2023年12月9日(土)より「豊嶋康子 発生法──天地左右の裏表」が東京都現代美術館で開催されます!
豊嶋康子(1967-)は、1990年より30年以上にわたって、私たちを取り巻くさまざまな制度や価値観、約束事に対して「私」の視点から独自の仕方で対峙し続けてきた作家です。物や道具の仕組み、学校教育、経済活動から日常の様々な行為まで、私たちに避けがたく内面化、自動化されてきた思考や行為の枠組みやルールを、自身の感じる違和感や関心を梃(てこ)として独自の仕方で読み替え、捉え返すことで、人の思考の型の形成、社会と自己の成り立ちの在り様を問うてきました。
豊嶋の制作は、1990年の《エンドレス・ソロバン》や《鉛筆》など、物の使用法や構造に従い、守りつつ攻めるといった方法で別様に展開、その機能を宙吊りにする作品に始まります。90年代後半からは、「表現」の領域を広く考察し、銀行での口座の開設や株式の購入、生命保険への加入といった社会・経済活動そのものを素材として用いて、特定のシステムの全体を「私」の一点から逆照射するような《口座開設》《ミニ投資》などを発表しました。2005年の《色調補正1》では、一般的に共有される色の体系を「私」の設定のもと、ひたすらに塗り替えることを試みています。作品それぞれの外観は幅広いものですが、それらはいずれも、いわゆる既成の仕組みや枠組み、順列などに対して、脈絡を守りつつ「私」を用いて別の見方を挿入し、本来の意味作用を逸脱させ、歪ませ、反転や空回りをさせることで、その構造と私たちの認識や体験の「発生」を捉えようとするものだといえるでしょう。《ある順番に並べる》(2009-)や《隠蔽工作》(2012-)、一連の《パネル》(2013-)、《地動説》(2020-)などは、こうした構造それ自体を抽象的に展開した作品と捉えることができそうです。順序や表/裏、支持体と図、天と地、作ると作らない…、こうした二項自体をずらし、重ね、また反転させ続け、複数の見方が現れる作品群が生み出されています。
本展は、こうした豊嶋の制作の全貌を、初期作品から新作まで400点近くを一堂に集め検証する初めての試みです。あまたある世の決まりごとに「私」を交差させる豊嶋の作品は、システムと不可分の存在であり続ける私たちに、多くの示唆を与えてくれます。「天地」や「左右」はどのようにして決まるのでしょうか?あるいは裏と表をひっくり返すことは?
自身の思考を素材とする一種の潔さとユーモアをもって、私たちをめぐる事物に対する「私」の応じ方をかたちにし、さまざまなシステムと「私」双方の「発生法」を捉えようとする豊嶋の制作は、私たちの思考や行為、そして自由の領域について、あらためて捉え返す契機を与えてくれるに違いありません。
「豊嶋康子 発生法──天地左右の裏表」展覧会情報
会期 | 2023年12月9日(土)~2024年3月10日(日) |
会場 | 東京都現代美術館 企画展示室 1F |
公式サイト | https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/toyoshima_yasuko/ |
開館時間 | 10:00~18:00 *展示室入場は閉館の30分前まで |
観覧料 | 一般:¥1,400(¥1,120) 大学生・専門学生・65歳以上:¥1,000(¥800) 中高生:¥600(¥480) 小学生以下:無料 *( ) 内は20名様以上の団体料金 *本展チケットで「MOTコレクション」もご覧いただけます。 *小学生以下のお客様は保護者の同伴が必要です。 *身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方と、その付添いの方(2名まで)は無料になります。 |
休館日 | 月曜日(1月8日、2月12日は開館)、12月28日~1月1日、1月9日、2月13日 |
住所 |
「豊嶋康子 発生法──天地左右の裏表」展示内容
まとめ
いかがでしたか?
東京都現代美術館は東京メトロ半蔵門線「清澄白河駅」B2番出口より徒歩9分でアクセスすることができます!
詳しいアクセス方法は「東京都現代美術館 アクセス」から確認してみてください!