「デザインって感覚的にやっているんでしょ?」
「デザインって何かかっこいいものでしょ?」
「デザインってセンスと才能だよね」
皆さんはデザインに対してこんなことを思ったことはありますか。”デザイン”という概念がなかなか理解されていない日本社会では、意外と誤った認識を持っている方も多いのではないでしょうか。(私もその一人でした(笑)。)
そもそもデザインがなぜこのような誤った認識となっているのかは、遡ること明治時代に・・・
その話は別の本とともに紹介しますね!
今回紹介する本、「デザイン思考が世界を変える」は、世界的に有名なデザインスタジオの一つである「IDEO」の創始者であるティム・ブラウンにより書かれた本です。
デザインとは何か、その本質を様々な仕事の中の事例と共に紹介しています。私たちの身の回りの出来事と深いかかわりのある事例が多くあり、どんな方でも楽しくデザインを知ることが出来る1冊です。
出来れば全部紹介したいところですが、記事の長さもありますので、冒頭の一部を簡単に紹介したいと思います。
日本語版、英語版の2種類があります。日本語版でも十分楽しめますが、英語ができる方は英語版をお勧めします!
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デザイン思考が世界を変える〔アップデート版〕 イノベーションを導く新しい考え方 | |
Change by Design, Revised and Updated: How Design Thinking Transforms Organizations and Inspires Innovation (English Edition) |
デザイン思考は世界を変える
デザイナーの道具!「デザイン思考」
皆さんはデザイン思考という言葉を聞いたことはありますか?つい最近では、富士通が社員全員にデザイン思考を導入するというニュースが流れていました。
なぜ、今、様々なビジネスフレームワークが出ているにも関わらず、デザイン思考を導入しなくてはならないのでしょうか。
デザイン思考というのは、一言で言ってしまえば”イノベーションに対する新しいアプローチ”です。
このアプローチの起源は、イギリスの産業革命の時代にまで遡ります。産業革命により大量生産が可能となった当時、デザイナー(職人や芸術家など)たちは新たな製品デザインの方法を模索する必要がありました。人の手で一つ一つモノを作るプロセスと、機械で効率よくモノを作るプロセスでは、考慮しなければならないことがあまりにも異なります。
1851年第1回ロンドン万博において、量産された製品の展示が行われましたが、そのほとんどは失敗と言えるものでした。非常に粗悪なものが多く、人間生活にそぐわない製品が多く出てきてしまったためです。
こうした失敗を背景に、デザイナーたちは製品をデザインする中で、「思索し、試作する力」培っていきます。そして、社会や生活の課題を解決する、人々のニーズを満たすような製品を開発してきました。
デザイン思考を導入することで、この過去100年にわたり培われたナレッジ、特に「思索し、試作する力」をデザイナーではない人たちに提供し、より幅広い問題に対してイノベーションを起こそうとしているのです。
プロトタイピングの重要性
この本において、何度も述べられているキーワードの一つに「プロトタイプ」があります。
”優秀なデザイナーはプロジェクト初日でプロトタイプを作る”とまで述べており、デザイン思考の中核をなす要素の一つです。では、なぜそれほどプロトタイプが重要なのでしょうか。ざっくりお話ししてみたいと思います。
プロトタイプの重要性は、実は産業革命のころに指摘されていました。この流れが、デザイン思考でも生かされています。
プロトタイプとは思考の探求のプロセスで、その過程の中で予期せぬ発見をすることが出来ます。その発見は当初考えていたものを大きく変えてしまうこともあります。
ここで、新しい発見があったときに、当初の計画にこだわってはいけません。むしろその発見を大切にし、改善を重ねていくことで、競合他社が簡単に模倣できないような成果を作り出すことが出来ます。
プロトタイプとは、単純な試作をし改善をするプロセスではなく、新たな発見をする過程なのです。
実はみんなデザイナー
この本に書かれている「デザイン」という言葉は、単に表面に見えてくるものを指しているのではなくより根本的な部分、つまりデザインの思想に関わる部分を指しています。
この考え方に基づくと、私たちの身近な人たちが実は”デザイナー”であることに気づきます。
最近、私が気になっているのが、すし職人です。すし職人は、お客さんがどのような寿司を食べたいかを考え、思索・試作を繰り返し、寿司を握ります。
魚の鮮度やその年の米の水分量、食事を出す順番やそこに込めるストーリーなど、寿司は創造的領域を多く含みます。お客さんが店に入ってから最初に見るものから食事の中で話す会話など、すべての要素に気を付けなくてはなりません。
寿司職人は、お客さんが寿司食べるだけでなく、寿司を食べに行くという行為そのものをデザインしていると捉えることが出来ます。(先ほど述べた表面に見えてくるものは、ここでは”寿司”に対応するでしょう。)
もちろん、彼ら寿司職人は自分たちがデザイナーであるとは自覚していないでしょう。しかし、寿司職人は明らかにこの書籍に書かれるデザイン思考家にあたるのではないでしょうか。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は「デザイン思考が世界を変える」を紹介しました。この本は、デザインがかかわる領域の広さやそもそもの思想的部分に関わるもので、「デザイン」に対する考え方を大きく変える1冊になると思います。
Euphoric””では、今後も数多くのアーティストをご紹介していくだけではなく、弊社デザイナーが使っているAdobeソフトのイラレやフォトショのチュートリアル、3Dプリンターの解説などを記事にしています。
是非、そちらの記事も見てみてくださいね!
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