ロンドン・カレッジ・オブ・ファッション(London College of Fashion、略称 LCF)は、ロンドン芸術大学(University of the Arts London、UAL)を構成する6つのカレッジの1つで、ファッションをデザインからビジネス、科学技術、メディアまで丸ごと扱う専門カレッジです。ジミー・チュウやJWアンダーソンをはじめ、世界的に活躍するファッションデザイナーを数多く送り出してきました。
この記事は、以前公開していた内容を全面的に書き改めたものです。以前の記事では「ロンドンの中心部」というキャンパスの説明をしていましたが、LCFは2023年9月、ストラトフォードの East Bank へ全面移転しています。以前は市内に分かれていた拠点が、いまは1か所に集約されました。本記事では、2026年10月2日時点でUAL・LCF公式サイトから確認できた情報だけを使い、この移転を中心にキャンパス、学部・大学院の構成、学費、出願の進め方までまとめました。
LCFはファッション単体を扱うカレッジでありながら、デザインだけでなくビジネス、化粧品科学、心理学、ジャーナリズム、スタイリングまでを同じ屋根の下で教えています。「ファッションの学校」と聞いてデザイナー志望だけの場所だと考えてしまいがちですが、実際にはブランドの経営やマーケティングを学ぶ学生、コスメの研究開発を学ぶ学生、ファッションを報じるジャーナリストを目指す学生まで、同じキャンパスに在籍しています。CEOWORLDの「Best Fashion Schools in the World Rankings 2026」でヨーロッパ・イギリス1位、世界3位と評価されているのも、こうした裾野の広さが背景にあります。
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ToggleLCFの基本情報
| 正式名称 | London College of Fashion(略称 LCF) |
|---|---|
| 前身 | LCF公式の説明:ショーディッチ工科学校、バレット・ストリート職業学校、クラパム職業学校という3つの女子職業学校が合流(LCF公式は「1906年創立」と記載)/UAL公式沿革資料:レザー・トレード・スクール(1887年設立)、バレット・ストリート職業学校(1915年設立) |
| 現校名になった年 | カレッジ自身の説明では1974年。UAL公式の沿革表では1967年に「Fashion」として記載 |
| 現在の所在地 | 105 Carpenter’s Road, London E20 2AR(East Bank、クイーン・エリザベス・オリンピック・パーク内) |
| 移転時期 | 2023年9月。2023年11月1日に正式開校 |
| 設計 | Allies and Morrison |
| 学生数 | 5,500名以上(100カ国以上から) |
| 組織 | Fashion Business School/School of Design and Technology/School of Media and Communication の3スクール |
| UALでの位置づけ | University of the Arts London(UAL)を構成する6カレッジの1つ |
| ランキング | CEOWORLD「Best Fashion Schools in the World Rankings 2026」でヨーロッパ・イギリス1位、世界3位(ヨーロッパ・イギリス1位はLCF公式サイトの記載、世界3位はCEOWORLD誌2026年版の順位) |
UALそのものについてはロンドン芸術大学(UAL)とは?6つのカレッジの違いと学費・出願・キャンパスを徹底解説で詳しく解説しています。6つのカレッジはそれぞれ別の学校を起点に生まれており、LCFはそのうちファッションを専門に担うカレッジです。上の表にあるとおり、現校名になった年の記述にはUAL公式の沿革表とLCF自身の説明で食い違いがあります。この点は次の章で詳しく扱います。
複数の校舎から、ひとつの East Bank へ
ここが、数年前の情報で準備を進めている方にいちばん知っておいていただきたい部分です。LCFは長いあいだ、ロンドン市内に分かれた複数の校舎で授業を行っていました。それが2023年、ストラトフォードの新キャンパスに集約されました。
移転前は、街のあちこちに校舎が分かれていました
移転前のLCFは、オックスフォード・サーカス近くのジョン・プリンシズ・ストリートを主な拠点としながら、ライム・グローブ、ゴールデン・レーン、メア・ストリート、カーテン・ロードなど、ロンドン市内の複数の場所に校舎を持っていました。学生は専攻によって通うキャンパスが違い、同じLCFの学生でも顔を合わせる機会が限られていたといいます。デザインを学ぶ学生とビジネスを学ぶ学生、メディアを学ぶ学生が、ふだんは別々の建物で過ごしていたということです。
こうした分散は、LCFが複数の職業学校の合流から生まれたという成り立ちとも無関係ではありません。ひとつの建物を新築して始まった大学ではなく、別々の時代に別々の場所で始まった学校が、看板を掛け替えながら少しずつひとつの組織にまとまっていった結果として、校舎も分かれたままだったということです。

ハックニーのメア・ストリートにも校舎がありました。ここは2000年にLCFへ統合された製靴の学校、コードウェイナーズ・カレッジが使っていた建物で、統合後はLCFの校舎として使われていました。

ゴールデン・レーンの校舎もそのひとつです。赤レンガの建物の入口には、黒い看板で「ual: university of the arts london / london college of fashion」と表示されていました。こうした拠点ごとの看板が、ロンドンのあちこちに点在していた時代があったということです。

2023年9月、East Bank へ全面移転しました
2023年9月、LCFはクイーン・エリザベス・オリンピック・パーク内に新設された East Bank へ移転しました。新キャンパスの住所は105 Carpenter’s Road, London E20 2AR、設計はUALの他の新キャンパスと同じくアリーズ・アンド・モリソンです。最寄り駅はストラトフォード駅で、同じ East Bank にはサドラーズ・ウェルズ、V&A、BBC、ラフバラ大学、UCLが並んでいます。
公式の開校イベントは2023年11月1日に開かれました。LCF公式はこの日を「カレッジの117年の歴史における新しい章の始まり」と位置づけ、「LCFの学部課程と大学院課程のすべてが、初めてひとつの屋根の下に集まった」と記しています。117年という数え方の起点は1906年です。LCF公式が別のページで「Founded in 1906」と創立年を明記しており、開校した2023年との差がちょうど117年にあたります。なお、ライム・グローブの校舎はUALが手放したわけではなく、ファウンデーション課程を集めた「UAL School of Pre-degree Studies」の拠点として引き続き使われています。
当時のUAL学長(当時の肩書きはPresident and Vice-Chancellor)であったジェームズ・パーネル氏は、開校にあたって東ロンドンの学校・地域・産業との連携を強めていく姿勢を示しています。東ロンドンという土地を選んだのは単なる床面積の都合ではなく、サドラーズ・ウェルズやV&A、BBCといった文化機関が同じ地区に集まる「East Bank」という文化地区構想に、ファッション教育の拠点として加わる意味合いが込められているということです。開校のセレモニーには、LCFの卒業生でもあるミュージシャンのコージェイ・ラディカルによるパフォーマンスも行われました。
East Bankは、LCFだけの建物ではありません。工事が進んでいた2023年春の時点で、LCFの校舎とV&A East の建物が水路沿いに並んで立ち上がっていく様子が記録されています。



新キャンパスの様子は、LCF公式YouTubeチャンネルの動画でも見ることができます。
沿革をひとことで
LCFの歴史は、UALの公式沿革資料とカレッジ自身の説明とで、年号の数え方が少し異なります。UALの公式沿革表は、現在のLCFにつながる前身としてレザー・トレード・スクール(1887年設立)とバレット・ストリート職業学校(1915年設立)を挙げ、これらが1967年に「Fashion」としてひとつにまとまったと記しています。一方でLCF自身は「1906年創立」とし、ショーディッチ工科学校、バレット・ストリート職業学校、クラパム職業学校という3つの女子職業学校が合流して、1974年に「London College of Fashion」になったと説明しています。本記事では、姉妹記事であるUAL記事と同じく、この2つの記述をそのまま併記します。
2000年には、製靴の名門コードウェイナーズ・カレッジ(Cordwainers College)がLCFに統合されました。コードウェイナーズは1913年に「Cordwainers Technical College」となった学校で、その名は現在もBA (Hons) Cordwainers Footwear and Accessoriesという課程名に残っています。靴デザイナーのジミー・チュウは、1980年代にこのコードウェイナーズで学んだ卒業生です。2026年10月2日時点で、LCFの学部課程のうちコードウェイナーズの名を冠しているのは、このBA (Hons) Cordwainers Footwear and Accessoriesの1課程です。大学院で靴やアクセサリーを扱う課程としては、MA Fashion Artefactがあります。なお、LCF公式の「Cordwainers」紹介ページには靴とバッグ・アクセサリーの2課程と大学院の靴の課程があると書かれていますが、同じ公式サイトの現在のコース一覧では上記の構成になっています。出願の際はコース一覧のほうをご確認ください。
年号の数え方が2通りあることは、読者にとってやや分かりにくい点かもしれません。ただしこれは、LCFが単独の学校としてある年に一度だけ創立されたのではなく、複数の職業学校が時間をかけて合流してきた歴史を持つために生じる食い違いです。UALの公式沿革資料は制度上の統合年を基準に「1967年」と記録し、LCF自身は最も古い前身校が生まれた1906年を創立年として、East Bank開校の年に「117年の歴史」という数え方をしています。どちらも公式の説明であり、本記事では両方をそのまま併記しています。
| 年 | できごと |
|---|---|
| 1887年 | 前身のひとつ、レザー・トレード・スクールが設立(UAL公式沿革資料) |
| 1906年 | LCF公式が「創立」とする年。前身のひとつ、ショーディッチ工科学校にさかのぼる(LCF公式ページ) |
| 1915年 | 前身のひとつ、バレット・ストリート職業学校が設立(UAL公式沿革資料) |
| 1913年 | コードウェイナーズが「Cordwainers Technical College」に(LCF公式ページ) |
| 1967年 | UAL公式沿革表で「Fashion」として記載 |
| 1974年 | LCF自身の説明による改称年 |
| 1986年 | LCFを含む複数のカレッジがロンドン・インスティテュートの傘下に |
| 2000年 | コードウェイナーズ・カレッジがLCFに統合 |
| 2004年 | ロンドン・インスティテュートがUniversity of the Arts Londonに |
| 2023年9月 | East Bankへ全面移転 |
| 2023年11月1日 | East Bankキャンパス正式開校 |
学部・大学院の構成
LCFの課程はFashion Business School、School of Design and Technology、School of Media and Communication の3つのスクールに分かれています。デザイナー志望だけでなく、ブランドの経営やマーケティング、ジャーナリズム、スタイリング、フットウェア、メイクアップまで、進路の幅が広いことが特徴です。
| スクール | 扱う領域 | 学部課程の例 |
|---|---|---|
| Fashion Business School | 経営・マーケティング・ビジネス | BA (Hons) Fashion Buying and Merchandising/BA (Hons) Fashion Marketing/BSc (Hons) Cosmetic Science/BSc (Hons) Psychology of Fashion |
| School of Design and Technology | デザイン・ものづくり・靴 | BA (Hons) Fashion Design Technology: Menswear/BA (Hons) Fashion Design Technology: Womenswear/BA (Hons) Cordwainers Footwear and Accessories/BA (Hons) Bespoke Tailoring |
| School of Media and Communication | メディア・ビジュアル表現 | BA (Hons) Fashion Photography/BA (Hons) Fashion Journalism and Content Creation/BA (Hons) Fashion Styling and Production/BA (Hons) Creative Direction for Fashion |
どのスクールも、ファッションという同じ産業を別の角度から扱っています。School of Design and Technologyは服や靴そのものをつくる技術、Fashion Business Schoolはそれを事業として動かす力、School of Media and Communicationはそれを言葉や映像で伝える力を育てる場所だと考えると、進路を選びやすくなります。
このほか、衣装やヘア・メイクを舞台芸術の文脈で学ぶBA (Hons) Costume for Performance、BA (Hons) Hair, Make-up and Prosthetics for Performanceといった課程もあります。大学院には、修士課程のMA Fashion Design Technology(Menswear/Womenswear)、MA Fashion Journalism and Content Creation、MA Fashion Marketing and Sustainability、MBA(Master of Business Administration)など、学部と同じ3領域にまたがる幅広いラインナップが用意されています。完全オンラインで学べるMA Fashion Business(Online)、MA Fashion Marketing(Online)という課程もあります。
学部課程の名前を見ていくと、同じ「ファッションデザイン」でもメンズウェアとウィメンズウェアで課程が分かれていたり、刺繍・ニット・プリントといったテキスタイルの技法ごとに専門の学部が用意されていたりと、分野がかなり細かく区切られていることが分かります。BSc (Hons) Cosmetic Science(化粧品科学)やBSc (Hons) Psychology of Fashion(ファッション心理学)のように、理系・社会科学系の学位として設計された課程がある点も、デザイン系の美大とは一線を画す特徴です。志望する分野が決まっている方は、学部名の細かさを逆に手がかりにして、自分の関心に近い課程を探すとよいでしょう。
UALの中での位置づけ
LCFは、University of the Arts London(UAL)を構成する6つのカレッジのひとつです。6つのカレッジはもともと別々の学校として生まれ、ロンドン・インスティテュートという傘の下に集まり、2004年に現在のUALという名前になりました。志望する分野によって通うカレッジも立地もまったく違うため、「UALに行きたい」だけでは出願先は決まりません。
| カレッジ | 場所 | 中心になる分野 |
|---|---|---|
| セントラル・セント・マーチンズ(CSM) | キングス・クロス(N1C) | ファッション、ファインアート、プロダクト、パフォーマンス |
| ロンドン・カレッジ・オブ・ファッション(LCF) | ストラトフォード East Bank(E20) | ファッションのデザイン、ビジネス、技術、メディア |
| ロンドン・カレッジ・オブ・コミュニケーション(LCC) | エレファント&キャッスル(SE1) | グラフィック、UX、映像、ジャーナリズム、写真 |
| チェルシー・カレッジ・オブ・アーツ | ミルバンク(SW1P) | ファインアート、インテリア、テキスタイル、キュレーション |
| キャンバーウェル・カレッジ・オブ・アーツ | ペッカム(SE5) | ファインアート、イラストレーション、グラフィック、空間デザイン |
| ウィンブルドン・カレッジ・オブ・アーツ | ウィンブルドン(SW19) | 演技、衣装、舞台美術、人形劇、スクリーン向け制作 |
ファッションに関していえば、CSMにもファッションの学部がありますが、CSMはC School(Culture)、S School(Systems)、M School(Material)という考え方の系統でスクールが分かれており、「ファッション学部」のような分野別のスクールを持ちません。対してLCFは、ファッションというひとつの分野を、デザインからビジネス、メディアまで丸ごと扱う構成です。同じロンドンでファッションを学べるカレッジでも、性格はかなり違います。
志望する方にとって重要なのは、「ファッションを学びたい」というだけでは出願先が決まらないという点です。コレクションを発表するデザイナーを目指すのか、ブランドの経営を学びたいのか、靴やアクセサリーの専門技術を身につけたいのか、あるいはファッションを報じる書き手になりたいのか。CSMとLCFのどちらが近いか、さらにLCFの中でもどのスクールのどの課程が近いかを、志望理由を書く前に整理しておくことをおすすめします。
学費(2026/27年度)
以下はUAL公式の学費ページで2026年10月2日に確認した、2026/27年度の金額です。学費はUAL全体で共通の表が適用されており、LCF独自の金額設定はありません。日本からの留学生は原則としてすべて International(国際学生)区分になります。
| 課程 | Home(国内) | International(国際) |
|---|---|---|
| Foundation Diploma in Art and Design(19歳以上) | £5,255+登録料£165(19歳未満のHomeは無償) | £24,660+登録料£165 |
| 学部(BA/BSc) | £9,790/年 | £30,890/年 |
| サンドイッチ(就業体験)年 | £1,955 | £5,725または標準学費の20%のうち低い方 |
| 修士(45週・standard rate) | £14,420 | £30,890 |
| 修士(45週・higher rate) | £15,790 | £34,885 |
| 修士(60週・lower rate) | £14,420 | £34,880 |
| 修士(60週・standard rate) | £15,100 | £39,690 |
| 修士(60週・higher rate) | £16,610 | £44,350 |
| Graduate Diploma | £14,420 | £30,890 |
| 完全オンラインの修士 | £11,530 | £24,720 |
60週の修士課程は、学費の半分を1年目に支払う仕組みです。注意していただきたいのは、UALが入学後の年について年5%を上限に値上げする可能性があると明記している点です。初年度の金額がそのまま続くとは限りません。同じ修士でも higher rate と standard rate、lower rate で金額に差がありますので、志望コースのページでどの区分に当たるかを必ずご確認ください。
もうひとつ、年度のずれにご注意ください。学部課程は、2026年10月2日時点ですでに2027年9月入学の募集に切り替わっています。たとえばBA (Hons) Cordwainers Footwear and Accessoriesのコースページでは、2027年9月入学の学費がHome £10,050/International £31,510と案内されています。上の表の£9,790/£30,890は2026/27年度の金額ですので、これから学部に出願する方は、志望コースのページに表示されている入学年度の金額をあわせてご確認ください。大学院は2026年9月入学の募集が続いており、MA Fashion Design Technology(Womenswear)のコースページでも学費はHome £14,420/International £30,890と、上の表と同じ金額が示されています。
学費のほかにも、国際学生がオファーを受諾して席を確保するための学費デポジット£4,000(学費に充当)、UAL公式が示す2025/26年度のロンドンでの生活費の目安、年間£19,750、画材や生地、プリント代などの材料費、学生ビザの申請料や移民健康保険料といったビザ関連費用がかかります。18歳以上の学生は、Student Oyster cardの利用で交通パスが30%割引になります。制作を伴うコースでは材料費が無視できない額になりますので、早い段階で総額を把握しておくことをおすすめします。
国際学生が学部の3年間をLCFで過ごす場合、学費£30,890に生活費の目安£19,750を足すと、年間£50,000を超える計算になります。制作系の課程であれば、ここに生地や副資材などの材料費が上乗せされます。45週の修士であれば学費が£30,890から£34,885ですので、生活費を合わせると同じく£50,000前後の規模です。早い段階で3年間、あるいは修士なら1年から2年分の総額を書き出しておくと、資金計画が立てやすくなります。
奨学金
UALは「国際学生の区分にあたる学生が受けられる資金援助は非常に限られており、そうした学生の大半はどの援助も受けられないでしょう」と率直に説明しています。そのうえで、国際学生が応募できる主な制度は次のとおりです。LCFの学生もこのUAL全体の制度の対象です。
- UAL International Postgraduate £10,000 Scholarships:修士課程を対象に£10,000の学費免除
- UAL Foundation and Pre-degree £7,000 International Scholarship:ファウンデーションから学部までの全期間にわたり年£7,000の学費免除。最大16件
このほかにも、UALの奨学金検索ページには UAL International Postgraduate £7,000 Scholarships、同 £14,000 Scholarships といった修士課程向けの制度が掲載されています。応募条件と件数は制度ごとに違いますので、検索ページで最新の一覧をご確認ください。
金額の大きさよりも件数の少なさに注目してください。奨学金を前提にした資金計画は現実的ではなく、学費・生活費の総額を自己資金や他の支援制度でまかなえる前提で考えておくことをおすすめします。
出願の進め方
学部はUCAS経由、大学院は直接出願です
LCFもUALの他のカレッジと同じく、学部課程はすべてUCAS(イギリスの大学出願サービス)を通して出願します。大学に直接申し込む窓口はありません。UCASでは最大5つのコースを選べ、国際学生は Immigration History Form(IMH)の提出も必要です。これはLCFだけの仕組みではなく、UALを構成する6カレッジすべてに共通する出願ルートです。志望するコースがLCFのものであっても、出願の入口自体はUAL全体で統一されていると考えておくとよいでしょう。
修士課程は、志望コースのページにある出願フォームからLCFへ直接出願します。出願はラウンド制で、2026年入学では Round 1 の締切が2025年12月2日13時(英国時間)、Round 2 が2026年3月18日13時でした(UAL全体で共通の日程。志望コースのページで最新の日程を必ずご確認ください)。実務上、同じコースには年度内に1度しか出願できない点にも注意してください。
ポートフォリオ
実技系のコースの多くは、デジタル・ポートフォリオの提出を求めます。提出先はUALが使うPebblePadというシステムで、まず願書を出したあとに、改めて提出の案内が届く流れです。分量はコースごとに決められており、たとえば学部のBA (Hons) Cordwainers Footwear and Accessories、大学院のMA Fashion Design Technology(Womenswear)は、どちらも最大30ページとされています。UALは「磨き上げられた完成作品だけを探しているのではありません。試行錯誤や、途中で犯した失敗も含めて、あなたの可能性と、あなたが歩んできた道のりが大切です」としており、うまくいかなかった過程を削り落とす必要はありません。レイアウトは横長のページ形式が推奨され、InDesign、PowerPoint、Canvaのいずれでも作成でき、ページ内の注釈は短く簡潔に、文字サイズは12ポイントが下限とされています(UAL全体の案内)。動画課題が求められた場合、その分もページ数の配分に含まれます。必要なページ数も求められる内容も課程ごとに違いますので、志望コースのページの「Apply now」欄を必ずご確認ください。
英語のスコアは学部と大学院で異なります
英語の必要スコアはコースごとに決まっており、学部と大学院でも水準が違います。LCFの実例を2つ挙げます。
| 課程 | IELTS(総合) | 各項目の最低点 |
|---|---|---|
| 学部:BA (Hons) Cordwainers Footwear and Accessories | 6.0 | 5.5以上 |
| 大学院:MA Fashion Design Technology(Womenswear) | 6.5 | 6.0以上 |
このように、同じLCFの課程でも、学部より大学院のほうが総合スコアも各項目の最低点も高く求められる傾向があります。IELTS以外にも、PTE Academic UKVI、Trinity ISE、LanguageCert Academic SELT、PSI Skills for English、ケンブリッジ英検、TOEFL iBT、Oxford Test of English、国際バカロレアが認められています(UAL全体の案内)。スコアはコース開始日の時点で有効である必要があり、多くのテストは2年が有効期間です。基準に届かない場合は、オファー保持者向けの Pre-sessional English(渡英前の英語準備課程)という道があります。志望コースのページで個別の要件を必ずご確認ください。
卒業生
LCF公式サイトの卒業生紹介ページで確認できる顔ぶれには、次のような人たちがいます。ファッションデザインだけでなく、ビジネス、音楽、映像、ビューティーと活躍の幅が広いことが、LCFらしいところです。
とくにJWアンダーソンは、2005年にLCFのメンズウェア課程を修了し、2023年のCFDAファッションアワードで「International Designer of the Year」を受賞、2025年にはディオールのクリエイティブ・ディレクターに就任しています。マキシミリアン・デイヴィスは2020年にLCFを修了したばかりの若手でありながら、イタリアのフェラガモのクリエイティブ・デザイナーに就任しました。靴の分野では、コードウェイナーズで学んだジミー・チュウが、自身の名を冠したブランドで知られています。デザイナー以外にも、音楽家のペギー・グーやコージェイ・ラディカル、映像業界で活躍するシアン・グリッグ、ビューティー業界のリンジー・アレクサンダーなど、ファッションの技術を別の表現や産業に生かしている卒業生が目立ちます。
| 名前 | LCFでの専攻 | 現在の活動 |
|---|---|---|
| JW アンダーソン | BA (Hons) Fashion Design Technology: Menswear(2005年修了) | ディオールのクリエイティブ・ディレクター。2023年CFDA「International Designer of the Year」受賞 |
| マキシミリアン・デイヴィス | 2020年修了 | フェラガモのクリエイティブ・デザイナー |
| ジミー・チュウ | Cordwainers Technical College(1980年代) | 靴デザイナー。自身のブランドを創業 |
| ペギー・グー | BA (Hons) Fashion Styling and Production | DJ・音楽家 |
| アレック・ウェック | Fashion Business and Technology | スーパーモデル、デザイナー、人道活動家 |
| シアン・グリッグ | 映画・テレビ向けヘア・メイク | BAFTA賞受賞、アカデミー賞ノミネートのヘア・メイクアーティスト |
| コージェイ・ラディカル | ファッション・イラストレーション | ミュージシャン、ビジュアルアーティスト |
| ハロルド・ティルマンCBE | (専攻の記載なし) | ファッション・小売業の起業家。英国ファッション評議会議長を歴任 |
| リンジー・アレクサンダー | (専攻の記載なし) | プラダ ビューティーのグローバル・クリエイティブ・メイクアップ・アーティスト |
まとめ
いかがだったでしょうか。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションについて見てきました。要点は次の5つです。
- LCFはUALを構成する6カレッジの1つで、ファッションをデザインからビジネス、メディアまで丸ごと扱います
- 2023年9月、ストラトフォードの East Bank へ全面移転しました。以前は市内に分かれていた複数の校舎が、いまは1か所に集約されています
- 現在の名称になった年は、UAL公式沿革表では1967年、LCF自身の説明では1974年です。2000年にはコードウェイナーズ・カレッジが統合されました
- 課程はFashion Business School、School of Design and Technology、School of Media and Communicationの3スクールに分かれています
- 2026/27年度の国際学生の学費は、学部が年£30,890、修士が£30,890〜£44,350です。学部はUCAS経由、大学院は直接出願で、英語のスコアは学部より大学院のほうが高く求められる傾向があります
金額も課程も年度ごとに変わります。出願を具体的に考える段階では、必ず志望コースのページで最新の情報をご確認ください。とくにキャンパスの移転や統合といった大きな変化は、数年前の情報のままだと実態と食い違うことがあります。本記事も、公開から時間が経てば同じことが起こり得ますので、あわせてご留意ください。
Euphoric " " の視点
ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションは、長いあいだロンドンの各所に散らばっていました。オックスフォード・ストリート、ゴールデン・レーン、メア・ストリート、カーテン・ロード。授業ごとに違う場所へ移動する学校でした。
2023年、その全部がストラトフォードのEast Bankに集まりました。公式は、学部も大学院もすべてのコースがひとつ屋根の下に入るのは初めてだと言っています。
散らばっていたことには理由があります。この学校は、もともと別々の職業学校が合流してできました。公式の説明に出てくるのは、3つの女子職業学校と、革の技術を教えていた学校です。さらに2000年には製靴の学校が加わりました。校舎が分かれていたのは、その歴史がそのまま地図になっていたからです。
ひとつになると、便利になります。同時に、分かれていたときにあったものは見えにくくなります。進学先を選ぶとき、校舎がどこにあるかは、ただの立地の話ではありません。その学校が何を束ねてきたかの記録でもあります。
ポートフォリオの作り方に不安がある方は、ポートフォリオ添削サービス「PORTFOLIO SENSEI」もあわせてご覧ください。
もっと知るには
本記事の情報は、ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションおよびロンドン芸術大学の公式発表をもとに確認しています。学費・日程・課程構成は年度ごとに変わりますので、出願の際は下記の公式ページで最新の情報をご確認ください。






