【書籍紹介】工芸とデザインの境目 デザインと工芸の違いって何!?

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皆さんはお気に入りの”もの”はありますか!?

今回は、”もの”に着目した本、「工芸とデザインの境目」について紹介したいと思います。この本は、「デザイン」と「工芸」の違いを絵的に説明しており、金沢21世紀美術館で2016年から2017年にかけて半年間催された、「デザインと工芸の境目」という企画展の内容についてまとめたものになります。

身近に使用されているものも多く紹介されていて、非常にわかりやすくなっています。

工芸とデザインの境目

つくり手の同一性

デザインと工芸の違いとは一体何でしょうか。そもそもそこに境界があるのでしょうか。私たちは、これら二つの言葉に明確な区分けをしていないにもかかわらず、「これは工芸的だ」、「あれはデザイン的だ」というようにものを区別してるのではないでしょうか。

本書、深沢直人氏はこの本の冒頭で次のように述べています。

(前略)工芸は作者とつくり手が同じ人物である。分業の場合もあるがそれは作者が一つのものに複数存在するということである。これに対し、デザインは作者とつくり手は異なる。つくり手は人ではなく機械である場合も少なくない。これを工業製品といい、工業製品にはデザイナーとモノの間に設計者がいる。(後略)

(深沢, 2016, p.4)

簡潔に言ってしまえば、手作りかつ一点もののようなものが”工芸”で、量産して作られたものが”デザイン”ということになります。

BOWL

お椀は工芸が工業に移り変わる中で大きく変化したものの一つです。工業化する以前は職人が木地に漆を塗り作っていました。しかし、プラスチックやウレタン塗料の登場により、より安価で傷つきにくいものとなりました。

ここでプラスチックで作られたお椀に対する、深沢直人氏の言葉を引用してみましょう。

(前略)多少扱いが雑でも気にしないメリットがある。付加価値で勝る偽物の方がよいのではないかという気さえする。この偽物は新たな本物なのだ。(後略)

(深沢, 2016, p.32)

工芸 デザイン

お椀 木地に漆

お椀 合成樹脂にウレタン塗料

品質とライフスタイル

「工芸」と「デザイン」は、つくり手の違いがあることがわかりました。では、他にはどのような違いがあるのでしょうか。

深沢直人氏は、他にも「モノの品質」や「ライフスタイル」などの側面から見ても、違いが浮かび上がると述べています。

さらにこの二つの違いについて、深沢直人氏の言葉を引用してみましょう。

(前略)工芸は朽ちるものとしての価値がある。工業製品のデザインには壊れても同じものを買い直せる価値や流行に沿わなければ別のものに替えるという価値もある。(後略)

(深沢, 2016, p.4)

COFFEE

コーヒー抽出機の定番と言えるイタリアの「ビアレッティ モカエキスプレス」。使えば使うほど、コーヒーの油分がアルミに馴染み美味しくなります。朝の仕事前にエスプレッソを飲むイタリア人にとって特別な一台になります。

工芸 デザイン

ビアレッティ モカエキスプレス

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WMF 1000 pro

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様々な線引き

「工芸」と「デザイン」は、他にも様々な線引きがあり、その考え方は時代により大きく変化します。工芸は伝統的、伝統の継承でデザインは革新的、イノベーションを創るものであるという考え方もあります。

深沢直人(2016)氏はこれらの違いについて「つくることの芸を工芸とするならばデザインは創作によって価値を生み出すものである。」(p.4)と述べています。

どのような考え方であっても、ものづくりに対して込める想いは共通しているといえるでしょう。

PHONE

アップル製品は「工芸」と「デザイン」の両方の側面を持ちます。最高の機能には最高のハードウェアが必要と言えるでしょう。

最後に深沢直人氏の言葉を引用してみましょう。

(前略)アップル製品の、アルミニウムの板を切削し成形するプロダクションは、画期的だった。ウォッチ産業が、装飾工芸と時計技師の出会いによって花開いたことを思い出させる。(中略)実は、ものとしての良し悪しの方が、ユーザーエクスペリエンスより先立っているのではないか。

(深沢, 2016, p.58)

工芸 / デザイン
iPhone7 Apple 2016

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まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回は「工芸」と「デザイン」の違いについての本を紹介しました。その境目は曖昧でありながらその違いを認識することができます。iPhoneを見方を変えれば「工芸」になりうるということに驚いた人も少なくないでしょう。

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