【徹底解説】ステパン・リヤブチェンコとは?仮想の世界を形にするメディア・アーティストの人生と作品を解説!

【徹底解説】ステパン・リヤブチェンコとは?仮想の世界を形にするメディア・アーティストの人生と作品を解説!

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こんにちは。ユアムーン株式会社 編集部です。

皆さんはステパン・リヤブチェンコという人物をご存知ですか?

ステパン・リヤブチェンコ(Stepan Ryabchenko)は、1987年にウクライナのオデーサ(オデッサ)で生まれたメディア・アーティストです。建築を学んだ経験を生かし、コンピューターの中で架空の生きものや植物、風景を設計して、デジタルプリント、アニメーション、彫刻、光のインスタレーションとして発表してきました。

ウクライナ国立芸術アカデミーは、リヤブチェンコの作品が、作家自身の定めた法則に従う想像上の生きものや架空の生命、形而上的な風景が住む世界、つまりひとつの視覚的な神話をかたちづくっていると紹介しています。2025年には、同アカデミーの準会員に選ばれました。

本記事ではそんなステパン・リヤブチェンコの人生と作品についてご紹介します。

ステパン・リヤブチェンコって?

ステパン・リヤブチェンコの歩みを5段階で示した図。2008年のコンピューター・ウイルスの連作の発表、2011年の建築の修士号、2014年のロンドンのサーチ・ギャラリーでの展示、2019年のオデーサ空港のシンボル彫刻の国際コンペ優勝、2025年のウクライナ国立芸術アカデミー準会員へと進む。
図:ステパン・リヤブチェンコの歩み

基本情報

本名ステパン・リヤブチェンコ(Stepan Ryabchenko)
生年月日(没年月日)1987年10月17日生まれ(2026年10月時点で、訃報は確認されていません)
国籍・出身ウクライナ/オデーサ生まれ
学歴2011年、オデーサ国立土木建築アカデミーを優等で卒業し、建築の修士号を取得
分野デジタルアート、コンセプチュアル・アーキテクチャー、彫刻、光のインスタレーション、写真、グラフィック
傾向コンピューターの中で架空の生きもの、植物、風景を設計し、作品の中にひとつの神話的な世界をつくる
師事した人物・影響を受けた人物父は「ニュー・ウクライニアン・ウェーブ」を代表する美術家ヴァシーリ・リヤブチェンコ、祖父はグラフィック・アーティストのセルヒー・リヤブチェンコ

映像やデジタルの技術を使って作品をつくった美術家については、以下の記事でも詳しくご紹介しています。

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【徹底解説】ピピロッティ・リストとは?映像で展示室を包み込む美術家の人生と作品を解説!

経歴と作品

美術家の家に生まれ、建築を学ぶ(1987年〜2000年代)

ステパン・リヤブチェンコは1987年10月17日、ウクライナのオデーサに生まれました。キーウの美術財団アダモフスキー財団によれば、リヤブチェンコは美術家の一家に生まれました。父のヴァシーリ・リヤブチェンコはウクライナ現代美術と「ニュー・ウクライニアン・ウェーブ」を代表する美術家のひとりで、祖父のセルヒー・リヤブチェンコはソビエトとウクライナのグラフィック・アーティストでした。

2005年、リヤブチェンコはオデーサ国立土木建築アカデミーに入学しました。ウクライナ国立芸術アカデミーによれば、2011年に同アカデミーを優等で卒業し、建築の修士号を取得しています。在学中の2008年にはウクライナ美術家同盟の青年部に加わり、2010年には同盟の正会員になりました。

リヤブチェンコ自身は、2018年に美術誌『ART UKRAINE』のインタビューで、自分の視覚芸術の土台を決めたのは建築だったと語っています。最初期の仕事は、建築の中で自分の視覚的な言葉と空間のかたちを探すことに向けられていたといいます。その出発点として本人が挙げるのが、アカデミー在学中に設計した『Architect’s House』(2006年)です。石造りの3階建ての建物で、アトリエには目の形をした大きな窓があり、ファサードの裏側は反射するガラスでつくられていました。本人はこの設計を終えたとき、自分が「イメージ」に関心を持っていることに気づいたと振り返っています。

同じインタビューで、本人は2007年に建築の構想『Country Club』を手がけ、同じ年に『Kaleidoscope』の連作にも取り組みはじめたと語っています。『Kaleidoscope』は、もともと建築の内部空間の一部となる大きなレリーフの構想として始まり、ここで画像に質感を与え、加工する方法を使いはじめたといいます。建築の設計の手法が、そのまま美術作品のつくり方へとつながっていったことが分かります。

見えないものを形にした「コンピューター・ウイルス」(2008年〜)

リヤブチェンコの代表的な連作のひとつが「コンピューター・ウイルス」です。本人は『ART UKRAINE』のインタビューで、この連作を2008年に始めたと語っています。もともと形を持たないものを目に見えるようにするというアイデアで、それぞれのウイルスには作者も名前も歴史もあるのに、体だけがない。それを自分がつくったのだ、と本人は説明しています。

この連作が初めて展示されたのは2008年、オデーサ現代美術館でした。そのとき発表されたのが、「Chameleon(カメレオン)」という名前のコンピューター・ウイルスを形にした作品でした。

『Chameleon』(2008年)

ウクライナ国立芸術アカデミーは、リヤブチェンコの作品のひとつとして、171×150センチのデジタルプリント『Chameleon』(2008年)を紹介しています。淡い灰色の地の上に、赤、青、緑、黄、黒の色がからみ合い、くしゃくしゃに丸めた布のような、花のような、ひとつのかたまりが浮かんでいます。

ステパン・リヤブチェンコ『Chameleon』の展示風景。淡い灰色の地の大きなプリントの中央に、赤、青、緑、黄、黒の色がからみ合う丸めた布のようなかたまりが浮かび、左に青い服の男性が腕を組んで見ている
ステパン・リヤブチェンコ『Chameleon』(2008年)、デジタルプリント、171×150cm(「コンピューター・ウイルス」の連作)、展示風景。画像出典:ウクライナ国立芸術アカデミー公式サイト「Stepan Ryabchenko」会員ページ(引用)

実体のないプログラムに、生きもののような体を与える。そう考えて画面を見ると、色とりどりのひだの重なりが、増殖したり形を変えたりするウイルスの性質を思わせます。アダモフスキー財団も、コンピューター・ウイルス、電子の風、ヴァーチャルな花といった「存在しないもの」を目に見えるようにすることを、リヤブチェンコの仕事の特徴に挙げています。

同じ2008年について、本人はコンピューター・アニメーションの最初の実験を始めたとも語っています。光学的な効果への関心から生まれた『Electronic Winds(電子の風)』の構想も2008年に始まり、2018年にはオデーサ現代美術館の記念展でコンピューター・アニメーションとして発表されました。ウクライナ国立芸術アカデミーは、この作品を300×300センチのLED、アニメーション、音楽による作品(2015〜2018年)として紹介しています。

物語のある大画面と、光のインスタレーション(2009年〜2014年)

本人によれば、多くの人物が登場する物語性のある作品は2009年に現れました。最初の作品が『Lemon Chickens Will Be Saved…』(2009年)で、建築の構想『Country Club』から形の上で発展し、正面から見る多層の舞台のような原理でつくられたといいます。ウクライナ国立芸術アカデミーは、この作品を290×681センチのデジタルプリントとして紹介しています。翌2010年には、290×387センチのデジタルプリント『The Temptation of Saint Anthony』も制作しました。

同じ頃、リヤブチェンコはネオン管を使った光のインスタレーションにも取り組みはじめます。インタビューでリヤブチェンコは、ネオンという素材の独自性は、その発光と線の性質にあると語っています。最初のネオンのインスタレーションは神聖なものに近いイメージを扱っていたため、ネオンは娯楽施設の看板のような街の美学から、まったく反対の考えへと移ったのだといいます。

最初の光のインスタレーションは『Gleam』(2011年)で、のちにネオンと組み合わせて完成させました。本人は、人の中にある、自然には見ることのできない部分を見えるようにしたかったと語っています。この『Gleam』と、500×500センチのネオンの作品『Blessing Hand』(2012〜2013年)は、2014年にロンドンのサーチ・ギャラリーで開かれた展覧会「Premonition: Ukrainian Art Now」に選ばれました。

同じ時期には、610×860センチの大きなネオンの作品『New Era』(2011〜2012年)も構想され、2012年にキーウで開かれた第1回のビエンナーレ「ARSENALE 2012」で実現しました。本人は、会場の2階に置かれたこの作品が、最終的に中世の城の中の巨大な光の絵のように見えたと振り返っています。

2011年には、仮想の物体から影を切り離し、その影のイメージを使って作品をつくる「The Shadows」の連作も始まりました。本人はこの方法を、少しピーター・パンの話を思い出させると語っています。この連作は2017年に、オデーサ西洋東洋美術館での個展「Sounds of Silence」で、規模を広げて展示されました。

ステパン・リヤブチェンコの作品のつくり方を示した図。建築設計と同じようにコンピューターの中で立体を設計し、場面の一部を切り取り、静止画やアニメーション、立体作品として発表するまでの3段階を並べている。
図:リヤブチェンコの作品のつくり方

デジタルの世界を現実へ(2010年代)

リヤブチェンコの作品のつくり方には、建築の設計の方法がそのまま生きています。本人はインタビューで、その方法を、建築設計と同じように仮想空間で立体を三次元でモデリングし、設計した場面から選んだ一部を固定して、静止画やアニメーションなどの形で見せるものだと説明しています。ただし、建築ではそれが建物を建てる前の途中の段階であるのに対し、自分の場合は実現が最終目的とは限らない、なぜなら自分のイメージが本来住む場所はデジタルの世界だからだ、と語っています。

そのうえで本人は、デジタルの画像を現実の世界で形にすることにも関心を持ってきました。同じインタビューで、デジタルの画像と並行して、その「物質化」にも取り組んできたと語っています。

デジタル作品の「一点もの」らしさについても、本人ははっきりした考えを持っています。インタビューでは、1点だけでも、限定のエディションでも、デジタルの形でも、作品のオリジナリティは損なわれないと語っています。デジタルアートは、近づきやすさ、持ち運びやすさ、変化できることにこそ意味があり、大切なのは数ではなく作品の本質と質だというのです。技術によってより多くの人や美術館が作品を持てるようになるなら、それを使わないのは自分にとって不自然だ、とも述べています。

『Appearance』

コンピューターでの設計から生まれた立体作品のひとつが、鋼鉄の彫刻『Appearance』です。夜の街角に、赤く塗られた折り紙のような三角形の面がいくつも重なり、炎のようにねじれながら高く立ち上がっています。

ステパン・リヤブチェンコ『Appearance』。夜の街角で、赤く塗られた三角形の面が折り紙のようにいくつも重なり、炎のようにねじれながら高く立ち上がる鋼鉄の彫刻
ステパン・リヤブチェンコ『Appearance』(所蔵財団の表記では2018年)、金属(鋼鉄)、高さ500cm、所蔵:アダモフスキー財団。画像出典:アダモフスキー財団公式サイト『Appearance』作品ページ(引用)

この作品を所蔵するアダモフスキー財団によれば、高さは500センチで、2018年の作品です。鋼鉄でつくられ、コンピューターでモデリングし、プログラムを使って詳細な図面を得ることで、作家の構想を実現したと説明されています。本人は2018年のインタビューで、コンピューターでの設計によって最初に実現した物体は、2012年の高さ5メートルの鋼鉄の彫刻『Appearance』だったと語っています。ウクライナ国立芸術アカデミーは2018年の作品として紹介しており、制作年は資料によって2012年と2018年に分かれます。

ドイツの企業コレクション「アート・コレクション・テレコム」は、リヤブチェンコの作品を複数所蔵していると紹介し、『Appearance』がウクライナのリヴィウ近郊にある現代彫刻の公園「Park3020」に展示されたことを伝えています。同コレクションは、この作品が、キーウの植物園にある聖三位一体聖イオナ修道院の創設者にちなむものだと説明し、約150年前、修道士の聖イオナのもとに聖母マリアが神秘的な火の姿で現れたと紹介しています。

『Walking Cloud』(2013年)

2013年の『Walking Cloud』は、ウクライナ国立芸術アカデミーが「彫刻のプロジェクト」として紹介している作品です。白い砂浜の上に、顔のある大きな白い雲が、長い2本の脚で海辺を歩いていくような姿で立っています。

ステパン・リヤブチェンコ『Walking Cloud』。青空の下の白い砂浜に、顔のある大きな白い雲が長い2本の脚で海辺を歩くような姿で立っている彫刻のプロジェクトの画像
ステパン・リヤブチェンコ『Walking Cloud』(2013年)、彫刻のプロジェクト。画像出典:ウクライナ国立芸術アカデミー公式サイト「Stepan Ryabchenko」会員ページ(引用)

本人はインタビューで、『Walking Cloud』では三次元プリントを使い、その後、伝統的な磁器の技法で彫刻を鋳造したと語っています。コンピューターの中で生まれたキャラクターのような形が、伝統的な素材と技法で現実の物体になっているわけです。なお、リヤブチェンコは2012年に、キーウの国際現代彫刻コンペティション「Kyiv Sculpture Project」で受賞しています。

ヴァーチャルな花と、広がる活動(2014年〜2020年代)

2010年代半ばからは、「ヴァーチャルな花(Virtual Flowers)」の連作も手がけています。本人はインタビューで、自分の仕事を、雰囲気や風景、建築、英雄たち、コンピューター・ウイルス、奇妙な花を持つ、ヴァーチャルな神話の世界をつくり、発展させることだと語っています。デジタルの世界は、コンピューターが現れる前には存在しなかった新しいアイデアや考えを生み出した場所であり、「コンピューター・ウイルス」や「ヴァーチャルな花」もその例だと説明しています。

『Fiolent-crystal crumb』(2016年)

アダモフスキー財団が所蔵する『Fiolent-crystal crumb』は、「ヴァーチャルな花」の連作の一点です。紫からピンクへ移り変わる空の下、水面のような台の上に、透明なガラスのような丸いかたまりが置かれ、その中で赤や白、青の細い花びらが渦を巻いています。

ステパン・リヤブチェンコ『Fiolent-crystal crumb』。紫からピンクへ移る空の下、水面のような台に置かれた透明な丸いかたまりの中で、赤や白、青の細い花びらが渦を巻く縦長の作品
ステパン・リヤブチェンコ『Fiolent-crystal crumb』(2016年、「ヴァーチャルな花」の連作より)、アルミニウムにデジタルプリント、アクリル板、240×125cm、所蔵:アダモフスキー財団。画像出典:アダモフスキー財団公式サイト「Ryabchenko Stepan」作品ページ(引用)

同財団によれば、240×125センチの作品で、アルミニウムにデジタルプリントし、アクリル板を重ねています。題名の意味について、作家や財団の説明は確認できませんでした。本記事では、作品の見た目と財団の作品情報だけを紹介しています。

ウクライナ国立芸術アカデミーも、同じく240×125センチのデジタルプリント『Virtual Garden』(2014〜2016年)を代表作のひとつとして紹介しています。

ステパン・リヤブチェンコが目に見えるようにした「存在しないもの」を3つ並べた図。コンピューター・ウイルス、電子の風、ヴァーチャルな花の3つの連作を番号つきで示している。
図:リヤブチェンコが形にした「存在しないもの」

リヤブチェンコの活動は、展示の場だけでなく、公共空間やオンラインにも広がっています。ウクライナ国立芸術アカデミーによれば、2015年には『フォーブス・ウクライナ』の「30歳以下で最も成功したウクライナ人30人」に選ばれ、2019年にはオデーサ空港のシンボルとなる彫刻の国際コンペティションで優勝しました。2020年には、アメリカのタンパ国際空港のパブリックアートのプロジェクトで最終選考に残っています。

アダモフスキー財団によれば、2020年には創作の団体「Art Laboratory」の主任キュレーターとなり、同じ年の5月7日に、サイバー空間での大規模な国際展覧会「Strange Time」を共同で立ち上げ、キュレーションしました。新型コロナウイルス感染症の流行による外出制限のさなかに始まったこの展覧会は、世界中の作家の作品が加わりながら、生きもののように育っていく仕組みでつくられています。

2021年には、イギリスのプラットフォーム「Electric Artefacts」が選ぶ世界のデジタル・アーティスト15人に選ばれ、2022年には記念碑芸術の部門でミハイロ・ボージー賞を受賞しました。そして2025年、ウクライナ国立芸術アカデミーの準会員に選ばれています。

ウクライナ国立芸術アカデミーによれば、リヤブチェンコの作品は、キーウのピンチューク・アートセンターやメステツキー・アルセナール、ウクライナ国立美術館など国内の主要な美術機関のほか、ローマのMAXXI国立21世紀美術館、ウィーンのアルベルティーナ・モダン、ブダペストのルートヴィヒ美術館、ロンドンのサーチ・ギャラリー、リンツのアルス・エレクトロニカ・センターなど、各国で紹介されてきました。

子どもの頃の絵を、いまの技術で描き直す

リヤブチェンコの作品には、家族の中で育った美術との関わりが表れたものもあります。本人はインタビューで、オデーサで開かれた展覧会「Instant Time」のために、1990年代はじめに自分が描いた子どもの頃の絵を作品の土台にしたと語っています。展覧会のオデーサの部門を企画したキュレーターが「子ども時代」というテーマを扱ったことから、すぐに、幼い頃の絵を時間を超えて運び、物語を考え直し、いまの自分の技術で記念碑的な作品として実現するというアイデアが浮かんだといいます。そうして選ばれたのが、くるみ割り人形とねずみの王様の物語を描いた絵でした。

本人は同じインタビューで、物語性のある作品の中には、父が1988年に描いた作品に着想を得たものもあると語っています。美術家の家に生まれ、建築を学び、コンピューターの中に自分の世界をつくる。その歩みの中で、前の世代から受け継いだものと新しい技術とが結びついています。

まとめ

いかがだったでしょうか。ステパン・リヤブチェンコの人生と作品について、ご紹介してきました。

リヤブチェンコは1987年にオデーサの美術家の一家に生まれ、オデーサ国立土木建築アカデミーで建築を学びました。2008年に「コンピューター・ウイルス」の連作を始め、形を持たないウイルスに生きもののような体を与えました。その後もネオンの光のインスタレーション、鋼鉄の彫刻『Appearance』、磁器の彫刻『Walking Cloud』、「ヴァーチャルな花」の連作へと、コンピューターの中で生まれた世界を少しずつ現実へ広げてきました。

2014年にはロンドンのサーチ・ギャラリーの展覧会に参加し、2019年にはオデーサ空港のシンボル彫刻の国際コンペティションで優勝、2025年にはウクライナ国立芸術アカデミーの準会員に選ばれています。

建築の設計と同じように仮想空間でものを組み立て、ときにそれを鋼鉄や磁器の作品にする。リヤブチェンコの作品は、デジタルの世界と現実の世界のあいだにある、新しい美術の姿を見せてくれます。機会があれば、ぜひ作品の細部に描き込まれた架空の生きものたちを、じっくり眺めてみてください。

Euphoric " " の視点

リヤブチェンコの出発点は、名前と歴史はあるのに体を持たないコンピューター・ウイルスに、生きもののような姿を与えることでした。建築を学んだ作家らしく、仮想空間で立体を組み立て、その一場面を切り取って作品にする方法は、ネオンの光や鋼鉄の彫刻、磁器の『Walking Cloud』、架空の「ヴァーチャルな花」へと広がっています。

コンピューターの中で生まれた世界が、少しずつ現実の素材をまとっていく過程は、デジタルと物質の境目がどこにあるのかを問い直させます。新しい道具から生まれる美術の可能性を、具体的な形で示している作家です。

この作品を見に行くには

記事で紹介した作品は、次の財団や機関の公式サイトで紹介されています。2026年10月時点で、日本国内で常設で作品を見られる場所は確認できませんでした。展示の予定や最新の情報は、各公式サイトをご確認ください。

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