これまで2回に分けて、フィルムカメラの基礎知識、フィルムカメラのおすすめモデルについてご紹介してきました。
今回はメーカー別、写り別にフィルムを紹介しながら、フィルムの基礎についてご紹介します。
目次
カメラのフィルムとは
フィルムカメラで写真が撮れる構造
フィルムの表面には光によって色が変化する「感光剤」が塗布されています。
シャッターを切ることによって、写している風景がわずかな光量の違いでフィルムに焼き付け、記録します。
フィルムの種類よっても異なりますが、約1.5mほどあるフィルムが等間隔で巻き取られることで同じ大きさの次の写真を撮影することが可能です。
感光剤は時間が経つと劣化してしまうため、使用期限が設けられています。期限が切れたフィルムでも記録はできるがフィルム本来のコントラストや解像度が落ちてパフォーマンスが悪くなってしまう傾向があります。
パッケージに必ず使用期限の記載があるので、購入の際は注意して使用しましょう。
取り扱いの注意点
- 日光に当てない
- 濡らさない(高湿度もNG)
- 正しく装着する
薬剤を使用しているため美しい写真を撮影するために経年劣化の期限が設けられているほか、必ず守りたい注意点3つです。
感光剤は光を焼き付けることで記録するため、直射日光や強い光が当たることでフィルムがダメになり現像した時「何も写っていない」トラブルの元に。また、高温も薬剤の劣化につながるため、日が当たらない場所での保存が必須です。また、薬剤が吹き付けられているので湿度や水濡れすることでフィルムの劣化や損傷につながります。
直射日光や高温多湿を避けるためにも、撮影前後のフィルムはフィルムケースを使用して保管し、撮影後のフィルムは速やに現像しましょう。
フィルムの誤った装着は、フィルムだけではなくカメラ本体にもダメージを与えてしまい、悪ければ故障の原因にもなります。フィルムの装着方法は慣れないうちは動画などを視聴しながら行うのがおすすめです。
フィルムのフォーマット
35mm
一般的な一眼レフやコンパクトカメラなどの家庭用カメラに使用する、ごく一般的なサイズです。
ISO感度や写りなど、メーカーごとの種類も豊富です。
フィルムの生産数が減っているため、年々高額にはなってきているものの、27~35枚どりで1000円程度で購入できます。
中判フィルム(ブローニーフィルム)/大判フィルム(シートフィルム)
中判カメラに使用される120mmフィルム、大判カメラに使用される4インチシートフィルムは、カメラの専門店などで購入できます。
価格帯は2000円から10000円~まで、家庭用カメラに使用される35mmに比べると、プロ向けの機器のフィルムのため高額になります。z
フィルム幅が広いことで、大きな用紙への現像の際引き伸ばし代が少なく、より画質の良い写真を撮ることが可能です。
デジタルカメラが発達する前は、大人数の集合写真や風景写真などの俯瞰写真によく使われていました。
インスタントカメラフィルム
現像がその場でできる「インスタントカメラ」(ポラロイドカメラ/チェキなど)のフィルムは、基本的にメーカーごと、使うカメラ機器専用フィルムを使用します。
最も大きな特徴として、撮影後にカメラから出てくるフィルムを1分ほど待つことで、ゆっくりと肖像が現像される「インスタント」であることが挙げられます。
簡単にフィルムの装填・撮影・現像ができるものの、画質で言うとどうしても35mmフィルムには劣りますが、独特のボケ感や鈍い発色が若い世代を中心に人気が再燃し、近年生産数を上げているフィルムです。
カラーネガフィルム
カラーネガフィルムは、「ネガ:negative」という名のとおり、フィルム上に色や明暗の反転した陰画と呼ばれる画像をつくり、記録紙に現像(プリント)します。
一昔前までコンビニでも現像受付ができたほど最も一般的で、よく使われているのが35mmのカラーネガフィルムです。今でも量販店に併設されているカメラショップやなどで現像とプリントができます。撮影時に多少の露出の失敗があっても、現像の段階でカバーできることも特徴です。
35mmのカラーネガフィルムは最も流通量が多く、値段も手頃な部類のフィルムです。
富士フィルム/SUPERIA PREMIUM 400
富士フイルムの定番商品であった「X-TRA400」が2018年3月をもって、生産が終了されました。
その代替品として富士フィルムが推奨しているのがこの「SUPERIA PREMIUM 400」。
癖がなく素直に写した風景を記録してくれるのが最大の特徴で、最も初心者向けと言えるフィルムです。
屋内外の写真撮影に対応できるISO感度400で、適度なコントラストとでしゃばらない粒状感で安心して撮影できるマルチプレイヤーと言えます。
Kodak/ULTRAMAX 400
ISO感度400ですが、他のフィルムに比べると青の発色が強いと言われ、昼間の風景撮影に適しています。 そのため特に海や空などの風景を印象的に記録できます。フィルムの強化値が上がっている現在でも、店頭・ネットどちらでも安価で手に入りやすい大衆無krフィルムです。
Lomography/Color Negative
コントラストが高く色が鮮やかに出るフィルムで、特に寒色系の色味が強く出る印象です。トイカメラのような独特のカラーが持ち味となっています。粒状感があり、THE・フィルム写真といった味のある写真が撮影できます。ISO感度は100となっているため、風景写真や屋外でのポートレート撮影向きです。
カラーポジフィルム(リバーサルフィルム)
カラーポジフィルムは別名リバーサルフィルムあるいはスライドフィルムなどとも呼ばれています。
もちろんネガフィルム同様プリントを行うことも可能ですが、明暗や色の反転しない陽画という画像を作り、プリントせずにライトボックスやスライドビュアーを使ってフィルムそのものを閲覧したり、スライドプロジェクターで壁などに投影して写真を楽し無ことが絵切るのが最大の特徴です。
富士フィルム/PROVIA100F
彩度が高く、メリハリある発色が特徴とされています。風景写真やポートレート、スナップなど被写体を選ばないマルチなフィルムで、富士フィルムのラインナップの中で、スタンダードな位置付けのポジフィルムです。
感度はISO100なので、屋外撮影に向いています。
感度については過去の記事でも説明がありますので、こちらの記事も参考にしてくださいね。
モノクロ/セピアフィルム
カラーのネガフィルムと構造上はほぼ同じではあるものの、記録できる色味が絞られているのがモノクロ・セピアフィルムの特徴です。
記録した風景の明暗の反転した画像(陰画)をつくり、記録紙に現像することで風景ままのコントラストを記録ができます。
富士フィルム/ACROS100
粒状性と色階調の再現性、シャープなアウトラインが特徴的で、カラー写真のような繊細さを追及したモノクロフィルムです。35mmフィルムながら大伸ばしの現像・プリントにも対応できます。感度はISO100と低めなので、屋外の写真におすすめです。
Kodak/T-MAX400
ISO400と高感度でありながら、極超微粒子のモノクロフィルムです。はっきりとしたコントラストで、動きのある被写体の撮影にも適しています。
特に明るいところのハイライトの表現が美しいフィルムです。
Lomography
繊細なトーンと独特の荒めな粒子感が特徴的です。ISO感度400で、屋内外の撮影が可能です。グレートーンが繊細で、モノクロ写真が苦手とする、明るい部分と暗い部分のディティールが表現可能です。
インスタントカメラフィルム
形状だけ見てもスクエア型・長方形、ミニサイズから大判サイズまで多様ですが、カメラごとの規格が存在するため、同じメーカーでも対応するフィルムが異なるため購入の際は対応機器の確認が必須です。
国内のインスタントカメラ市場のほとんどが富士フィルムのチェキが占めており、一興となっています。
富士フィルム/INSTAX MINI
画面サイズは62mm×46mmで、最も流通している富士フィルムの「チェキ」に対応しているフィルムです。
チェキ本体で絞りやシャッタースピードの調整ができない分、フィルムのISO感度が800あり、屋内外様々なシーンでも撮影ができる使用になっています。
その反面、35mmフィルムで撮った写真に比べると解像度が荒めな印象はありますが、インスタントカメラらしい味わいが人気です。
まとめ
フィルムカメラの基本情報や、おすすめのフィルムについて紹介してきました。
同じフィルムカメラを使用しても、フィルムの種類によって写り方は様々です。カメラ本体にこだわらなくても、フィルムによって自分の求めている写りを追求できます。
また、生産数が軒並み下がっているので、手に入るうちにまとめ買いするアマチュアフォトグラファーも多いのが実情です。
フィルム選びの際は、ぜひ今回の記事を参考にしてみてくださいね。
フィルムカメラに使用する「フィルム」を富士フィルム、コダック、ロモグラフィの3社メーカー別、写り方別に代表モデルを紹介。
フィルムの「ネガ」「ポジ」とは?フィルムカメラビギナー向けの基礎知識がこれで理解できます!
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