【徹底解説】タチアナ・マズラニーとは?「オーファン・ブラック」でエミー賞を受けたカナダの俳優の人生と作品を解説!

【徹底解説】タチアナ・マズラニーとは?「オーファン・ブラック」でエミー賞を受けたカナダの俳優の人生と作品を解説!

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こんにちは。ユアムーン株式会社 編集部です。

皆さんはタチアナ・マズラニーという人物をご存知ですか?

タチアナ・マズラニー(Tatiana Maslany)は、カナダの俳優です。テレビシリーズ「オーファン・ブラック 暴走遺伝子」で、同じ顔を持つ何人ものクローンを一人で演じ分け、2016年にエミー賞のドラマ部門主演女優賞を受けました。マーベルのドラマ「シー・ハルク:ザ・アトーニー」の主演や、ブロードウェイの舞台でも知られています。

日本では「タチアナ・マズラニー」のほか、「タチアナ・マスラニー」とも表記されます。配給会社の公式サイトでも両方の表記が使われており、どちらも同じ人物を指しています。

本記事ではそんなタチアナ・マズラニーの人生と作品についてご紹介します。受賞歴はエミー賞やゴールデングローブ賞などの公式記録で、邦題は日本の配給会社の公式サイトで確認したものだけを、表と図解にまとめています。

タチアナ・マズラニーって?

タチアナ・マズラニーは、1985年9月22日にカナダ・サスカチュワン州のレジャイナ(Regina)で生まれました。子どものころから舞台に立ち、即興劇(インプロ)で腕を磨いたのち、カナダのテレビや映画で経験を重ねてきた俳優です。

カナダ百科事典は、マズラニーを「多才な映画・テレビ俳優」と紹介し、最もよく知られているのは「オーファン・ブラック」(2013〜2017年)でクローンたちを演じ分けた仕事だと書いています。2016年には、カナダのテレビシリーズでの演技によってエミー賞を受けた、初めてのカナダの俳優になりました。

「タチアナ マスラニー」「タチアナマスラニー」「タチアナ マズラニー」と、中黒を入れずに書かれることもあります。英語の綴りは「Maslany」です。

基本情報

本名タチアナ・ガブリエル・マズラニー(Tatiana Gabrielle Maslany)
表記タチアナ・マズラニー/タチアナ・マスラニー
生年月日1985年9月22日
国籍・出身カナダ。サスカチュワン州レジャイナ生まれ
分野俳優(テレビ、映画、舞台)
代表作「オーファン・ブラック 暴走遺伝子」(2013〜2017年)、『黄金のアデーレ 名画の帰還』(2015年)、ブロードウェイ『Network』(2018年)、「Perry Mason」(2020年)、「シー・ハルク:ザ・アトーニー」(2022年)
主な受賞サンダンス映画祭 審査員特別賞(2010年)、エミー賞 ドラマ部門主演女優賞(2016年)、カナディアン・スクリーン・アワード(「オーファン・ブラック」で4回)
ヘッドセットのマイクを付け、赤い珊瑚の柄が入った白いジャケット姿で穏やかに微笑むタチアナ・マズラニー。肩までの金色の巻き髪で、背景は色とりどりにぼやけている。
タチアナ・マズラニー(2026年、IGN Liveにて)撮影:Kevin Paul/CC BY 4.0/出典:Wikimedia Commons

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経歴と作品

レジャイナの舞台と即興劇(1990年代〜2003年)

カナダ百科事典によると、マズラニーは4歳でダンスを始め、子どものころから人前で演じることが好きでした。初めての役は、1995年、地元レジャイナの夏の野外劇団「レジャイナ・サマー・ステージ」によるミュージカル『オリバー!』です。

高校では演劇の活動に打ち込みながら、カナダのテレビ番組にも出演しました。特に得意としたのが、その場で人物をつくり出して演じる即興劇です。即興劇の劇団「General Fools」で7年間公演を続け、カナダの即興劇の大会「Canadian Improv Games」にも出場し、即興劇の指導者の資格も取りました。

高校を卒業したのは2003年です。のちに「オーファン・ブラック」で、一人で何人もの人物を、ときには同じ場面で演じ分けることになる素地は、この即興劇の経験にあったと読むことができます。

カナダの映画とテレビで経験を積む(2004〜2012年)

高校卒業後、マズラニーは劇団での活動を続けながら、舞台、映画、テレビの仕事を広げていきます。カナダ百科事典によると、2004年の映画『Ginger Snaps 2: Unleashed』(原題)では、この作品の製作総指揮を務めたジョン・フォーセットの目に留まりました。フォーセットは、のちに「オーファン・ブラック」を共同で生み出す人物です。

2008年にはトロントで撮影された刑事ドラマ「Flashpoint」へのゲスト出演で、カナダのテレビ賞であるジェミニ賞を初めて受賞しました。カナダのテレビ局CBCのドラマ「Heartland」(日本では「ハートランド物語」)などにも出演しています(カナダ百科事典、キノフィルムズの公式サイト)。

『Grown Up Movie Star』(2009年)

転機になったのが、カナダ・ニューファンドランド島で撮影された映画『Grown Up Movie Star』(原題)です。ギャガとキノフィルムズの公式サイトによると、マズラニーはこの作品で、2010年のサンダンス映画祭で審査員特別賞を受賞しました。ギャガの公式サイトは、2012年のトロント国際映画祭で注目の若手スターのひとりに選ばれたことも記しています。

『トイレット』(2010年)

日本の映画ファンにとって見逃せないのが、荻上直子監督の『トイレット』への出演です。キノフィルムズの公式サイトが、マズラニーの出演作として挙げています。日本の監督の作品にも、早い時期から参加していたことになります。

2012年には、レイチェル・マクアダムス主演の恋愛映画『君への誓い』に出演しました(カナダ百科事典、ギャガとキノフィルムズの公式サイト)。

「オーファン・ブラック」とエミー賞(2013〜2017年)

「オーファン・ブラック 暴走遺伝子」(2013〜2017年)

マズラニーの名を世界に広めたのが、カナダのSFテレビシリーズ「オーファン・ブラック 暴走遺伝子」(Orphan Black)です。カナダ百科事典によると、マズラニーはまず、自分が何人もいる「姉妹」のクローンのひとりだと知るイギリス出身の主人公サラ・マニングを演じます。そして、ドイツのスパイ、トロント郊外の母親、大学院生など、それぞれに国籍も性格も違うクローンたちを、一人で演じ分けました。

カナダ百科事典は、マズラニーが複数のなまりを使い分けながら12人近い異なる人物をつくり上げたと書いています。ひとりのクローンが別のクローンになりすます場面もあり、演じる人物がさらに別の人物を演じるという、複雑な演技も求められました。次の映像は、アメリカのトーク番組の公式チャンネルによるもので、マズラニー本人が複数の役を演じることについて語っています。

Tatiana Maslany on Playing Multiple Characters in Orphan Black(Late Night with Seth Meyers公式YouTube)

この演技は高く評価されました。ゴールデングローブ賞の公式サイトによると、2014年にテレビシリーズ・ドラマ部門の主演女優賞にノミネートされています。テレビ芸術科学アカデミーの記録では、エミー賞のドラマ部門主演女優賞に2015年、2016年、2018年の3回ノミネートされ、2016年に受賞しました。

カナダ百科事典によると、この2016年の受賞で、マズラニーはカナダのテレビシリーズでの演技によってエミー賞を受けた初めてのカナダの俳優になりました。カナダ国内でも、カナディアン・スクリーン・アワードのドラマシリーズ主演女優賞を「オーファン・ブラック」で2014年から2017年まで4年続けて受けています。

カナダで製作され、カナダを舞台にした作品が、世界的な人気を集めることは珍しいことでした。カナダ百科事典は、この作品がポップカルチャー現象になり、ファンが「#CloneClub」と名乗って放送ごとにSNSで盛り上がったと伝えています。

タチアナ・マズラニーの歩みを示す流れ図。1995年にレジャイナで初舞台オリバー、2010年にGrown Up Movie Starでサンダンス映画祭審査員特別賞、2013年にオーファン・ブラック開始、2016年にエミー賞ドラマ部門主演女優賞、2018年にブロードウェイデビューの順に並ぶ。
図:タチアナ・マズラニーの歩み レジャイナの舞台からエミー賞へ

映画でも広がる役柄(2015〜2020年)

『黄金のアデーレ 名画の帰還』(2015年)

「オーファン・ブラック」の合間にも、マズラニーは映画への出演を続けました。アートの視点から注目したいのが、『黄金のアデーレ 名画の帰還』(Woman in Gold)です。

日本の配給会社ギャガの公式サイトによると、この作品は、「オーストリアのモナリザ」と称えられ国の美術館に飾られてきたグスタフ・クリムトの名画〈黄金のアデーレ〉をめぐり、アメリカに暮らすマリア・アルトマンがオーストリア政府を相手に返還を求めた実話をもとにしています。主人公マリアをヘレン・ミレンが演じ、マズラニーは若いころのマリア・アルトマンを演じました。カナダ百科事典は、マズラニーがこの役をドイツ語で演じたことを、多才さを示す例として挙げています。

一枚の絵画の持ち主が誰かという問いは、美術館とコレクション、そして美術の歴史そのものに関わるテーマです。マズラニーは、その物語の主人公の若き日を担いました。

『ストレイ・ドッグ』(2020年日本公開)

ニコール・キッドマンが主演し、カリン・クサマが監督したロサンゼルスが舞台のネオ・ノワール『ストレイ・ドッグ』(Destroyer)にも出演しています。日本ではキノフィルムズの配給で、公式サイトによると2020年10月23日に公開されました。

ブロードウェイ、「Perry Mason」、「シー・ハルク」(2018年〜)

ブロードウェイ『Network』(2018年)

2018年、マズラニーはブロードウェイにデビューしました。カナダのウォーク・オブ・フェイム(カナダの名誉の殿堂)の公式サイトによると、作品はイヴォ・ヴァン・ホーヴェが演出し、トニー賞にノミネートされた舞台『Network』で、ブライアン・クランストン、トニー・ゴールドウィンと共演しています。ブロードウェイの業界紙ブロードウェイ・ニュースによると、マズラニーが演じたのは、テレビ局でドラマ部門を率いるダイアナ・クリステンセンです。原作はパディ・チャイエフスキーの映画で、リー・ホールが舞台用に書き直し、ベラスコ劇場で上演されました。

即興劇から出発したマズラニーにとって、舞台は原点のひとつです。テレビで世界的に知られたあとも、劇場で観客の前に立つ仕事を選んだことになります。

「Perry Mason」(2020年)

カナダのウォーク・オブ・フェイムの公式サイトによると、マズラニーはHBOのドラマ「Perry Mason」(2020年)でマシュー・リスと共演し、2021年のハリウッド批評家協会テレビ賞でドラマシリーズの助演女優賞を受けました。

「シー・ハルク:ザ・アトーニー」(2022年)

マーベル・スタジオのドラマ「シー・ハルク:ザ・アトーニー」(She-Hulk: Attorney at Law)では、主人公を演じています(カナダのウォーク・オブ・フェイム)。日本のマーベル公式サイトの作品一覧にも、この日本語の題名で掲載されています。主人公は、超人を専門に扱う弁護士ジェニファー・ウォルターズです。AV Watch の報道によると、2022年8月17日からディズニープラスで独占配信されました。

2022年には、カナダの名誉の殿堂であるカナダのウォーク・オブ・フェイムにも選ばれています。

2026年の活動

2026年1月、マズラニーはサンダンス映画祭の審査員を務めました。サンダンス映画祭の公式サイトによると、ワールドシネマ・ドラマ部門の審査員を、アナ・カッツ、ソ・ヨン・キムとともに担当しています。サンダンス映画祭は、かつて『Grown Up Movie Star』で審査員特別賞を受けた映画祭です。公式サイトは、マズラニーを「30年以上のキャリアを持つ俳優」と紹介しています。

サンダンス映画祭のロゴが並ぶ白い背景の前に立つタチアナ・マズラニー。髪を後ろでまとめて黒いリボンを付け、白いシャツを着ている。
タチアナ・マズラニー(2026年1月、サンダンス映画祭にて)撮影:LaShawnda Jones(WikiPortraits)/CC BY-SA 4.0(元画像から人物部分を切り抜いた版)/出典:Wikimedia Commons

タチアナ・マズラニーの代表作と受賞歴

ここまで紹介した主な出演作と評価を表にまとめます。日本の公式の邦題を確認できたものは邦題で、確認できなかったものは原題で書いています。

作品年種類主な評価・受賞
Grown Up Movie Star2009年映画サンダンス映画祭 審査員特別賞(2010年)
トイレット2010年映画荻上直子監督作品
君への誓い2012年映画出演
オーファン・ブラック 暴走遺伝子2013〜2017年テレビエミー賞 主演女優賞(2016年)、ノミネート3回/ゴールデングローブ賞ノミネート(2014年)
黄金のアデーレ 名画の帰還2015年映画若いころのマリア・アルトマン役
Network2018年舞台ブロードウェイ・デビュー
ストレイ・ドッグ2020年(日本公開)映画ニコール・キッドマン主演
Perry Mason2020年テレビハリウッド批評家協会テレビ賞 助演女優賞(2021年)
シー・ハルク:ザ・アトーニー2022年テレビ主演

タチアナ・マズラニーを楽しむ手がかり

マズラニーの仕事を見ていくと、いくつかの共通点が見えてきます。資料から3つにまとめてみます。

ひとつ目は、演じ分けの技術です。「オーファン・ブラック」で12人近い人物を演じ分けたことは、カナダ百科事典が「カメレオンのような演技」と評したとおりです。同じ顔なのに、話し方や姿勢でまったく別の人に見える。その変化を見比べるのが、いちばんの楽しみ方です。

ふたつ目は、即興劇という出発点です。その場で人物をつくり出す訓練を長く積んだことが、ひとつの場面で複数の人物を行き来する演技につながっています。

みっつ目は、テレビ・映画・舞台を行き来する幅の広さです。カナダのテレビドラマから、ブロードウェイの舞台、マーベルのドラマまで、規模も形式も違う仕事を続けてきました。

タチアナ・マズラニーを楽しむ3つの手がかりを示した図。オーファン・ブラックで12人近い人物を演じ分けた演じ分けの技術、劇団General Foolsで7年間続けた即興劇という出発点、カナダのテレビからブロードウェイ、マーベルのドラマまでの幅の広さの3点。
図:タチアナ・マズラニーを楽しむ3つの手がかり

まとめ

いかがだったでしょうか。今回は、カナダの俳優タチアナ・マズラニー(マスラニー)をご紹介しました。

レジャイナの舞台と即興劇から出発したマズラニーは、『Grown Up Movie Star』でサンダンス映画祭の審査員特別賞を受け、「オーファン・ブラック 暴走遺伝子」でクローンたちを演じ分けて、2016年にエミー賞を受賞しました。その後もブロードウェイの『Network』、「Perry Mason」、「シー・ハルク:ザ・アトーニー」と活躍の場を広げ、2026年にはサンダンス映画祭の審査員を務めています。

クリムトの名画をめぐる『黄金のアデーレ 名画の帰還』のように、アートに関わる作品にも出演しています。気になった作品から、ぜひ一本選んでみてください。

Euphoric " " の視点

マズラニーは、子どものころから舞台に立ち、即興劇の劇団「General Fools」で7年間公演を続けてきました。その場で人物をつくり出す訓練を長く積んだことが、「オーファン・ブラック」で同じ顔を持つ何人ものクローンを一人で演じ分ける演技につながっています。

同じ顔なのに、話し方や姿勢でまったく別の人に見える。その技術は、華やかな受賞の前に、目立たない場所で重ねてきた練習の上に成り立っています。カナダのテレビから、ブロードウェイの舞台、マーベルのドラマの主演へと活躍の場を広げたその歩みは、基礎を磨き続けることの確かな力を教えてくれます。

作品に触れるには

タチアナ・マズラニーの出演作は、日本では作品ごとに配給会社が異なります。上映・発売・配信の状況は時期によって変わるため、最新の情報は各社の公式サイトをご確認ください。

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