【書籍紹介】はじめての美術鑑賞に!美術をわかるためのオススメ書籍10選

こんにちは。ユアムーン株式会社 編集部です。

皆さんは美術と聞いてどんなことを思い浮かべるでしょうか。初めて美術鑑賞をする人は、「何が描いてあるのか分からない・・・」と思うのも少なくないのではないでしょうか。また、美術に興味がある人も「結局、何がすごいの?」と思ったことはないでしょうか。絵を描くという行為は人類史の中では紀元前に遡り、およそ4万年の歴史があります。人類の発展と共に美術は姿を変え、今までに無数とも言える作品が残されています。美術に触れることは、まさにその歴史に触れることと言えるでしょう。

本記事では、初心者にもオススメの「美術鑑賞」のための本をご紹介します。

書籍紹介

01.西洋美術史入門

著者 池上英洋 著
出版 ちくまプリマー文庫
定価 1,045

著者の池上英洋さんは現役の大学教授で、イタリアのボローニャ大学などに留学経験のある美術史学者です。教職の経験がある方らしいキャッチーながらも専門的な内容になっています。

第1章の冒頭では

『大学での初回講義で「美術史とは何だと思うか」と学生に尋ねたことがあるのですが、ある芸術作品があるとして、それは「なんというタイトル」の作品で「誰が」「何年に」つくったかを覚えるものかなぁ、という反応がたいてい返ってきます。(中略)しかしより重要なのは、単なる固有名詞や年号を暗記することよりも、構造について思考することにこそあるはずです。』

という含蓄に富んだ主張から始まり、内容としては「美術を”読む”」という姿勢に欠かせないアトリビュート(持ち主を特定するための特別な意味を持つシンボル)や、絵画に描かれているものから当時の歴史を紐解くコツなどがわかりやすく書かれています。

本書には内容を更に進めて、『西洋美術史入門 実践編』も販売されていますので、併せて読むと更に知識を深めることができるでしょう。

02.鑑賞のための西洋美術史入門

著者 早坂優子
出版 視覚デザイン研究所
定価 1,900

美術の中でも代表的なジャンルである西洋美術。その歴史を学ぶのにおすすめなのがこちらの『鑑賞のための西洋美術史入門』。

紀元前のギリシア美術から、1960年以降のポップアートまで、実に5000年を旅するガイドブックと言えるでしょう。内容も非常にコミカルに書かれていて、中高生でも読めるような平易に書かれた本になっています。

それぞれの時代を代表する名作を取り上げつつ、時代や美術についての専門用語についてもコラムや解説があり、充実の内容になっています。コラム内には「鑑賞のキーワード」として作品のポイントとなる言葉がピックアップされていて、実際に美術館に足を運んで美術鑑賞する時の手がかりが分かるようになっているのも注目です。

03.絵を見る技術 名画の構造を読み解く

著者 秋田麻早子 著
出版 朝日出版社
定価 1,850

『鑑賞のための西洋美術史入門』が美術のガイドブックなら、本書は美術の解体新書と言えるでしょう。本書は「どんな風に絵を鑑賞すればいいか」、つまり「ビジュアル・リテラシー」をテーマにした本で、まさに「結局、何がすごいの?」の正体を探るための知識と技術が身に付く一冊です。

絵の中の主役が何かを探るガイドとなる「フォーカルポイント」、バランスの良い絵とは何か、絵画にガイドラインを引いた時に見える構図のパターンなど、ちょっとした観察で今まで見ていた絵が違った表情を見せてくるようです。

 

04.現代アートとは何か

著者 小崎哲哉 著
出版 河出書房新社
定価 3,025

美術史の中でも新しくできたジャンルで、よく分からない・・・といった印象を受けがちなのが現代アートではないでしょうか。

確かに現代アートは、サロンやパトロンのために制作された近代美術と異なり、表現の自由のもと様々な人物が様々な思想を形にしているので、表現方法も多様で、現代アートと一口に表すことができないのも事実です。

そのため現代アートという大きな括りの中には、抽象表現、インスタレーションなど様々なジャンルが存在しています。

本書では現代アートの総本山である「ヴェネツィア・ビエンナーレ」に出品された作品を主に取り上げながら、その歴史と、社会にとっての存在意義、何が現代アートたらしめるかというところまで言及しています。

05.改訂版 西洋・日本美術史の基本 美術検定1・2・3級公式テキスト

著者 美術検定実行委員会・編
出版 美術出版社
定価 2,750

本書は一般社団法人美術検定協会が運営している美術検定の公式テキストとして販売されている書籍です。

検定を受ける人向けの参考書ですが、受験を考えていない人でも楽しく読むことができます。本書は受験する級ごとに合計四冊のシリーズがあり、美術の知識量に合わせて読み分けることができることができるのも魅力です。

また、問題集の『美術検定 知る、わかる、みえる』、参考資料の『西洋・日本美術史の年表 一目瞭然!美術の流れ』も併せて読むと更に知識を深めることができるでしょう。そして得た知識を試したくなった人は、美術検定を受けてみてはいかがでしょうか。

06.増補新装 カラー版 西洋美術史

著者 高階秀爾 監修
出版 美術出版社
定価 1.900円

07.増補新装 カラー版 日本美術史

著者 辻惟雄 監修
出版 美術出版社
定価 1.900

ある程度美術に興味や知識のある人には、こちらの『増補新装 カラー版 西洋美術史』、『増補新装 カラー版 日本美術史』をおすすめします。

本書は美術の高校などで参考資料として採用されている美術書で、専門的な内容にカラーの図版がたくさん収録されているのが大きな特徴です。

遊びのないアカデミックな内容なので通読するのは大変ですが、その分しっかりとした知識が身に付くこと間違いなしです。

今回は代表的な西洋美術史と日本美術史を取り上げましたが、年表や近代美術、東洋美術など『カラー版 美術史シリーズ』として合計25冊も販売されているので、興味の湧いたジャンルを更に深めることもできます。

08.チャートで読み解く美術史入門

著者 ナカムラクニオ 著
出版 玄光社
定価 2,640円

アートディレクターであるナカムラクニオさんが書き下ろした、イラストとチャートでわかりやすく美術史を学べる一冊です。

古代の土器や彫刻から、有名な西洋美術まで幅広いジャンルをカバーしつつ、作者の人間関係、作品への影響、時代の流れまで一眼でわかるようなチャートでまとめられています。国や時代を問わずに収録されているのも嬉しいポイントです。

09.教養としての西洋美術史 名画は読むものである!

著者 大友義博 監修
出版 宝島社
定価 1,320円

数百年以上前の美術作品を簡単に見ることができるようになった現代、美術というジャンルはある意味で娯楽以上の意味を持ち、ひとつの教養と言える時代に突入し始めてきているのかもしれません。

もしかしたらそう遠くない未来、美術鑑賞が習い事になることもあるかもしれません。

さて、そんな「教養としての美術」をテーマに書かれたのが本書『教養としての西洋美術史 名画は読むものである!』です。古代美術の中でも西洋美術の基礎となったエジプト美術からスタートし、印象派、20世紀美術までの歴史がフルカラーの図版付きで解説されています。

ただ歴史の流れを解説するだけでなく、ルネサンス三大巨匠といったキャッチーなトピックや、古代ギリシャの変遷などマニアックな視点で書かれたコラムが特徴です。

10.世界をゆるがしたアート クールべからバンクシーまで、タブーを打ち破った挑戦者たち

著者 スージー・ホッジ 著(清水玲奈 訳)
出版 青幻舎
定価 2,400円

最後に一風変わった美術書をご紹介します。

本書は、美術史の中でも革命とも言える影響を与えた作品を残したアーティストの50作品をクローズアップして解説されています。

ダリやデュシャンなど、前衛的な作品で著名なアーティストをはじめ、バンクシー、草間彌生など、国も表現方法も問わず収録されている、まさにアバンギャルド・アートの入門書と言うにふさわしい一冊です。

既に紹介した入門書をいくつか読んだ後に本書を読んでみると、より非常識さを楽しめることでしょう。

帯には本書でも紹介されているパブロ・ピカソの、「すべての創作行為は、第一に破壊行為である」という言葉が引用されているという、粋な想定にも注目です。

まとめ

いかがだったでしょうか。

美術は、言葉でも文字でもない第三のコミュニケーションだとよく表現されます。

言葉や文字に比べて具体的な情報を伴わない分、受け手によって意味が違い、正解も不正解もない非常に曖昧な表現方法です。その曖昧さが、美術の難しさの理由であり、豊かさの理由でもあると思います。

そんな曖昧な美術のメッセージを解き明かすのに必要なのは、感受性や美的センスではなく知識だと考えます。むしろ、積み重ねた知識と観察が、感受性や美的センスを作っていくのでしょう。本記事で取り上げた書籍が、あなたのセンスを作る一助となれば幸いです。

 

出典

  • 池上英洋 著『西洋美術史入門』ちくまプリマー文庫、2012年。
  • 早坂優子 著『鑑賞のための西洋美術史入門』視覚デザイン研究所、2006年。
  • 秋田麻早子 著『絵を見る技術 名画の構造を読み解く』朝日出版社、2019年。
  • 小崎哲哉 著『現代アートとは何か』河出書房新社、2018年。
  • 美術検定実行委員会 編『改訂版 西洋・日本美術史の基本 美術検定1・2・3級公式テキスト』美術出版社、2014年。
  • 高階秀爾 監修『増補新装 カラー版 西洋美術史』美術出版社、2002年。
  • 辻惟雄 監修『増補新装 カラー版 日本美術史』美術出版社、2003年。
  • ナカムラクニオ 著『チャートで読み解く美術史入門』玄光社、2019年。
  • 大友義博 監修『教養としての西洋美術史 名画は読むものである!』宝島社、2019年。
  • スージー・ホッジ 著 清水玲奈 訳『世界をゆるがしたアート クールべからバンクシーまで、タブーを打ち破った挑戦者たち』青幻舎、2022年。


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