【まるっと理解!】ナビ派ってなに?おススメ書籍も4冊紹介!

こんにちは。ユアムーン株式会社 編集部です。

みなさんは『ナビ派』と呼ばれる画家たちをご存知ですか?

ナビ派は19世紀、フランスのパリで生まれた芸術運動のひとつです。

当時の主流だった写実主義(レアリスム)に対抗して、絵画の神秘性を求めるのが主な主張ですが、その手法は作家に委ねられた部分が多く、その出来栄えは実に多彩です。

本記事ではそんなナビ派の歴史と代表的な作家をまとめてご紹介します。

ナビ派の歴史

ナビ派の誕生

ポール・セリュジェ『タリスマン(1888)』

The Talisman: The Aven River at the Bois d'Amour, 1888 - Paul Serusier

ナビ派の誕生は1888年のフランス・ブルターニュで起こりました。

パリの絵画アカデミーで学生監を勤めていたポール・セリュジェは、ブルターニュを訪れていたポール・ゴーギャンから指導を受けます。

指導の内容とは、このようなものでした。

あの樹はいったい何色に見えるかね。多少赤みがかって見える? よろしい、それなら画面には真赤な色を置きたまえ……。それからその影は? どちらかと言えば青みがかっているね。それでは君のパレットの中の最も美しい青を画面に置きたまえ……。

アカデミーでは当時の流行であった写実主義にならい、実際の風景に合わせて正確な表現を用いることが普通でした。

ゴーギャンの指導に衝撃を受けた受けたセリュジェは、アカデミーの仲間であるピエール・ボナールモーリス・ドニポール・ランソンらにこのことを伝えました。

こうしてゴーギャンの指導に共鳴したフランスの画家による『ナビ派』が誕生したのでした。

ナビ派の解剖

さて、ナビ派がゴーギャンの指導と写実主義への反抗から生まれたことは先ほど触れました。

では具体的に、どのような表現がナビ派の作品の特徴だったのでしょうか。

ナビ派の目指した絵画は『現実という名の呪縛からの解放』と表現できるかもしれません。

18世紀〜19世紀は、歴史画を崇高なテーマとして掲げる時代を打ち破った一大ムーブメントが起きた時期でした。

こうしたムーブメントの中で、理想化されたモチーフではなく現実をありのまま描く写実主義、現実の出来事やモチーフを鋭い感受性で情熱的に描くロマン主義、風景の光に着目してその印象を描き上げる印象派など、様々な芸術運動が誕生しました。

どれもが現実の風景に主眼を置いたもので、その後の時代に当たるポスト印象派の主張は、自然と現実を描くことへの反発という形をとるものでした。

 

ピエール・ボナール『Woman with Dog(1891)』

Woman with Dog, 1891 - Pierre Bonnard

 

ピエール・ボナール、モーリス・ドニをはじめとするナビ派は、現実を離れた神秘性を表現するための手法の一つを『平面性』に見出しました。

はっきりとした輪郭線と、筆致の残る画面は写実主義とも印象派とも違う情緒的な作品を生み出しました。

また、ナビ派には浮世絵などの日本美術の影響も多く見られます。

前述の輪郭線に加え、屏風絵や掛け軸を参考にした縦長の構図や、あえて空白の部分を残した画面構成などにその影響を見ることができます。

特に縦長の構図は、ピエール・ボナールが多用したことで話題を呼び、『装飾パネル』という制作スタイルを生み出しました。

ナビ派の活動

このような理念のもと集まったナビ派のメンバーは、その一員であるポール・ランソンの家に土曜日ごとに集まり、制作を共にしたと言います。

ナビ派の制服やしきたりを考案したり、メンバーにだけ伝わる用語を作って話すなど、その結束は強かったようです。

絵画だけでなく彫刻や舞台美術でも活躍しましたが、10年ほど経った1890年代末にグループは解散することになります。

しかしドニをはじめとする何人かの画家は、解散後の方がむしろ目覚ましい活躍をしました。

ナビ派を代表する画家たち

ナビ派はアカデミーで知り合った画家が少人数で始めた芸術運動という経緯から、ナビ派と呼ばれる画家は多くありません。

一方で画家の一人ひとりが独自に表現を追求したという点で、他の芸術運動と比べても特に濃密な変遷を辿っています。

そんなナビ派の代表的な画家たちを、作品と共にご紹介します。

ポール・セリュジェ

『シャトーヌフの風景の刺繍作家(1910)』

Embroiderer in a Landscape of Chateauneuf, 1910 - Paul Serusier
本名 Paul Sérusier,
生年月日 1864年11月9日〜1927年10月7日
出身地 フランス パリ
傾向 ポスト印象派 ナビ派 ポン=タヴァン派

 

ポール・セリュジェは、パリの香水会社の子供として生まれ、名門学校で学業を修めたのちパリの美術学校であるアカデミー・ジュリアンに入学して画家を目指します。

のちにナビ派の中心的なメンバーとなるモーリス・ドニとは、すでにこの時から友人でした。

1888年、パリの郊外にあるブルターニュにあるポン=タヴァンを訪ねた時にポール・ゴーギャンをはじめとするグループに出会い、ゴーギャンに指導を受けます。

この時のゴーギャンの言葉に刺激を受け、アカデミーでメンバーを募りナビ派を立ち上げるに至ります。

この経緯から『ポン=タヴァン派』の色使いや主題の選び方を受け継いでおり、ナビ派の表現の基礎的な部分を作り上げました。

ピエール・ボナール

『デサーテッド通りの2匹の犬(1894)』

Street in Eragny-sur-Oise or Dogs in Eragny, 1893 - Pierre Bonnard
本名 Pierre Bonnard,
生年月日 1867年10月3日〜1947年1月23日
出身地 フランス
傾向 ナビ派

ピエール・ボナールはナビ派を代表する画家のひとりですが、ボナール自身はナビ派のスタイルに固執する様子はなく、むしろ他の芸術運動を貪欲に取り入れてナビ派を成長させたと言えます。

その最たるものは日本から伝わった浮世絵版画の影響を受けた『ジャポニズム』を取り入れたことでしょう。

屏風絵や掛け軸から着想を得た縦長の構図や、余白を残した絵作りはナビ派の大きな特徴になりました。

ゴッホなどと同様に日本の浮世絵に執心していたことでも知られており、『ナビ・ジャポナール(日本かぶれのナビ派)』と呼ばれていました。

エドゥアール・ヴュイヤール

『Valloton and Misia in the Dining Room at Rue Saint-Florentin(1899)』

Valloton and Misia in the Dining Room at Rue Saint-Florentin, 1899 - Edouard Vuillard
本名 Édouard Vuillard,
生年月日 1868年11月11日〜1940年6月21日
出身地 フランス キュイゾー
傾向 ナビ派 隠密派

エドゥアール・ヴュイヤールボナールと同じく、ナビ派にとっては革新的なメンバーでした。

ヴュイヤールはボナールと同じように浮世絵版画に影響を受けますが、他のメンバーよりもより装飾的で平面的な、今でいうイラストのようなスタイルを好みました。

またヴュイヤールはアーツ・アンド・クラフツ運動を指揮したウィリアム・モリスの影響を受け、伝統的な装飾パターンを絵画に忍ばせることもしました。

モチーフやテーマの選び方も独特であったことも知られています。戸外制作が容易になり、印象派の影響も残るポスト印象派の時代にあって、ヴュイヤールが得意としたのは室内の風景でした。

それも自身の家族や故郷を描いた日常的でプライベートなものが多く、そんな自分のスタイルを指して『親密派(アンティミスト)』を名乗っていました。

モーリス・ドニ

『The Story of Psyche: panel 1. Eros is Struck by Psyche’s Beauty(1908)』

The Story of Psyche: panel 1. Eros is Struck by Psyche's Beauty, 1908 - Maurice Denis
本名 Maurice Denis,
生年月日 1870年11年25日〜1943年11月13日
出身地 フランス グランヴィル
傾向 ナビ派 宗教美術

モーリス・ドニは裕福なフランスの家庭に生まれ、アカデミーを通じてポール・セリュジェらと知り合います。

ナビ派という名前をつけたのはこのドニとされています。

ヘブライ語で『預言者』という意味の言葉を旧約聖書から引用して、これからの時代に求められる新しい絵画のスタイルを告げる預言者であるという挑戦的な意味を込めてつけられたようです。

この逸話からも分かる通り、ドニをはじめとするナビ派はカトリック信奉者が多く所属しており、絵画に神秘性を求めるというナビ派の根本的な思想にも影響を与えています。

中でもドニは宗教美術への関心が強く、ナビ派が分裂した後に顕著に宗教美術や壁画を多く手がけるようになります。

また、ナビ派の特徴である平面性に最初に注目したのもドニとされています。

絵画が、軍馬や裸婦や何らかの逸話である以前に、本質的に、ある順序で集められた色彩で覆われた平坦な表面であることを、思い起こすべきである。

1908年に発表した論文に書かれたこの言葉通り、ドニの作品の平面性はナビ派の他のメンバーの中でも抜きん出ていて、イラストの様相さえ見せています。

ナビ派をもっと知るための本

ここまでナビ派の歴史と画家について作品と共に紹介してきました。

本記事からさらにナビ派の魅力と知識を深めるためにおすすめの書籍を紹介させていただきます。

かわいいナビ派

ナビ派の作品をもっと知りたい!という人にまずお勧めしたいのが、『かわいい芸術シリーズ』でナビ派を取り上げた本書です。

様々な芸術ジャンルの中に潜む『かわいい』を専門的に取り上げているシリーズの中の一つで、文章がキャッチーで読みやすく、代表作から個人蔵の作品まで幅広く作品に触れることができます。

具体的な画家の経歴や歴史にはあまり触れられていませんが、美術研究家による作品の解説は専門的でありつつ中高生でも読めるくらいに噛み砕かれています。

もっと知りたいボナール 生涯と作品

次に紹介するのは、ナビ派の中心的な人物であるピエール・ボナールについて書かれた本書。

『もっと知りたいシリーズ(アート・ビギナーズ・コレクション)』のひとつである本書は、専門書と遜色ない濃密な内容ながら、図版が多く読みやすいのが特徴です。

内容はタイトル通りボナールを中心に書かれていますが、ナビ派のメンバーとの関わりや影響を受けた他の芸術運動についても解説が載っており、ナビ派の歴史と変遷をざっくりと知りたい人にお勧めです。

ポン・タヴァン派とナビ派


ナビ派について専門的に理解したい人にはこちらの本をお勧めします。

ナビ派のはじまりとも言える、ポール・セリュジェを指導したポール・ゴーギャンの所属していたグループ、ポン=タヴァン派とナビ派の関わりを主なテーマに書かれた本です。

紹介した2冊と比べると古い本なので、読みやすい本とは言えませんが、ナビ派の歴史をその始まりから綴っているため内容の専門性はお墨付きです。

フランス絵画史

ポスト印象派の例に漏れず、同時期に起こった他の芸術運動と密接な関わりを持つのがナビ派の特徴です。

なのでナビ派を深く知るためにはナビ派の専門書だけでは不十分かもしれません。

そこでお勧めするのが本書『フランス絵画史』です。

16〜19世紀のフランスにおける絵画の歴史について詳しく載っており、ナビ派を取り巻いていた環境や歴史ごと知りたい人にはうってつけの本です。

まとめ

いかがだったでしょうか。

今回はナビ派の大まかな歴史と代表的な画家の作品をまとめてご紹介しました。

もっと深くナビ派のことを知りたい人は、お勧めの書籍を合わせて紹介させていただいたのでぜひご覧になってみてください。


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