著名なデザイナーズチェアを手がけた人物も多く輩出しています。

素朴で、機能的で、なんかオシャレ…そんな北欧デザインは、誰しも一度は手に取りたくなる魅力があります。

それではなぜ、北欧デザインは魅力的なのでしょうか?

本記事ではそんな北欧デザインの歴史と魅力についてご紹介します。

北欧って?

北欧とは北ヨーロッパに位置する諸国のことを指します。定義は曖昧でその内訳は四カ国だったり五カ国だったりします。

本記事では代表的なフィンランド共和国スウェーデン王国ノルウェー王国デンマーク王国の四カ国について主に取り扱うことにします。

北欧の歴史

簡単に北欧諸国、特に本記事で取り扱う四カ国の歴史についてアートにまつわる文化を交えながら解説します。

北欧の歴史でアートが立ち顕れてきたのは18~19世紀ごろ。

北欧には王立デンマーク芸術学院とコペンハーゲン芸術工芸学校という二つの伝統的な芸術学校がありました。

現代デンマークデザインの父と評されるコーア・クリントが王立デンマーク芸術学院に家具科を設立し、北欧の芸術教育に大きな影響を与えます。

後に二校を前身とするデンマークデザインスクールが設立され、現在まで続く北欧デザインの伝統と革新を牽引しています。

バイキングの時代から豊富な森林資源から生活家具を制作していた北欧諸国ですが、アメリカにハンドクラフト製品が輸入販売されたことをきっかけに世界に北欧デザインが広まります。

アメリカで北欧デザインが受け入れられた理由の一つに、ウィリアム・モリスが興したアーツ・アンド・クラフツ運動があります。

アーツ・アンド・クラフツ運動とは、イギリスの工業発展に対して職人による手工芸の肯定を求めて行った運動で、世界中の職人やデザイナーに広まりました。

北欧は元々職人がデザイナーを兼業したり、職人との協働を尊重しており、アーツ・アンド・クラフツ運動の思想に強く共鳴する文化を持っていたため工業発展の最中でも受け入れられやすかったのだと考えられます。

同時期にバウハウスがプロダクトデザインの工業化と洗練を牽引し、それに伴ってモダンデザインの台頭が訪れました。

これが呼び水となり、北欧の素朴なデザインが受け入れられ「スカンディナヴィア・ミニマリズム」「スカンディナビア・シンプル」という考え方も生まれました。

北欧は文明発展の中心にあったヨーロッパ大陸の近くにありながら、地理的な断絶によってその潮流にすぐ飲まれずにいました。

そのため北欧は後発的な立場に置かれていましたが、その状態がむしろ文化吸収の土壌になったといえます。

封建制政治が成熟していなかったために外国の文化を柔軟に取り入れ、近代発展を急速に進めることができたのです。

しかし、世界大戦に端を発する占領や冷戦の影響を受け、その情勢が落ち着いたのは1989年の東西冷戦終焉を待たなければなりません。

たった30年ほど前のことです。

北欧は文化的断絶によって守られてきた伝統を受け入れられ、世界情勢によって支配を受けるという一転した状況から回復したばかりなのです。

このような歴史を知ると、普段何気なく触れてきた北欧デザインの中にも諸国が過酷な情勢の中で守り続けてきた伝統を感じ取ることができるのではないでしょうか。

北欧デザインの魅力

北欧の歴史を踏まえて、ここからは北欧デザインの魅力を解き明かしていきましょう。アーツ・アンド・クラフツ運動を通して世界的に受け入れられた北欧デザインですが、日本では特に人気が高いとも言われています。地理的にも文化的にも離れているように見える北欧と日本をつなぐ魅力の秘密とはなんでしょうか?

1自然が教えてくれた“用の美”

北欧デザインの魅力としてまず上がるのが機能美ではないでしょうか。

シンプルで飾らないデザインと使いやすさを追求したカタチが、実用性抜群でどんな環境にもマッチすると評価を受けています。

伝統を守り、職人がデザインを牽引してきた北欧では、機能美を洗練する価値観が生まれやすかったと言えます。

この機能美は、国の歴史や文化にとらわれない「真の普遍性」という言葉でも表現することができ、バウハウスによるモダンデザインの台頭後はノルディック・モダンやナショナル・モダニズムといった考え方に繋がっていきます。

北欧は日照時間が短く、寒冷な気候のため室内で過ごす時間が長くあります。

そのため生活時間の中で家具や照明器具といったものの存在感が大きいという環境にありました。

このような環境から北欧の人たちはデザイン製品への愛着が強いという要素もあるかもしれません。

日本には用の美という考え方があります。1926年に民藝運動の創始者である柳宗悦が提唱した概念です。

工芸品とは鑑賞するために高価な素材や豪華な装飾を施したものが良いのではなく、日常的な実用にたえるものでなければならないという考えです。

これは北欧デザインが欧米で受け入れられた理由の一つであるアーツ・アンド・クラフツ運動にも通じるものです。

アメリカの建築家ルイス・サリヴァンの言葉にも「形は機能に従う(form follows function)」とあり、この言葉は後のバウハウスなどのモダニストの中での合言葉となりました。

イギリスのアーツ・アンド・クラフツ運動、ドイツのモダニズム、日本の民藝運動、そして北欧のノルディック・モダンという四つの概念は、すべて工業発展へのレジスタンスとして生まれた機能美という考え方で繋がっているのです。

2文化が育て、工業が可能にした“テキスタイル・パターン”

機能美や洗練という言葉だけ聞くと、北欧デザインが地味で無骨なものだと思わせてしまいかねません。

しかし実際は違います。豊かな草木や動植物からインスピレーションを受け色鮮やかでありながらシンプルな図柄や紋様は北欧デザインのシンボルと言っても良いほどではないでしょうか。

マイヤ・イソラマリメッコをはじめ、北欧にはパターン・デザインを中心としたテキスタイル・ブランドが多くあります。

きょうび日本ではワンコインショップの雑貨やアニメグッズにまで「北欧風のテキスタイル・パターン」が施されており、テキスタイルデザインにおいて北欧がもたらした影響は計り知れません。

色遣いや普遍的なモチーフがポップカルチャーとの相乗効果を生み、現代まで人気を誇るロングライフデザインとなりました。現代においてその中心地のひとつは日本かもしれません。

3北欧と日本をつなぐ“木製家具”

北欧の家具やカトラリーを見ると、木製のものが多いことに気づきます。

これも北欧特有の豊かな自然がもたらしたものと言えます。

北欧諸国は国土に対する森林面積が非常に多く、フィンランドに至っては約73〜74%でOECD加盟国の中で堂々の一位です。

興味深いのは、日本の森林面積が約67%と競っている点です。

この違いは何にあるのでしょうか。

フィンランドをはじめとする北欧諸国は林業が主な産業で、厳格なルールのもと森林の利用と保護を両立しています。

一方日本は国産木材の需要に応じて植林と伐採を行っているため管理体制が整っておらず、輸入木材との価格差や林業従事者の不足といった理由から林業自体が急激に衰退しています。

国における森林産業の存在価値が違いを生んでいるのだと思います。

ともあれ日本も長く森林の恩恵を受けた国として、木製であることに日本らしさを抱く人も多くいるのではないでしょうか。

そんな日本の感性にうまく合致したのが北欧デザインの製品だったのだと思います。

まとめ

いかがだったでしょうか。

北欧デザインの歴史から、その魅力までを見ていきました。

普段は北欧とひとまとめにした言葉でしか見聞きしない人も多いかもしれませんが、その解像度が上がり、次に北欧デザインに触れた時に今までと違う気持ちを抱いていただければ幸いです。

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