皆さんは『ガラスの動物園』や『欲望という名の電車』という戯曲はご存知ですか?
どちらもアメリカ文学の名作とされ、何度も映画化や舞台化されている作品です。日本でも蜷川幸雄さんが演出したり、大竹しのぶさんが出演したりするなどして注目を集めました。
今回はそんな名作を数多く生み出した劇作家、テネシー・ウィリアムズについてご紹介いたします。
たまには小説ではなく、戯曲の名作を読んでみませんか?
テネシー・ウィリアムズ(本名トーマス・ラニア・ウィリアムズ3世、1911〜1983年)は、『ガラスの動物園』『欲望という名の電車』などで知られるアメリカの劇作家です。
『欲望という名の電車』(1948年)と『熱いトタン屋根の猫』(1955年)で2度ピューリッツァー賞を受賞し、20世紀アメリカ演劇を代表する存在となりました。
本記事では、生い立ちから代表作のあらすじ、日本での上演、晩年までをまとめてご紹介します。
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Toggleテネシー・ウィリアムズとは?
プロフィール
| 本名 | トーマス・ラニア・ウィリアムズ3世(Thomas Lanier Williams III) |
| 生年月日 | 1911年3月26日 |
| 没年月日 | 1983年2月25日(71歳) |
| 出身地 | アメリカ合衆国ミシシッピ州コロンバス |
| 没地 | アメリカ合衆国ニューヨーク市(ホテル・エリゼ) |
| 国籍 | アメリカ合衆国 |
| 職業 | 劇作家・詩人・小説家 |
| 主な受賞 | ピューリッツァー賞戯曲部門(1948年・1955年)、トニー賞最優秀戯曲賞(1951年)、大統領自由勲章(1980年) |
<本名>
トーマス・ラニア・ウィリアムズ3世(Thomas Lanier Williams III)
<国籍>
アメリカ合衆国
<人生>
1911年3月26日、アメリカ合衆国ミシシッピ州コロンバス生まれ。父は靴のセールスマンをしており、幼少期は牧師をしていた祖父の牧師館で育てられた。父は暴力的な人間で、両親の間は夫婦喧嘩が絶えなかったという。8歳の頃、父の仕事でミズーリ州セントルイスに引っ越ししたが新しい環境に馴染めず、友人もおらず孤独な日々を送ることになる。この環境に対する煩悶とした想いがのちに作品に反映されている。
1929年にミズーリ大学ジャーナリズム学科に進学したが、1931年に成績不振(ROTCの成績不振とされる)を理由に父の意向で中退した。父同様靴会社に就職し、多忙により身体を壊すまで3年間働く。1936年にワシントン大学へ行き演劇活動に没頭するようになるが中退。3つ目の大学であるアイオワ大学に編入し、執筆活動に本腰を入れ始めた。姉のローズは、ウィリアムズが大学を卒業して劇作家としての活動を始めた後の1943年、統合失調症のためロボトミー手術を母の判断で受けさせられ、ウィリアムズは生涯その傷を抱き続けることになる。
1938年に大学を卒業後、執筆活動を続けながら放浪生活を送り、1940年に『天使たちのたたかい』(後に『地獄のオルフェ』として改作)という作品がプロの劇団に上演される。1944年、ハリウッドでシナリオライターをしていた頃に書いた『ガラスの動物園』がシカゴで上演され注目を集め、1945年にブロードウェーに進出。その後、1947年初演の『欲望という名の電車』で1948年に、1955年の『やけたトタン屋根の上の猫』で同年にピューリッツァー賞を受賞し、アメリカを代表する劇作家としての地位を確立した。
テネシー・ウィリアムズ年表
| 1911年 | ミシシッピ州コロンバスで誕生 |
| 1918年(8歳) | 父の転勤でミズーリ州セントルイスへ移住 |
| 1929年 | ミズーリ大学に進学 |
| 1931年 | ミズーリ大学を中退、靴会社に就職 |
| 1936年 | ワシントン大学に進学 |
| 1937年 | アイオワ大学に編入 |
| 1938年 | アイオワ大学卒業 |
| 1940年 | 『天使たちのたたかい』上演 |
| 1943年 | 姉ローズが統合失調症のためロボトミー手術を受ける |
| 1944年 | 『ガラスの動物園』シカゴ初演 |
| 1945年 | 『ガラスの動物園』ブロードウェー進出 |
| 1947年 | 『欲望という名の電車』ブロードウェー初演 |
| 1948年 | 『欲望という名の電車』でピューリッツァー賞受賞 |
| 1951年 | 『薔薇の刺青』でトニー賞最優秀戯曲賞受賞 |
| 1955年 | 『熱いトタン屋根の猫』でピューリッツァー賞受賞 |
| 1961年 | 『イグアナの夜』ブロードウェー初演 |
| 1963年 | 長年のパートナー、フランク・メルロ死去 |
| 1975年 | 回想録『Memoirs』刊行 |
| 1980年 | 大統領自由勲章を受章 |
| 1983年 | ニューヨークのホテル・エリゼで死去(71歳) |

テネシー・ウィリアムズの作品
押さえておきたいテネシー・ウィリアムズの作品をご紹介いたします。
代表作一覧
| 作品名 | 初演年 | 受賞・映画化など |
| ガラスの動物園 | 1944年(シカゴ)/1945年(ブロードウェー) | 自伝的作品とされる |
| 欲望という名の電車 | 1947年(ブロードウェー) | 1948年ピューリッツァー賞。1951年映画化(エリア・カザン監督、マーロン・ブランド、ヴィヴィアン・リー主演) |
| 夏と煙 | 1948年 | |
| 薔薇の刺青 | 1951年(ブロードウェー) | 1951年トニー賞最優秀戯曲賞 |
| 熱いトタン屋根の猫 | 1955年(ブロードウェー) | 1955年ピューリッツァー賞 |
| 去年の夏 突然に | 1958年(オフ・ブロードウェー) | |
| 青春の甘き小鳥 | 1959年(ブロードウェー) | |
| イグアナの夜 | 1961年(ブロードウェー) |
ガラスの動物園
<主な登場人物>
・アマンダ・ウィングフィールド…過去の幻想に囚われた女。
・ローラ・ウィングフィールド…アマンダの娘。足が不自由でそれがコンプレックスになっている。
・トム・ウィングフィールド…この戯曲の語り手。
・ジム・オコナー…トムの同僚
<あらすじ>
1930年代のセントルイスを舞台に、トムの追憶として物語は進んでいく。
大恐慌の中、路地裏のアパートに住むウィングフィールド一家。ローラの母であるアマンダは過去の思い出の中で生き、ローラにも過度な期待を寄せている。一方ローラは内気でガラス細工の動物を大事にしていた。同じくアマンダの息子、トムは母にいちいち生き方に口を出されることに対する憤りと、現在の生活の閉塞感から逃れたいという思いを抱いている。
ある時、トムは内気すぎるローラを心配したアマンダから、同僚のジムを連れてくるように頼まれる。だが実はジムはローラがハイスクール時代に片思いしていた相手だった。久しぶりにあったジムに次第に心惹かれていくローラだったがジムには婚約者がおり…。
1944年執筆、1945年3月にブロードウェーで上演され、1946年8月までに561回公演されるロングランヒットとなりました。
テネシー・ウィリアムズの自伝的作品とされ、現在にいたるまで米文学の最高峰とも言われています。
欲望という名の電車
<主な登場人物>
・ブランチ・デュボア…若い未亡人。大地主の令嬢だった。
・スタンリー・コワルスキー…元兵隊で現在は工場労働者。
・ステラ・コワルスキー…ブランチの妹。妊娠している。
・ハロルド・ミッチェル…スタンリーの同僚。
<あらすじ>
舞台はニューオーリンズ。かつて南部の名門の令嬢でありながら現在は貧しい女教師をしているブランチ・デュボアは、工場労働者のスタンリー・コワルスキーと結婚し妊娠もしている妹のステラのもとを訪ねる。しかし、粗暴なスタンリーとお嬢様気質のブランチは反りが合わず、幾度も衝突するように。
そんな中、ブランチはスタンリーの同僚のミッチと恋に落ち、結婚して再起を図る。が、スタンリーによって過去の男関係についてをミッチに洗いざらい暴露され、ブランチはミッチに罵倒され捨てられてしまう…。

作風と主題
テネシー・ウィリアムズの作品の多くは、アメリカ南部を舞台に、没落していく名家や孤独な登場人物を描く点に特徴があります。幼少期をミシシッピ州やミズーリ州で過ごした体験、父との確執、姉ローズの病と手術といった自身の家族を巡る出来事が、繰り返し作品のモチーフになっています。
現実から逃れようとする幻想や、家族の中の抑圧・孤独が重要なテーマとして描かれる作品が多く、こうした作風は「南部ゴシック」と呼ばれる潮流の代表例として位置づけられています。
1947年、ブロードウェーで初演。同性愛、少年愛、レイプといった、当時はかなり衝撃的であった内容を書き切っています。
日本での上演
『欲望という名の電車』は、1953年に文学座が日本初演を行い、杉村春子がブランチ役、北村和夫がスタンリー役を務めました。以来、文学座の代表的な演目として繰り返し上演されています。
現在も日本を始め、世界各国で上演され続けている名作中の名作です。
よくある質問
テネシー・ウィリアムズの死因は?
1983年2月25日、ニューヨークのホテル・エリゼで71歳で死去しました。当初はニューヨーク市検視局により、目薬または点鼻薬のボトルキャップを誤って喉に詰まらせた窒息死と発表されましたが、その後の検視当局の見解では、鎮静剤(セコバルビタール)の影響下にあったことも確認されたと報じられています。
まとめ
ウィリアム・シェイクスピアに続き、今回はアメリカを代表する劇作家、テネシー・ウィリアムズについてご紹介いたしました。
上記2作品が必ず押さえておきたいですが、他にも『地獄のオルフェウス』や『熱いトタン屋根の猫』など有名な作品があります。興味が湧いたらぜひ挑戦して見てくださいね!
戯曲には小説にはない魅力がたくさん詰まっています。これからも数多くの名作を生み出した劇作家たちをご紹介していくので楽しみにしていてください!






