【徹底解説】トム・フーパーとは?『英国王のスピーチ』でアカデミー監督賞を受けたイギリスの映画監督の人生と作品を解説!

【徹底解説】トム・フーパーとは?『英国王のスピーチ』でアカデミー監督賞を受けたイギリスの映画監督の人生と作品を解説!

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こんにちは。ユアムーン株式会社 編集部です。

皆さんはトム・フーパーという人物をご存知ですか?

トム・フーパー(Tom Hooper)は、イギリスの映画監督です。テレビドラマの演出で評価を積み重ね、2010年の『英国王のスピーチ』でアカデミー賞の監督賞を受けました。その後もミュージカルの名作を映画にした『レ・ミゼラブル』『キャッツ』や、『リリーのすべて』を監督しています。

本記事ではそんなトム・フーパーの人生と作品についてご紹介します。受賞歴はアカデミー賞やエミー賞などの公式記録で、邦題は日本の配給会社や日本アカデミー賞の公式記録で確認したものだけを、表と図解にまとめています。

トム・フーパーって?

トム・フーパーは、ロンドン生まれのイギリスの映画監督・脚本家・プロデューサーです。本名はトーマス・ジョージ・フーパー(Thomas George Hooper)。若いころからイギリスのテレビドラマの演出を手がけ、アメリカのケーブル局HBOのミニシリーズでエミー賞を受けたのち、映画で世界的に知られるようになりました。

日本語では「トムフーパー」「トム フーパー」と中黒を入れずに書かれるほか、「トム・ホッパー」と書かれることもあります。同じ「Hooper」でも、アメリカの画家エドワード・ホッパー(Hopper)とは綴りが異なる別の人物です。

基本情報

本名トーマス・ジョージ・フーパー(Thomas George Hooper)
生年月日1972年または1973年(資料により異なる)
国籍・出身イギリス。ロンドン生まれ
分野映画監督、テレビドラマの演出家、脚本家、プロデューサー
代表作『Elizabeth I』(2005年・テレビ)、『John Adams』(2008年・テレビ)、『英国王のスピーチ』(2010年)、『レ・ミゼラブル』(2012年)、『リリーのすべて』(2015年)、『キャッツ』(2019年)
主な受賞エミー賞 監督賞(2006年)、アカデミー賞 監督賞(第83回)、全米監督協会賞(2010年度)、英国アカデミー賞 英国作品賞(2011年、『英国王のスピーチ』の受賞者として)
赤い背景の前に並ぶ3人。中央のトム・フーパーがメダルを手に持ち、左に黒い服の女性ローラ・リニー、右にスーツ姿の男性デヴィッド・コーツワースが立っている。
左からローラ・リニー、トム・フーパー、デヴィッド・コーツワース(2009年5月、ピーボディ賞の授賞式にて)撮影:Peabody Awards(Anders Krusberg)/CC BY 2.0/出典:Wikimedia Commons

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経歴と作品

イギリスのテレビドラマから(1990年代〜2003年)

トム・フーパーは、映画監督になる前、イギリスのテレビドラマで演出の経験を重ねました。EBSCOの人物事典によると、最初に演出を手がけたのは『Byker Grove』『Cold Feet』『EastEnders』といったテレビシリーズのエピソードでした。

2003年には、ヘレン・ミレンが主演する人気刑事ドラマのシリーズ第6作『Prime Suspect 6: The Last Witness』を演出します(ゴールデングローブ賞公式、EBSCO)。テレビ芸術科学アカデミーの記録によると、この作品で2004年のエミー賞のミニシリーズ・テレビ映画部門の監督賞にノミネートされました。

長編映画の監督としては、2004年の『Red Dust』(原題)が最初の作品です(EBSCO)。この時期のフーパーは、テレビと映画の両方で、実在の出来事や人物を題材にした作品を多く手がけていきます。

『Elizabeth I』と『John Adams』 エミー賞とピーボディ賞(2005〜2008年)

『Elizabeth I』(2005年・テレビ)

『Elizabeth I』は、イギリス女王エリザベス1世を題材にした、HBOのミニシリーズです。主演は『Prime Suspect』に続いてヘレン・ミレンが務めました(ゴールデングローブ賞公式、EBSCO)。

テレビ芸術科学アカデミーの記録によると、フーパーはこの作品で2006年のエミー賞、ミニシリーズ・テレビ映画・ドラマスペシャル部門の監督賞を受賞しました。テレビの演出家として、アメリカでも認められた作品です。2006年には、ジム・ブロードベント主演の『Longford』も演出しています(ゴールデングローブ賞公式)。

『John Adams』(2008年・テレビ)

『John Adams』は、アメリカ第2代大統領ジョン・アダムズの生涯を、歴史家デヴィッド・マカルーの伝記をもとに描いたHBOのミニシリーズです。製作総指揮はトム・ハンクスとゲイリー・ゴーツマン、主演はポール・ジアマッティとローラ・リニーで、フーパーが監督を務めました(ピーボディ賞公式)。

ピーボディ賞の公式サイトによると、この作品は2008年度のピーボディ賞を受賞しました。審査員は、植民地時代の厳しい暮らし、自分の考えを曲げないアダムズの姿、トーマス・ジェファーソンとの対立、そして家族への愛情まで、アダムズの公私両面を描いた点を評価しています。フーパー自身も、2008年のエミー賞の監督賞にノミネートされました(テレビ芸術科学アカデミー)。

大きな金色のメダルの装飾を背にした演台で話すトム・フーパー。後ろには黒い服のローラ・リニーとスーツ姿のデヴィッド・コーツワースが立っている。
ピーボディ賞の授賞式で『John Adams』の受賞者としてスピーチするトム・フーパー 撮影:Peabody Awards(Anders Krusberg)/CC BY 2.0/出典:Wikimedia Commons

2009年には、イギリスのサッカー界を舞台にしたスポーツドラマ『The Damned United』(原題)を監督しています(EBSCO)。テレビで実在の人物を描いてきた経験が、次の映画で大きく実を結ぶことになります。

『英国王のスピーチ』とアカデミー賞(2010〜2011年)

『英国王のスピーチ』(2010年)

『英国王のスピーチ』(The King’s Speech)は、幼いころから吃音に悩んできた王子が、ジョージ6世として王位を継ぐまでとその後を描いた作品です。日本アカデミー賞の公式サイトによると、史実にもとづくこの物語を、脚本家デヴィッド・サイドラーは30年以上前から映画や舞台にしようと考えていましたが、ジョージ6世の妻エリザベス王妃が、自分の存命中は公にしないでほしいと許可しなかったといいます。

主演はコリン・ファース、共演はジェフリー・ラッシュとヘレナ・ボナム=カーターです。アカデミー賞の公式記録によると、この作品は第83回アカデミー賞で12部門にノミネートされ、作品賞、監督賞(トム・フーパー)、主演男優賞(コリン・ファース)、脚本賞(デヴィッド・サイドラー)の4部門を受賞しました。日本アカデミー賞の公式サイトによると、サイドラーは73歳での脚本賞受賞で、同サイトは(2012年の掲載時点で)最年長記録と記しています。主演のコリン・ファースは、ゴールデングローブ賞の主演男優賞も受けています。

長年温められてきた脚本を、テレビで実在の人物を描いてきたフーパーが映画にしたことで、作品賞・監督賞・脚本賞・主演男優賞という主要部門がそろって評価されました。監督・脚本家・俳優の仕事がかみ合った作品だったといえます。

賞年『英国王のスピーチ』での結果
アカデミー賞(第83回)2011年作品賞・監督賞・主演男優賞・脚本賞の4部門を受賞(12部門ノミネート)
全米監督協会賞2010年度長編映画部門 監督賞(トム・フーパー)
英国アカデミー賞2011年作品賞、英国作品賞など7部門
ゴールデングローブ賞2011年監督賞ノミネート(トム・フーパー)
日本アカデミー賞(第35回)2012年最優秀外国作品賞(配給:ギャガ)

※ 各賞の公式記録による(全米監督協会、英国アカデミー賞のプレスリリース、日本アカデミー賞公式サイト)。

英国アカデミー賞の発表によると、この作品は作品賞、英国作品賞、脚本賞、作曲賞、そしてファース、ラッシュ、ボナム=カーターの演技賞を含む7部門を受けました。英国作品賞の受賞者には、プロデューサーたちとともにトム・フーパーと脚本のサイドラーも名を連ねています。次の映像は、英国アカデミー賞の授賞式の舞台裏で、受賞直後のフーパーたちが語る様子です。

Outstanding British Film Winner in 2011(BAFTA公式YouTube)

日本ではギャガが配給しました。日本アカデミー賞の公式サイトには、最優秀外国作品賞の受賞にあたってのギャガの代表者のコメントも残されています。

トム・フーパーの歩みを示す流れ図。2003年にテレビドラマPrime Suspect 6を演出、2006年にElizabeth Iでエミー賞監督賞、2008年にJohn Adamsがピーボディ賞、2011年に英国王のスピーチでアカデミー賞監督賞、2012年にレ・ミゼラブルの順に並ぶ。
図:トム・フーパーの歩み テレビドラマからアカデミー賞へ

ミュージカル映画『レ・ミゼラブル』(2012年)

『レ・ミゼラブル』(2012年)

『英国王のスピーチ』の次にフーパーが選んだのは、ヴィクトル・ユゴーの小説をもとにしたミュージカル『レ・ミゼラブル』の映画化でした。日本アカデミー賞の公式サイトによると、1985年の初演以来ロングランを続けてきた傑作ミュージカルを映画にした作品で、ジャン・バルジャン役のヒュー・ジャックマンは、この作品で初めてミュージカル映画に出演しました。

アカデミー賞の公式記録によると、第85回アカデミー賞で8部門にノミネートされ、アン・ハサウェイの助演女優賞、メイクアップ&ヘアスタイリング賞、録音賞の3部門を受賞しています。ヒュー・ジャックマンはゴールデングローブ賞のミュージカル・コメディ部門で主演男優賞を受けました(日本アカデミー賞公式)。

この作品では、俳優たちが撮影の現場で実際に歌い、その歌声をそのまま使う方法がとられました。権利者のユニバーサル・ピクチャーズ(英国)は、その制作の様子を「Singing Live(生で歌う)」と題した公式の特別映像で紹介しています。

日本では東宝東和が配給しました。日本アカデミー賞の公式サイトによると、2012年に日本で公開された洋画の中で興行収入1位となり、第37回日本アカデミー賞で最優秀外国作品賞を受賞しています。

『リリーのすべて』と『キャッツ』(2015〜2019年)

『リリーのすべて』(2015年)

『リリーのすべて』(The Danish Girl)は、デンマーク人のリリー・エルベの実話にもとづく作品です。日本の公式サイトによると、舞台はデンマーク。風景画家のアイナー・ヴェイナーは、肖像画家の妻ゲルダに頼まれて女性モデルの代役を務めたことをきっかけに、自分の内側にいた女性の存在に気づき、「リリー」として過ごす時間が増えていきます。夫の変化に戸惑いながらも、やがてリリーこそがアイナーの本質だと理解していくゲルダとの、ふたりの絆の物語です。

原作はデイヴィッド・エバーショフの小説で、脚本はルシンダ・コクソンが書きました。公式サイトによると、フーパーはその脚本を読んで「三度泣いた」と語っています。主演のエディ・レッドメインとは『レ・ミゼラブル』に続く2度目の組み合わせでした。

アカデミー賞の公式記録によると、第88回アカデミー賞で4部門にノミネートされ、ゲルダを演じたアリシア・ヴィキャンデルが助演女優賞を受賞しました。リリーを演じたエディ・レッドメインは主演男優賞に、衣装デザイン賞と美術賞にもノミネートされています。EBSCOの人物事典は、この作品がおおむね好意的な評価で迎えられたと記しています。日本では、公式サイトによると2016年3月18日に公開されました。

『キャッツ』(2019年)

『キャッツ』(Cats)は、アンドルー・ロイド・ウェバーの長年のヒット作であるミュージカル『キャッツ』を映画にした大作です(EBSCO)。『レ・ミゼラブル』に続き、フーパーが名作ミュージカルの映画化に取り組んだ2本目の作品になります。日本でも公式サイトが開かれ、字幕版と吹替版が公開されました。

トム・フーパーが映画にした2本のミュージカルを比べた図。レ・ミゼラブルは2012年、原作はヴィクトル・ユゴーの小説によるミュージカルで、アカデミー賞3部門。キャッツは2019年、原作はアンドルー・ロイド・ウェバーのミュージカル。
図:フーパーが映画にした2本のミュージカル

トム・フーパーの代表作と受賞歴

ここまで紹介した主な作品と評価を表にまとめます。テレビ作品は日本の公式の邦題を確認できなかったため、原題で書いています。

作品年主な評価・受賞
Prime Suspect 6: The Last Witness(テレビ)2003年エミー賞 監督賞ノミネート(2004年)
Elizabeth I(テレビ)2005年エミー賞 監督賞(2006年)
John Adams(テレビ)2008年ピーボディ賞(2008年度)/エミー賞 監督賞ノミネート
英国王のスピーチ2010年アカデミー賞 作品賞・監督賞ほか4部門/全米監督協会賞/英国アカデミー賞7部門
レ・ミゼラブル2012年アカデミー賞3部門/日本アカデミー賞 最優秀外国作品賞
リリーのすべて2015年アカデミー賞 助演女優賞(アリシア・ヴィキャンデル)
キャッツ2019年ミュージカルの映画化

トム・フーパー作品を楽しむ手がかり

トム・フーパーの作品を続けて見ると、いくつかの共通点が見えてきます。資料から3つにまとめてみます。

ひとつ目は、実在の人物を描く力です。エリザベス1世、ジョン・アダムズ、ジョージ6世、リリーと、テレビでも映画でも、歴史に名を残した人物の内面に迫る作品が並びます。ピーボディ賞の審査員が『John Adams』で評価したのも、公私両面を描いた点でした。

ふたつ目は、俳優の演技を引き出す演出です。『英国王のスピーチ』のコリン・ファース、『レ・ミゼラブル』のアン・ハサウェイ、『リリーのすべて』のアリシア・ヴィキャンデルと、フーパーの作品からは演技賞の受賞者が続いています。

みっつ目は、舞台の名作との向き合い方です。『レ・ミゼラブル』と『キャッツ』という、長く上演されてきたミュージカルを映画にしたことは、舞台の作品をどう映画の言葉に置き換えるかという挑戦でもありました。

トム・フーパー作品を楽しむ3つの手がかりを示した図。エリザベス1世やジョージ6世など実在の人物を描く力、コリン・ファースやアン・ハサウェイら演技賞の受賞者が続く俳優の演出、レ・ミゼラブルとキャッツという舞台の名作の映画化の3点。
図:トム・フーパー作品を楽しむ3つの手がかり

まとめ

いかがだったでしょうか。今回は、イギリスの映画監督トム・フーパーをご紹介しました。

イギリスのテレビドラマで演出を始めたフーパーは、HBOの『Elizabeth I』でエミー賞を受け、『John Adams』でピーボディ賞に輝きました。そして2010年の『英国王のスピーチ』でアカデミー賞の監督賞を受賞し、『レ・ミゼラブル』『リリーのすべて』『キャッツ』と、話題作を手がけ続けています。

実在の人物の物語と、舞台の名作の映画化。ふたつの柱を持つフーパーの作品から、気になる一本を選んでみてください。

Euphoric " " の視点

フーパーは、イギリスのテレビドラマで演出を重ね、エリザベス1世やジョン・アダムズといった実在の人物を描いてきました。長年温められてきた『英国王のスピーチ』の脚本を映画にしたのも、テレビで実在の人物を描き続けてきたフーパーでした。

さらに『レ・ミゼラブル』『キャッツ』では、舞台の名作をどう映画の言葉に置き換えるかという挑戦にも取り組みました。実在の人物の物語と、舞台の名作の映画化。異なる二つの柱に共通するのは、すでにある物語や人生を、俳優の演技を通して新しい観客に届けようとする姿勢です。

作品に触れるには

トム・フーパーの作品の受賞の記録や作品情報は、各賞の公式サイトで確認できます。上映・発売・配信の状況は時期によって変わるため、最新の情報は各配給会社の公式サイトをご確認ください。

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