武蔵野美術大学とは?学部・学費・入試方式とQS世界ランキングとの関係を解説

武蔵野美術大学とは?学部・学費・入試方式とQS世界ランキングとの関係を解説
アイキャッチ使用画像|武蔵野美術大学(作成 2026-10-02 / Saki) Commonsファイル : MusashinoArtUniversity.jpg Commonsページ : https://commons.wikimedia.org/wiki/File:MusashinoArtUniversity.jpg 画像URL : https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/e/ee/MusashinoArtUniversity.jpg ライセンス : CC BY-SA 4.0 撮影者 : Wiki2091996 撮影日 : 2016-03-12 被写体 : 武蔵野美術大学 鷹の台キャンパス 正門ゲート 画像内の表記 : 画像:武蔵野美術大学 鷹の台キャンパス 正門ゲート / Photo: Wiki2091996 / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons 処理: 切り取り・色調整なし。object-fit:contain で全体を収め、余白は黒帯。 文字は写真の上に重ねず、右のクリーム地パネル(別領域)に配置。 大学のロゴは使用していません(仕様書15-2)。 被写体の確認(仕様書・取り違え防止) Commons API でカテゴリ「Musashino Art University」「University gates in Tokyo」を確認。 ja.wikipedia「武蔵野美術大学」のインフォボックス画像、および ja.wikipedia「DOCOMOMO JAPAN選定 日本におけるモダン・ムーブメントの建築」で使用中であることを実測。 画像を開いて目視し、コンクリートの門型ゲート・桜・奥の校舎を確認した。 (同カテゴリには武蔵野市の無関係なビル Musashino_YS_Building.jpg が誤分類されている。本ファイルとは別物) 採用理由と見送った候補 CC BY 4.0 の市ヶ谷キャンパス エントランス(RuinDig/Yuki Uchida)はライセンス条件がより緩いが、 (1) 縦長 2736×3648 のため 1200×630 に切り取らずに収めると左右に大きな黒帯が出る (2) 庇のサインに大学ロゴ「MAU」が大きく写り込み、仕様書15-2「大学のロゴを使わない」に触れうる の2点から見送った。本ファイルは 682×453 と小さく 756px 幅へ約1.1倍の拡大となるが、 切り取り・補正はしていない。 パネルの文字 欧文名「Musashino Art University」は メタ情報.md 3章の正式名称から転記。 一行「1929年創立/鷹の台と市ヶ谷」は メタ情報.md 3章の検証済み記述に基づく。

アートコンサルティング

こんにちは。ユアムーン株式会社 編集部です。

皆さんは武蔵野美術大学という大学をご存知ですか。1929年創立の帝国美術学校を前身とする、日本を代表する美術大学のひとつです。「武蔵美(むさび)」の愛称で呼ばれ、造形学部と造形構想学部の2学部12学科を擁し、彫刻家やデザイナー、映画美術監督など、分野を問わず数多くの作り手を送り出してきました。

本記事ではそんな武蔵野美術大学について、沿革、学部・学科の構成、キャンパスと施設、学費、入試の方式、卒業後の進路まで、公式サイト(musabi.ac.jp)で確認できた情報をもとにご紹介します。あわせて、「武蔵野美術大学 世界ランキング」で検索してたどり着いた方のために、QS世界大学ランキングとの関係についても、誤解が生じやすい点を含めて整理します。それでは早速いってみましょう。

武蔵野美術大学って?

基本情報

正式名称武蔵野美術大学(略称:武蔵美/むさび、MAU)
創立1929年(帝国美術学校として開校)
大学への昇格1962年(学校法人武蔵野美術大学、造形学部を開設)
設置者学校法人武蔵野美術大学
所在地鷹の台キャンパス:東京都小平市小川町1-736/市ヶ谷キャンパス:東京都新宿区市谷田町1-4
学長樺山祐和(かばやま さちかず)。造形学部油絵学科教授。2023年4月1日就任(任期は2027年3月31日まで)
学部・学科造形学部(10学科)、造形構想学部(2学科)の2学部12学科
学生数通学課程の学部生4,454名、大学院生392名(2026年5月現在、公式発表)
世界ランキング(QS)QS世界大学ランキング アート&デザイン部門2026年版に掲載なし。詳しくは本文「武蔵野美術大学と『世界ランキング』」をご覧ください
武蔵野美術大学 鷹の台キャンパスの正門ゲート
武蔵野美術大学 鷹の台キャンパスの正門ゲート(東京都小平市、2016年)。キャンパス全体のマスタープランを手がけた建築家・芦原義信の設計によるもので、DOCOMOMO Japanが選定する「日本におけるモダン・ムーブメントの建築」にも選ばれています/撮影:Wiki2091996(CC BY-SA 4.0)/出典:Wikimedia Commons

海外の美術大学を含めた世界ランキングの読み方は、【最新!2026年版】アート&デザイン部門 QS世界大学ランキングで詳しく解説しています。

沿革

武蔵野美術大学の歴史は、1929年の帝国美術学校開校にさかのぼります。校主は木下成太郎、日本画科・西洋画科・工芸図案科の3学科でスタートしました。1935年には同盟休校事件をきっかけに学校が分裂し、分かれた教員・学生の一部が多摩帝国美術学校(現在の多摩美術大学)を設立しています。帝国美術学校と多摩美術大学が、もともと同じ学校から枝分かれした関係にあるというのは、美大受験の文脈ではあまり知られていない事実かもしれません。

戦後は校名の変更が続きます。1947年に「造型美術学園」、1948年に「武蔵野美術学校」と改称し、1957年に学校法人武蔵野美術学校の認可を受けて武蔵野美術短期大学を設置しました。4年制大学への昇格は1962年です。学校法人武蔵野美術大学に改称し、武蔵野美術大学と造形学部(美術学科・産業デザイン学科)を開設しました。現在の主要キャンパスである鷹の台校は、その前年の1961年に開設され、1969年には全学の機能がここに統合されています。

学科の拡充もこの時期から進みます。1965年に建築学科、1967年に基礎デザイン学科、1990年に映像学科、1999年に芸術文化学科とデザイン情報学科が開設され、現在の造形学部の学科構成がほぼ出そろいました。大学院は1973年に造形研究科(修士課程)が開設されています。通信教育の歴史も長く、1951年に西洋画科通信教育部が開設され、4年制の造形学部通信教育課程は2002年に始まりました。

近年でもっとも大きな変化は、2019年の造形構想学部の新設です。新宿区に市ヶ谷キャンパスを開設し、クリエイティブイノベーション学科と映像学科(映像学科は造形学部から移管)からなる新学部をスタートさせました。あわせて大学院造形構想研究科(修士課程)も開設しています。2024年には、長く使われてきた吉祥寺校が閉校しました。創立から数えると、2029年で100周年を迎えることになります。

年できごと
1929年帝国美術学校開校(日本画科・西洋画科・工芸図案科)
1935年学校が分裂し、多摩帝国美術学校(現・多摩美術大学)が設立される
1948年武蔵野美術学校に改称
1957年学校法人認可、武蔵野美術短期大学設置
1961年鷹の台校(現・鷹の台キャンパス)開設
1962年武蔵野美術大学設置、造形学部開設
1969年鷹の台校に全学統合
1973年大学院造形研究科(修士課程)開設
2002年造形学部通信教育課程(4年制)開設
2010年図書館棟竣工(設計:藤本壮介)、美術館棟改修。「美術資料図書館」を「美術館・図書館」に名称変更
2019年市ヶ谷キャンパス開設、造形構想学部開設

学部・学科の構成

武蔵野美術大学は、造形学部と造形構想学部の2学部に、あわせて12学科を設置しています。絵画・彫刻といった伝統的な造形分野から、デザイン、建築、映像、芸術文化、社会課題の解決まで、学べる範囲はかなり広いことが特徴です。

造形学部(10学科)

日本画学科、油絵学科(油絵専攻・グラフィックアーツ専攻の2専攻)、彫刻学科は、いわゆるファインアート系の学科です。彫刻学科は7つの専門工房を持ち、素材や技法ごとに専門的な制作環境が整えられています。

デザイン系には、視覚伝達デザイン学科(グラフィックやメディアを通じた「見ること」「伝えること」の専門家を育成)、工芸工業デザイン学科(素材に触れながらのものづくり)、空間演出デザイン学科(4つのコースが交差する環境で空間を扱う)、建築学科、デザイン情報学科(モノ・コトを読み解き、見えてきた問題意識とアイデアにかたちを与える)があります。建築学科は、工学部の建築学科と違って美術大学ならではの造形教育を重視しており、一級建築士の受験資格を得られる課程でありながら、空間構成の計画・設計や原寸制作に力を入れています。卒業後の進路も建築設計事務所やゼネコンだけでなく、ランドスケープデザインや造形作家まで幅広いのが特徴です。

基礎デザイン学科は「デザインを分けない」という方針を掲げ、インフォメーション・ヴィジュアルコミュニケーション・プロダクトの領域を横断しながら、専攻コースという区分を設けていません。学生自身が研究テーマを発見し、卒業制作や卒業論文へと発展させていく仕組みです。芸術文化学科は、ミュゼオロジー(博物館学)・プランニング・マネジメントの3本柱で、芸術と文化を社会に生かす「芸術文化学」を学びの中心に据えており、学芸員資格の取得も可能です。

造形構想学部(2学科)

2019年に新設された学部で、クリエイティブイノベーション学科と映像学科の2学科からなります。クリエイティブイノベーション学科は、「不確実な時代に怯むことなく、最善の未来予測を自らの手でつくる」ことを掲げ、造形教育と現代社会・産業の知識を組み合わせて、ビジネス・テクノロジー・ヒューマンバリューの3領域を横断する人材育成を目指しています。1・2年次は鷹の台キャンパスで造形や教養の基礎を固め、3・4年次は市ヶ谷キャンパスに移って、産学共同プロジェクトなど実社会の課題に取り組むプロジェクトベースの学習に進みます。この学科はデザイナー職だけでなく、企業の総合職や自治体職員など、美術大学としてはめずらしい進路にもつながっているのが特徴です。

映像学科は、写真・映画・アニメーション・イメージコンピューティング・メディアアート・映像空間という複数の領域から映像表現を学ぶ学科です。初年次に基礎を幅広く習得したうえで、2〜3年次に専門性を深め、4年次にゼミを選んで卒業制作に取り組みます。ジャンルを固定せず自由に横断・発展できるカリキュラムと、ビデオアトリエやフォトアトリエなど本格的な制作設備が特徴です。

武蔵野美術大学 市ヶ谷キャンパスの外観
武蔵野美術大学 市ヶ谷キャンパス(2020年)/撮影:Nyao148(CC BY-SA 3.0)/出典:Wikimedia Commons

大学院

大学院は、造形学部に対応する造形研究科(修士課程・博士後期課程)と、造形構想学部に対応する造形構想研究科(修士課程・博士後期課程)の2研究科です。造形研究科修士課程は美術専攻・デザイン専攻の2専攻12コース、造形構想研究科修士課程は造形構想専攻の2コース(クリエイティブリーダーシップコース、映像・写真コース)があります。

キャンパスと施設

武蔵野美術大学のキャンパスは、東京都小平市の鷹の台キャンパスと、東京都新宿区の市ヶ谷キャンパスの2か所です。

鷹の台キャンパス

所在地は東京都小平市小川町1-736。西武国分寺線の鷹の台駅から徒歩18分、またはJR中央線の国分寺駅・JR中央線の立川駅からバス(いずれも約25分)でアクセスします。敷地はおよそ11万平方メートルで、都市計画道路をはさんで南キャンパスと北キャンパスに分かれています。造形学部の全学科と、造形構想学部クリエイティブイノベーション学科の1・2年次の学生がここで学びます。同じ造形構想学部の映像学科も、実習室・研究室は鷹の台キャンパス(12号館)に置かれています。16号館まである建物に、学科ごとのアトリエ・実習室・研究室が配置され、油絵学科アトリエ(4号館)、日本画学科アトリエ・研究室(5A号館)、建築学科実習室・研究室(8号館)など、学科の専門性に合わせた施設が整っています。第1食堂(鷹の台ホールA棟2階)・第2食堂(12号館地下1階)のほか、ベーカリー「エミュウ」(4号館1階)や体育館、グラウンド、テニスコートなど、学生生活を支える施設もひととおりそろっています。

西武国分寺線 鷹の台駅の駅舎
西武国分寺線 鷹の台駅の駅舎(東京都小平市、2023年)。鷹の台キャンパスへは、この駅から徒歩18分です/撮影:MaedaAkihiko(CC BY-SA 4.0)/出典:Wikimedia Commons
鷹の台駅前の通り、小平市
鷹の台駅前通り(小平市、2020年)。西武国分寺線 鷹の台駅は鷹の台キャンパスの最寄り駅のひとつです/撮影:Nishifutsu(CC BY-SA 4.0)/出典:Wikimedia Commons

鷹の台キャンパスのある小平市は、江戸時代に開削された用水路「玉川上水」が流れる、武蔵野の面影を残す地域です。キャンパスの周辺には緑の多い住宅地が広がっており、制作に集中できる環境が整っています。

小平中央公園の桜
小平中央公園の桜(東京都小平市、2020年)/撮影:Nyao148(CC BY-SA 3.0)/出典:Wikimedia Commons
小平市内を流れる玉川上水
小平市内を流れる玉川上水(2009年)/撮影:sewmew(パブリックドメイン)/出典:Wikimedia Commons

市ヶ谷キャンパス

2019年に開設された新しいキャンパスで、所在地は東京都新宿区市谷田町1-4。JR・地下鉄の市ケ谷駅から徒歩3分というアクセスの良さが特徴です。造形構想学部クリエイティブイノベーション学科の専門課程(3・4年次)と、大学院造形構想研究科のクリエイティブリーダーシップコース、ソーシャルクリエイティブ研究所の拠点になっています。地上8階・地下2階の建物に、講義室や演習室、学科研究室のほか、地下にはフォトスタジオやペインティングスタジオ、多目的プロジェクトスペースが配置され、産官学のプロジェクトを進めるための共創スペースやコワーキングスペース「Ma」、ノンプロフィットギャラリー「gallery αM」も入っています。都心にありながら美術大学のキャンパスとして機能している点は、鷹の台キャンパスとは異なる魅力です。

武蔵野美術大学 市ヶ谷キャンパスのエントランス
武蔵野美術大学 市ヶ谷キャンパスのエントランス(東京都新宿区市谷田町1-4、2022年)/撮影:RuinDig/Yuki Uchida(CC BY 4.0)/出典:Wikimedia Commons
市ヶ谷濠越しに見るJR市ケ谷駅
市ヶ谷濠越しに見るJR市ケ谷駅(2016年)。市ヶ谷キャンパスはこの駅から徒歩3分の距離にあります/撮影:Nyao148(CC BY-SA 3.0)/出典:Wikimedia Commons

美術館・図書館

鷹の台キャンパスにある美術館・図書館は、建築作品としても知られています。公式サイトの沿革によると、美術館棟は1967年に「美術資料図書館」として竣工した建物で、設計は本学名誉教授でもある建築家の芦原義信です。2010年には、建築家の藤本壮介の設計で新しい図書館棟が竣工し(サインデザインは佐藤卓)、あわせて美術館棟も藤本壮介の設計で改修されました。この年に名称も「美術資料図書館」から「美術館・図書館」に改められ、美術館は2011年にリニューアル開館しています。

この図書館棟は、藤本壮介の初期の代表作のひとつと位置づけられています。設計のコンセプトは、設計者本人が解説する動画シリーズとして2025年に美術館・図書館の公式YouTubeチャンネルで公開されていますので、建物に関心のある方はそちらをご覧になるのが確実です。

収蔵・所蔵の規模も美術大学としては大きく、美術館は約4万点を超える収蔵品(ポスター約3万点、近代椅子=モダンチェア約400脚を含む)を持ち、図書館は美術・デザイン分野を中心に蔵書32万冊、雑誌約5,000タイトルを所蔵しています。美術系大学の図書館としては日本有数の規模です。このほか、13号館の民俗資料室には約9万点の民俗資料、イメージライブラリーには約2万点の映像資料があります。

藤本壮介:武蔵野美術大学 図書館棟 設計コンセプト(武蔵野美術大学 美術館・図書館 公式YouTube/2025年5月公開)

学費(2027年度入学者)

武蔵野美術大学は2027年度入学者から学費を改定します。公式サイトは、近年の物価上昇やエネルギー価格の高騰を背景に教育研究・施設運営の費用が増加していることを理由に挙げ、「2026年度以前入学者の学費に変更はありません」としたうえで、2027年度入学者からの新しい金額を公表しています。本記事では、この2027年度入学者向けの金額を中心にご紹介します。

学部の入学金は、一般受験生の場合260,000円です(兄弟姉妹が在籍している場合など、条件に応じた減免制度があります)。年間の授業料・維持費・施設設備費は学科によって3段階に分かれており、もっとも高いのは彫刻学科と工芸工業デザイン学科です。初年度は入学金を含むため、2年目以降より高くなります。

学科入学金(初年度のみ)年間の授業料・維持費・施設設備費初年度納入額4年間の総額
視覚伝達デザイン、空間演出デザイン、建築、基礎デザイン、芸術文化、クリエイティブイノベーション、映像260,000円1,720,000円1,980,000円7,140,000円
日本画、油絵(油絵専攻・グラフィックアーツ専攻)、デザイン情報260,000円1,735,000円1,995,000円7,200,000円
彫刻、工芸工業デザイン260,000円1,750,000円2,010,000円7,260,000円

「4年間の総額」は、初年度納入額に2〜4年目の年額(授業料・維持費・施設設備費の合計)を3年分加えた金額で、編集部が公式サイトの金額をもとに計算したものです。この金額には、学生教育研究災害傷害保険料(入学時に4,660円予定)、卒業年次の校友会費(終身会費30,000円予定)、ノートパソコンなどの通信機器の購入費は含まれていません。これらは授業料とは別の費用なので、実際に準備する金額はもう少し増える点にご注意ください。外国人留学生(在留資格が「留学」)の方は、留学生修学環境整備費として年額363,000円が別途必要です。

なお、2026年度以前に入学した学生は学費の変更を受けないため、現行の金額(入学金300,000円、学科により年間1,628,000円〜1,658,000円、4年間総額6,812,000円〜6,932,000円。いずれも編集部による同じ方法での計算)のまま在学期間を終えます。2027年度からの新入生は、これと比べて入学金が40,000円安くなる一方、年間の授業料・維持費・施設設備費の合計はどの学科も92,000円上がり、4年間の総額では328,000円の増加になります。

入試の方式

武蔵野美術大学の公式サイトの「学部の入試」には、一般選抜、総合型選抜、外国人留学生特別選抜、帰国生特別選抜、編入学選抜、転部・転科試験の6つが並んでいます(2026年10月時点)。この一覧に学校推薦型選抜(指定校推薦・公募推薦)は含まれていません。「2027年度入学試験の変更点」のページにも推薦に関する記載はありません。高校からの推薦枠をあてにした受験計画は立てられない、という前提で考えるのが安全です。なお、総合型選抜のページのURLには「recommend」という語が使われていますが、ページのタイトルも内容も総合型選抜で、推薦型の選抜ではありません。この6つのうち、募集人員の大半を占めるのは一般選抜です。

一般選抜

一般選抜はさらに「一般方式」「学部統一方式」(造形構想学部の2学科のみ)「大学入学共通テスト利用方式」(共通テスト2教科+専門試験方式、共通テスト3教科方式、共通テスト5教科方式)に分かれます。もっとも募集人員が多いのは一般方式で、造形学部は「国語+英語の学力試験」と「学科別の専門試験(実技が中心)」を組み合わせて判定します。実技がどれだけ重視されるかは学科によって差が大きく、受験生がもっとも知りたいポイントだと思いますので、2027年度入試の配点を学科ごとに整理しました。

学科学力試験(造形学部・映像学科は国語100点+英語100点)専門試験(実技など)満点専門試験の比重
日本画、油絵(油絵専攻)、彫刻200点300点(デッサン+着色写生/油絵など)500点60%
油絵(グラフィックアーツ専攻)200点300点(デッサンまたはドローイング)500点60%
視覚伝達デザイン、工芸工業デザイン、空間演出デザイン200点300点(鉛筆デッサン+デザイン等)500点60%
建築200点200点(鉛筆デッサンまたは数学から選択)400点50%
基礎デザイン200点200点(感覚テスト+基礎造形、または数学)400点50%
デザイン情報200点200点(造形表現テスト、デザイン、小論文から選択)400点50%
芸術文化200点100点(小論文、デッサン、数学、地理歴史から選択)300点33%
クリエイティブイノベーション300点(文系学力重視型=英語・国語・地理歴史/理系学力重視型=英語・理科・数学。各100点)実技なし300点0%
映像200点300点(感覚テスト150点必須+選択150点)500点60%

この表からも分かるとおり、日本画・油絵・彫刻・視覚伝達デザインなど多くの学科では実技が合否の6割を左右するのに対し、建築・基礎デザイン・デザイン情報は実技と学力がほぼ半々、芸術文化は学力重視、クリエイティブイノベーションに至っては実技そのものがなく学力試験のみという、学科ごとにまったく違う設計になっています。志望する学科によって、対策の立て方も大きく変わることが分かります。

「共通テスト2教科+専門試験方式」は、大学入学共通テストの得点と、この専門試験(本学独自試験)の得点を組み合わせて判定する方式です。2027年度学生募集要項は「【一般方式】と併願すれば、1回の専門試験受験で2方式の判定を受けられます」と説明しており、同じ専門試験を受けることで一般方式と共通テスト利用方式の両方にチャレンジできる仕組みになっています。「共通テスト3教科方式」「共通テスト5教科方式」は、大学入学共通テストの得点のみで合否を判定する方式で、自己採点後に出願できる点が特徴です。

総合型選抜

総合型選抜は本学を専願とする選抜方式で、公式サイトは「ムサビで学びたい学科が決まっている」「定められた時間内に作品をつくるような従来の入試が苦手」といった受験生におすすめしている選抜方式だと説明しています。これまでの活動などをポートフォリオ(作品資料ファイル)や調書にまとめ、それらを生かして学びたいことを面接でアピールする形です。前期と後期があり、対象学科と日程が異なります。

前期後期
出願期間9月10日〜17日11月10日〜18日
試験日10月31日〜11月1日12月12日〜13日(映像学科ディレクション資質重視方式のみ)、12月21日(上記以外の方式)
合格発表11月10日12月25日
対象学科視覚伝達デザイン学科を除く11学科油絵学科グラフィックアーツ専攻、彫刻学科、映像学科

(日程は2027年度入試のものです。年度によって変わるため、出願の際は必ず公式サイトでご確認ください。)

卒業後の進路

公式サイトが公表している「2025年度進路状況表」(2026年4月1日現在)によると、学部卒業者1,016名のうち、就職を希望した586名に対して就職者は549名、就職率は94%です。ここでの就職率は、公式の表どおり「就職者÷就職希望者」で、卒業者全体を分母にした数字ではありません。進学者は133名、作家活動などを含むその他の進路が334名となっています。大学院は、修了者200名のうち就職希望者81名に対して就職者65名、就職率80%で、進学者は6名、その他が129名です。

卒業・修了者就職希望者就職者進学者その他(作家活動等)就職率
学部全体1,016名586名549名133名334名94%
大学院全体200名81名65名6名129名80%

就職率は学科によって差があり、彫刻学科は100%、工芸工業デザイン学科は99%と高い一方、日本画学科は84%、基礎デザイン学科は86%となっています。この差は、就職希望者そのものが少なく、卒業後も制作活動を続ける学生の割合が高い学科で、就職率の分母が小さくなることが影響していると考えられます。公式サイトは「近年では造形感覚や造形能力を持つ人材が広く社会から求められるようになり作家やデザイナー以外にも、様々な企業へ就職の可能性が広がっています」と説明しています。

「過去3年間の主な就職先(抜粋)」も学科ごとに公表されており、たとえば油絵学科はカプコン、東映アニメーション、ウィットスタジオなどアニメ・CG・ゲーム業界への実績が目立ちます。彫刻学科は、立体造形の技術を生かしてスズキ、トヨタ自動車東日本、本田技術研究所といった自動車業界や、任天堂、バンダイナムコスタジオなどへの就職実績があります。視覚伝達デザイン学科は電通、博報堂、ソニーミュージックエンタテインメントなど広告・出版・音楽業界に、日本画学科はTOPPANやセガ、フロム・ソフトウェアなど出版・デザイン業界やゲーム業界に実績があります。学科の専門性を生かしつつ、業界の幅はかなり広いことが分かります。

武蔵野美術大学と「世界ランキング」

「武蔵野美術大学 世界ランキング」という検索をきっかけにこの記事にたどり着いた方のために、ここで正確な情報を整理しておきます。結論から先にお伝えすると、QS世界大学ランキング アート&デザイン部門2026年版に、武蔵野美術大学は掲載されていません。この分野でランク入りしているのは300校を超えますが、その中に名前は出てきません。

ここで注意が必要なのが、QSのランキング表に出てくる「Musashino University」という大学は、武蔵野美術大学ではなく、武蔵野大学(東京都江東区・西東京市)という別の大学だという点です。武蔵野大学は2026年版のアート&デザイン部門で151〜200位のバンドに入っていますが、これは美術大学である武蔵野美術大学の順位ではありません。英語の校名が近いために混同されやすいのですが、設置者は武蔵野美術大学が「学校法人武蔵野美術大学」、武蔵野大学が「学校法人武蔵野大学」とまったく別の法人です。キャンパスの所在地も、武蔵野美術大学が小平市・新宿区、武蔵野大学が江東区有明・西東京市新町で重なりません。学部構成も異なります。この誤読は非常に多く、Euphoric " " が公開しているQS世界大学ランキングの解説記事でも、同じ注意を明記しています。

では、ランキングに掲載されていないことは、武蔵野美術大学の教育の価値が低いということを意味するのでしょうか。QSのランキングの仕組みを見ると、そうとは言い切れません。QSの分野別ランキングは、研究者へのアンケートである「Academic Reputation(学術評判)」と、企業の採用担当者へのアンケートである「Employer Reputation(雇用者評判)」という2つの指標の組み合わせで決まります。アート&デザイン部門では、論文数や被引用数といった研究系の指標は一切使われておらず、学術評判が90%、雇用者評判が10%という配分で、ほぼ評判だけで順位が決まる仕組みになっています。

この学術評判のアンケートは、英語で、世界中の研究者・教員に対して行われます。つまりこの順位は、教育の中身そのものよりも「その大学の名前が、海外の研究者にどれだけ届いているか」を映す指標に近いということです。Euphoric " " のQS解説記事でも、日本の美術大学について「これは『日本の美大の教育が劣っている』という話ではありません」「教育の質の差というより、『どれだけ世界に向かって開いているか』の差だと読むほうが正確だと思われます」と整理しています。2026年版でこの分野にランクインした日本の大学10校のうち、美術・デザインの単科大学は東京藝術大学1校だけで、武蔵野美術大学だけでなく多摩美術大学も掲載されていません。日本の美術大学全体に共通する傾向であり、武蔵野美術大学に固有の弱点というわけではないのです。

注意点内容
掲載の有無武蔵野美術大学はQS世界大学ランキング アート&デザイン部門2026年版に掲載なし
よくある誤読ランキングに出てくる「Musashino University(武蔵野大学)」は別の大学。混同に注意
順位を決める指標学術評判90%+雇用者評判10%(論文指標は0%)。教育の質そのものを直接測る指標ではない

QSのランキング全体の仕組みや、TOP10の大学の詳しい解説、日本の大学の順位の推移については、【最新!2026年版】アート&デザイン部門 QS世界大学ランキングで詳しく取り上げています。あわせてご覧ください。

主な卒業生

武蔵野美術大学は、卒業生インタビューを集めた公式サイト「美はつづく。つくり続けるひとたち」を公開しています。2029年の創立100周年に向けた企画で、「さまざまな第一線で活躍する13人の言葉から、つくることの現在地をたどります」と趣旨が説明されています。掲載されている13名を、サイトの表記のまま一覧にしました。

氏名活動分野・所属(公式サイトの表記)出身学科・コース
青木野枝彫刻家大学院美術専攻彫刻コース
種田陽平映画美術監督油絵学科
諏訪敦画家大学院美術専攻油絵コース
亀山達矢tupera tupera油絵学科版画コース(現グラフィックアーツ専攻)
かっぴーマンガ家視覚伝達デザイン学科
unpisイラストレーター基礎デザイン学科
貝淵純子日本郵便株式会社 切手デザイナー日本画学科
米谷ひろしTONERICO:INC.工芸工業デザイン学科
君塚賢TONERICO:INC.建築学科
小川希Art Center Ongoing代表映像学科
長添雅嗣映像作家デザイン情報学科
倉持佳代子京都国際マンガミュージアム/学芸員芸術文化学科
澤寛アーティスト/映画監督/衣裳デザイナー空間演出デザイン学科

13名の内訳を見ると、彫刻、映画美術、絵画、絵本、デザイン、マンガ、イラストレーション、切手デザイン、映像、学芸員、アートセンターの運営と、分野はかなり幅広いことが分かります。学科の専門性を土台にしながら、卒業後の活動の場は学科の枠を超えて広がっていると言えそうです。なお、インターネット上では武蔵野美術大学の卒業生として多くの著名人の名前が挙げられていますが、本記事では公式サイトで出身学科まで確認できた人物のみを掲載しています。

まとめ

武蔵野美術大学 市ヶ谷キャンパスの外観
武蔵野美術大学 市ヶ谷キャンパス(2020年)/撮影:Nyao148(CC BY-SA 3.0)/出典:Wikimedia Commons

いかがだったでしょうか。武蔵野美術大学について見てきました。要点は次の6つです。

  • 1929年創立の帝国美術学校を前身とし、1962年に武蔵野美術大学として大学に昇格しました。多摩美術大学とは、もともと同じ学校から分裂した関係にあります
  • 造形学部(10学科)と造形構想学部(2学科)の2学部12学科。鷹の台キャンパス(小平市)と市ヶ谷キャンパス(新宿区)の2拠点で学びます
  • 2027年度入学者の学費は、学科により4年間総額7,140,000円〜7,260,000円(2026年度以前入学者は変更なし)
  • 一般選抜は学科によって実技の比重が大きく異なり、6割が実技の学科もあれば、実技のない学科(クリエイティブイノベーション)もあります。公式サイトの「学部の入試」一覧に学校推薦型選抜は含まれていません
  • 2025年度卒業者の就職率は94%(大学院80%)。業界を問わず幅広い進路実績があります
  • QS世界大学ランキング アート&デザイン部門2026年版には掲載されていません。ランキングに出てくる「Musashino University」は武蔵野大学という別の大学で、武蔵野美術大学と混同しないようご注意ください

学費や入試の方式、日程は年度ごとに変わります。出願を具体的に考える段階では、必ず公式サイトで最新の情報をご確認ください。

Euphoric " " の視点

武蔵美と多摩美は、よく並べて語られます。実際この2校は、もとをたどると同じ学校から分かれています。武蔵野美術大学の公式の年表には、1935年に同盟休校事件が起き、帝国美術学校が分裂して多摩帝国美術学校が設立された、と記されています。

つまりムサビとタマビは、ライバルである前に、残った側と分かれた側です。どちらを選ぶかという問いは、優劣の問題ではなく、分かれ道のどちらに惹かれるかという問題に近いのかもしれません。

もうひとつ、この大学には分かりやすい特徴があります。鷹の台の図書館です。本棚そのものが構造になっていて、本を探すという行為が、そのまま空間の体験になります。

学校を選ぶとき、設備の一覧を眺めるだけでは分からないことがあります。その学校が何にお金と手間をかけたか。そこに、何を大事だと思っているかが表れます。建物は、言葉より正直です。

出願に向けてポートフォリオを用意する段階でお悩みの方は、ポートフォリオ添削サービス「PORTFOLIO SENSEI」もあわせてご覧ください。

もっと知るには

本記事の情報は、武蔵野美術大学の公式サイト(musabi.ac.jp)をもとに確認しています。学費・入試日程・進路データは年度ごとに変わりますので、出願の際は下記の公式ページで最新の情報をご確認ください。

海外の美術系大学を含めた世界ランキングを詳しく知りたい方は、QS世界大学ランキング アート&デザイン部門の解説もあわせてご覧ください。

NEW POSTS / 新着記事