こんにちは。ユアムーン株式会社 編集部です。
皆さんはポン・ジュノという人物をご存知ですか?
ポン・ジュノ(Bong Joon-ho)は、韓国の映画監督・脚本家です。『殺人の追憶』『グエムル -漢江の怪物-』『母なる証明』など、ジャンルを大胆に混ぜ合わせながら社会の姿を映し出す作品で知られ、2019年の『パラサイト 半地下の家族』では、カンヌ国際映画祭の最高賞パルム・ドールと、アカデミー賞の作品賞・監督賞・脚本賞・国際長編映画賞を受けました。
韓国映画『パラサイト 半地下の家族』や『殺人の追憶』などでメガホンを取った監督が、このポン・ジュノです。
本記事ではそんなポン・ジュノの人生と作品についてご紹介します。受賞歴は映画祭とアカデミー賞の公式記録で、邦題は日本の配給会社の公式サイトで確認したものだけを、表と図解にまとめています。
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Toggleポン・ジュノって?
ポン・ジュノは、1969年9月14日に韓国の大邱(テグ)で生まれた映画監督です。ソウルの延世(ヨンセ)大学で社会学を学んだのち、韓国映画アカデミーで映画づくりを学び、2000年に長編映画の監督としてデビューしました。
ブリタニカ百科事典は、ポン・ジュノを「緻密な演出、社会への批評、ジャンルの混合、そして作品の中での急な雰囲気の転換」で知られる映画作家と紹介しています。監督作の多くで、脚本も自ら共同で書いています。
日本語では「ポン・ジュノ」と書くのが一般的ですが、「ボン・ジュノ」「ボンジュンホ」と表記されることもあります。いずれも同じ人物を指しています。
基本情報
| 本名 | ポン・ジュノ(봉준호/奉俊昊、Bong Joon-ho) |
| 生年月日 | 1969年9月14日 |
| 国籍・出身 | 韓国。大邱(テグ)生まれ |
| 学歴 | 延世大学 社会学科卒業(1993年)、韓国映画アカデミー |
| 分野 | 映画監督、脚本家 |
| 代表作 | 『殺人の追憶』(2003年)、『グエムル -漢江の怪物-』(2006年)、『母なる証明』(2009年)、『スノーピアサー』(2013年)、『パラサイト 半地下の家族』(2019年)、『ミッキー17』(2025年) |
| 主な受賞 | カンヌ国際映画祭 パルム・ドール(2019年)、アカデミー賞 作品賞・監督賞・脚本賞・国際長編映画賞(2020年)、ゴールデングローブ賞 非英語映画賞(2020年) |

経歴と作品
大邱からソウルへ 社会学と映画アカデミー(1969〜1990年代)
ブリタニカ百科事典によると、ポン・ジュノは4人きょうだいの末っ子として生まれました。父親はグラフィックデザイナーで、美術の教師でもありました。小学生のころに家族とともに大邱からソウルへ移り、中学・高校の時期に映画への関心を深めていきます。
延世大学では社会学を専攻し、学内の新聞に漫画を描いていました。2年間の兵役を経て、1993年に大学を卒業します。その後、韓国映画アカデミーに入り、映画づくりのあらゆる工程を経験しました。アカデミーを出てからの数年間は、ほかの監督の作品に、主に脚本の面で関わっています。
日本の配給会社ビターズ・エンドが『パラサイト 半地下の家族』の公式サイトに載せているプロフィールも、「延世大学社会学科卒業後、韓国映画アカデミーで映画制作を学ぶ」と記しています。社会学という出発点は、のちに格差や社会の仕組みを描く作品群へとつながっていきます。
長編デビュー『ほえる犬は噛まない』(2000年)
『ほえる犬は噛まない』(2000年)
2000年、ポン・ジュノは長編第1作『ほえる犬は噛まない』(原題:플란다스의 개、Barking Dogs Never Bite)を監督しました。ブリタニカ百科事典によると、近所の犬の鳴き声に悩まされ、追い詰められていく大学の講師を描いた作品です。以後の多くの作品と同じく、脚本も共同で書いています。
主演はペ・ドゥナです。ビターズ・エンドの公式サイトは、この作品をペ・ドゥナの初主演作として紹介しています。ブリタニカ百科事典は、公開当時は好意的な批評を受けたものの、あまり注目されなかったと書いています。
『殺人の追憶』と『グエムル』で国内外へ(2003〜2006年)
『殺人の追憶』(2003年)
長編第2作『殺人の追憶』(原題:살인의 추억、Memories of Murder)は、1980年代半ばに実際に起きた未解決事件を題材にした舞台劇をもとにしています(ブリタニカ百科事典)。ビターズ・エンドのプロフィールによると、韓国で520万人を超える観客を動員する大ヒットとなり、「完璧と評される構成力」が絶賛されました。ブリタニカ百科事典も、韓国のいくつもの映画賞で受賞したと伝えています。
実際の事件を題材にした作品ですが、本記事では事件そのものの内容には立ち入らず、作品としての評価だけを紹介します。主演はソン・ガンホです。ビターズ・エンドの公式サイトによると、ソン・ガンホは『殺人の追憶』をはじめポン・ジュノ作品に出演を重ね、『パラサイト 半地下の家族』が4度目の組み合わせになりました。
同じ時期、ポン・ジュノはオムニバス映画にも参加しました。ブリタニカ百科事典によると、2004年の『Digital Short Films by Three Filmmakers 2004』では、すべてを防犯カメラの映像だけで撮った短編のモキュメンタリー(記録映像の形をとったフィクション)をつくっています。
『グエムル -漢江の怪物-』(2006年)
『グエムル -漢江の怪物-』(原題:괴물、The Host)は、ソウルを流れる漢江(ハンガン)に現れた怪物と、娘を奪われた一家の奮闘を描いた作品です。ブリタニカ百科事典によると、韓国の興行記録を塗り替え、カンヌ国際映画祭でも高く評価されました。
ビターズ・エンドのプロフィールは、観客動員が1,240万人を超え、当時の韓国で歴代1位の大ヒットになったと記しています。怪物映画という娯楽の形をとりながら、家族の物語や社会への視線を重ねていく作り方は、この後のポン・ジュノ作品の特徴になっていきます。

東京で撮った短編と『母なる証明』(2008〜2009年)
『TOKYO!』より「シェイキング東京」(2008年)
ポン・ジュノが初めて国外で監督したのは、東京を舞台にしたオムニバス映画『TOKYO!』です。ビターズ・エンドのプロフィールによると、ミシェル・ゴンドリー、レオス・カラックスとともに参加し、3つの物語のうちの1編「シェイキング東京」を、香川照之を主演に迎えて東京で撮影しました。日本でも大きな話題になった作品です。
『母なる証明』(2009年)
『母なる証明』(原題:마더、Mother)は、息子にかけられた容疑を晴らそうと、ひとりで真相に迫っていく母親の姿を描いた作品です。ブリタニカ百科事典、ビターズ・エンドのプロフィールがともにこの筋立てを紹介しています。
ビターズ・エンドによると、この作品はカンヌ国際映画祭などで高い評価を受け、国内外で20を超える賞を受賞しました。同社はこの作品で、ポン・ジュノが「名実ともに韓国を代表する若き巨匠」としての地位を確立したと書いています。日本ではビターズ・エンドが配給し、公式サイトを公開しました。
英語作品への挑戦 『スノーピアサー』と『オクジャ』(2013〜2017年)
『スノーピアサー』(2013年)
『スノーピアサー』(Snowpiercer)は、ポン・ジュノにとって初めての英語の長編映画です。原作はフランスのグラフィック・ノベル(漫画)で、ブリタニカ百科事典によると、気候の大災害を生き延びたわずかな人々が、巨大な列車の中で社会階層ごとに分かれて暮らすという設定のSF作品です。
出演者には、アメリカのクリス・エヴァンス、エド・ハリス、オクタヴィア・スペンサー、イギリスのティルダ・スウィントン、ジョン・ハートと、ポン・ジュノ作品でおなじみの韓国の俳優たちが並びました。ブリタニカ百科事典は、この作品が世界中で多くの観客を集め、批評家からも称賛されたと伝えています。のちに、アメリカでテレビシリーズ(2020〜2024年)にもなりました。
『オクジャ/okja』(2017年)
Netflixのオリジナル映画として製作された『オクジャ/okja』(Okja)は、遺伝子操作で生まれた巨大な豚と少女の絆を描いた作品です。ブリタニカ百科事典は、ポン・ジュノがこの作品で環境保護と動物の権利という主題に取り組んだと説明しています。
この作品はカンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品されました(ブリタニカ百科事典、ビターズ・エンドのプロフィール)。上の写真は、2025年にロサンゼルスで行われたこの作品のトークイベントで撮影されたものです。
『パラサイト 半地下の家族』とパルム・ドール(2019年)
『パラサイト 半地下の家族』(2019年)
『パラサイト 半地下の家族』(原題:기생충、Parasite)は、ポン・ジュノの長編7作目で、『母なる証明』以来10年ぶりの韓国映画です(ビターズ・エンドの公式サイト)。
物語の主人公は、半地下の住宅で暮らす、全員が失業中のキム一家です。長男ギウが友人の紹介で、IT企業を経営するパク社長一家の豪邸に家庭教師として通い始めたことから、ふたつの家族の関係が思いもよらない方向へ動き出します。カンヌ国際映画祭の公式ページは、上映時間を132分と記しています。
ブリタニカ百科事典は、この作品を、貧しい一家が使用人として裕福な一家に入り込んでいく物語を通して、社会的・経済的な格差の残酷さを描いたブラックコメディと紹介しています。ビターズ・エンドの公式サイトによると、生活感のある半地下の家も、洗練された豪邸も、周囲の街並みも、「道以外すべてセット」という大規模なオープンセットで撮影されました。
同じ公式サイトには、監督自身がこの作品について語った言葉も載っています。ポン・ジュノは、異なる環境に身を置く人々が同じ空間で暮らすことの難しさに触れたうえで、追い詰められた家族を誰が「寄生虫」と呼べるだろうかと問いかけています。そして、この映画を「道化師のいないコメディ」「悪役のいない悲劇」と表現しました。
題名の「パラサイト(寄生虫)」という強い言葉とは裏腹に、監督は登場人物を「私たちの隣人で、友人で、そして同僚だった」普通の人々として描こうとしています。笑える場面と胸が苦しくなる場面が同じ作品の中にあるのは、この考え方から来ていると読むことができます。
2019年5月、この作品はカンヌ国際映画祭で最高賞のパルム・ドールを受賞しました。カンヌ国際映画祭の公式ページにも「Palme d’or, 2019」と記録されています。ビターズ・エンドによると、審査員の満場一致での受賞で、韓国映画として初めてのパルム・ドールでした。次の映像は、受賞後に行われたカンヌ国際映画祭の公式記者会見です。
アカデミー賞4部門の受賞(2020年)
『パラサイト 半地下の家族』は、翌2020年の第92回アカデミー賞で、作品賞・監督賞・脚本賞・国際長編映画賞の4部門を受賞しました。アカデミー賞の公式記録によると、受賞者は次のとおりです。編集賞と美術賞にもノミネートされていました。
| 部門 | 受賞者(公式記録の表記) |
|---|---|
| 作品賞 | クァク・シネ、ポン・ジュノ(製作) |
| 監督賞 | ポン・ジュノ |
| 脚本賞 | 脚本:ポン・ジュノ、ハン・ジンウォン/原案:ポン・ジュノ |
| 国際長編映画賞 | 韓国 |
※ アカデミー賞公式サイト(第92回)の受賞者一覧による。
ブリタニカ百科事典によると、『パラサイト 半地下の家族』は英語以外の言語の映画として初めてアカデミー賞作品賞を受けた作品です。同じ年のゴールデングローブ賞でも、ゴールデングローブ賞の公式サイトによると非英語映画賞(当時の名称は外国語映画賞)を受賞し、監督賞と脚本賞にノミネートされました。

カンヌのパルム・ドールとアカデミー賞作品賞は、それぞれ映画の世界で最も知られた賞のひとつです。ひとつの作品が両方を受けたことは、ポン・ジュノの名前を、それまで韓国映画を見てこなかった人々にも届ける大きなきっかけになったと考えます。
『ミッキー17』とその後(2025年〜)
『ミッキー17』(2025年)
『パラサイト 半地下の家族』の次に発表したのが、3本目の英語の長編『ミッキー17』(Mickey 17)です。ブリタニカ百科事典によると、ロバート・パティンソンが宇宙船で働く作業員を演じるディストピアSFコメディです。日本ではワーナー・ブラザース映画が配給し、公式サイトによると2025年3月28日に公開されました。
ワーナー・ブラザース映画の公式サイトでは、ポン・ジュノが来日してジャパンプレミアに登壇したことや、山崎貴監督、阪本順治監督との対談映像も紹介されています。直筆の絵コンテが公開されたことも記されており、ポン・ジュノが絵コンテを大切にする監督であることがうかがえます。
2026年10月時点では、初めての長編アニメーション映画『Ally』(原題)が2027年に公開予定と報じられています(韓国のスポーツ京郷、フランス通信社〔AFP〕の配信記事)。
ポン・ジュノの代表作と受賞歴
ここまで紹介した長編作品と主な評価を表にまとめます。年は製作・公開の年で、受賞は映画祭・アカデミー賞・ゴールデングローブ賞の公式記録と、配給会社の公式情報で確認したものです。
| 作品 | 年 | 主な評価・受賞 |
|---|---|---|
| ほえる犬は噛まない | 2000年 | 長編第1作 |
| 殺人の追憶 | 2003年 | 韓国で520万人超を動員、国内の映画賞で受賞 |
| グエムル -漢江の怪物- | 2006年 | 韓国で当時の歴代1位の動員(1,240万人超) |
| 母なる証明 | 2009年 | 国内外で20を超える賞 |
| スノーピアサー | 2013年 | 初の英語長編 |
| オクジャ/okja | 2017年 | カンヌ国際映画祭 コンペティション部門出品 |
| パラサイト 半地下の家族 | 2019年 | カンヌ国際映画祭 パルム・ドール/アカデミー賞 作品賞・監督賞・脚本賞・国際長編映画賞/ゴールデングローブ賞 非英語映画賞 |
| ミッキー17 | 2025年 | 3本目の英語長編 |
ポン・ジュノ作品を楽しむ手がかり
ポン・ジュノの作品は、怪物映画、SF、家族のドラマと、見かけのジャンルがさまざまです。それでも共通して見えてくるものを、資料の言葉から3つにまとめてみます。
ひとつ目は、ジャンルの混ぜ合わせです。ブリタニカ百科事典が挙げる特徴のとおり、ひとつの作品の中で笑いと緊張が入れ替わります。ビターズ・エンドも『パラサイト 半地下の家族』を「あらゆるジャンルを完璧に融合させ」た作品と紹介しています。
ふたつ目は、社会への視線です。社会学を学んだ監督らしく、『スノーピアサー』の列車の階層、『パラサイト 半地下の家族』の半地下と高台の豪邸のように、社会の仕組みを空間の高さや位置で見せる作品が多くあります。
みっつ目は、細部まで作り込む緻密さです。「道以外すべてセット」で撮った『パラサイト 半地下の家族』や、公開された直筆の絵コンテからは、画面の隅々まで設計してから撮る姿勢が見えてきます。

どの作品も、娯楽として楽しめることと、見終わったあとに社会について考えさせられることが両立しています。それが、韓国の観客にも、カンヌやアカデミー賞の審査員にも支持されてきた理由のひとつだと考えます。
まとめ
いかがだったでしょうか。今回は、韓国の映画監督ポン・ジュノをご紹介しました。
延世大学で社会学を学び、韓国映画アカデミーで映画づくりを身につけたポン・ジュノは、2000年の『ほえる犬は噛まない』でデビューし、『殺人の追憶』『グエムル -漢江の怪物-』『母なる証明』で韓国を代表する監督になりました。英語作品の『スノーピアサー』『オクジャ/okja』を経て、2019年の『パラサイト 半地下の家族』で、カンヌ国際映画祭のパルム・ドールとアカデミー賞4部門を受けています。
ジャンルを混ぜ合わせながら、社会の姿を空間で見せる。その作り方は、2025年の『ミッキー17』まで一貫しています。気になった作品から、ぜひ一本選んでみてください。
Euphoric " " の視点
ポン・ジュノの映画は、娯楽として楽しめることと、見終わったあとに社会について考えさせられることが両立しています。『スノーピアサー』の列車の階層や、『パラサイト 半地下の家族』の半地下と高台の豪邸のように、社会の仕組みを空間の高さや位置で見せる工夫がその要です。
監督自身が『パラサイト』を「道化師のいないコメディ」「悪役のいない悲劇」と表現したように、誰か一人を責めるのではなく、仕組みそのものに目を向けさせる。難しい問いを、誰もが楽しめる物語の形で差し出すその姿勢は、映画が社会と向き合う力を改めて示しています。
作品に触れるには
ポン・ジュノの作品は、日本では作品ごとに配給会社が異なります。上映・発売の状況は時期によって変わるため、最新の情報は各配給会社の公式サイトをご確認ください。






