ロードアイランド・スクール・オブ・デザイン(RISD)とは?美術館・学費・出願を徹底解説

ロードアイランド・スクール・オブ・デザイン(RISD)とは?美術館・学費・出願を徹底解説
ロードアイランド・スクール・オブ・デザイン(RISD)とは?美術館・学費・出願を徹底解説

アートコンサルティング

こんにちは。ユアムーン株式会社 編集部です。

皆さんはロードアイランド・スクール・オブ・デザイン(Rhode Island School of Design、略称RISD、通称「リズディ」)という大学をご存知ですか。1877年にアメリカ東海岸の小さな州都プロビデンスで創立された美術大学で、QS世界大学ランキングのアート&デザイン部門2026年版で世界4位に入っています。

RISDには、ほかの多くの美術大学にはない大きな特徴があります。創立された瞬間から、学校であると同時に美術館でもあるという成り立ちです。隣接するアイビーリーグの名門ブラウン大学との連携も厚く、両校の学生が5年間かけて2つの学位を同時に取得できる制度もあります。

学費だけを見るとアメリカの私立美術大学らしい高額な数字が並びますが、その分、キャンパスの中だけで完結する学びの資源が充実しているのもRISDの特徴です。美術館、標本ラボ、隣接するブラウン大学という3つの資源を、学生はキャンパスを出ずに行き来できます。

本記事ではそんなRISDについて、創立の経緯、RISD Museumとの関係、ブラウン大学との連携、学部・大学院の構成、1年次の基礎課程、学費、出願の進め方まで、公式サイト(risd.edu)で確認できた情報をもとにご紹介します。それでは早速いってみましょう。

ロードアイランド・スクール・オブ・デザインって?

基本情報

雪の降るRISDキャンパスの中庭に建つレンガの時計塔
RISDキャンパスのメインクワッドにある時計塔(2014年撮影)/撮影:-ocean(CC BY 2.0)/出典:Wikimedia Commons
正式名称Rhode Island School of Design(略称 RISD)
創立1877年3月22日。学校であると同時に美術館として法人化されました
所在地アメリカ合衆国ロードアイランド州プロビデンス。カレッジヒル地区にキャンパスがあります
性格私立の美術大学。学部課程(BFA/BArch)と大学院課程(MFA/MArch/MID/MDes/MA/MAT/MLA)、ポストバカロレア課程を持ちます。博士課程は公式の学位一覧に記載がありません
学生数2,577名、60カ国から集まっています。公式サイトの内訳は学部2,253名(2026年秋・学位課程の在籍者)、大学院429名(2026年春)で、三つの数字は基準となる時点が異なるため単純に足し算はできません
学生と教員の比率8対1(全学生、2025年秋時点)。学部の平均クラス規模は15名です(2025年秋時点)
学生構成学部の国際学生比率は33%、国内の有色人種学生比率は43%(いずれも2025年秋時点)
美術館との関係RISD Museumを併設。約10万点を収蔵し、ニューイングランド南東部で唯一の総合美術館です
ブラウン大学との連携Brown | RISD Dual Degree Program(BRDD)。5年間でブラウンの学位とRISDのBFAを同時に取得できます
QSランキングQS世界大学ランキング アート&デザイン部門2026年版で世界4位(スコア93.2)

順位の読み方は、【最新!2026年版】アート&デザイン部門 QS世界大学ランキングで詳しく解説しています。RISDは1位のロイヤル・カレッジ・オブ・アート、2位のUAL、3位のThe New School(パーソンズ)に次ぐ4位で、3位との差はスコアにしてわずか0.1点という僅差でした。QSは順位発表にあたり、「ロイヤル・カレッジ・オブ・アートと同様、上位校の多くは専門特化型の教育機関であり、2位のUAL、4位のロードアイランド・スクール・オブ・デザイン(RISD)もそこに含まれる」と述べており、RISDは総合大学ではなく単科の美術大学として、この部門を代表する存在のひとつに位置づけられています。

RISD Museumという「もうひとつのキャンパス」

RISDを理解するうえで欠かせないのが、RISD Museumとの関係です。公式の沿革ページによれば、RISDは1877年3月22日に「学校であると同時に美術館として」法人化されました。多くの美術大学が、先に学校として設立されたあとで付属美術館を持つのに対し、RISDは最初から学校と美術館が一体の組織として生まれています。RISDが掲げるミッションも「その大学と美術館を通じて(through its college and museum)」という言葉を含んでおり、150年近く経ったいまも、この二本立ての成り立ちが文章として残されています。

RISD Museumの建物正面、MUSEUM OF ARTの看板が見える
RISD Museumの建物正面(2012年撮影)/撮影:Reading Tom from Reading, UK(CC BY 2.0)/出典:Wikimedia Commons

RISD Museumは古代から現代までの美術・デザイン・工芸をおよそ10万点収蔵しており、7つの学芸部門に分かれて運営されています。公式サイトは「ニューイングランド南東部で唯一の総合美術館であり、RISDとより広い地域社会にとって欠かせない資源である」と説明しています。収蔵の幅は絵画や彫刻だけにとどまらず、家具、服飾、テキスタイルといった装飾美術まで及びます。美術大学の付属施設というより、州を代表する総合美術館がそのまま校内にある、という言い方のほうが実態に近いかもしれません。

ベルナールト・ファン・オルレイ『東方三博士の礼拝』
ベルナールト・ファン・オルレイ『東方三博士の礼拝(Adoration of the Magi)』RISD Museum蔵(所蔵番号16.056)/出典:RISD Museum経由 Wikimedia Commons(パブリックドメイン)

収蔵作品の一例が、16世紀フランドルの画家ベルナールト・ファン・オルレイによる『東方三博士の礼拝』です。古美術から近現代まで幅の広いコレクションを間近で見られることは、スタジオでの制作と並んで、RISDの学びを支える土台になっています。

赤と金で大柄の植物文様が織り出されたフォルチュニーのインテリア用テキスタイル
マリアノ・フォルチュニー作のインテリア用テキスタイル(1920年頃)RISD Museum蔵。17世紀のイタリアとオスマン帝国のビロードに着想を得た型染めです/撮影:RISD Museum 職員(CC0)/出典:Wikimedia Commons

装飾美術の側では、たとえばスペイン生まれの染織家マリアノ・フォルチュニーが1920年頃に手がけたインテリア用のテキスタイルが収蔵されています。絵画とテキスタイルが同じ建物のなかに並んでいること自体が、ファインアートと工芸を分けないRISDの教育の姿勢をよく表しています。

噴水と彫像のあるRISD Museumの中庭
RISD Museumの中庭(2011年撮影)/撮影:DanielPenfield(CC BY-SA 3.0)/出典:Wikimedia Commons

学生はどう使えるのか

学ぶ側にとって大事なのは、この美術館にどれだけ気軽に入れるかです。公式の入館案内によると、RISDおよび提携機関の学生・教職員は、学生証を提示すれば無料で入館できます。授業のたびに本物の作品を見に行くことが、追加の費用なしで成り立つ仕組みです。

なお、RISD以外の一般の大学生は学生証の提示で割引料金となり、無料ではありません。また、日曜日の10時から17時と、木曜日の夕方は、誰でも無料で入館できます。料金や開館時間は改定されることがありますので、訪問前には公式サイトでご確認ください。

Nature Lab(自然史標本ラボ)

美術館と並んでRISDらしい施設が、Nature Labです。1920年代から30年代にかけて、RISDの教員だったエドナ・W・ローレンス(1920年、絵画専攻卒業)が、夏のあいだ全米を車で回って自然標本を集め、自身の「ネイチャードローイング」の授業で学生に使わせていました。1937年、彼女は1,286点の標本からNature Labを創設します。貝殻、蝶、鉱物、骨格、種子、はく製など、集められた標本は当初から多岐にわたっていました。

コレクションはその後も増え続け、ローレンスが38年後に退職する時点で25,000点を超えていました。現在、Nature Labの自然史コレクションは10万点近くに達しています(Nature Lab公式サイトの数字です。RISD本体のサイトでは「8万点超」と案内されている箇所もあります)。公式サイトによれば、学生は「図書館で本を借りるのと同じように」、選ばれた標本を短期間借り出すこともできるということです。

収蔵物は肉眼で見えないほど小さなものから実物大のものまで幅があり、なかには1,500点以上の小型標本を2インチ四方のアクリルケースに収めた「Tiny Town」という専用コレクションもあります。実体顕微鏡を使えば、昆虫、地衣類、サンゴなどを9倍から185倍に拡大して観察し、その場で描いたり撮影したりできます。走査型電子顕微鏡用の試料を集めたコレクションもあり、倍率は最大で35万倍に達します。美術大学のなかに、これだけ本格的な自然史の設備があるのは珍しいことです。

1877年から150年近く、RISDが歩んできた道

RISD創立のきっかけをつくったのは、ヘレン・アデリア・ロウ・メトカーフという人物です。公式の沿革ページによると、彼女はロードアイランド女性100周年委員会のメンバー34名に対し、噴水の建設など他の候補もあったなかで、委員会の余剰資金1,675ドルを美術デザインの学校の設立に投じるよう働きかけました。この1,675ドルは、1876年にフィラデルフィアで開かれた万国博覧会へロードアイランド州が出展するために、彼女たちが集めた資金の余りでした。アメリカでまだ女性に選挙権がなかった時代に、女性たちの手で立ち上げられた学校だったことになります。

公式の沿革ページは、創立の動機についてもはっきりと書いています。大学の構想を動かしていたのは、とりわけ州の盛んな繊維産業と宝飾産業を支えたいという思いだったというのがそれです。ロードアイランド州は当時、綿織物と銀製品・宝飾品の一大産地でした。産業の現場に、図案を描ける人材が足りない。その穴を埋める学校として構想されたわけです。実際、1877年に始まった最初の課程は「フリーハンド・ドローイングと絵画」「機械製図とデザイン」の2分野で、絵を描く力と図面を引く力の両方が最初から並んでいました。ファインアートとデザインを分けずに教えるRISDの性格は、この出発点にさかのぼります。

RISDのウォーターマン・ビルディング。赤レンガにアーチ窓が並ぶ建物
ウォーターマン・ビルディング(2019年撮影)。RISDが1893年に開いた最初の恒久的な校舎です/撮影:Kenneth C. Zirkel(CC BY-SA 4.0)/出典:Wikimedia Commons

創立から16年後の1893年10月24日、RISDは最初の恒久的な校舎、ウォーターマン・ビルディングを開きます。RISD図書館の資料によれば、資金はジェシー・メトカーフが寄付し、設計はプロビデンスの建築家ハワード・ホッピンが手がけました。注目したいのは、この新しい校舎の1階に、美術館のための部屋が3つ用意されていたことです。校舎を建てるときに、展示室を同じ建物のなかに入れる。創立時の「学校であり美術館である」という設計思想が、実際の建物として形になった最初の例でした。1897年には裏手に増築が行われ、美術館の展示空間がさらに広がっています。

RISDを支えたのは、創立者メトカーフだけではありませんでした。娘のエライザ・メトカーフ・ラディキーは1913年から31年まで学長を務め、RISD初の女性学長となっています。彼女は作家や画商、美術館長と密に付き合いながら美術館のコレクションを育て、ペンドルトン・ハウスと1926年の美術館棟をつなぐギャラリーの建設にも私財を投じました。続いて姪のヘレン・メトカーフ・ダンフォースが1931年から47年まで学長、47年から65年まで初代の理事長を務めます。創立から三代にわたって、同じ一族の女性たちが経営を担った学校でした。

学校として歩み始めてから半世紀以上を経た1932年、RISDは履修証明書(certificate)ではなく、正式な学位(college degree)を授与する権利を獲得しました。創立から1932年までの55年間、RISDの卒業生が手にしていたのは学位ではなく証明書だったということになります。最初の学士号(美術教育)が授与されたのは1937年、そして1949年に完全に認証を受けた大学(fully accredited college)となりました。地域の委員会が余剰資金を投じて立ち上げた小さな美術学校は、こうして半世紀以上をかけて、学位を授与できる正式な高等教育機関へと姿を変えていきました。

ブラウン大学との連携、Brown | RISD Dual Degree

RISDのキャンパスは、アイビーリーグの一校であるブラウン大学と同じカレッジヒル地区にあります。この地理的な近さを生かした制度が、Brown | RISD Dual Degree Program(BRDD)です。

RISDのメインクワッドから見たプロビデンスの街並み
RISDのメインクワッドから見たプロビデンスの街並み(2004年撮影)/撮影:Tristan Loper(CC BY-SA 2.0)/出典:Wikimedia Commons

BRDDは5年制(秋・春あわせて10学期)のプログラムで、修了するとブラウン大学の学士号(ABまたはScB)と、RISDの美術学士号(BFA)の両方を取得できます。公式サイトによれば、出願者はまず両校それぞれの出願プロセスを完了し、両校ともに合格したうえで、さらに別途設けられたデュアルディグリー入試委員会の審議を受ける必要があります。この委員会が開かれるのは出願年の3月中旬で、最終的な結果は3月下旬から4月初旬に通知されます。

出願の締切は、ブラウン大学側が1月5日、RISD側が1月20日です。アーリー・ディシジョンの締切は両校とも11月1日ですが、両校を同時にアーリー・ディシジョンで出願することはできません。追加で必要な書類はコモン・アプリケーション内の「デュアルディグリー・サプリメント」のみで、ここに書くエッセイは両校に同じものを提出します。なお、このエッセイは大学エッセイの代わりにはなりません。

専攻を決める時期にも独自の仕組みがあります。公式サイトによれば、BRDDの学生は1年目の第1学期にRISD各学科のプレゼンテーションやオープンスタジオに参加し、第2学期の開始時にRISDの専攻(メジャー)を決めて、第3学期からその専攻の授業を履修し始めます。ブラウン大学側の専攻(コンセントレーション)を決めるのは第5学期、つまり3年目の秋学期です。

実務的な条件もいくつかあります。定員は厳しく絞られており、公式サイトは「毎年15名の学年を入学させることを目指している」と書いています。学費と財政援助は5年間を通じてブラウン大学の基準で扱われ、ブラウンの学費を最低10学期分支払う仕組みです。入学後にこのプログラムへ移ることはできず、編入による参加も認められていません。選べない専攻もあり、ブラウンのPLME(医学教育プログラム)と、RISDの建築(BArch)はBRDDの対象外です。

BRDD以外にも、両校の連携は学位プログラムのレベルにも及んでいます。大学院の修士号(MA)のひとつである「デザインエンジニアリング」は、RISDとブラウン大学が共同で運営するプログラムとして、公式の学位一覧に掲載されています。

学部・大学院の構成と主なプログラム

RISDは学部・大学院あわせて、公式サイトの表現で「40以上のフルタイムの学士・修士課程」を提供しています。学部課程はBFA(美術学士)が中心で、建築だけはBArch(建築学士)という別の学位になります。

課程学位主な専攻・分野
学部BFAアパレルデザイン、アート・アンド・コンピュテーション、陶芸、映像・アニメーション・ビデオ、家具デザイン、ガラス、グラフィックデザイン、イラストレーション、インダストリアルデザイン、インテリア建築、ジュエリー・メタルスミス、絵画、写真、版画、彫刻、サウンド、テキスタイル
学部BArch建築
学部AB/ScB+BFABrown | RISD Dual Degree(ブラウン大学との共同学位)
大学院MFA陶芸、デジタル・アンド・メディア、家具デザイン、ガラス、グラフィックデザイン、イラストレーション、ジュエリー・メタルスミス、絵画、写真、版画、彫刻、テキスタイル
大学院MArch/MID/MDes建築(MArch)、インダストリアルデザイン(MID)、インテリア建築(MDes)
大学院MA/MATデザインエンジニアリング(RISD+ブラウン共同・MA)、グローバル・アーツ・アンド・カルチャーズ(MA)、ティーチング・アンド・ラーニング・イン・アート・アンド・デザイン(MAとMATの2本立て。修了証コースもあります)
大学院MLAランドスケープ・アーキテクチャー。ロードアイランド大学と共同の「MLA+MMA(海洋問題学修士)」という二重学位もあります
学士取得後Post-Baccalaureateガラス、ジュエリー・メタルスミス

学部課程では、1年次に全員が共通の基礎課程を履修したあと、2年次から専攻に分かれます。大学院課程は学部からの持ち上がりではなく、それぞれの分野で独立して出願・選考が行われます。

学部と大学院で揃っていない分野がある点にもご注意ください。アパレルデザイン、サウンド、映像・アニメーション・ビデオなどは学部のみ、デジタル・アンド・メディアやデザインエンジニアリングは大学院のみの設置です。なお、RISDの公式な学位一覧にPhD(博士課程)は含まれていません。

1年次に全員が学ぶ、Experimental and Foundation Studies

RISDの学部課程でもっとも特徴的なのが、1年次の共通基礎課程Experimental and Foundation Studies(EFS)です。公式サイトは「学部生は全員、RISDのスタジオでの学び方について共通の理解を持つことが有益だという考えにもとづき、1年次には同級生と同じスタジオカリキュラムをたどる」と説明しています。専攻を問わず、入学した学生全員が同じ内容を1年間かけて履修する仕組みです。

RISDキャンパスの学生寮ノース・ホールの外観
学生寮ノース・ホール(2019年撮影)。同年に完成した6階建ての木造建築です/撮影:Kenneth C. Zirkel(CC BY-SA 4.0)/出典:Wikimedia Commons

EFSはドローイング、デザイン、スペイシャル・ダイナミクスという3つのスタジオで構成されており、それぞれ週に1日まるごと授業にあてられます。授業時間外にも歯ごたえのある課題が出され、それが教室での経験を支える形になっています。

ひとつ目のドローイングについて、公式サイトは「世界を探求するための力強い手段であり、アートとデザインの実践に本質的に組み込まれた活動」と説明しています。スタジオは、素材、想像された状況、アイデアの生成、観察できる世界の翻訳といったものを調べるための実験室になる、という書き方です。

ふたつ目のデザインは、視覚的な要素とその他の感覚的な要素をどう組み立てれば、知覚的な特性を理解し、物・空間・経験を通じて意味のあるメッセージを伝えられるかを学ぶスタジオです。平面の構成だけでなく、立体や体験のデザインまでが視野に入っています。

みっつ目のスペイシャル・ダイナミクスは、物理的・空間的・時間的な現象への探求で、力(エネルギーがもたらす結果としての力)がどのように構造に作用するかを扱います。学生はアナログとデジタルの両方の手法を使って、これらの現象を調べていきます。

各課題のあとには講評(クリティーク)が行われます。公式サイトによれば、学生は自分の意図とプロセスについて話し、作品がどこまで考えや感情を形にできているかを振り返ります。専攻を決める前に、ドローイング、デザイン、空間という3つの異なる視点から基礎を固める時間を全員が共有する。これが、2年次以降にどの専攻へ進んでも土台として機能する仕組みになっています。

学費(2026〜27年度)

RISDの学費を見るときにいちばん大事なのは、「授業料」と「総費用」は別の数字だということです。授業料は大学に実際に支払う金額で、総費用(Cost of Attendance)は、それに寮費・食費・教材費・個人的な出費などの見積りを足した、大学が示す生活費込みの目安です。総費用の全額を大学に振り込むわけではありませんので、ここを混同しないようご注意ください。

項目(2026〜27年度・年額)学部大学院
授業料$66,460$66,460
活動費$308$308
学術・技術費$908$908
推定寮費$10,750$15,450
推定食費$7,450$7,450
推定教材・用品費$3,400$4,900
推定個人費用$2,800$2,800
推定旅費$1,700$1,700
総費用(年額の目安)$93,776$99,976

学部・大学院とも授業料そのものは年額$66,460で同額です。総費用の差は生活費の見積りの違いによるもので、大学院は寮費が$15,450(学部は$10,750)、教材・用品費が$4,900(学部は$3,400)と高めに設定されています。大学院は制作にかかる材料費が大きい分野が多く、住まいも寮以外を選ぶ人が多いことが背景にあると思われます。

この表に健康保険料は含まれていません。RISDは全学生に健康保険の加入を求めており、同等の保険に加入していることを申請して免除されない限り、秋学期に$2,657が請求されます。免除の申請は毎年必要です。実際の負担を考えるときは、この金額も頭に入れておくとよいと思います。

参考までに、1年前の2025〜26年度は学部の授業料が$63,966、総費用が$90,436でした。学費は毎年改定されますので、出願の際は必ず公式サイトの「Cost of Attendance」のページで最新の数字をご確認ください。

アメリカの私立美術大学は、総じて学費の水準が高めです。QS世界大学ランキング2026年版で5位のプラット・インスティテュートも、学部の授業料が2026〜27年度で年額$64,703と公表されており、RISDの$66,460と近い水準です。ただし総費用については、大学によって何を費目に含めるかが違います。他校と比べるときは、授業料どうしで比べるのがいちばん確実です。

出願の進め方

RISDの出願は、学部(First-Year)と大学院(Graduate)で締切もポートフォリオの要件も異なります。それぞれの要件を混同しないよう、分けてご紹介します。

項目学部大学院
出願締切Early Decision:11月1日/Regular Decision:1月20日1月5日
合否通知Early Decision:12月中旬/Regular Decision:3月中旬プログラムにより異なります
財政援助・奨学金の締切Early Decision:11月15日/Regular Decision:1月25日1月15日
出願料Common Application $60+SlideRoom $10(免除制度あり)$60
ポートフォリオ直近の作品12〜20点視覚作品10〜20点(プログラムにより異なります)
エッセイ・目的陳述書650語以内の大学エッセイ500〜750語の目的陳述書(プログラムにより異なります)
推薦状1通必須(最大3通)3通
英語力要件TOEFL 5以上(公式は「旧基準の93点」と併記)/IELTS 7/Duolingo 120学部と同じ基準
標準テストSAT・ACTはテストオプショナル(提出は任意)GREは不要

ポートフォリオ(学部)

学部のポートフォリオは、直近の作品12〜20点を提出します。媒体は自由で、学校の課題として制作したものでも、自主的に取り組んだものでも構いません。大半は完成作品にすることが求められますが、リサーチや準備段階の作品を3枠まで(3枠を超えない範囲で)含めてよいとされています。考えをどう展開していくかが審査側に伝わるためです。

RISDといえば、かつては出願者全員に同じ題材を描かせる独自の課題で知られていました。現行の公式ページには、こうした指定課題は一切記載がありません。いま求められているのは指定された1枚ではなく、自分の作品の集まりで考え方を示すことです。古い情報を参考にすると準備の方向を誤りますので、必ず現行の公式ページでご確認ください。

そのうえで公式サイトは、直接の観察にもとづくドローイングやペインティングの作例をいくつか入れることを「強く推奨」しています。想像や写真・映像からではなく、実物を見て描いたものという限定が付いています。ドローイングとペインティングは、着想から完成までを支える基本的な道具なので、その経験と取り組み方が見える作例があると審査側にとって価値がある、というのが理由として挙げられています。

AIの扱いについても明記があります。公式サイトは「RISDは創作プロセスにおけるAIの倫理的な使用を歓迎する」としたうえで、AIの支援を受けた、あるいはAIが生成した作品をポートフォリオに入れる場合は、そのプロセスの説明と使用したツールを必ず記載しなければならないと定めています。禁止ではなく、開示を条件とした容認です。なお、これは学部のポートフォリオ規定で、大学院については全体に共通する規定はなく、ランドスケープ・アーキテクチャーやジュエリー・メタルスミスなど一部の専攻が個別に開示を求めています。

ポートフォリオ・目的陳述書(大学院)

大学院は、スタジオ系プログラムの出願者が視覚作品10〜20点を提出するのが基本です。そのうえで、プログラムごとに形式が細かく決まっています。たとえばデジタル・アンド・メディア専攻は作品10点で、映像は最大5点まで、全映像の合計は5分以内とされ、制作プロセスが分かる映像を1点以上入れることが推奨されています。ジュエリー・メタルスミス専攻は10〜15ページという形式です。

目的陳述書も、基本は500〜750語ですが、専攻による違いが大きい部分です。グローバル・アーツ・アンド・カルチャーズ(MA)は1,000〜2,000語、イラストレーションは750〜1,500語といった具合に幅があります。出願するプログラムのページを必ず個別にご確認ください。

英語力要件

英語力については、学部・大学院とも同じ基準です。公式サイトは「TOEFLで5以上(従前の基準では93点)、IELTSで7、Duolingoで120」という最低スコアを示しています。TOEFLの数字が小さいのは、採点方式が変わって1から6のバンドスコアになったためで、公式サイト自身が旧来の120点満点での換算を併記しています。

学部では、英語を教授言語とする学校で中等教育を修了し、かつESL等の補助なしで3年間続けてフルタイムで履修した場合は免除されます。大学院の免除は個別判断で、入試課に学歴を説明して適否を確認する形です。学部ではSAT(Reading and Writingで600点)またはACT(EnglishとReadingの両方で25点)での代替も認められています。

キャンパスとプロビデンスの街、主な卒業生

キャンパス

RISDのキャンパスは、ロードアイランド州の州都プロビデンスのカレッジヒル地区にあります。RISDの在学生向けサイトは「RISDはプロビデンスにあり、同市はロードアイランドにおける創造的な活動の拠点で、複数の大学、水辺の公園、活気あるアートシーンを擁する」と紹介しています。カレッジヒルはRISDとブラウン大学の両方の本拠地で、キャンパスから坂を上ったところにあるセイヤー・ストリートには、飲食・買い物・娯楽の店が並んでいます。

プロビデンスはニューヨークやボストンのような大都市と比べると規模の小さな街です。RISD Museum、Nature Lab、ブラウン大学のキャンパスは、いずれも同じカレッジヒル周辺にまとまっています。学ぶための資源が一つの街のなかに集まっていることも、RISDでの生活の特徴のひとつといえそうです。

プロビデンスの歴史的な街並みと時計塔
プロビデンスの街並み(2008年撮影)/撮影:yeowatzup(CC BY 2.0)/出典:Wikimedia Commons

主な卒業生

公式の「Alumni Outcomes」ページによれば、RISDにはこれまでに33,000人以上の卒業生がおり、94カ国に広がっています。卒業生からはフォーブス誌「30 Under 30」の選出者が51名、フルブライト奨学生が122名、著名ベンチャーキャピタルのクライナー・パーキンスが選ぶフェローが12名出ています。同ページでは、卒業生の受賞歴としてアカデミー賞、ピュリツァー賞、エミー賞、コールデコット賞、パルム・ドール、グッゲンハイム・フェローシップなどの名前も挙げられています。

同ページによれば、マッカーサー・フェローシップ(通称「天才賞」)を受けた卒業生はこれまでに12名です。画家のニコール・アイズマン(1987年、絵画専攻卒業、2015年受賞)、シャーズィア・シカンダー(1995年、絵画・版画専攻で修士号取得)、カラ・ウォーカー(1994年、絵画・版画専攻で修士号取得)、ジュリー・メレトゥ(1997年、絵画・版画専攻で修士号取得、2005年受賞)、タバレス・ストラカーン(2003年、ガラス専攻卒業、2022年受賞)、ヴィンセント・ヴァルデス(2000年、イラストレーション専攻卒業、2026年受賞)などの名前が挙がっています。

美術以外の分野でも、RISDの卒業生は広く活動しています。民泊サービスAirbnbの共同創業者であるジョー・ゲビア(2005年、グラフィックデザイン・インダストリアルデザイン専攻卒業)とブライアン・チェスキー(2004年、インダストリアルデザイン専攻卒業)は、公式サイトによればRISDで出会った2人です。卒業後にサンフランシスコでルームメイトとして暮らしていたときに、高いホテル代への解決策を思いついたと紹介されています。撮影監督のロバート・リチャードソン(1979年、映像・アニメーション・ビデオ専攻卒業)は『JFK』『アビエイター』『ヒューゴの不思議な発明』でアカデミー撮影賞を3度受賞しました。

まとめ

いかがだったでしょうか。ロードアイランド・スクール・オブ・デザインは、1877年の創立時から学校と美術館が一体であるという、他の美術大学にはあまり見られない成り立ちを持つ大学です。州の繊維産業と宝飾産業を支えるという実務的な動機から始まり、最初の校舎の1階に展示室を置き、150年近くかけて世界有数の美術大学になっていきました。約10万点を収蔵するRISD Museumや、10万点近い標本を持つNature Lab、隣接するブラウン大学との5年制デュアルディグリーなど、キャンパスの外に出なくても多くの学びの資源にアクセスできる環境が整っています。QS世界大学ランキングでも世界4位という評価を受けており、出願を検討する方にとっては、学費や出願要件とあわせて、こうした学内の資源をどう生かせるかも、学校選びの大事な視点になりそうです。

Euphoric " " の視点

RISDが1877年にできたとき、その動機は高尚なものではありませんでした。公式の沿革は、州で盛んだった繊維産業と宝飾産業を支えたいという思いが出発点だったと説明しています。最初の課程も、フリーハンドの描画と、機械製図でした。つまり、職人を育てるための学校です。

ところが同じ1877年、この学校は美術館と同じ法人として設立されています。産業のための学校が、はじめから美術館を持っていました。

実用と鑑賞を、分けなかったわけです。これは当時としても、いまから見ても、珍しい設計だと思います。学生は図面を引く技術を学びながら、同じ建物のなかで名品を見て育ちます。

デザインを学ぶ人は、しばしば二つの方向に引き裂かれます。役に立つものを作れという声と、美しいものを作れという声です。RISDの成り立ちは、その二つがもともと別物ではなかったことを思い出させてくれます。

ポートフォリオの作り方に不安がある方は、ポートフォリオ添削サービス「PORTFOLIO SENSEI」もあわせてご覧ください。

もっと知るには

本記事の情報は、ロードアイランド・スクール・オブ・デザインの公式サイト(risd.edu)をもとに確認しています。学費・出願日程・プログラムの内容は年度ごとに変わりますので、出願の際は下記の公式ページで最新の情報をご確認ください。

海外の美術系大学を広く比較したい方は、QS世界大学ランキング アート&デザイン部門の解説もあわせてご覧ください。

NEW POSTS / 新着記事