マックス・エルンストとは?代表作・技法・生涯をわかりやすく解説

マックス・エルンストとは?代表作・技法・生涯をわかりやすく解説

アートコンサルティング

こんにちは、ユアムーン株式会社 編集部です。

皆さんは、マックス・エルンストというアーティストをご存知でしょうか?

エルンストは第一次世界大戦で砲兵師団の兵士として出兵し、心に深い傷を負うものの、その経験とフロイトの精神分析を応用して、シュルレアリスム作品を多く制作したアーティストです。

今回はそんなエルンストの人生を作品と併せてご紹介していきます!

マックス・エルンスト(Max Ernst、1891年4月2日-1976年4月1日)は、ドイツ出身でのちにフランス・アメリカの国籍も得た画家・彫刻家です。

ケルン・ダダの中心人物として出発し、1922年にパリへ移ってシュルレアリスム運動の創設メンバーの一人となりました。

フロッタージュ・グラッタージュ・デカルコマニーといった独自の技法を発明し、コラージュ小説『百頭女』や、代表作『セレベスの象』(1921年)などで知られています。

マックス・エルンストってどんな人?

マックス・エルンストとは?代表作・技法・生涯をわかりやすく解説
撮影者不明、1968年、オランダ国立公文書館(Anefo)、CC0、Wikimedia Commons

基本情報

本名マクシミリアン・マリア・エルンスト(Maximilian Maria Ernst)
生年月日1891年4月2日
没年月日1976年4月1日(パリ)
出身ドイツ・ブリュール(ケルン近郊)
分野/芸術動向ダダ、シュルレアリスム(絵画・彫刻)
公式サイトhttps://www.max-ernst.com/

生まれと環境

マックス・エルンストは、ドイツのケルン近郊のブリュールにて、厳格なカトリック教の家庭に生まれました。

エルンストの父親フィリップは、ろう学校の教師でアマチュアの画家でもあり、幼少期のエルンストは特に絵画に関する様々なことを父親から学びました。

撮影:Thomas Wolf(Der Wolf im Wald)、2007年7月25日撮影、CC BY-SA 2.5、Wikimedia Commons

1909年、エルンストはボン大学に入学し、哲学を学びますが、彼が精神病院を訪れた際に見た精神病患者の描く芸術作品に魅了され、彼の関心はより芸術に傾き、ボン大学を中退します。

彼は絵画に関係する様々なものに興味を持ち、心理学などにも興味を持ったそうです。

エルンストはこのころから絵を描き始め、自身の肖像画などを制作しました。

初期の作品は表現主義やキュビズムの特徴がみられます。

第一次世界大戦で徴兵される

撮影者不明、1925年頃撮影、『デ・ステイル』誌1926年1月号掲載、パブリックドメイン、Wikimedia Commons

1914年、エルンストはケルンでハンス・アルプに出会いました。

二人はすぐに友達となり、その関係は50年も続くことになります。

同年8月、第一次世界大戦が勃発すると、エルンストは砲兵師団の一員としてドイツ軍に徴兵されます。

この戦争がエルンストに与えた影響はとても大きく、自伝の中で彼は軍隊時代のことをこう語っています。

1914年8月1日、マックス・エルンストは死んだ。彼は1918年11月11日に復活した。

しかし、西部戦線でエルンストは短期間、地図の作成に従事しており、そのおかげで絵を描き続けることができたといいます。

第一次世界大戦では、マッケやフランツ・マルクなどのドイツの表現主義画家が何人も戦死しました。

戦争の経験により、エルンストは現代社会を不合理なものとして捉えるようになり、その思いが彼の後の芸術作品の基礎となります。

夢と幻想に惹かれる

1919年、エルンストはミュンヘンのパウル・クレーを訪れ、ジョルジョ・デ・キリコの絵画に魅了されます。

幼いころからモネ、セザンヌ、ゴッホなどの偉大な画家たちの作品に触れていたエルンストですが、デ・キリコの特徴である、「幻想」や「夢」などといったテーマにも惹かれていきます。

また通信販売の図版カタログやマニュアルなど様々な素材を用いて、コラージュ作品も制作し始めます。

近未来的でユニークな作品は、エルンスト自身の夢と幻想の世界を創り出し、彼のトラウマを癒しました。

同年、エルンストは社会活動家のヨハネス・テオドール・バーゲルドと数人の同僚と共にケルンのダダ・グループを結成し、1920年にかけて『Der Strom』や『die schammade』といった雑誌を出版し、ダダの展覧会を企画しました。

シュルレアリスム運動の始まり

1920年代、心理学者『ジークムント・フロイト』に影響を受けたシュルレアリスム運動が始まると、エルンストは『アンドレ・ブルトン』を中心にシュルレアリストが集結していたパリに移り住み、1923年、エルンストの最初のシュルレアリスム作品である、『Men Shall Know Nothing Of This』を制作します。

エルンストは、フロイトの「夢判断」を応用し、自らの創造性の源を探るため深層心理を研究した最初の芸術家の1人で、彼は自分の内面に目を向けると同時に、夢のイメージに共通する普遍的な無意識を利用しました。

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「フロッタージュ」と「グラッテージ」を発明

エルンストは常に絵画の描画方法を研究しており、遂に1925年、「フロッタージュ」と呼ばれる技法を考案しました。

フロッタージュとは、木や硬貨など、表面に凹凸がある物の上に紙を置き、鉛筆などでこすることにより、下にあるもののテクスチャーを写し取る技法です。

また、彼は絵の具をキャンバスにこすりつけて、下に置かれたもののテクスチャーを写し取る「グラッタージュ」も考案し、彼の作品である『森と鳩』に使用されました。

小さな鳩が、鳩を食い尽くそうとする森の中にいる様子が描かれ、これはエルンストの作品によく登場するモチーフであり、戦後、土地を追われた彼の姿を表現しています。

コラージュ小説と「デカルコマニー」

エルンストは1929年、通信販売カタログや古い小説の挿絵などを切り貼りしたコラージュ小説『百頭女(La Femme 100 Têtes)』を発表しました。147点のコラージュに短い言葉を添えた作品で、20世紀の奇書のひとつとされています。

1934年には同様の手法による『慈善週間(Une semaine de bonté)』を発表しました。

また、ガラス板や紙などに絵の具を挟んで押しつけ、剥がすことで独特の模様を生み出す「デカルコマニー」という技法も用いています。この技法は、1940年から1942年にかけて制作された代表作『雨後のヨーロッパ(Europe After the Rain II)』(ワズワース・アテネウム美術館所蔵)などに使われました。

鳥への関心

先ほど紹介したように、エルンストは鳥への関心が高く、作品に多々登場します。

その要因としてエルンストの幼少期には、彼が飼っていたお気に入りのペットの鳥「Loplop」がエルンストの妹が生まれた瞬間に死亡するという出来事がありました。

その後エルンストは鳥を「死の前兆」と見なすようになりました。

通常、芸術における鳥は「自由」、「希望」、「平和」を象徴していることが多く、エルンストの解釈とは真逆の位置に存在します。

最終的にエルンストは、この二つの意味を混同しエルンストの分身として「Loplop」が彼の作品の至る所に登場するようになります。

第二次世界大戦とその後

1939年の第二次世界大戦勃発時、エルンストは仲間のシュルレアリスト『ハンス・ベルメール』とともに、「望ましくない外国人」としてキャンプ・デ・ミルというフランスの強制収容所に抑留されます。

数週間後に釈放されたエルンストは、ドイツ占領直後に再度抑留されることになりますが、様々な人物の力を借り、何とか脱出し、恋人であるレオノーラ・キャリントンを残し、アメリカへ逃亡します。

その後エルンストは、戦争から逃れてニューヨークに住んでいた、『マルセル・デュシャン』、『マルク・シャガール』とともにアメリカの抽象表現主義の発展に貢献しました。

渡米後の1941年末、エルンストは画商・コレクターのペギー・グッゲンハイムと結婚しましたが、1946年に離婚しています。同年10月、画家のドロテア・タニングと再婚しました。

1953年にフランスへ戻り、1954年のヴェネツィア・ビエンナーレでは絵画部門の大賞を受賞しています。その後も制作を続け、1976年4月1日、パリで死去しました。

エルンストの作品

マックス・エルンストの代表作

作品名制作年所蔵先
セレベスの象(The Elephant Celebes)1921年テート・モダン(ロンドン)
Men Shall Know Nothing of This1923年テート(イギリス)
ウブ・アンペラトール(Ubu Imperator)1923年ポンピドゥー・センター(パリ)
百頭女(コラージュ小説)1929年–
慈善週間(コラージュ小説)1934年–
雨後のヨーロッパ(Europe After the Rain II)1940〜1942年ワズワース・アテネウム美術館(ハートフォード)

※制作年・所蔵先は各美術館の公開情報・Wikipedia等で確認できたものを掲載しています。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回は軍人時代に、大きなトラウマを背負ったものの、深層心理や無意識のイメージを研究し、辛い経験を作品へと昇華させたシュルレアリスト、マックス・エルンストについてご紹介させていただきました。

マックス・エルンストに興味を持った人は、さらに調べてみてはいかがでしょうか?

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