【徹底解説】ポーラ・シェアってどんな人?経歴と作品を追う

【徹底解説】ポーラ・シェアってどんな人?経歴と作品を追う
出典:Paula Scher, WIKIMEDIA, https://commons.wikimedia.org/

こんにちは、ユアムーン株式会社 編集部です。

皆さんは、ポーラ・シェアという人物をご存知でしょうか?

シェアはPentagramに所属し、Pentagram初の女性プリンシパルとなった、とても著名なグラフィックデザイナーで、「世界で最も影響力のあるグラフィックデザイナーの1人」とも言われています。

今回はそんなシェアの経歴を作品とともにご紹介していきます!

ポーラ・シェアってどんな人?

出典:Paula Scher, WIKIMEDIA, https://commons.wikimedia.org/

基本情報

本名 ポーラ・シェア(Paula Scher)
生年月日 1948年10月6日
出身 アメリカ バージニア州
学歴 タイラー美術学校
職種 グラフィックデザイナー
受賞歴
  • 1998年: アートディレクターズクラブ 殿堂入り
  • 2000年: クライスラー デザイン賞
  • 2001年: AIGAメダル
  • 2006年: タイプディレクターズクラブ メダル
  • 2012年: デザインコラボレーションアワード
  • 2013年: ナショナルデザインアワード
  • 2022年: D&AD 特別社長賞
公式/関連サイト https://www.pentagram.com/

作品と経歴

生まれと環境

シェアはバージニア州で生まれ、フィラデルフィアとワシントンで育ちました。

彼女の父親は米国地質調査所の写真測量技術者であり、「ステレオテンプレート」と呼ばれる航空写真の歪みのない撮影を可能にする装置を発明した人物でした。

一方シェアは子供のころから自分の部屋で絵を描くのが好きで、1人の時間を多く過ごしていました。

これらの父親の仕事の影響や、子供のころから絵を描いてきたことが、現在シェアがカラフルなタイポグラフィで構成した地図を描き続けていることにつながり、彼女は絵を描くことで、日常生活から逃れ、満足感を得ているようです。

 

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シェアが、タイラー美術学校に通いたいという意思を両親に示すと、父親からは反対され、母親は懐疑的になり、デザインの仕事がうまくいかなかったときのために、教員免許を取得させました。

そして彼女がニューヨークでプロのデザイナーになるという計画を伝えた時、母親から「才能が必要なのだから、そんなことはやめなさい。」と言われますが、彼女はこの言葉を無視して素晴らしいデザイナーになっていきます。

デザイナーキャリアのスタート

1970年に美術学士号を取得したシェアはニューヨーク市に移り、「ランダムハウス」と呼ばれるアメリカ大手出版社の児童書部門で働き始めます。

その後、彼女はアメリカのレコードレーベルである「CBSレコード」の広告、プロモーション部で働き、更に2年後、CBSレコードの競合他社である「Atlantic Records」にアートディレクターとして働きました。

Atlantic Recordsでアルバムのカバーデザインの経験を積んだシェアは、CBSレコードに戻り、8年間働きます。

1982年、CBSレコードを退職したシェアは1984年に『テリー・コッペル』と共に『コッペル&シェア(Koppel & Scher)』というデザインスタジオを設立し、7年間ブックカバーデザイン、パッケージデザイン、広告などを制作しました。

Pentagramに入社

1990年代初頭の不況に煽られ、シェアは自身のスタジオを手放し、1991年にPentagramのニューヨークオフィスにパートナーとして入社します。

Pentagramでは、これまでの小さなスタジオでは通常来ないようなクライアントやプロジェクトに携われるようになり、シェアはその中でタイポグラフィの機知や概念的な解決方法のコツを磨き上げました。

その後、彼女はPentagram初の女性プリンシパルの地位にまで昇りつめます。

さて、これからは彼女が携わった有名なロゴデザインに焦点を当てて、ご紹介していきます。

The Public Theater NYC

出典:Living, Breathing Brand Identities with Paula Scher | Adobe Creative Cloud, youtube, https://youtu.be/HUx-bmZQsS8?t=3212

1994年にシェアはパブリックシアターのアイデンティティ、グラフィックスタイル、資料の更新プロジェクトに取り組みました。

当時、アメリカの劇場は一般家庭や低所得者には堅苦しい、近寄りがたいと思われがちで、またヨーロッパ文化以外がテーマのショーやパフォーマンスが少なく、文化的な溝が存在しました。

パブリックシアターはこの溝を埋めて、あらゆる層の新しい顧客を獲得し、より幅広い客にアピールするユニークで革新的なショーを提供したいと考えました。

そこでシェアはモダンでストリートなスタイルのロゴを作り出しました。

色は赤の原色と黒で構成されミニマルで大胆に、そして文字の大きさや太さを変えることによって情報の階層を表現しています。

また「PUBLIC」という言葉を強調したデザインにすることで、一般の人々にとって手頃で便利な劇場であることを示しました。

citi bank

出典:Citi Private Bank, WIKIMEDIA, https://commons.wikimedia.org/

世界最大の金融機関の1つであるシティバンクは、1998年にトラベラーズ保険グループと合併することになり新しいビジュアルアイデンティティの作成に取り組みました。

トラベラーズグループには、「保護」と「セキュリティ」を象徴する赤い傘という広く知られたロゴが既にありました。

そこでシェアは「citi」の最初の「i」から最後の「i」の上に赤いアーチを配置し、「t」を傘の柄に見立てることでトラベラーズグループの「赤い傘」を表現しました。

また赤いアーチは、2つの大企業のつながりと合併、過去から未来への結束と動きを表現しています。

そして、白、赤、青を基調としたこのロゴは、金融機関の信頼性、専門性、忠誠心を表しており、銀行の顧客に自信と快適さを感じてもらうことを狙いとしています。

Windows 8

出典:Windows 8, WIKIMEDIA, https://commons.wikimedia.org/

MicrosoftのOSであるWindowsという名称は画面やシステムを見通すことの比喩であり、テクノロジーに対する新しい見方として導入されたものでした。


出典:Microsoft Windows Logo, WIKIMEDIA, https://commons.wikimedia.org/


MicrosoftはWindowsのロゴをPCの性能向上により高精細画像で表示できるようになるのに合わせて、そのグラフィック性能をアピールするために立体的なものに進化させてきましたが、その結果、Windows(窓)を表していたロゴが、旗のようになってしまったといいます。


出典:Windows Phone 7 Logo, WIKIMEDIA, https://commons.wikimedia.org/


そこで、Microsoftは「Windows Phone 7」からMetroスタイルを導入しています。

Metroはスイススタイルのデザイン原則に基づき、クリーンな線、図形、タイポグラフィ、大胆でフラットな色を採用し、グラデーションやエフェクトを使って物質的・立体的に見せてはいけないというものでした。

彼女はWindowsの名称の意味とMetroスタイルを適用した、視覚的な「遠近法」を用いて立体感を表現したロゴデザインを提案しました。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回は、Pentagam初の女性プリンシパルになり、教育者としても活躍するポーラ・シェアについてご紹介させていただきました。

シェアは、「Abstract: The Art of Design」という著名なデザイナーに焦点を当てたNetflixオリジナルのドキュメンタリー動画に出演しており、現在YoutubeのNetflixの公式アカウントからフル動画が公開されており、Netflixに登録していない人でも無料で視聴することができるようになっています。

また翻訳されているので、内容がとても理解しやすくなっています。

Abstract: The Art of Design | Paula Scher: Graphic Design | FULL EPISODE | Netflix

またTED Talksでもシェアの講演動画があり、こちらはTED Talksサイトの「Read transcript」ボタンを押下すると、翻訳された文章が表示されます。

PAULA SCHER 本気になる

ポーラ・シェアについて興味を持った方はこれらの動画を見てみると、彼女のデザインに対する考え方や、人柄などがよくわかるので、是非視聴をおすすめします!



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