エドワード・ルシェ/Edward Ruscha
<プロフィール>
エドワード・ルシェは、1960年初期から現在まで活躍し続ける世界で最も重要なアーティストの一人です。
1937年、ルシェはアメリカ合衆国ネブラスカ州オマハに三人兄弟の長男として生まれました。幼少期から漫画に興味を示しており、芸術とのタッチポイントの一つでした。1956年、ロサンゼルスに移りシュイナードアートインスティテュート/Chouinard Art Institute(現在のカリフォルニア芸術大学/California Institute of the Arts)に入学し芸術を学びました。
卒業後は広告代理店(Carson-Roberts Advertising Agency)に入社し、グラフィックデザイナーとして働きました。この頃からコラージュ、写真、絵画の作品で知られており、数年後にはUCLAの客員教授を務めました。
1962年、アンディ・ウォーホルやロイ・リキテンスタインなどの世界的に著名なポップアーティストと共に、アメリカ初のポップアートの展示会、”New Painting of Common Objects”を開催しました。1963年にはロサンゼルスで初の個展を開催しました。その後もロンドやドイツで展覧会を開催し、活動の幅を世界的に広げていきます。
2001年にカリフォルニア芸術大学名誉博士号を取得、2009年はロサンゼルスタイムズに世界で最も影響力のある100人に選出されるなど世界的な評価を受けています。また、最近では2019年にゲッティ財団より”J.ポールゲッティメダル”を受賞しました。
<作品>
ルシェの作品は、日常的な画像や単語を使用した作品がよく知られています。そのインスピレーションは地元ロサンゼルスの街並みからくることが多く、それらロサンゼルスのイメージと日常的な単語を組み合わせることで、その都市にある体験を創り出します。
ルシェの作品は広告などの商業芸術で使用される技法が活用されており、ポップアートと直接的なつながりがあります。また、彼の作品に含まれる言葉、フレーズの描写などはコンセプチュアルアートに大きな影響を与えました。
「HONK」は1962年に制作された作品で、3種類の原色と斜めに傾けて描かれた単語で構成されています。アクリル絵の具で大胆かつ明快に描かれたこの作品は、グラフィックデザインを彷彿させます。キュレーターのラルフ・ルゴフ「ルシェは火をノイズのビジュアルアナログとして使用しているようだった」と述べています。
ルシェの作品に描かれる文やフレーズはアメリカの日常的に使われる言語、スラングを示唆しています。Pretty EyesとElectric Billsは、世界の遠端にある2つの主題を分けるための方法で、この不和の芸術作品を創り出す根源となっています。
1984に制作された”The Music from the Balconies”では、美しい風景の上に”J・G・バラード”の”ハイ・ライズ” から引用した言葉をレイアウトしています。大草原の”光”には、アメリカの芸術の伝統な風景との共通点が見られ、ルシェが幼少期に過ごした地元の風景に触発された背景と言われています。
デザイナーにとっても、今後の回顧展の開催に目が離せませんね。
<参考文献>
TOP画像:Portrait of Ed Ruscha by Margo Moritz for Artsy.
https://www.artsy.net/article/artsy-editorial-ed-ruscha-on-60-years-in-the-american-west
https://edruscha.com/featured-works/
https://www.nytimes.com/2020/01/15/arts/design/ed-ruscha.html
https://www.tate.org.uk/art/artworks/ruscha-honk-ar00184
https://en.wikipedia.org/wiki/Edward_Ruscha
https://www.tate.org.uk/art/artists/edward-ruscha-1882/ed-ruscha-and-art-everyday