James Turrell/ジェームズ・タレル
<プロフィール>
ジェームズ・タレルは1943年、アメリカ合衆国カリフォルニアに生まれた世界を代表する現代美術家です。
高校を卒業したのちにポモナカレッジに入学し、知覚心理学を専攻しました。自身の専攻以外にも数学、天文学、地質学を学び、幅広く学問を修めました。その後、カリフォルニア大学アーバイン校大学院に進学し、芸術家のトニー・デラップ、ジョン・マクラッケン、デビッド・グレイ、美術史家のジョン・コプランスに師事しました。ここでは光の彫刻を制作使用としましたが、光の制御が非常に難しく断念せざるを得ませんでした。その後も、アーティストとしての活動を続けながら1973年にクレアモント大学院大学で芸術修士号を取得しました。
タレルは、1960年代後半より作品の発表を始めています。建築、アートの二分野で世界的に様々な賞を受賞しています。受賞した賞の中には、ウルフ財団のウルフ賞やフランスの国立芸術勲章、王立英国建築家協会のフェローなど、世界的に権威のある賞が多くあります。
タレルは現代アーティストでありながら飛行機の免許ももっており、その飛行体験からインスピレーションを受けた作品も制作しているようです。
<作品>
タレルの初期の作品は絵画芸術における純粋な”感覚”に基づいています。空間、色、知覚の感覚的経験に基づき、光の構成と光を使った絵画の間にある弁証法に焦点を当てています。これらの初期の作品がタレルのスタイルとなりました。
タレルの作品の中で有名かつ特に野心的な作品として”ローデンクレーター”があります。この作品はアリゾナ州北部にある死火山の噴火口とその周囲を天文台にするプロジェクトです。作業開始から30年以上たっており、この作品はタレルのライフワークとなっています。この作品では、針穴写真機の原理を利用しており、地下にある部屋や通路から、様々な天体とその動きを見ることができる設計となっています。
タレルの作品は日本にも多くあります。その中でも、新潟県十日町市にある”光の館/House of Light”は特に有名です。この作品は、谷崎潤一郎の「陰影礼賛」からインスピレーションを受けており、「大地の芸術祭 越後妻有アート・トリエンナーレ2000」にて発表された作品の一つです。
このプロジェクトについて、タレルは次のように述べています。
「『陰翳礼讃』を読み、私はこの地域の伝統様式に則った家屋をつくろうと思った。谷崎が言う「われわれが既に失いつつある陰翳の世界」。それを私は、外の光と室内の光を関係づけ、光の中で生活できる空間として実現したいと思った。・・・これまで「光の知覚」を探求してきた私にとって、『光の館』とは、昼と夜、東洋と西洋、伝統と近代を対比するとともに融合する試みであった。」(出典:https://hikarinoyakata.com/space/)
新潟に行く機会が有ればぜひ訪れてみたいですね。
<参考文献>
TOP画像:http://jamesturrell.com/about/biography/
https://www.kanazawa21.jp/data_list.php?g=30&d=4&lng=e
https://www.axismag.jp/posts/2019/01/112800.html
https://www.pacegallery.com/artists/james-turrell/
https://web.archive.org/web/20050406135607/http://home.sprynet.com/~mindweb/page44.htm
http://www.artnet.com/artists/james-turrell/