Taryn Simon/タリン・サイモン
<プロフィール>
タリン・サイモンは1975年、ニューヨーク市に生まれました。はじめ彼女は、ブラウン大学で環境学を学び、芸術記号論の学位を取得。写真は、ブラウン大学の隣にあるロードアイランドスクールオブデザインの授業に出席したことがきっかけだったようです。

世界中で展示会も開催しており、直近では地元ニューヨークのルービン美術館で「MEASURE YOUR EXISTENCE」に参加しています。また、日本でも2019年にあいちトリエンナーレに参加し、「隠されているものと見慣れぬものによるアメリカの目録」、「公文書業務と資本の意思」と題し作品を展示しました。




写真だけではなく、テキスト、彫刻、パフォーマンスなど様々な媒体を使う学際的アーティストとして知られておりその作品の内側にあるメッセージ性、コンセプトが高く評価されているアーティストです。
<作品>
彼女の作品は、現代社会に存在する複雑な問題を題材とすることが多く、それら作品はコンセプチュアルなものとして高い評価を得ています。そんな彼女の作品制作プロセスは、写真を撮ること自体にあまり時間をかけていません。90%ほどの時間を作品の準備、関係者とのコンタクトや調査などの被写体にたどり着くまでの作業に費やします。その被写体は、中東ガザ地区にいるハマスのリーダーから原発で使用された核燃料、ウェストバージニアの洞窟で冬眠する ブラックベアに至ります。

彼女は写真の持つ性質を次のように述べています。「写真はつくられたものや虚像や盲信に対峙し真実が何なのかを明らかにします。どの写真にも 複数の真実が隠されており、 写真家の意図やそれを観る人や公開される状況によって変化するのです。」

彼女の作品は、ホームページにも記載されている通り、写真だけではなく文章制作にも時間をかけています。彼女はTEDのプレゼンテーションの中で、写真と文章の間にある目に見えない空間に注目していると述べています。

写真はそもそも抽象概念や複数の真実や想像の世界を漂うだけのものですが、これをしっかりと現実世界につなぎ止める役割を文章が果たしているとも述べています。文章が写真を、写真が文章をどのように変えていくのかという、彼女の着目している重要な部分が現れています。

今回紹介したものは、彼女の作品のほんの一部で、その全体像は大きなテーマを基づいた厚みのあるものです。写真の作品とともに文章もありますのでわかりやすく楽しめるようになっていますので、一度見てみてはいかがでしょうか。
<参考文献>
TOP画像:https://matome.naver.jp/odai/2132327229804800601/2132327262204802303
https://www.tate.org.uk/art/artists/taryn-simon-11458
https://www.ted.com/talks/taryn_simon_photographs_of_secret_sites?language=ja