JENNY SAVILLE / ジェニー・サビル
<概要>
ジェニー・サビルは1970年、イギリスのケンブリッジに生まれる。ノッティンガムシャー州ニューアークのリリーアンドストーンスクールを卒業したのちに、グラスゴースクールオブアートにて学位を取得。1992年、卒業したのちに、シンシナティ大学にて半年間、女性学を学ぶ。ここで、ジェンダーの政治思想や著名なフェミニストに多く触れた。
2018年10月5日、Saville’s Propped(1992)はロンドンのサザビーズで 950万ポンドで販売され、生きている女性アーティストによる最も高価な作品となっている。
<作品>
「私はある種、子供のような感覚のなかにある。子供が石をひっくり返し、その裏にあるものを見る感覚、衝動を持ち続け、大切にしている。」(ナショナルギャラリー取材より)
サヴィルは自身の作品を典型的なフィギュラティヴ・アートとしてとらえており、そのルーツは、”ピクチャーメーカー(Picture maker)”からきていると話す。作品を作るとき、初めは抽象的に描き始めたとしても、感覚に任せて描くのではなく、あくまで画像を作るように描く。この手法が、彼女の作品をフィギュラティヴたらしめる要素といえる。
サヴィルは同時に、抽象絵画もこよなく愛しており、ウィレム・デ・クーニング、ジャクソン・ポロック、サイ・トゥオンブリー等のアーティストから強い影響力を受けている。しかし、彼女はこれらの作家から、描くとは何かを学びながらも、描写性、具象性を追求し続けている。
サヴィルの作品の中で、特に有名なものに、大規模な自画像 Branded (1992)がある。この作品では、自身の胴体と胸を絵画を通して歪め、身体の部分をぶら下げ、堂々としたものとなっている。美しさより力強さを大切にする彼女の作風がよく表れている。
ヨーロッパ現代美術責任者は「紛れもない若いイギリス人アーティストの傑作の1つ」と賞賛している。また、sotheby’sのシニアディレクター、アレックス・ブランジクは、「女性の美しさの標準化された表現を粉砕する最上級の自画像」と述べ、非常に見事な作品と称している。
サヴィルはニューヨークで形成外科手術を観察をし、スケッチとドキュメントをまとめた。彼女の作品の多くは、歪んだ肉、美しいブラシストローク、油彩のパッチを特徴としており、整形外科手術の外科医のマークを明らかにしている作品もある。
社会は行動、関係、権力を形成しそれらを制御しようとする。しかし、サヴィルは、女性が限定的な美容の基準に合わせることを奨励する社会的慣習を打ち破ろうとしてる。サヴィルの主題である理想化されていない身体は、精神的および感情的な心情と重ね合わせて見ると、その表層には現れない、明確な心身の内側が垣間見える。
<参考文献>
TOP画像:https://secure.i.telegraph.co.uk/multimedia/archive/02952/jennysaville3forwe_2952063b.jpg
http://www.artnet.com/artists/jenny-saville/
https://www.saatchigallery.com/artists/jenny_saville.htm
https://gagosian.com/artists/jenny-saville/
https://en.wikipedia.org/wiki/Jenny_Saville