ビンテージ/アンティークとアートの交差点をMATINオーナー浜田孝司が語る

ビンテージ/アンティークとアートの交差点をMATINオーナー浜田孝司が語る

この度、ビンテージ/アンティークの洋服や家具を取り扱う富山県魚津市に店舗をもつMATINオーナーの浜田 孝司さんにその魅力とアートとの共通点・関係性を深掘りしていきたいと思います。

経営の始まり

元々高校時代からアメリカの文化に強い憧れがあったのですが、学生だったということもあり特に大きなアクションは起こせませんでした。それから5年後になる22歳の時にアメリカで何かしら働こうとそれまで貯めたお金を握り締め1997年に初めての渡米を決意しました。

当時90年代はバブルがはじけた直後でしたがまだまだ世相は牧歌的でもあり若い時代に色々挑戦することが出来た時代でもあったような気がします。

当時から創刊されていた「地球の歩き方」を片手にレンタカーを借り、東海岸の一部を除き全州を周りました。多様な人種、価値観に触れることができたのは今でも僕の人生の一つの宝物だと思っています。

当時のアメリカは良くも悪くも ”アメリカらしさ” が残る日本とは違う価値観に心を奪われそれが原動力になり仕事にまい進できていると思っています。そして、そのような体験をしたからこそ、彼ら彼女らの身に纏う洋服に関心を持ち、ファッション業界で生きていくと決意したことを今でも覚えています。

その後、恥ずかしながらお金(当時の全財産です笑)も尽きてきたということもあり、帰国し一人で商売をスタートさせる事になりました。
日本でもビンテージブームや古着屋特集が盛んに雑誌やテレビで取り上げられたこともあり、一時は従業員10名、3店舗の店舗を運営していました。

現在はまた一人でビンテージに向き合い一つの店舗を4名で運営しています。

ビンテージデニムへの情熱: 「ビンテージデニムに特に注力するようになった理由は何ですか?」

長い間自らアメリカに赴き色んな地方で様々なビンテージと言われる古い洋服を買い付けてきました。

北部には当時の上質なアウターを買い付けに行ったり、中西部にはミリタリーコレクターの祭典に参戦したりとシーズンや買い付けしたいもので買い付けに行く地方を変えたりとアメリカの様々な地方に自ら趣き30年に渡りビンテージを買い付けてきました

中でも2019年にユタ州の牧場のオークションでlevis501XX(通称 : 大戦モデル)4本出てくる珍事が起こりそれを僕が買い付けることが出来ました。

アメリカ北西部の乾燥した大地の中、色濃く残るインディゴの濃い青は僕の脳裏にしっかり焼き付いておりました。あのような経験は30年近くの買い付けの中でも最も印象深い経験の一つです。

当時現地の新聞にも取り上げられたセンセーショナルな事柄でそれからデニムの買い付けに一層注力するようになりました。

当時の私はホントラッキーだったと思います。

この出会いをきっかけに、後の大ヒットとなるMONTANA JEANSがうまれます。

本当に転機だったと思います。

アートとファッションの関係: 「浜田さんにとって、ファッションとアートの間にどのような関係があると考えますか?」

アートとファッションは常に刺激しあう存在としてお互い文化を形成してきたと思います。

特に僕が専門としているビンテージの洋服達はアートと似た経緯があり当時の評価と現代の評価が全く違うことになる物もございます。

生前のピカソの評価みたいなことがビンテージ業界にもあり60年代のスヌーピーのスエットがシュルツ氏の死去をきっかけに価値は大きく変わり最近nigo氏のスヌーピーのスエットコレクションが海外のオークションで5枚で5000ドル以上の値段で落札されています。

アート、ミュージック、ファッションは当時のカルチャーを語る上での屋台骨だと言えると思います。特に当時のカルチャーから生まれたオリジナル品はパワーがあり、後の評価として驚く値段で取引されることがございます。

この様な事柄をとってもアートとアンティーク、ビンテージファッションの価格変動などにも相互性を感じます。

ビンテージアイテムの魅力: 「ビンテージデニムやその他のヴィンテージ洋服が持つ特有の魅力とは何だと思いますか?」

前述ともリンクしますがビンテージには当時の時代背景を見て取ることが出来ます。

当時どのような背景から生まれた物なのか、どうしてこの地で制作されていたのかなど調べていくとその洋服の持つパワーを感じることが出来ます。ハイブランドの中にもビンテージからインスパイアされた物が多いのも頷けます。

ビンテージと言うワードが簡単に使用される今だからこそ、我々もお客様に表層だけではなく、こういった背景を常に学び、お伝えし販売する事を心掛けています。

コレクションの選定基準: 「お店に置くヴィンテージアイテムを選ぶ際の基準は何ですか?」

私がビンテージの買い付けをし店舗に置く基準として、当時の時代背景から生まれるユニークな仕様や生地感、色味などが、現代の文脈とリンクできるような物を心掛けています。

選定には買い付けした場所やどの人種に好まれていた物かなど多岐にわたる検証の末、買い付けしています。買い付けた洋服がこの当時どのような役割のある服だったのか考えると非常に興味がありますし、ビジュアルも勿論重要ではございますが僕はその服のバックグランドを大事にした買い付けをしています。

そのストーリー性こそがビンテージのコアだと思っています。選定にはアート的な要素もあり当時その個体が如何にユニークだったかや、色味などはアート作品を美術館で展示する事に似ているのではと勝手に思っております。

洋服はビンテージ的価値ではアートと同じく鑑賞すると言うワードがしっくりきますが、元々が着用するための物でもあるのでアートの要素の他機能性なども加わってきます。

カルチャーとの結びつき: 「ヴィンテージファッションが文化やアートのトレンドにどう影響を与えていると感じますか?」

ビンテージとアートの関係は先程述べた通りですが、その時代を特に感じることが出来る年代があります。私が生まれた70年代はアートや文化、ファッション、ミュージックシーンと全てにおいて主張が顕著であり、そこから生まれた物は当時のトレンドに深く繋がりがある物が多いです。

ファッションで言う一つの事例は、当時アメリカのサンフランシスコの楽器店がヒッピーカルチャーのムーブメントの煽りをうけ、別注でレザージャケットをデザイン、制作して販売していました。このレザージャケットは2000年代に再評価され当時の何倍もの金額で取引されており、ハイブランドもデザインソースとしてリプロダクトした経緯がございます。

これはeast westレザーと言うレザージャケットブランドの話になりますが、このブランドの代表モデルにそっくりな物を某有名ハイブランドがリリースしたのは有名な話です。

様々な年代にこの様な逸話は多くありアート、ミュージック、ファッションは依存しあいながらその年代を形成していったのだと思います。

ファッションアイテムの物語: 「ビンテージアイテムそれぞれに物語がありますか?特に印象に残っているアイテムの話を聞かせてください。」

はい。ビンテージアイテムにはそれぞれの物語があります

作られた商品には同じ商品(型番など)であったとしても、当時の製法技術の問題や生産体制の問題で、ステッチがズレていたり、ボタンが裏返してついていたりと、それぞれに個性があり物語があります。また古着の場合は持ち主がどのようにその服と向き合ってきたかがわかりますね。同じ商品であってもビンテージものは全て物語が異なります。

次に特に印象に残っているアイテムですが、前項でも述べていますがビンテージと呼ばれる衣服界にはマスターピースと呼ばれる各年代を象徴するアイテムがございます。

例えば1950年代にはアメリカは戦勝国になり、戦後の華やかなアメリカの文化を象徴するデザインが台頭します。車やファッションシーンにも顕著に表れ奇抜な色や異素材、ユニークなキャラクターがペイントされた物など派手な物が多いです。60年代ではアイビースタイルの台頭でまた違うカルチャーが生まれそれから70年代のヒッピーカルチャーへと繋がっていきます。

個人的には1920年代頃の禁酒法時代から30年代の産業革命が起こり、それまでのヨーロッパの模造からアメリカらしい物が生まれるようになったこの年代の物が一番興味があります。

それぞれの年代でそれぞれの代表的なアイテムが存在することはビンテージ業界の成熟度やビンテージラバーのパッションの結晶だと思います。

前置きが少し長くなりましたが、特に印象に残っているアイテムはリーバイスs501XX(通称 : 大戦モデル)です。これは2019年に奇跡的にまとめて4本買い付けることが出来た個人的なストーリーも含めて印象に残っています。

2019年といえば、皆さんもご経験の通り、その後にコロナが始まりますが当時の世相は外国に行くことなどはかなり厳しい状況で仕事自体も半ば諦めながら模索していました。

そんなその行き場のない時間をどう使おうと考えていた時に、前述で見つかった4本のデニムからそのストーリーと思いを伝え、製品化しようと考えました。

当時3本は既に売却済みで、1本のみ在庫があった大戦モデルを検証する事ができました。そんな当時の大戦モデルを素材レベルから制作したモンタナジーンズは深夜12時からの100本限定販売だったのですがわずか30分で完売したのは未だ僕の脳裏に鮮明に残っていますね。

その時の検証には様々な人たちの力をお借りしました。世界大戦時のみリーバイスはジーンズに使用する部材を物資統制の中から調達しなければいけなく、デニム素材は勿論、リベット迄従来の物と違う物を使用しておりデニムの糸の番手、当時の染色方法、当時の様な織ムラの出るテンションでデニムを織り上げる力織機の存在を調べ上げ一つ一つ積み上げていきました。

最後にはそのDENIMが発見されたモンタナ州の小さな村の廃屋の土壌を調べその成分を使い、当時と同じく制作した鉄製ボタンを腐食させわざと錆を出しそのボタンを使用してリリース致しました。

※詳細は下記の動画からご確認いただけます!

顧客との関係: 「顧客がヴィンテージアイテムに求めるものは何だと思いますか?」

我々の店舗は富山県魚津市と言う4万人強の小さな市にありますがオンラインストアの認知度も高く全国のビンテージラバーの方々と様々な情報交換を行っています。その中で、皆さんがビンテージに求めるものはアートと同じく「唯一無二」と言う価値だと思います。

近年ビンテージのリーバイスジーンズなどは投資目的で購入される方も少なくなく、投資目的で購入する際の指南書までもが販売されています。

アートの様に成熟さや造形はこれからだとは思いますが、この様な事からアート同様希少価値としても認められてきているジャンルではないかと思います。

アートとしてのビンテージ: 「ビンテージデニムや洋服をアート作品として見る場合、どのような視点が重要だと思いますか?」

ビンテージデニムや当時の服には何十年にも渡って世の中に存在した表情を持っています。

例えば今と違いボタン一つとっても黒蝶貝を削り出しボタンとして使用しており当時洋服は今とは違い高級品の代名詞で、制作にもかなり手間暇時間が使われていました。1920年代頃の物であれば、ミシンも未熟でしたので肩口やボタンホールなど手縫いで始末されているものも数多く存在致します。

人により好みはございますが断片的生地の経年やパーツをとってもそこから当時の生活環境や生業としていた仕事の背景までもが想像できます。それぞれのパーツが一つの洋服に凝縮された魅力がビンテージウェアの醍醐味ではないでしょうか。

是非そのようなディテールに注目してみてもらえるとビンテージの奥深さや魅力、面白さがより伝わるのではないかなと思います。


いかがでしたか。

ビンテージ/アンティーク界でも既に大ベテランの域に達している浜田さんの経験からくる言葉は一つ一つに重みがありましたね。

ビンテージものはまさにアートだと感じることができました。

本メディアの読者の皆さんもご興味がありましたら、是非富山県魚津市にあるMATINまでお立ち寄りの上、オーナーの浜田さんとビンテージ談義に花を咲かしてみてはいかがでしょう。店舗にしか置いていない激レアビンテージ商品もあるそうなので、ご興味のある方は是非!



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