こんにちは、ユアムーン株式会社 編集部です。
皆さんは、デイビッド・ホックニーというアーティストをご存知でしょうか。
ホックニーは、イギリス出身の国際的に活躍した現代アーティストです。アメリカのアンディ・ウォーホルに代表されるポップアート運動の、イギリスにおける重要作家としても認められています。2018年には、自身の作品が存命作家としては過去最高額の約102億円で落札されています。
この記事では、作家デイビッド・ホックニーの『人生』と『作品』を中心にご紹介します。
目次
デイビッドホックニーとは?
デイビッド・ホックニー基本情報
本名 | デイヴィッド・ホックニー(David Hockney) |
国籍/出身 | イギリス |
生年月日 | 1937年7月9日 |
分野/芸術動向 | ポップアート |
学歴/出身大学など | ブラッドフォード美術大学、ロイヤル・カレッジ・オブ・アート |
受賞歴 | インディペンデント・パブリッシャー・ブック・アワード、シェイクスピア賞、メリット勲章 |
公式サイト/関連サイト | https://www.hockney.com/home |
デイビッドの人生とアート
学生時代から注目を集めるホックニー
デイビッド・ホックニー(David Hockney)は、1937年7月9日にイギリスのブラッドフォードに生まれました。地元のウェリントン小学校、ブラッドフォード高等学校、ブラッドフォード美術大学を卒業しています。
地元の美術大学卒業後は、ロンドンの国立芸術大学であるロイヤル・カレッジ・オブ・アートに入学し、継続して美術を学びました。学生時代のホックニーはずば抜けて成績が優秀であり、卒業する頃にはすでにイギリス国内で注目を集める作家でした。卒業後もアーティストとして著しいキャリアを築いていきます。
在学中は、1950年代半ばのイギリスと1950年代後半のアメリカで発生した前衛芸術運動であるポップ・アートにも、積極的に参加します。イギリスのポップ・アート第二世代と期待された若手のアーティストの作品展「ヤング・コンテンポラリーズ」にも自身の作品を展示していました。
▼ポップアートについて、以下の記事で解説しています!
【まるっと理解!】ポップアートってなんですか?
アメリカ移住
1961年に渡米、1964-67年にイギリスに帰国し、のちにアイオワ、コロラド、カリフォルニアの各大学で教鞭をとり、英米を行き来します。1978年には、ロサンゼルスに定住します。イギリスと異なる、カリフォルニア特有の強く眩しい日差しと独特の洗練さを持ち合わせる「カリフォルニア・モダン」のスタイルは、ホックニーを魅了し、その影響は大きく、作品にも見られます。
インターネットが現在ほど普及していなかった当時、芸術の中心地ヨーロッパから大西洋に分断されたアメリカでは、ホックニーにとって目新しい芸術文化を育んでいました。アメリカ文化に触れたホックニーの作風は、この頃大きく変わりました。
また、同時期にアメリカの最先端の芸術運動であった抽象表現主義やミニマリズムの影響を受け、1967年に制作した彼の代表作品の1つ《A Bigger Splash》からも、それらの芸術運動の特徴が見受けられます。
2010年、再びデイヴィッド・ホックニーの作風を大きく変えたのは、iPadの発売でした。ホックニーはiPadが発売されてすぐに、作品制作にiPadを活用し始めます。当時、画期的だったiPadの色彩調整機能を多く使用したといいます。
彼は風景画を描くことが多かったのですが、その際に絵具の乾きや、変わりゆく日の高さの影響で、作品制作に苦労していました。しかし、iPadで色彩を調節できるようになったことで、彼の作品制作の作業は大きく変わりました。
デイヴィッド・ホックニーの代表作品
We two Boys Together Clinging-1961年
1961年、当時まだ同性愛が違法だった時代に、デイビッド・ホックニーは自身が同性愛者であることをに公表します。そんな時代にあっても、同性愛者をテーマとした作品《We Two Boys together Clinging》(1961年)を制作しています。
この作品は、洗面台の前で2人の男性が情熱的なキスを交わしている様子を描かれています。制作背景として、ホックニーは、新聞記事として掲載されていた、登山事故で一晩中崖にしがみつく2人の少年の写真からインスピレーションを受けたといいます。
この作品はホックニーがロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アートに在学中に制作したものです。この二人の青年が親密な関係が描かれた表現について当時の社会規範に反する「勇敢な表現」として、多くのメディアの注目を集めました。
A Bigger Splash-1967年
この作品は、ホックニーが拠点をおいたロサンゼルスにある邸宅と、邸宅付属プールが題材となっています。
すでに述べたとおり、ホックニーはロサンゼルスに渡ってから、アメリカの最先端の芸術に影響されており、この作品も抽象表現主義のアクション・ペインティングという技法や、本質的な要素だけを描くミニマリズムの特徴を使って製作されています。
ホックニーの作品には肖像画や自画像が多く、有名な作品として、友人や自宅の静かな佇まいを描いた《Portrait of an Artist (Pool with Two Figures)》(1972年)などがある。これらの作品に見られるさりげない気品と静謐な輝きは、静物画にも共通している。絵画作品以外にも、 『グリム童話集』(1970年)や『青いギター』(1977年)の挿絵など、グラフィック作品のシリーズを書籍で発表している。
A Bigger Interior with Blue Terrace Garden-2017年
《A Bigger Interior with Blue Terrace Garden》はiPadを使って描かれたもので、この頃のデイヴィッド・ホックニーはパブロ・ピカソの様々な視点から1つの作品を制作するキュビズムに影響を受けており、この作品の独特な構造を作り出しています。
1990年代に抽象的な風景画を試みたホックニーは、21世紀初頭には、新たに複数のパネルを使った一連の作品で空間の表現について考察します。また、新しいテクノロジーに対する長年の関心も追求しました。巡回展「David Hockney: A Bigger Picture」(2012-14年、サンフランシスコのデ・ヤング美術館開催)では、多くの大型作品が紹介され、その中にはiPadで描かれた迫真のドローイングがいくつかありました。2017年にテート・ブリテンで開かれた巡回回顧展は、同会場で最も来場者の多い展覧会となり、ホックニーの人気を証明した展示となりました。
翌年2018年には、ホックニーの最も有名な絵画のひとつである「芸術家の肖像(2人の人物がいるプール)」がオークションで約9000万ドル(約102億円)で落札され、存命中の芸術家の作品落札の最高金額記録を塗り替え、美術史における彼の地位を確固たるものにしました。
一方、近年でもホックニーはiPadで風景を描き続け、COVID-19のパンデミックの最初の年を過ごしたノルマンディーを描いたマルチパネル・フリーズ(2020年)などを制作しています。この作品は翌年、パリのオランジュリー美術館で開催された展覧会「A Year in Normandy」で展示されました。
まとめ
いかかでしたでしょうか。
デイビッド・ホックニーは、現在もアーティストとして活動し、展示会も開催されている世界的な人気作家です。現在も、イギリス、スイス、アメリカなどで展示会が開催中です。
皆さんも実際にホックニーの作品を実際にご覧になってはいかがでしょうか。