スマホカメラを筆頭に、デジタルカメラでの写真撮影が日常に溶け込んでいる現代。
大手カメラメーカーも、一眼レフカメラの生産を停止するなど、カメラ産業は「嗜好品」としての位置付けも色濃くなりました。
その中でもフィルムカメラは、写真の風合いだけではなく、アナログ感のある「手仕事を楽しむ」撮影ツールとして、今でも根強い人気のある機器です。
今回はそんなフィルムカメラの基本的な使用方法やカメラの種類など、フィルムカメラビギナー向けの情報をまとめています!
目次
1.フィルムカメラとは
フィルムカメラとは、ロール式のフィルムを入れて撮影するカメラのことで、感光剤が塗布されたフィルムに光を焼き付け、化学反応によって写真を撮る構造になっています。
スマホカメラやデジタルカメラとは異なり、その場で撮影した写真を見ることができないフィルムカメラは、「現像」が必須です。
カメラで焼き付けられたフィルムを専用の薬品で「像」を映し出し、専用の用紙に定着させます。
ただ現代では、写真現像なしでデータ化のみ現像も主流となっていますね。
デジタルカメラに比べると、
- 写真現像までどんな写真に仕上がっているかわからない
- ランニングコストが高い(現像代やフィルム代がかかる)
- フィルム交換に手間がかかる
- 撮影後の加工が難しい
- カメラ本体が重たい
など、利便性で言うとデメリットが多いとも言えるフィルムカメラ。実はカメラ大国である日本のカメラメーカーでも現在フィルムカメラの新製品の生産はほとんどされていません。
ですが、有限なフィルムを使うことで一枚一枚を丁寧に撮ることができる・写真の確認ができないため、撮影自体に集中できるなど、デメリットを強みにした「手間暇を楽しむ」ことのできるデバイスです。
2.フィルムセット方法
1. 裏ぶたロックレバーを外して、カメラの裏ぶたを開ける
2. フィルム本体を(35mmフィルムなら、出っ張りを下向きに)入れる
3. フィルムを引き出し、先端を巻き取りスプールの溝に差し込む
4. フィルムの穴にツメがかかるように巻き取りスプールを回す(自動巻きのカメラの場合はスキップ)
5.裏ぶたを閉じる(自動巻きのカメラの場合は巻き取りの音がする)
カメラ機器によって細かい作業感は異なりますが、一般的な35mmカメラを例にすると、基本手順は6個のみ!
初めのうちは巻き取りが上手くいってなかった、フィルムに光が入ってしまってうまく撮れなかった、などミスもあるかもしれません。初めのうちはゆっくりと落ち着いた空間での取り付けからチャレンジしてみましょう。
3撮影中の注意
撮影中カメラの裏蓋を開けない
フィルムは光によって焼き付けられるため、撮影中フィルムが露呈した状態で内蓋を開くと屋内外問わず、撮影していた写真が焼けて消えてしまいます。
高温多湿・直射日光に当てない
カメラもフィルムも高温多湿や直射日光に弱く、特にフィルムは光によって焼き付けられるため撮影済の写真がダメになってしまうだけではなく、撮影前のフィルムが悪くなってしまいます。
また、カメラ内は密閉されているため、湿度の高い場所の保管や濡れたまま放置することでカビが発生し、故障の原因となり、もちろん撮影写真にも影響を与えます。
新製品が出ないため、今や貴重なアイテムとなりつつあるフィルムカメラ。一台一台大切にしましょう。
手ぶれ補正がないため、しっかりと固定して撮影する
ケータイのカメラ機能によって、「写真撮影」は昔に比べて身近な存在となりました。
しかしケータイカメラを含めたデジタルカメラのほとんどに、手の震えや揺れを補正し、ピントを合わせる「手ぶれ補正機能」が付随しています。
アナログなシステムであるフィルムカメラには、基本的に手ぶれ補正機能はありません。そのため、フィルムカメラではブレが起こりやすくなり、姿勢や持ち方が撮影される写真に大きく作用します。
- 脇を軽く締めて、カメラを固定する
- 効き目でファインダーを覗く
- 肩幅に足を広げて重心をしっかりかける
など
一例ですが、フィルムカメラ撮影時のコツは、とにかく「カメラを固定する」ことが大切です。
撮影後のフィルムは高温多湿がNG。
フィルムは高温多湿に弱くため、特に日本では夏の湿度によって、撮影写真が劣化してしまうトラブルも多いようです。
基本的にフィルムはフィルムケースで個包装されていますが、撮影後は速やかにカメラ本体から取り出し、フィルムケースにしまって保存し、なるべく早く現像に出すことで気温や湿度による写真の劣化が予防できます。
写真を撮るときの三つの要素
出典:Fotoblog Hamburg, http://blog.hamburger-fotospots.de/kostenloser-download-foto-cheatcard-fuer-fotografen/
写真撮影にはシーンに合わせた設定の微調整が必要です。
自分で設定をカスタムする「マニュアルモード」を使用することで、自分の好きな写りで撮影ができるます。
また、フィルムカメラにもスマホカメラやデジタルカメラと同じように、ニュートラルな写真が撮れる「AUTO:自動撮影」機能が搭載されていますが、結局それぞれの設定の微調整をカメラがまかなっているモードなので、カメラの設定の構造を理解していて損することはないでしょう。
ISO感度
まず、カメラを始める上で多く目にする「ISO」ですが、そもそもISOとは、「International Organization for Standardization(国際標準化機構)」の略で、ISOが定めた国際規格です。
そのため、カメラ業界でのISOとは、正式には「ISO感度」を指し、ISOが策定された写真フィルムの規格です。読み方に悩みますが、略した呼称となるので、特に決まりはありません。
「アイエスオー」「イソ」「アイソ」「アーサー」などと読みますが、「イソ」「アイエスオー」が優勢な呼び方のようです。
あなたの
ISO感度の読み方は?※どれも間違いではない#写真好きな人と繋がりたい
— YU ゆう 🇯🇵 (@upwordrise) June 14, 2020
ISO感度とは「どの光まで記録できるか」を測る
数字が小さくなるほど「低感度」大きくなるほど「高感度」となります。
ISO感度の数字を2倍にすると、明るさも2倍に変わります。
ISO100×2=ISO200:明るさ2倍
ISO200×2=ISO400:明るさ2倍
低感度のISO100はを例にすると、晴天時の屋外での撮影にマッチしますが、暗い光を感知できないため、日光の当たらない場所での写真撮影に不向きです。屋内や曇り空の屋外だと上手く写真が撮れないことがあります。
反対に高感度のISO400だと暗い光を感知するため屋内やの写真や曇天の屋外向きですが、晴天時の屋外に合わせると明るい光を感知しすぎることで、白飛びした写真になってしまうことがあります。
シーンに合わせたISO感度や他の設定の微調整が必要です。
F値(絞り値)
F値のFは「focal(焦点の〜)」の頭文字をとったカメラ用語で、カメラレンズの中に備えられている光の入る穴を調節開いたり絞ったりすることで、フィルムに焼き付ける光の露光量を合わせる値を指します。
穴の絞りによってその数値が決まることから「絞り値」とも呼ばれています。
F値の数字が小さくなると、穴の開きが大きくなり光を多く取り込むことができるので、暗いシーンの撮影時向きです。
F値が大きくなれば穴の開きが小さくなり、絞られた状態になります。取り込む光の量が小さくなるので明るいシーンの撮影に向きです。
シャッタースピード
言葉の通り、シャッターを切るスピードを設定します。
シャッタースピードの数値を小さくするとシャッターを早くきることができます。シャッターがすぐに閉じるので、光を取り込む量が少なくなるのも特徴です。そのため、早く動く被写体に対してブレずに撮影をすることができるほか、明るい場所での撮影向きである特徴も持ちます。
シャッタースピードの数値を大きくすると、シャッターをゆっくりきるので、動きのある被写体だとブレてしまいますが、光を取り込む量が増えるので、屋内や夜間の写真撮影でも綺麗に撮ることができます。
あえてシャッタースピードを遅くして撮影する写真技法の中で代表的な写真として、夜間の車のバックライトが筋となっている写真や、星空の定点写真などがあります。
7フィルムの選び方
35mm 135フィルム
もっとも一般的な家庭用カメラ、一眼レフカメラのフィルムです。
フィルムの生産数が減っているため、年々高額にはなってきているものの、27~35枚どりで1000円程度で購入できます。
家電量販店などでも購入が可能で、ISO感度や写りの種類も豊富なため、コスト的にも、使い勝手的にもパフォーマンスの良いフィルムです。
120mm/大判フィルム
中判カメラに使用される120mmフィルム、大判カメラに使用される4インチフィルムは、カメラの専門店などで購入できます。
価格帯は2000円から10000円~まで、35mmに比べると、プロ向けの機器のフィルムのため高額になります。
フィルム幅が広いことで、大きな用紙への現像の際引き伸ばし代が少ないため、より画質の良い写真を撮ることが可能です。大人数の集合写真や風景写真など、俯瞰写真によく使われています。
インスタントカメラフィルム
現像がその場でできる「インスタントカメラ」(:ポラロイドカメラ/チェキなど)のフィルムは、厳密にメーカーごと、使うカメラ機器のサイズなどで分けられています。
なんといっても、撮影後にカメラから出てくるフィルムを1分ほど待つことで、ゆっくりと肖像が現像される「インスタント」さが大きな特徴です。
また、ロール状になっている他のフィルムとは異なり、シート上になっており簡単にフィルムの着脱ができるのも利点ですね。
簡単にフィルムの装填・撮影・現像ができるものの、画質で言うとどうしても35mmフィルムには劣ります。
しかし、その独特のボケ感や発色が若い世代を中心に人気を博し、近年V字に生産数を上げているフィルムです。
カメラの選び方
35mmカメラ
家庭用のコンパクトカメラ、ハーフカメラから一眼レフカメラなど、多様多種ありますが、35mmフィルムを使用している機器を「35mmカメラ」として括ります。
残念ながら、多くのメーカーでフィルムカメラの生産は停止されているため、市場に並んでいるものはほどんどが中古もしくはデッドストック品です。
電池式や手回し式など、原動力も異なり、撮影時の使用感も幅広いですが、露光によってフィルムに焼き付けられる原理と、35mmフィルムによって記録ができる点は共通しています。
中判カメラ
「中判カメラ」とは、主にプロやハイアマチュアに使われているカメラです。そのため、「中判カメラ」と聞いても、馴染みのない方も少なくはないでしょう。
と言っても一昔前には、証明写真や記念写真などでも使用されていいたため、縁遠い機器ではないはずです。
レトロな趣で、年々カメラ女子たちに人気が高くなっている「二眼カメラ」でも使用するフィルムなので、二眼カメラから中判カメラを知った方もいるかもしれません。
大きなフィルムを使用するため、画質の良さが特徴です。
大判カメラ
アマチュアにはハードルが高いカメラですが、高解像度が求められる大判ポスターや広告写真の撮影で活躍してきたカメラです。
近年ではデジタルカメラの性能向上した結果、活躍する場は狭くなりましたが、基本動作から応用まですべて手作業で行う楽しさや、写真技術の向上が目に見えること、高級素材を使用した機器や、専用のアクセサリー類を販売することで、嗜好性の高い大判カメラのは一定数の愛好家が存在します。
インスタントカメラ
撮影直後に自動的に現像を行う専用フィルムを使って撮影するカメラです。
撮ったその場で写真を見ることができるため、結婚式やパーティ会場などイベントシーンでも見かけるカメラですね。
デジタルでの写真撮影が当たり前になっている現代でも、手軽にその場で写真が楽しめ、フィルムカメラらしい独特の風合いが若い世代の女性を中心として人気が再燃しています。
一世を風靡したアメリカのポラロイド社のポラロイドカメラや、日本の富士フィルム、チェキなどが知られています。
まとめ
フィルムカメラの使用方法から使用するフィルムの種類、カメラの大枠の種類など、フィルムカメラの基本情報についてまとめました。
カメラは趣味としても人気のあるコンテンツで、深掘りすればするほど、知識や技法のより深い知見につながり、面白みが増していきます。
ぜひ今回の記事をフィルムカメラを手にするきっかけにして、カメラワークを楽しんでくださいね。
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