こんにちは。ユアムーン株式会社 編集部です。
みなさんは『バーバラ・クルーガー』という人物をご存知ですか?
バーバラ・クルーガーは、赤い背景に白文字のロゴがとても有名なストリートブランド、『Supreme』に影響を与えたといわれるコンセプチュアルアーティストです。
彼女の作品は、批評的なフレーズとモノクロ写真を組み合わせるスタイルで知られています。
本記事では、そんなバーバラ・クルーガーの経歴や作品を見ていきましょう!
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バーバラ・クルーガーってどんな人?
基本情報
本名 | バーバラ・クルーガー(Barbara Kruger) |
生年月日 | 1945年1月26日 |
出身 | アメリカ ニュージャージー州 ニューアーク |
学歴 | シラキュース大学 パーソンズ美術大学 |
職種 | アーティスト コラージュ作家 |
作品・人生について
生まれと環境
クルーガーは、1945年にアメリカのニュージャージー州、ニューアークでシェル石油の科学技術者の父親と法務秘書の母親の間に生まれました。
彼女は、シラキュース大学に進学し1年過ごした後、ニューヨークのパーソンズ美術大学に通いました。
その後は、雑誌のグラフィックデザインやフリーランスの写真編集、本のカバーデザインなどをしていました。
1970年代初頭、クルーガーはニューヨークのギャラリーで作品を発表し始めています。当時は織物や絵画を主に制作していましたが、1976年に自分の作品には意味がないと感じて1年の間、完全に創作活動をやめます。
スタイルの確立
1977年に再び制作を始めると、以前のスタイルから写真やテキストのコラージュに移行し、1979年にクルーガーは大規模なモノクロの画像にテキストを重ねた独自のスタイルを確立します。
このスタイルは、FuturaやHelveticaのフォントで背景色に黒や白、赤を使った辛辣なフレーズのテキストと、彼女が見つけた画像で構成されており、短いフレーズやフォントから感じられる力強さが特徴です。
彼女がこのスタイルを選んだのは、「私たちが誰で、誰ではないかを判断する能力」によるものだと主張しています。
実際に、彼女は『I shop therefore I am(我は買う、故に我あり)』、『Your body is a battlefield(あなたの体は戦場だ)』などのフレーズを用いて、フェミニズム、消費主義、欲望などの問題に対処する言葉を探求しています。
Untitled (I shop therefore I am)[1987]
この作品は1987年に制作されました。この作品は手を前に伸ばしている画像と、その画像の手がつまむように配置されたテキストによって構成されています。
『I shop therefore I am』というフレーズは、フランス生まれの哲学者であるルネ・デカルトの『I think, therefore I am.(我思う、故に我あり。)』という言葉を引用しており、当時の消費主義の考え方を反映したものになっています。
しかし、この作品は皮肉にも多数のバッグやTシャツなどの消費製品にプリントされました。
Untitled (Your body is a battleground)[1989]
この作品は1989年に制作されました。この年は1973年のRoe v. Wade裁判をきっかけとした中絶禁止法の新しい流れに抗議する多数のデモが行われた年でした。
『Untitled(Your body is a battleground)』は生殖の自由を支持するワシントンの女性の行進のために作られました。
Untitled(Not stupid enough)[1997]
この作品は、「Not stupid enough(バカにできない)」というフレーズと、マリリン・モンローの写真を用いて、フェミニストのメッセージを訴求しています。
現代における女性の非現実的な期待や、有名人が「完璧」な人間のモデルになろうとすることで、精神疾患や死につながる可能性があることを問題視しています。
クルーガーが与えた影響
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彼女のとてもインパクトのあるスタイルは、様々なアーティストやブランドに影響を与えました。
Futuraフォントの白文字に赤背景のボックスロゴで有名なストリートブランド『Supreme』はまさにクルーガーの影響を直接的に受けています。
しかし、先ほど紹介したクルーガーの『I shop because I am』と比べてみると、Supremeとは対照的です。一方は消費主義への批判として、もう一方は消費の象徴となっています。
また、皮肉なことにクルーガーはSupremeの酷似したアートスタイルには異議を唱えなかった一方で、Supremeはこのアートスタイルの使用をめぐり別のブランドと法廷闘争を繰り広げました。
2013年、ストリートブランドの『Married To The Mob』は同様のアートスタイルで「Supreme Bitch」と書かれたアパレルアイテムを作成し、Supremeは訴訟を起こします。
この訴訟に対する、クルーガーの公式声明は、たったの3文でした。
“What a ridiculous clusterfuck of totally uncool jokers. I make my work about this kind of sadly foolish farce. I’m waiting for all of them to sue me for copyright infringement.”
「まったくクールじゃないふざけた連中が、なんと馬鹿げた騒ぎをしていることか。私はこのような悲しいほど愚かな茶番を作品にしている。彼ら全員から著作権侵害で訴えられるのを待っているのだ。」
クルーガーの知的財産に対する緩いスタンスと皮肉な性格は、彼女の魅力の一つであると感じます。
Untitled(Questions)
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1980年代後半から1990年代前半にかけてのアメリカは激動の時代でした。特に宗教保守派とアーティストとの間で論争が続き、「カルチャー・ウォーズ」という言葉が生まれました。
こうした状況の中、クルーガーが制作したのが『Untitled(Questions)』でした。これはロサンゼルスのMOCA(ロサンゼルス現代美術館)の壁一面に設置され、彼女の中で最大規模の作品となりました。
作品にある、「WHO IS FREE TO CHOOSE?」「WHO DOES THE TIME?」「WHO IS BEYOND THE LAW?」「WHO IS BOUGHT AND SOLD?」という問いかけは、当時、非道徳的とされるアーティストの作品を攻撃していた宗教保守派に対する大胆な挑戦でした。
しかし、その戦いは過去30年以上にわたって衰える様子がなく、クルーガーは2018年にこの作品を復活させ、MOCAに再設置しました。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は写真に批評的なテキストを重ねるスタイルが特徴のコンセプチュアルアーティスト、バーバラ・クルーガーについて作品と共にご紹介させていただきました。
ぜひバーバラ・クルーガーの作風に興味を持った人は、さらに調べてみてはいかがでしょうか?!