【徹底解説】マシュー・ボーンとは?男性の白鳥が踊る『白鳥の湖』で知られる振付家の人生と作品を解説!

【徹底解説】マシュー・ボーンとは?男性の白鳥が踊る『白鳥の湖』で知られる振付家の人生と作品を解説!

アートコンシェルジュ|最初の一枚から、一生のコレクションまで。無料で相談する

こんにちは。ユアムーン株式会社 編集部です。

皆さんはマシュー・ボーンという人物をご存知ですか?

マシュー・ボーン(Matthew Bourne)は、イギリスの振付家・演出家です。白鳥を男性ダンサーが踊る『白鳥の湖』で世界的に知られ、古典バレエの名作を大胆に読み替えた舞台を数多く生み出してきました。ブリタニカ百科事典は、ボーンを「伝統的なバレエのレパートリーを独自に現代化した解釈」で知られる振付家と紹介しています。

自身のダンス・カンパニー「ニュー・アドベンチャーズ」の芸術監督を務め、2016年にはダンスへの貢献によってナイトの称号を受けました。カンパニーの公式サイトは、ボーンをイギリスで最も人気があり成功した振付家・演出家と紹介しています。

本記事ではそんなマシュー・ボーンの人生と作品についてご紹介します。経歴や受賞歴は、百科事典とニュー・アドベンチャーズの公式サイトで確認したものだけを、表と図解にまとめています。

マシュー・ボーンって?

マシュー・ボーンは、1960年1月にイギリス・ロンドンのハックニーで生まれた振付家・演出家です。ダンスを始めたのは22歳と遅く、そこから自分のカンパニーを立ち上げ、バレエ、ミュージカル、映画の世界をまたいで活躍してきました。

名前は「マシューボーン」「マシュー ボーン」と中黒なしで書かれることも多く、聞こえたとおりに「マッシュボーン」と入力されることもあります。いずれも同じ人物を指しています。正式には、ナイトの称号を受けているため「サー・マシュー・ボーン」と呼ばれます。

基本情報

本名マシュー・ボーン(Matthew Bourne)。称号つきでは Sir Matthew Bourne OBE
生年月1960年1月(2026年10月時点で存命)
国籍・出身イギリス。ロンドンのハックニー出身
学歴ラバン・センター(現在のトリニティ・ラバン音楽舞踊院)でダンス・シアターと振付を学び、1985年に卒業
分野振付家、演出家。ダンス・カンパニー「ニュー・アドベンチャーズ」芸術監督
代表作『くるみ割り人形!』(1992年)、『白鳥の湖』(1995年)、『シンデレラ』(1997年)、『ザ・カー・マン』(2000年)、『エドワード・シザーハンズ』(2005年)、『眠れる森の美女』(2012年)、『赤い靴』(2016年)
主な受賞ローレンス・オリヴィエ賞 最優秀新作ダンス作品賞(1996年、『白鳥の湖』)、トニー賞 演出賞・振付賞(『白鳥の湖』)、オリヴィエ賞を通算9回受賞、大英帝国勲章OBE(2001年)、ナイト(2016年)
短い髪で白いシャツに黒い上着を着たマシュー・ボーンが、笑顔でこちらを向いている。背景は暗い室内。
マシュー・ボーン(2006年11月28日、『エドワード・シザーハンズ』メルボルン公演の舞台裏にて)撮影:Edward Scissorhands Tour/CC BY 2.0/出典:Wikimedia Commons

【初心者向け】バレエの基本をおさえよう!

経歴と作品

遅いスタート(1960〜1986年)

ブリタニカ百科事典によると、ボーンは子どものころからミュージカル映画と演劇の大ファンで、見てきた舞台を自分なりに作り直して楽しんでいました。それでも本格的にダンスの世界に入ったのは遅く、20歳でロンドンのラバン・センターで学び始め、ダンスのレッスンを始めたのは22歳のときでした。ニュー・アドベンチャーズの公式プロフィールも、ボーンが「22歳という比較的遅い年齢で」ダンスの訓練を始めたと書いています。

1985年にダンス・シアターの学士号を取って卒業したあと、ボーンはラバン・センターのダンス・カンパニー「トランジションズ」と2年間ツアーを回りました(ブリタニカ百科事典)。公式プロフィールによると、その後14年にわたってプロのダンサーとして踊り、自作の多くの役を自ら演じています。ただ、テレビや演劇、ほかのダンス・カンパニーへの振付の仕事が増えるにつれ、ダンサーとして舞台に立つ機会は減っていきました。

1997年、ボーンは母校ラバン・センターの名誉フェローとなり、2012年にはトリニティ・ラバン音楽舞踊院のコンパニオンにもなりました(公式プロフィール)。

カンパニー「AMP」の時代(1987〜2002年)

1987年、ボーンはロンドンを拠点とするダンス・カンパニー「アドベンチャーズ・イン・モーション・ピクチャーズ(AMP)」を共同で設立し、2002年まで芸術監督を務めました(ブリタニカ百科事典、公式プロフィール)。公式プロフィールは、この時期に生まれた代表作として、『スピットファイア』(1988年)、『インファーナル・ギャロップ』(1989年)、『タウン・アンド・カントリー』(1991年)、『くるみ割り人形!』(1992年)、『ハイランド・フリング』(1994年)、『白鳥の湖』(1995年)、『シンデレラ』(1997年)、『ザ・カー・マン』(2000年)を挙げています。

ブリタニカ百科事典は、古典バレエの「根本的な読み替え」がボーンの振付の特徴だと書いています。

『くるみ割り人形!』(原題:Nutcracker!、1992年)

ブリタニカ百科事典によると、ボーンはチャイコフスキーの『くるみ割り人形』のクリスマス・イブの場面を、チャールズ・ディケンズの小説に出てくるような、ヴィクトリア朝の孤児院に置き換えました。ニュー・アドベンチャーズの公式サイトの紹介では、主人公クララは、ドクター・ドロスの孤児院の皮肉なクリスマス・イブから、氷の上を滑る冬の国、1930年代のハリウッドの豪華なミュージカルに影響を受けたお菓子の国スウィーティーランドへと旅をしていきます。

2022年には30周年の舞台が初めて映画館で上映されました。撮影は2022年1月、ロンドンのサドラーズ・ウェルズ劇場で行われています(公式サイト)。

『ハイランド・フリング』(原題:Highland Fling、1994年)

フィリッポ・タリオーニの『ラ・シルフィード』をもとにした作品です。ブリタニカ百科事典によると、物語の舞台を現代のスコットランド・グラスゴーの公営住宅に移しました。古典の物語を現代の身近な場所に置き換える手法は、翌年の『白鳥の湖』でさらに大きな注目を集めることになります。

『白鳥の湖』の衝撃(1995年〜)

『白鳥の湖』(原題:Swan Lake、1995年)

マシュー・ボーンの名前を世界に知らしめたのが、1995年にロンドンのサドラーズ・ウェルズ劇場で初演された『白鳥の湖』です(ニュー・アドベンチャーズ公式サイト)。

チャイコフスキーの名作バレエでは、白鳥は100年以上にわたって、ロマンティックな白い衣装の女性ダンサーが踊ってきました。ボーンはこれを大きく変えます。ブリタニカ百科事典によると、王子を現代の、うまくいっていない家族の中に置き、王子が男性の白鳥に心を引かれる物語にしました。

ボーンが手がかりにしたのは、チャイコフスキーの音楽の力だけではありませんでした。ブリタニカ百科事典によると、ボーンは自然の白鳥を、大きく攻撃的で力強い生き物と見ていました。そこで白鳥の群れを男性ダンサーたちに踊らせ、羽根を思わせる細く裂いた絹を重ねた膝丈のズボンを衣装にしました。ニュー・アドベンチャーズの公式サイトも、この作品を、女性による群舞を「威圧的な男性のアンサンブル」に置き換えたことで知られ、伝統をひっくり返した作品と紹介しています。

夕暮れのロンドンのサドラーズ・ウェルズ劇場の外観。れんが造りの建物の中央に、階段が見えるガラス張りの大きな正面があり、入口は赤く照らされている。
サドラーズ・ウェルズ劇場(ロンドン、2015年撮影)撮影:Sadler’s Wells Theatre/CC BY-SA 4.0/出典:Wikimedia Commons

作品は大きな反響を呼びます。ブリタニカ百科事典によると、初演の翌年にロンドンのウエスト・エンドで再演され、1996年のローレンス・オリヴィエ賞で最優秀新作ダンス作品賞を受けました。さらにその2年後にはニューヨークのブロードウェイで上演され、ボーンはトニー賞の演出賞と振付賞を受けています。公式サイトによると、作品はトニー賞の衣装デザイン賞もあわせて受け、30以上の国際的な賞を集めました。公式プロフィールは、ボーンを、ミュージカルの振付賞と演出賞の両方でトニー賞を受けた唯一のイギリス人の演出家と紹介しています。

公式サイトは『白鳥の湖』を、ウエスト・エンドとブロードウェイで最も長く上演された全幕のダンスの古典作品と紹介しています。映画『リトル・ダンサー』(原題:Billy Elliot)にもこの作品が登場します(公式プロフィール)。また、テレビ局スカイ・アーツが3Dで収録した『白鳥の湖』は、映画館とDVDのために3Dで撮影された初めてのバレエ作品になりました(公式サイト)。

2024年から2025年には30周年を記念して、イギリス国内の19会場を29週間かけて回るツアーが行われました(公式サイト)。

Matthew Bourne’s Swan Lake (2018) | Official Trailer | New Adventures(New Adventures公式YouTube)
比べる点伝統的な『白鳥の湖』マシュー・ボーン版『白鳥の湖』
白鳥を踊るダンサー白い衣装の女性ダンサー(100年以上の伝統)男性ダンサーのアンサンブル
白鳥のイメージはかなく優美な存在大きく攻撃的で力強い生き物
王子の設定おとぎ話の王子現代の、うまくいっていない家族の中の王子
音楽チャイコフスキーチャイコフスキー(音楽の力を生かす)

表はブリタニカ百科事典とニュー・アドベンチャーズ公式サイトの記述をもとに編集部がまとめたものです。

古典から映画・文学へ(1997〜2012年)

『シンデレラ』(原題:Cinderella、1997年)

古典バレエ『シンデレラ』を読み替えた作品です。ニュー・アドベンチャーズの公式サイトは、『くるみ割り人形!』『眠れる森の美女』などとともに、バレエの古典に独自のひねりを加えた作品群のひとつに挙げています。2017年には映像化もされました(公式プロフィール)。

『ザ・カー・マン』(原題:The Car Man、2000年)

ビゼーのオペラ『カルメン』をゆるやかに下敷きにした作品です。ニュー・アドベンチャーズの公式サイトによると、19世紀スペインのたばこ工場は、1950年代のアメリカ中西部のガレージ兼食堂に置き換えられ、小さな町にやってきた謎めいた男が人々の暮らしを揺さぶっていきます。音楽は、テリー・デイヴィスの曲と、ロディオン・シチェドリンの『カルメン組曲』です。

初演は2000年5月16日、イングランド南西部のシアター・ロイヤル・プリマスで、その後ロンドンのオールド・ヴィック劇場で19週間上演されました。2001年から2002年のツアーでは東京・大津・大阪・神戸も回っています(公式サイト)。なお公式サイトは、大人向けの場面を含むとして15歳以上を目安にしています。

夜のシアター・ロイヤル・プリマスの正面。ガラス張りの入口が明るく照らされ、建物にTRPの文字が光っている。
シアター・ロイヤル・プリマス(2015年撮影)撮影:painma/CC BY-SA 4.0/出典:Wikimedia Commons

2002年、ボーンはAMPを「ニュー・アドベンチャーズ」として新たに立ち上げます(ブリタニカ百科事典)。公式プロフィールによると、共同ディレクターのロバート・ノーブルとともに始めたカンパニーで、AMP時代の作品の多くがここで再演されました。

『プレイ・ウィズアウト・ワーズ』(原題:Play Without Words、2002年)

英国ナショナル・シアターとの共同制作です(公式プロフィール)。ブリタニカ百科事典によると、ボーンはこの作品でオリヴィエ賞の振付賞を受けました。

『エドワード・シザーハンズ』(原題:Edward Scissorhands、2005年)

ティム・バートン監督の映画をもとにしたダンス作品です。公式サイトによると、丘の上の城で発明家に生み出された少年エドワードが、手がはさみのまま取り残され、親切な町の女性に招かれて郊外の家族と暮らし始める物語で、音楽は映画のダニー・エルフマンの曲をもとにテリー・デイヴィスが手がけました。2024年には映画館で上映される映像版も作られています。

このほか、映画や文学に着想を得た作品として、『ドリアン・グレイ』(2008年、2013年には東京でも上演)、『蠅の王』(2011年、演出のみ)などがあります(公式プロフィール、公式サイト)。『蠅の王』は、プロのダンサーと、ダンスの経験がない若者たちを同じ舞台に立たせた作品として紹介されています(公式サイト)。

『眠れる森の美女』(原題:Sleeping Beauty、2012年)

公式プロフィールによると、『くるみ割り人形!』『白鳥の湖』に続く、チャイコフスキーのバレエ3作の読み替え(チャイコフスキー3部作)を、この作品で完成させました。ブリタニカ百科事典は、副題をつけた『Sleeping Beauty: A Gothic Romance』という題名で紹介しています。

『赤い靴』と近年の作品(2016年〜)

『赤い靴』(原題:The Red Shoes、2016年)

マイケル・パウエルとエメリック・プレスバーガーの映画『赤い靴』と、ハンス・クリスチャン・アンデルセンの童話をもとにした作品です。音楽には、映画音楽で知られるバーナード・ハーマンの曲が使われました(公式サイト)。公式プロフィールによると、2016年に世界初演され、2017年のオリヴィエ賞で最優秀エンターテインメント賞と振付賞の2部門を受けました。

『ロミオとジュリエット』(原題:Romeo and Juliet、2019年)

シェイクスピアの名作をボーンらしく読み替えた作品です。公式プロフィールによると、イギリス各地の若いダンサーたちが、ニュー・アドベンチャーズのカンパニーとともに踊り、作品づくりに加わる機会にもなりました。

『ミッドナイト・ベル』(原題:The Midnight Bell、2021年)

公式プロフィールによると、ボーンの13作目の全幕作品で、イギリスの作家パトリック・ハミルトンの小説から着想を得ています。ナショナル・ダンス・アワードの5部門にノミネートされ、最優秀モダン振付賞を受けました。

ミュージカルと映像の仕事

ボーンはミュージカルの振付家としても活躍してきました。公式プロフィールによると、プロデューサーのキャメロン・マッキントッシュとの30年にわたる仕事から、『オリバー!』(1994年、2009年、2024年)、『マイ・フェア・レディ』(2002年、オリヴィエ賞)、『メリー・ポピンズ』(2004年)などが生まれました。『メリー・ポピンズ』ではスティーヴン・ミアーとともにオリヴィエ賞の振付賞を2度(2005年・2020年)受け、2006年にブロードウェイで開幕した際には、トニー賞の2つのノミネートを受けています。

映像の仕事も多く、公式サイトは、ニュー・アドベンチャーズの作品の多くがテレビ放送や映画館での上映のために撮影されてきたと紹介しています。

称号と、次の世代へ

ボーンは2001年にダンスへの貢献で大英帝国勲章(OBE)を受け、2016年にはナイトの称号を受けました。同じ2016年には、バレエへの貢献をたたえるエリザベス2世戴冠賞も受けています。2018年にはオックスフォード大学から名誉文学博士の学位を受け、2025年にはロンドン市の名誉市民権(Freedom of the City of London)も贈られました(公式プロフィール)。

次の世代の育成にも力を入れています。公式プロフィールによると、ニュー・アドベンチャーズは若い振付家のための賞や、ダンサーのための講座を続けてきました。2014年には、ボーンの母校であるロンドン東部のサー・ジョージ・モノー・カレッジに、彼の名を冠した「マシュー・ボーン・シアター」が開かれています。ボーンは、ロンドンのサドラーズ・ウェルズ劇場のアソシエイト・アーティストも務め、ニュー・アドベンチャーズは2002年から、この劇場でクリスマスの時期の長期公演を重ねてきました。

マシュー・ボーンの主な作品と受賞歴

本記事で紹介した主な作品を表にまとめます。年は初演年で、ニュー・アドベンチャーズの公式プロフィールの作品一覧によります。

年作品もとになった作品主な受賞・記録
1992年くるみ割り人形!(Nutcracker!)チャイコフスキーのバレエ2022年に30周年版を映画館で上映
1994年ハイランド・フリング(Highland Fling)タリオーニのバレエ『ラ・シルフィード』舞台を現代のグラスゴーに
1995年白鳥の湖(Swan Lake)チャイコフスキーのバレエオリヴィエ賞(1996年)、トニー賞 演出賞・振付賞・衣装デザイン賞
1997年シンデレラ(Cinderella)バレエ『シンデレラ』2017年に映像化
2000年ザ・カー・マン(The Car Man)ビゼーのオペラ『カルメン』初演はシアター・ロイヤル・プリマス
2002年プレイ・ウィズアウト・ワーズ(Play Without Words)オリジナル(ナショナル・シアターと共同制作)オリヴィエ賞 振付賞
2005年エドワード・シザーハンズ(Edward Scissorhands)ティム・バートンの映画2024年に映像版
2008年ドリアン・グレイ(Dorian Gray)文学(公式サイトは映画・文学に着想を得た作品と紹介)2013年に東京で上演
2012年眠れる森の美女(Sleeping Beauty)チャイコフスキーのバレエチャイコフスキー3部作が完成
2016年赤い靴(The Red Shoes)パウエル&プレスバーガーの映画、アンデルセンの童話オリヴィエ賞2部門(2017年)
2019年ロミオとジュリエット(Romeo and Juliet)シェイクスピアの戯曲若いダンサーが参加
2021年ミッドナイト・ベル(The Midnight Bell)パトリック・ハミルトンの小説ナショナル・ダンス・アワード 最優秀モダン振付賞
マシュー・ボーンの歩みを示す流れ図。22歳でダンスを始め、1985年にラバン・センターを卒業、1987年にカンパニーAMPを共同設立、1995年に男性の白鳥の白鳥の湖を初演、2002年にニュー・アドベンチャーズとして再出発、2016年にナイトの称号の順に並ぶ。
図:マシュー・ボーンの歩み

ボーン作品を楽しむ手がかり

作品を並べると、ボーンの舞台にはいくつかの共通点が見えてきます。ひとつ目は、古典の読み替えです。『くるみ割り人形』を孤児院に、『ラ・シルフィード』をグラスゴーの公営住宅に、『白鳥の湖』の白鳥を男性ダンサーに置き換えました。物語のよく知られた骨組みを残しながら、場所や人物の設定を変えることで、古典に新しい見え方を与えています。

ふたつ目は、映画と文学への愛情です。子どものころからミュージカル映画の大ファンだったボーンは、ティム・バートンの映画、パウエルとプレスバーガーの映画、パトリック・ハミルトンの小説などを、言葉を使わないダンスの物語にしてきました。

ボーン作品を楽しむ3つの手がかりを示した図。孤児院やグラスゴーや男性の白鳥などの古典の読み替え、ティム・バートンやパウエルとプレスバーガーの映画や小説を題材にした映画と文学への愛情、言葉を使わずにダンスで物語を語ることの3点。
図:ボーン作品を楽しむ3つの手がかり

みっつ目は、ダンスで物語を語ることです。ニュー・アドベンチャーズの公式サイトは、カンパニーを「独自の演劇的なひねりで物語を語る」ダンス・シアターのカンパニーと紹介しています。バレエを見たことがない人でも筋を追いやすいことが、作品が幅広い観客に届いてきた理由のひとつと言えそうです。

まとめ

いかがだったでしょうか。今回は、イギリスの振付家・演出家マシュー・ボーンをご紹介しました。

22歳でダンスを始めたボーンは、1987年にカンパニーAMPを共同で設立し、1995年に男性ダンサーが白鳥を踊る『白鳥の湖』で世界的な評価を得ました。オリヴィエ賞とトニー賞を受けたこの作品のあとも、『ザ・カー・マン』『エドワード・シザーハンズ』『赤い靴』と、古典や映画、文学を題材にした舞台を生み出し続け、2016年にはナイトの称号を受けています。

古典の物語をよく知る人ほど、ボーンの読み替えの大胆さに驚かされるはずです。気になった作品から、ぜひ触れてみてください。

Euphoric " " の視点

マシュー・ボーンが本格的にダンスを始めたのは、22歳という比較的遅い年齢でした。子どものころから親しんだミュージカル映画や演劇への愛情を土台に、白鳥を男性ダンサーが踊る『白鳥の湖』をはじめ、古典の物語の骨組みを残しながら場所や人物の設定を変え、名作に新しい見え方を与えてきました。

言葉を使わずにダンスで物語を語る舞台は、バレエを見たことがない人にも開かれています。若い振付家やダンサーの育成にも力を注ぐ姿は、伝統を受け継ぐことと新しく語り直すことが、ひとつの仕事の中で両立できることを示しています。

作品に触れるには

マシュー・ボーンの作品は、カンパニーの公式サイトで紹介されています。公演や映像の配信・上映の状況は時期によって変わるため、最新の情報は公式サイトをご確認ください。

NEW POSTS / 新着記事

開催中の展覧会いま行ける展覧会を、終了が近い順に109件 開催中展覧会を探す