アメリカのポップアートといえば、アンディ・ウォーホルやキース・ヘリング、ジャン=ミシェル・バスキアなどが思いつくと思います。しかし、こうした巨匠たちの前にポップアートの原型を作り出したアーティストがいました。
アメリカ出身で、ポップアートの「ゴッドファーザー」、「祖父」と呼ばれるラリーリバーズ(LARRY RIVERS)です。
目次
ポップアートの「ゴッドファーザー」、ラリーリバーズってどんな人?
<名前>ラリー・リバーズ(LARRY RIVERS)
<国籍>アメリカ
<経歴>
ラリー・リバーズは1923年、アメリカのニューヨークで生まれました。はじめからアーティストとしてのキャリアを歩んでいたわけではなく、1940年から1945年まではジャズサックス奏者として働いていました。1942年には米国陸軍航空隊にも参加しています。アートの世界に興味を持ったのは、仲間のミュージシャン、ジャックフライリッヒャーがジョルジュブラックの絵画を見せたことがきっかけでした。その後すぐにハンスホフマンの芸術学校で絵画を学び始めました。さらに、1948年からはニューヨーク大学でウィリアム・バジオテスに師事し、1951年には学士号を取得しました。
ラリー・リバーズの代表作
ラリー・リバーズは「非客観的、非物語的芸術」と「物語的で客観的な抽象芸術」を融合させ、19世紀のヨーロッパの歴史画と肖像画の壮大さを抽象化、統合した独自のスタイルを作り上げました。
「デラウェア川を渡るワシントン(Washington Crossing the Delaware)」
1953年、ラリー・リバーズは「Washington Crossing the Delaware(デラウェア川を渡るワシントン)」と題した作品を制作しました。
もととなった作品は、1851年にエマヌエル・ロイツェが描いた作品です。アメリカ独立戦争中の1776年12月25日にジョージ・ワシントンが大陸軍を率いてデラウェア川を渡河したことを記念し描かれました。
”誰もが知っている身近な題材”をアートにすることは、60年代にポップアーティストたちが行ったことの先取と言えます。1955年には、ニューヨーク近代美術館この作品を買収しています。
「シーダーバーメニュー(Cedar Bar Menu)」
この作品では、白、赤、青の塗装されたキャンバスに、名前と価格の散在するリストが描かれています。ニューヨークスクールのアーティストの筆致を維持しながら、大衆文化からのテーマを提示しており、ポップアートの出現を感じることができます。消費者資本主義の世界からのスローガンとシンボルを作品に組み込んだ点では、アンディーウォーホルを先取していたと言えるでしょう。
「Vocabulary Lesson (Polish) ( 語彙レッスン(ポーランド語))」
「語彙レッスン」をテーマにした作品の1つである1964年のこの作品では、比喩的な芸術から、さらに一歩踏み出し、フランシスコ・デ・ゴヤとアメデオ・モディリアーニの作品を模倣、拡張して、リクライニングしている女性を描きました。
美術評論家のジョナサン・ジョーンズは、”見られるものとアートワークが意味するものとの間の境界を曖昧にする”と述べています。その優雅さと不遜さの組み合わせは、批評家から大きな称賛を受けました。
まとめ
今回はポップアートの「父」、ラリーリバーズについてまとめました。
ポップアートの初期の作品と現代の作品とでは大きく違って見えますが、共通点も垣間見えると思います。また、インスピレーションを受けた作品と一緒にで見ることで、そのアーティストに対する理解も深まると思います。
ニューヨーク近代美術館に作品がありますので、機会があれば是非鑑賞してみてはいかがでしょうか。
参考URL
https://note.com/artoday/n/n1a0aa4a65aef
larryriversfoundation.org/bio.html
https://www.theartstory.org/artist/rivers-larry/artworks/#nav
http://www.artnet.com/artists/larry-rivers/
https://www.theguardian.com/news/2002/aug/17/guardianobituaries.arts