こんにちは!ユアムーン株式会社 編集部です!
突然ですが、皆さんはバレリーナと言えば、どのような姿が思い浮かびますか?
ふんわりとしたチュチュを身に纏い、白いタイツを履いてトゥシューズで踊る姿ではないでしょうか。
現在はそれが一般的な衣装ですが、昔はどのようなものが身につけられていたのでしょうか。
この記事ではバレエの衣装について、歴史を追ってご紹介します!
目次
バレエの衣装の役割
- 動きやすくすること
- 視覚効果を強調すること
バレエ衣装の役割は、主に上記の二つあります。
例えば①については、スカートを履くことで脚の動きが制限されず、大きく動かすことができます。腕についても同様のことが言えるでしょう。
また②については、皆さんにもよく知られているチュチュの下にはスカートが何枚も重ねられており、バレリーナの輝かしさや軽やかさを観客に印象付けることに役立ちます。
しかし最初から二つの機能をかな備えていた訳ではありません。
現在の衣装の形は歴代の偉大なバレエダンサーや振付家、舞台監督などが試行錯誤して進化させた集大成なのです!
その過程を歴史と共に、詳しく説明していきたいと思います。
歴史と共に変化する衣装
動きにくくて重たい衣装とマスク
諸説ありますが、バレエの起源は15世紀、ルネサンス期のイタリアまで遡ります。
イタリアの高貴な人々が宮廷にて結婚式等の行事を盛り上げるためのパフォーマンスとして始まりました。
初めは踊りや音楽、歌が混同した形でした。
踊りについては、指導者が参加者にステップを伝え、各々で参加していくというような風潮だったそうです。
16世紀にはメディチ家のカトリーヌ王妃がフランスでバレエを確立し、ルイ14世が普及させたと言われています。
ルイ14世自身も踊りに熱心だったことはよく知られていますよね。
バレエにおいて基礎となる足のポジションも同時期に画定されたそうです。
更に1669年にはパリのオペラ学校が設立され、バレエが職業としての地位を確立させていくこととなります。
17世紀にかけて、バレエはフランスで人気を博し、伝統を作り上げていきました。
上記にある通り、元は宴を華やかに彩るためのものであったため、現在見られるバレエの大きい動作に対応した衣装は身につけられていなかったのだろうと推測されます。
というのも、17世紀のはじめ、バレエダンサーはヒールのある靴を履いていました。
加えて男性は硬くてワイヤーの入ったシルク、またはそれに似た生地のスカートを身につけ、
女性は精巧な刺繍を伴ったマントのような重たい衣装とカツラ、そして宝石を身につけていました。
更に男性は(時折女性も)喜びや悲しみの表情を表した革のマスクを身につけ、登場人物の感情を表現していました。
今と比べると非常に動きにくいことが想像できますよね!
ドレスも靴も軽量化が進む
18世紀初頭、ダンサーのマリー・カマルゴ(Marie Camargo)はスカートの長さを膝丈まで短くし、ヒールのないダンサー用の靴を発明しました。
その結果、ターンや大きく脚を上げるような複雑なステップが容易になったのです。
更に、動きを観客に見せやすくするために、体にきつくフィットする衣装も発明しました。
同じく18世紀初頭、ダンサーのマリー・サレー(Marie Sallé)は軽い綿の布を身に纏い、髪の毛は緩く解いてマスクを脱ぎ去りました。
その代わりに、表情と動作で感情を表現させる技術を生み出しました。
今となってはバレエの演目に欠かせない技術です。
続けてジーン・ジョージ・ノーベル(Jean-Georges Noverre) がバレエ衣装の形態を大きく変化させました。
彼はフランス人のバレエ監督で、現在普及しているような物語的バレエの先駆者とも言われる人物です。
ノーベルは完全にマスクの風習をなくし、スカートにボリュームを出すために用いられていたパニエを、体にピタッとフィットするチュニックへと最終的に移行させました。
古代ギリシャのローブにインスピレーションを受けたそうです。
1790年にタイツが発明され、それによって更に動きやすさが向上し、現在に近い大きな足の動きが可能となりました。
このようにして、18世紀の終わりまでに、バレエの衣装は抜本的な改革を受けました。
そして1820年になると、爪先で立てるように爪先が硬く作られた靴が発明されました。
それが後のトゥシューズと呼ばれるものです。
いかにして作品の登場人物に近づけられるか
ロマン主義の到来により、音楽や衣装にもその影響が現れました。
神秘的な魔法の世界に関するものが多く製作され、その影響で女性を儚く、脆く見せることが重要視されました。
1832年、マリー・タリオーニ(Marie Taglioni)が”ロマンティック・チュチュ”を発明しました。
布が何枚も重ねられたもので、丈は膝までの長さです。
動きが軽やかに見え、チュチュに包まれたダンサーはまるで妖精のようです。
実際に、当時誕生したロマンティックバレエと呼ばれる『ジゼル』や『ラ・シルフィード』の衣装には、ロマンティック・チュチュが採用されています。
19世紀後半には当時古典主義の動きが活発だったロシアでバレエの人気が急上昇し、マリウス・プティパによって『眠れる森の美女』や『白鳥の湖』が生み出されました。
これらの作品には回転やジャンプを伴う振り付けが多く、それに伴ってチュチュの丈は脚全体が見えるような短い丈に変化しました。
18世紀に主流であった短いチュチュを彷彿させますね。
それらは古典主義に由来して”クラシック・チュチュ”と呼ばれています。
その後も、バレエ衣装のスタンダードとしてクラシックチュチュが浸透していくこととなります。
多様な現代バレエの衣装
20世紀半ばになると、ロシア人振付家のセルゲイ・ディアギレフやミハエル・フォーキンが古典バレエの常識や物語を超えた作品を生み出し始めました。
また、ニューヨークシティバレエ団を設立したジョージ・バランシンはストーリーではなく音楽や人間の感情を表現することを目的とした作品作りを行いました。
それに伴って、なるべく身体のラインや動きが見える究極にシンプルな衣装が採用されることも増えていきました。
紹介したようなコンテンポラリーダンスと呼ばれる演目では、練習で着用されるようなレオタードが衣装として用いられることもあります。
身体のラインを見せるにはうってつけです!
バレエが始まった初期に比べると女性の衣装が随分コンパクトになりましたね!
男性の衣装に関してはそのまま出かけられそうなほどカジュアルです。
時代や流行と共に衣装も変遷していることが分かります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回の記事ではバレエ衣装の歴史についてご紹介しました。
バレエの衣装は長い歴史の中で進化を遂げ、ただ華やかに見せるためだけでなく、ダンサーの華麗な踊りの手助けをしたり、視覚的な効果も生み出しているのです。
是非、バレエ作品を見る機会があれば衣装にも注目してみてはいかがでしょうか!