【徹底解説】クロード・ドビュッシーとは?新しい時代を築いた作曲家の作品と生涯

こんにちは、ユアムーン株式会社 編集部です!

皆さんはドビュッシーという作曲家をご存知ですか?

ドビュッシーは19世紀後半から20世紀にかけて活躍した作曲家で、既存の音階に捕らわれない旋法と自由な和声法を用いた新しい作曲方法によって当時の音楽界に強い影響を与えた人物です。

この記事ではドビュッシーの生涯と彼が遺した作品についてご紹介します!

ドビュッシーとは?

基本情報

本名 クロード・アシル・ドビュッシー/Achille Claude Debussy
国籍/出身 フランス
生年月日 1862年8月22日~1918年3月25日
分野/芸術動向 印象主義/象徴主義
学歴/出身大学など パリ音楽院

経歴と作品

ドビュッシーは陶器店を経営する父と裁縫士の母の間に5人兄弟の長男として生まれました。
8歳の頃、伯母のクレメンティーヌの計らいでイタリアの音楽家ジャン・チェルッティにピアノを習ったことをきっかけとして音楽の道を目指すようになったとされており、その翌年から父の知人である作曲家のシャルル・ド・シヴリーや彼の母アントワネット・モテ・ド・フルールヴィル夫人などから音楽の基礎を学び始めます。その後ドビュッシーは瞬く間に才能を開花させ、弱冠10歳にしてパリ音楽院への入学を果たしたのです。

作曲家ドビュッシーに至る歩み

実は、音楽院に入学した当初のドビュッシーは作曲家ではなくピアニストを志していたとされています。
しかし、目標にしていた学内コンクール一位入賞が果たせなかったことでその夢を諦め、作曲家への道を歩んでいくことになりました。

「ピアノ三重奏曲」

この作品はドビュッシーが18歳の頃に作曲をしたとされる室内音楽で、1982年にドビュッシーの弟子の遺産から発見されるまでオリジナルの自筆譜は紛失されたと思われていた、というエピソードを持っています。

4つの楽章から構成されており、総計して20~25分程度となっている比較的小規模な作品となっており、また後に作られた代表作たちに共通するいわゆる「ドビュッシーらしさ」というものが少ない作品でもあります。

象徴的な旋律や劇的な展開はありませんが、全体に共通する優美で甘やかな旋律や透き通ったハーモニーと各章の特色ある雰囲気が美しく調和している作品ですので、それぞれの違いを楽しんでみたり、自身のお気に入りの章を探してみてはいかがでしょうか。

「放蕩息子」

「道楽息子」とも訳される今作は「ルカによる福音書」に登場する放蕩息子の逸話を基とした劇詩であり、若き日のドビュッシーがローマ大賞という栄誉を手にした記念すべき作品でもあります。

ドビュッシー作品の中で最古のカンタータに位置する作品ですが、後の作品にも見られるドビュッシー独特のハーモニーの作り方などの片鱗が認められており、また構成が劇的であることからドビュッシーの死後オペラとして演奏される事例もあるなど時代を超えて愛される不朽の名作のひとつです。

ベースとなっているものが聖書であるためか荘厳で清らかな雰囲気の楽曲が多く、オーケストラで演奏する場合はハープが多用されていたり繊細なソプラノのアリアが情緒的に綴られていたりする点からドビュッシーらしさを伺うことが出来ます。

ストーリーとしては、両親に逆らって家出をした息子とそれを心配し嘆き悲しむ母親が再開し、和解するまでを描いたものとなっております。感動のストーリーというよりは訓示的な側面が強いと言えるでしょう。

ワグネリズムへの反抗と未聴感の追及

1889年はドビュッシーにとって大きな転機を迎えた年と言われています。
国民音楽協会に入会したことで新たな人脈や発表の場を得たこと、またパリ万国博覧会でガムランとの邂逅を果たしたこと、それらに加え同年に訪れたバイロイト音楽祭でワグネリズム(ワーグナーによって推進された哲学的理念や彼の音楽を支持する姿勢)の限界を感じたことなどがその後のドビュッシーの音楽活動に強く影響を及ぼしました。

「選ばれし乙女」

今作はイギリスのラファエル前派(象徴主義美術の先駆)の画家ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティの絵画「祝福された乙女」から着想を得たとされる作品であり、ドビュッシーの独特な作曲法が数多く取り込まれた試験的な作品であるとも言われています。

具体的には、全音のみでオクターブを構成した全音音階や1オクターブに5つの音が含まれる五音音階などの特色ある音階を用いて既存の調性からの脱却を図った点やドビュッシー特有の捉えどころのない流れるような雰囲気の表現などが挙げられます。

今作には神に選ばれ、祝福されて天国へ上った乙女が天国から地上の恋人を想い、天国で再び結ばれることを願って祈りを捧げるも願いは届かず、乙女はさめざめと涙を零す……といったような悲しい物語が付いているのですが、全体を通して女性のみで構成された透明感のある合唱や柔らかく優しいハーモニーなどが今作を単なる悲劇でなく感じさせてくれるでしょう。

「牧神の午後への前奏曲」

ドビュッシーが敬愛していた詩人マラルメの詩「牧神の午後」に感銘を受けて作られたと言われている作品であり、20世紀への扉を開けたと称されることもあるほどの重要な作品、かつドビュッシーの作曲法の特長を色濃く反映した象徴的な作品と言っても過言ではないでしょう。

今作では牧神の象徴である「パンの笛」を表現するためにフルートが重要な役割を担っているのですが、牧神を示す主題の初めの音はフルートの構造とても響きにくいとされている音で、また音域も中音域のためフルートの持つ華やかさを出すことが難しくなっていました。

しかしドビュッシーはその特性を逆に利用することで、牧神がまどろんでいる様子を表す独特な表現へと昇華しました。
既存の在り方に捕らわれず、独自の世界観を演出することに長けたドビュッシーらしい表現方法と言えるでしょう。

また後に今作に基づいたバレエ作品も作成されており、筋書きはマラルメの詩に準拠していましたが振付けは古典的なバレエの様式からは大きく外れたものとなっており、モダンダンスの先駆けとする見方もあります。
今作は音楽界だけでなく、幅広い美術の分野に影響を齎し伝統にとらわれない在り方を触発する作品であると考えることも出来ます。

飽くなき挑戦

先に紹介した作品以外にも夜想曲や版画など、数多くの名作を生み出した功績から1903年にドビュッシーはレジオン・ドヌール五等勲章を受勲し作曲家としてのキャリアを確立しました。
しかしそれ以降も新しい傾向の作品や長大な作品を執筆するなど、病によって床に伏せるまで精力的に活動し続けました。

「ペレアスとメリザント」

今作はドビュッシーが完成させた唯一のオペラです。象徴派の著名な詩人であるモーリス・メーテルリンクの同名の戯曲が台本として用いられており、ワーグナーへの(特に「トリスタンとイゾルデ」への)アンチテーゼ的な要素が多く含まれた作品です。

物語は架空の王国であるアルモンド王国を舞台として王太子の弟であるペレアスと王太子妃メリザントの禁断の愛を描いたものとなっており、2人が出会い愛を育み、そして罪を暴かれ罰を受けて息を引き取るまでが綴られています。

アリア(情緒的な独唱)とレチタティーヴォ(語りかけるような独唱)が融合したような旋律によって構成されているため、フランス語の抑揚がそのまま音程とリズムの変化に反映されている特徴的な作品とされています。

当時の主流であったグランド・オペラへの反発や、原作者とのトラブルなどに見舞われつつもドビュッシーの新しい表現方法は聴衆に好意的に受け取られ、新境地の開拓に成功した作品と評されることもあります。

また、今作によってドビュッシーは印象主義音楽派の作曲家としての地位を確立したとされていますが、実はドビュッシー自身は印象主義という言葉をあまり好んでおらず象徴主義を美学として掲げていたと言われています。

ベルガマスク組曲

「前奏曲」「メヌエット」「月の光」「パスピエ」の4曲からなる組曲で、ドビュッシーのキャリアの中では初期に分類される作品になります。

伝統的な教会旋法によって旋律を構成しており、先人たちの影響も色濃く残っている作品ではありますが、その中でも新しい音楽を追求するドビュッシーの姿勢が見られるものとなっております。

今回は組曲の中でも特に知名度の高い「月の光」を紹介しておりますが、もし興味を持っていただけたら他の3曲も是非聞いてみて下さい。

「月の光」

ほぼ全編がピアニッシモで演奏されることが特長の夜想曲であり、その中でも柔らかく繊細な旋律から成る冒頭部分は非常に有名で誰しも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

またクラシック音楽としてだけでなく、1971年の夏には歌唱曲としてNHKみんなのうたで放送されるなど日本人の生活にも馴染んでいる楽曲と言っても過言ではないかもしれません。

途中の旋律は教会旋法の一種であるミクソリディア旋法が用いられており、優美かつ流麗な雰囲気が月の光というタイトルに相応しい情緒的な場面を想起させるようです。
しかし当初付けられるはずだったタイトルは「月の光」ではなく、「感傷的な散歩道」であったという記録も残されており、個人的には「月の光」の方が即しているように感じるのですがドビュッシーにとっては違っていたのかもしれない、と考えるとなかなか面白く感じます。

作曲が行われたのはドビュッシーのキャリアの中では中期に該当し、先に紹介した「牧神の午後への前奏曲」よりも前に作成されているのですが、さざめくような旋律が途切れずに繋がっていく様子や透明感のある静謐なハーモニーなどドビュッシーが好み表現しようとしていたとされる要素が多く含まれた作品であると言えるでしょう。

まとめ

今回は作曲家ドビュッシーについて紹介しました。

19世紀から20世紀にかけて伝統的な音楽の様式や在り方から外れた新しい表現方法を生み出し、彼自身だけでなく後進の多くの芸術家に多大な影響を与えたドビュッシーの作品は作品としての美しさはもちろんですが学術的な側面でも非常に興味深い点が多く存在します。

興味のある方はドビュッシーをきっかけにして19世紀前後の西洋音楽の推移やその背景について調べてみると、聞きなれた音楽の新しい側面を知ることが出来るかもしれません。

NHKみんなのうた 第4集

https://www.nhk-ep.com/products/detail/h07526AA

NHKで放送された中山知子が作曲を、石川皓也が編曲を、そして芹洋子と東京トルベールが歌唱を担当した「月の光」が収録されています。



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