Jasper Johns/ジャスパー・ジョーンズ
<プロフィール>
ジャスパー・ジョーンズは1930年、ジョージア州で生まれました。幼少期をサウスカロライナ州で過ごし、サウスカロライナ大学を経て、パーソンズスクールオブデザインで短期間、芸術を学びました。
パーソンズで学んだ後に朝鮮戦争の勃発に伴い陸軍に入隊し、1952年から1953年にかけて仙台に駐留しました。1953年に陸軍を除隊した後に、再びニューヨークに戻り、アーティストとしてのキャリアを始めました。当時、ニューヨークはパリに変わる新しい芸術の街となっており、現代アートの中心となっていました。
1954年に、ロバート・ラウシェンバーグと出会い、現代アートの方向性を模索し、アイデアを発展させ始めました。また、ラウシェンバーグの紹介で、同性愛者のカップルのマースカニンガム(振付家)とジョンケージ(作曲家)と出会い、ここでも大きな影響を受けました。
ジョーンズは年に数点の作品しか制作せず、希少価値の高いもとなっています。コレクターからも強く支持されていることもあり、オークションを重ねるたびにその価値は高くなっています。 2011年2月15日、ジョーンズは当時のバラクオバマ大統領から大統領自由勲章を受賞し、1977年のアレクサンダーカルダー以来の快挙となりました。
<作品>
ジョーンズの代表作である「Flag」は、彼が夢でアメリカの国旗を見たことから描き始めたと言われています。アメリカのシンボルである星条旗は、個人により変化する意味を持つ、大衆が”頭の中で既に知っているもの”です。誰もが知っている平凡なものをテーマに設定することで、ハイアート(高級芸術)と日常生活の境界を曖昧にしました。
ジョーンズは作品の意図について伝えようとしません。そのため、鑑賞者がそれぞれの解釈を持つことができます。
このブロンズ彫刻では、既製の芸術作品に対するマルセルデュシャンの考えを反映しており、オブジェクトと芸術的レクリエーションの間の境界を曖昧にしています。一部の批評家は、この二つの缶の違いをジョンズとラウシェンバーグの間の関係と見ています。いずれの解釈にせよ、デュシャンが戦後の芸術の影響が示されています。
1972年、ジョーンズは10年間探求していた新しいモチーフ”クロスハッチ”を用い始めました。一般に版画、描画ではクロスハッチは影を作り出しますが、ジョーンズはこの典型的なクロスハッチの用い方をやめ、抽象化し、原色を用い、脈動的な構成を作り出しました。色や構成からは、クールさや解放感を示唆していますが、そのタイトルの「Corpse and Mirror II」は不可解で哲学的であり、構成と主題の間に緊張を作り出しています。
<参考文献>
TOP画像:https://blog.singulart.com/en/2020/05/07/target-with-four-faces-1955-jasper-johns-intriguing-work/
https://www.theartstory.org/artist/johns-jasper/artworks/
https://www.moma.org/artists/2923
http://www.artnet.com/artists/jasper-johns/
https://www.praemiumimperiale.org/en/laureate-en/laureates-en/johns-en