こんにちは。ユアムーン株式会社 編集部です!
皆さんはエンジェル・プラネルズというアーティストをご存知でしょうか?
プラネルズは恥ずかしがり屋で内向的な性格からルネ・マグリットやサルバドール・ダリなどのアーティストの影に隠れてしまったシュルレアリスムのアーティストです。
今回はそんなエンジェル・プラネルズの経歴や作品を見ていきましょう!
エンジェル・プラネルズってどんな人?
基本情報
本名 | エンジェル・プラネルズ・クルアナス(Angel Planells Cruanas) |
生年月日 | 1901年12月2日 |
出身 | スペイン カタルーニャ州 カダケス |
分野/芸術動向 | シュルレアリスム |
生まれと環境
プラネルズは、スペインのカダケスに生まれました。貧しい家庭で育ったプラネルズですが、幼少のころから美術の才能があり、両親は彼に画家になることを勧めます。
彼は10代のころに、後のシュルレアリスムを代表するアーティスト、サルバドール・ダリと親交があり、プラネルズの作風はダリの影響を受けています。
1918年にバルセロナに留学し、絵画、版画、彫刻を学びますが、経済的な問題からカデケスに戻らざるを得なくなりました。
プラネルズは、海を愛する印象派の画家、エリセウ・メイフレンを師としています。
その影響もあってか、プラネルズの作品の中には、「海」や海と似た色である「青空」がよく描かれており、海が登場する作品は、ほとんどがエネルギー溢れる鮮やかな青で表現されています。
1928年から1929年にかけて、プラネルズはバルセロナのダルマウ画廊とジローナの画廊で開催された集団展に初めて参加します。
その後、カダケスでルネ・マグリットをはじめとするシュルレアリストたちと出会い、親交を深めました。
1936年、スペインではマヌエル・アサーニャ率いる左派の人民戦線政府と、フランシスコ・フランコを中心とする右派の反乱軍とが争う内戦が勃発しました。
結果は反乱軍側の勝利で内戦は終結し、フランシスコ・フランコによる独裁政治が始まります。
スペイン内戦(1936~1939)の後、プラネルズはフランコ政権下ではシュルレアリスムを公然と追求することはできないと感じ、また、自分自身の楽しみのため、風景画や静物画を描くようになります。
そして1974年から1975年にかけてフランスのキュレーター、ルネ・メトラスに奨励を受けたプラネルズはシュルレアリスムに回帰します。
シャイで内向的な性格のプラネルズは、自分の絵を語ることもなく、故郷であるカダケスを離れることもなく作品を作り続けていました。
そのため常に同郷のサルバドール・ダリの影に隠れてしまって、ダリやマグリットほどの知名度を持つことはありませんでした。
しかし、2016年に国立エルタミージュ美術館(ロシア・サンクトペテルブルク)で行われた「Artists of Emporda and S. Dali (エンポルダの芸術家たちとS・ダリ)」には、エンジェル・プラネルズはダリに続く重要なシュルレアリストのリストに入っています。
ここまででシュルレアリスムって何?という方や、ダリ、マグリットについて詳しく知りたい方はこちらも併せてご覧ください!!
【徹底解説】ルネ・マグリットとは?作品と人生を3分で理解しよう!
作品紹介
それでは、プラネルズの作品を見ていきましょう!
※作品名の日本語訳は、DeepL翻訳を使用しています。
Crimen Perfecto (完全犯罪)
『Crimen Perfecto』はプラネルズのシュルレアリスムを代表する絵画の一つです。
ナイフが刺さった海の顔の頬からは赤い血が流れ、はさみの片側が刺さったピンク色の大地からも赤い血が流れています。
左側がレンガと化した海の顔から生える髪の毛は、大理石の女性の裸体が巻き付くように描かれており、ピンクの大地に穴をあけ中に入り込んでいます。
衝撃的な人間の顔と、綺麗な青空、そしてピンク色の大地という対比が、見た人に強烈な印象を与える絵画です。
Dolor de mediodía (真昼の苦痛)
『Dolor de mediodía』はバルセロナのカタルーニャ美術館で展示されました。
1936年のロンドン オープニングデーに出品され、有名なコレクターである「ローランド・ペンローズ」がプラネルズから直接購入しました。
右肩を強く握られ、赤い血が垂れている大理石の巨大な女性は、晴れた通りを歩く人を追いかけているのでしょうか。
右上の、大理石の枠で囲われた風景は、大理石の女性が考えていること、漫画でいう吹き出しのようなものにも見えます。
そのほかにも人の一部が木と化していたり、壁の塗装ハゲや穴と文字がドクロのようになっていたりと様々な箇所に細かい装飾などが施されていて、見ていて楽しい絵画です。
La señora impúdica (生意気な女)
体の半分が大理石の女性は、タイトル通り厚かましさを感じる表情をしているように感じます。
女性にしがみついている男性のような腕や、女性の肩を口でつまんでいる大理石の顔、卵の殻などが描かれています。
女性の上半分は、写実的に描画されていますが顔をよく見るとさらに人の顔があったり、線や記号などが描かれているのがわかります。
ほかの作品は昼などの明るい絵が多い中、この作品は夜の浜辺が舞台となっているのが気になります。
画像だと細部がよく見えないので、実際の絵をじっくりと見てみたくなりますね。
Los extraños jugadores (奇妙な選手たち)
奥には山と空が広がる広大な黄色い砂漠の中でチェスをしている絵です。
右下を見てみると、もともとここは家の中で、倒壊した家に砂漠の砂が侵食してきている様子がうかがえます。
タイトルの通り、チェスの選手たちは顔や手が奇妙な形をしています。
青い服の選手は骸骨ですが、頭蓋骨から変形した手は肉感のある女性のような手をしており、緑服の選手の頭のような何かを貫通しているように見えます。
緑の服の選手は骸骨ではないようですが、頭は何かよくわからない形をしており、ネクタイの位置からは第3の手が生えているようです。
青服と緑服の選手どちらも3個目の手があり、それらは「手」というものが一番美しく見えるような角度で描かれているように思えますね。
そして倒壊した壁の窓を閉じるバリケードには、なんと板ではなく「フランスパン」が挟まっています。
思わず笑ってしまうようなシュールさで面白い作品です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は、素晴らしい作品を生み出す画家であるにも関わらず、シャイで内向的な性格のため、名だたる画家たちの影に隠れてしまったシュルレアリスト、エンジェル・プラネルズについてご紹介しました。
画面上で見ても、かなりのインパクトがある絵画が多いので、実際に見てみるとさらに圧倒されるのではないかと思います。
ぜひプラネルズについて興味を持った人は、さらに調べてみてはいかがでしょうか!