ロンドン芸術大学(UAL)とは?6つのカレッジの違いと学費・出願・キャンパスを徹底解説

ロンドン芸術大学(UAL)とは?6つのカレッジの違いと学費・出願・キャンパスを徹底解説
ロンドン・カレッジ・オブ・ファッション(East Bank) Photo: Matt Brown / CC BY 2.0 / Wikimedia Commons

アートコンサルティング

ロンドン芸術大学(University of the Arts London、通称UAL)は、イギリスのロンドンにある芸術大学です。法律にもとづいて設立された公的な高等教育法人(higher education corporation)で、私立ではありません。QS世界大学ランキングのアート&デザイン部門では2026年版で世界2位、総合スコアは95.5でした。1位のロイヤル・カレッジ・オブ・アートと合わせて、ロンドンの2校が世界の1位と2位を占めています。

ロンドン芸術大学の最大の特徴は、6つのカレッジが集まって1つの大学をつくっていることです。志望する分野によって通う場所も雰囲気も変わるため、「UALに行きたい」だけでは出願先が決まりません。この記事では、6つのカレッジがそれぞれ何を教えているのかを中心に、2026年9月24日時点でUAL公式サイトと年次報告書から確認できた情報だけを使ってまとめました。ここ数年でキャンパスも組織も大きく動いていますので、古い解説とは食い違う部分がいくつもあります。それでは早速いってみましょう。

ロンドン芸術大学の基本情報

正式名称University of the Arts London(ロンドン芸術大学)
前身The London Institute(ロンドン・インスティテュート、1986年設立)
大学としての地位2003年に枢密院の承認により大学の地位を取得
現校名になった年2004年
本部所在地272 High Holborn, London WC1V 7EY
カレッジ6つ(キャンバーウェル/セントラル・セント・マーチンズ/チェルシー/ロンドン・カレッジ・オブ・コミュニケーション/ロンドン・カレッジ・オブ・ファッション/ウィンブルドン)
インスティテュート4つ(Creative Computing Institute ほか)
学生数2024/25年度で22,341名(ファウンデーション等1,288名/学部16,279名/修士課程4,389名/研究課程385名)
国際学生の比率学費区分で51%がOverseas(海外)、49%がHome(国内)。2024/25年度
教職員教員・研究・技術職1,794名、支援職1,901名、アソシエイト・レクチャラー4,006名
総収入£494.9百万(2024/25年度)。うち国際学生の学費が58%、国内学生の学費が24%
学長(Vice-Chancellor)Karen Stanton 教授(2024年10月1日就任)
名誉学長(Chancellor)Clive Myrie(BBCのジャーナリスト)
QSランキングアート&デザイン部門2026年版で世界2位、総合スコア95.5(学術評判96.2/雇用者評判89.4)

順位の読み方は【最新!2026年版】アート&デザイン部門 QS世界大学ランキングで解説しています。この部門のスコアは学術評判90%と雇用者評判10%だけで決まります。UALの雇用者評判89.4は、1位のRCA(85.4)を上回る数字です。採用する側からの評価という一点にかぎれば、UALのほうが高く出ています。ただしTOP10で雇用者評判が最も高いのは6位のマサチューセッツ工科大学(98.3)ですので、UALが採用側の評価で世界一というわけではありません。

7つの職業学校が、1つの大学になるまで

出発点はロンドンの職業教育でした

UALは最初から総合的な芸術大学として作られた学校ではありません。19世紀から20世紀前半にかけてロンドンに生まれた、それぞれ別の学校が集まってできた大学です。UAL公式の沿革資料は、もとになった学校を次のように挙げています。

創立年当時の名称現在の姿
1854年Saint Martinsセントラル・セント・マーチンズ
1891年Chelseaチェルシー・カレッジ・オブ・アーツ
1892年Printing(印刷)ロンドン・カレッジ・オブ・コミュニケーション
1896年Centralセントラル・セント・マーチンズ
1898年Camberwellキャンバーウェル・カレッジ・オブ・アーツ
1921年Retail and Distributive Trades(小売・流通職業学校)ロンドン・カレッジ・オブ・コミュニケーション
1967年Fashionロンドン・カレッジ・オブ・ファッション

印刷、小売、洋裁、製靴といった手に職をつけるための学校が起点になっている点が、この大学の性格をよく表しています。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションについては、公式の沿革表では1967年と記されていますが、カレッジ自身は1906年創立としています。カレッジの説明によれば、ショーディッチ工科学校、バレット・ストリート職業学校、クラパム職業学校という3つの女子職業学校が合流し、1974年にロンドン・カレッジ・オブ・ファッションになりました。UALの沿革資料には、LCFの前身としてレザー・トレード・スクール(1887年設立)とバレット・ストリート職業学校(1915年設立)の名前が挙がっています。

1986年のロンドン・インスティテュート、2003年の大学化

これらの学校は1988年までインナー・ロンドン教育局(ILEA)の管理下にありました。1983年のILEAによる継続教育・高等教育の見直しを受けて、1986年にロンドン・インスティテュート(The London Institute)が設立されます。LCF、ロンドン・カレッジ・オブ・プリンティング(現LCC)、チェルシー、キャンバーウェル、セントラル・セント・マーチンズが、ここで初めてひとつの傘の下に入りました。

1988年の教育改革法で独立した法人となり、1989年にセントラルとセント・マーチンズが合併してセントラル・セント・マーチンズが誕生、1990年には印刷と流通の2校が合併してロンドン・カレッジ・オブ・プリンティングになりました。1993年に学位授与権、2002年に研究学位授与権を取得し、2003年に大学の地位を承認されます。翌2004年、ロンドン・カレッジ・オブ・プリンティングがロンドン・カレッジ・オブ・コミュニケーションに改称され、あわせて機構全体がUniversity of the Arts London という現在の名前になりました。

2006年にウィンブルドンが加わり、6カレッジ体制へ

1999年にドラマ・センター・ロンドンがCSMへ、2000年にコードウェイナーズ・カレッジがLCFへ、2003年にバイアム・ショーがCSMへと、専門校の統合が続きます。そして2006年、ウィンブルドン美術学校が6番目のカレッジとして加わりました。ウィンブルドンの源流は1890年にさかのぼり、1904年にマートン・アンド・ウィンブルドン工科学院の中に「The School of Art」が置かれたことが始まりとされています。

【重要】いまのUALは、古い解説と3点食い違います

ここが、数年前の記事を読んで準備を進めている方にいちばん知っておいていただきたい部分です。

変化1:LCFは2023年にストラトフォードへ移りました

ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションは、長いあいだロンドン中心部のジョン・プリンシズ・ストリートを本拠に、市内に分散した複数の拠点で運営されていました。「大英博物館の近く」という説明は、この時代のものです。

2023年9月、LCFはストラトフォードのクイーン・エリザベス・オリンピック・パーク内に新設された East Bank へ移転しました。これによって、ロンドン市内に分かれていた拠点が1か所に集まりました。LCFが離れた旧拠点は、公式の記録で名前を確認できる範囲でジョン・プリンシズ・ストリート、ライム・グローブ、ゴールデン・レーン、メア・ストリート、カーテン・ロードの5か所です。現在の住所は105 Carpenter’s Road, London E20 2AR、設計はアリーズ・アンド・モリソン、同じ地区にサドラーズ・ウェルズ、V&A、BBC、ロンドン大学UCL、ラフバラ大学が並びます。なおライム・グローブの校舎はUALが手放したわけではなく、ファウンデーション課程を集約する「UAL School of Pre-degree Studies」の拠点として使われています。

ストラトフォードのEast Bankにあるロンドン・カレッジ・オブ・ファッションの校舎
2023年に移転したLCFの East Bank 校舎(ストラトフォード)。右手はBBCの建物です/撮影:The wub/出典:Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)

変化2:LCCの新校舎が2027年に開きます

ロンドン・カレッジ・オブ・コミュニケーションは、エレファント&キャッスルの再開発にあわせて新校舎を建設中です。2018年7月にサザーク区が建築許可を出し、2022年10月に着工、2024年に建物が最高部に達する「トッピングアウト」を迎えました(LCCの年表は「2024年夏」、UALの年次報告書は「10月」と記しています)。設計は同じくアリーズ・アンド・モリソン、建設資金は£80百万のグリーンローン(環境性能を条件とする融資)でまかなわれ、低層2階分は一般に開放される予定です。

出願を考えている方にとって重要なのは日程です。公式は現校舎を2027年6月27日に閉じ、2027年9月に新校舎を開くとしています。12か月制の大学院課程の学生は、その間UALの別拠点で授業を受けることになると明記されています。2026年や2027年に入学する場合、在学中にキャンパスが移る可能性があります。志望コースのページで開講場所を必ず確認してください。

変化3:UALはカレッジだけでできていません

「UAL=6つのカレッジ」という説明は、いまでは半分しか当たっていません。2024/25年度の年次報告書は、UALを6つのカレッジと4つのインスティテュートで構成される大学として紹介しています。加えて、ファウンデーション課程を集めた School of Pre-degree Studies、外部の学校向けに資格を発行する UAL Awarding Body、2024年11月に立ち上がったオンライン大学院 UAL Online があります。志望分野によっては、カレッジではなくインスティテュートに出願することになります。

6つのカレッジの違い

セントラル・セント・マーチンズ(CSM)

キングス・クロスのグラナリー・ビルにあるセントラル・セント・マーチンズの校舎
セントラル・セント・マーチンズが入るキングス・クロスのグラナリー・ビル/撮影:David Anstiss(Geograph Britain and Ireland)/出典:Wikimedia Commons(CC BY-SA 2.0)

1854年創立のセント・マーチンズと1896年創立のセントラル(Central School of Art and Crafts)が1989年に合併して生まれたカレッジです。1999年にドラマ・センター・ロンドン、2003年にバイアム・ショー美術学校を統合しました。2011年にキングス・クロスの新校舎(1 Granary Square, London N1C 4AA)へ移転し、現在はアーチウェイにも拠点があります。

公式は、両方の前身校が「つくることを通して学ぶことの根本的な重要性を信じ、アートとデザインへの急進的な取り組みで知られていた」と述べています。組織は3つの Schools of Thought、すなわち C School(Culture=文化)、S School(Systems=システム)、M School(Material=素材)に分かれており、アート、デザイン、パフォーマンスを横断します。「ファッション学部」のような分野別の学部に分かれていない点が、他のカレッジと大きく違います。ファッションで名前を知られていますが、志望分野で学部を選ぶのではなく、考え方の系統でスクールが分かれている大学だと思って課程一覧をご覧ください。

ロンドン芸術大学|セントラル・セント・マーチンズ(通称:CSM)ファッション専攻を解説!

ロンドン・カレッジ・オブ・ファッション(LCF)

ファッションを、デザインからビジネス、科学技術、キュレーションまで丸ごと扱うカレッジです。組織はFashion Business School、School of Design and Technology、School of Media and Communication の3つのスクールで構成されています。デザイナー志望だけでなく、ブランドの経営、マーケティング、ジャーナリズム、スタイリング、フットウェア、メイクアップまで進路の幅が広いのが特徴です。製靴の名門コードウェイナーズ(1913年にコードウェイナーズ・テクニカル・カレッジ)は2000年にLCFへ統合され、その名は BA (Hons) Cordwainers Footwear and Accessories と BA (Hons) Cordwainers Fashion Bags and Accessories という課程名にいまも残っています。2023年9月にストラトフォードの East Bank へ全面移転しました。

ロンドン・カレッジ・オブ・ファッション(通称:LCF)の魅力やキャンパスライフをご紹介!

ロンドン・カレッジ・オブ・コミュニケーション(LCC)

印刷教育の学校を起源とするカレッジです。上の沿革表では1892年としましたが、LCC自身のページは1894年設立の St Brides Foundation Institute を起源としています。エレファント&キャッスルに移った1962年にロンドン・カレッジ・オブ・プリンティング、2004年に現在の名前になりました。1954年には、アーティストのトム・エカーズリーがイギリス初となるグラフィックデザインの学士課程をこの学校に開いています。

エレファント&キャッスルにあるロンドン・カレッジ・オブ・コミュニケーションの現校舎
エレファント&キャッスルにあるLCCの現校舎。2027年6月27日に閉じ、9月に新校舎へ移ります/撮影:David Smith(Geograph Britain and Ireland)/出典:Wikimedia Commons(CC BY-SA 2.0)

現在はDesign School、Media School、Screen School の3スクール体制です。Screen School は2017年の設立で、映画、アニメーション、ゲームデザイン、VRを束ねています。グラフィックデザイン、UXデザイン、サービスデザイン、広告、ジャーナリズム、出版、写真、サウンドアートと、「伝える」ことに関わる領域が幅広く揃っています。所在地はエレファント&キャッスル(SE1 6SB)です。

ロンドン芸術大学|ロンドンカレッジオブコミュニケーション(London College of Communication 通称:LCC)

チェルシー・カレッジ・オブ・アーツ

1891年創立。テムズ川沿いのミルバンク地区、16 John Islip Street, London SW1P 4JU にあります。ファインアート、デザイン、キュレーションを柱に、アートとデザインを社会的・文化的・政治的な文脈のなかで捉えることを重視するカレッジです。研究面では TrAIN(Transnational Art, Identity and Nation)、UAL Decolonising Arts Institute、Iniva が置かれ、実験的なプロジェクトを見せるギャラリー Chelsea Space が併設されています。公式が挙げる卒業生のうち、クリス・オフィリ(1998年)、スティーヴ・マックイーン(1999年)、マーク・ウォリンジャー(2007年)の3人は、いずれもターナー賞を受賞しています。

ミルバンクにあるチェルシー・カレッジ・オブ・アーツの校舎
ミルバンク地区にあるチェルシー・カレッジ・オブ・アーツ。手前はルートステイン・ホプキンス・パレード・グラウンドです/撮影:Ian Capper(Geograph Britain and Ireland)/出典:Wikimedia Commons(CC BY-SA 2.0)

ロンドン芸術大学|チェルシーカレッジオブアーツ(Chelsea College of Arts)を解説!

キャンバーウェル・カレッジ・オブ・アーツ

1898年創立。ロンドン南東部の45-65 Peckham Road, London SE5 8UF にあります。「世界には創造性が必要だから」を掲げ、創造性が社会にもたらすよい影響を重視するカレッジです。ファインアート、グラフィックデザイン、イラストレーション、写真、インテリア・空間デザイン、デザイナーメーカー(つくり手としてのデザイン)などが置かれ、手を動かす工房系の設備が充実しています。同じ住所には後述する UAL Creative Computing Institute も置かれています。

ペッカム・ロードに面したキャンバーウェル・カレッジ・オブ・アーツの入口
ペッカム・ロードに面したキャンバーウェル・カレッジ・オブ・アーツの入口/撮影:Neil Theasby(Geograph Britain and Ireland)/出典:Wikimedia Commons(CC BY-SA 2.0)

ウィンブルドン・カレッジ・オブ・アーツ

ロンドン南西部のMerton Hall Road, London SW19 3QA にあります。演技、衣装、デジタル・プロダクション、舞台美術、人形劇など舞台と映像の制作に特化したカレッジです。専門工房、スタジオに加えて敷地内にプロ仕様の劇場を持ち、2023年には数百万ポンド規模の設備投資プログラムが完了しました。公式は「非階層的で包摂的なパフォーマンスへの取り組み」を掲げ、演技も衣装も技術も対等な協働相手として扱うとしています。

マートン・ホール・ロードにあるウィンブルドン・カレッジ・オブ・アーツの入口
マートン・ホール・ロードにあるウィンブルドン・カレッジ・オブ・アーツの入口/撮影:Ualwebsupport/出典:Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)

6カレッジ早わかり表

カレッジ創立場所中心になる分野
セントラル・セント・マーチンズ1854年/1896年(1989年合併)キングス・クロス(N1C)ファッション、ファインアート、プロダクト、パフォーマンス
ロンドン・カレッジ・オブ・ファッション1906年(公式沿革表では1967年)ストラトフォード East Bank(E20)ファッションのデザイン、ビジネス、技術、メディア
ロンドン・カレッジ・オブ・コミュニケーション1894年エレファント&キャッスル(SE1)グラフィック、UX、映像、ゲーム、ジャーナリズム、写真
チェルシー・カレッジ・オブ・アーツ1891年ミルバンク(SW1P)ファインアート、インテリア、テキスタイル、キュレーション
キャンバーウェル・カレッジ・オブ・アーツ1898年ペッカム(SE5)ファインアート、イラストレーション、グラフィック、空間デザイン
ウィンブルドン・カレッジ・オブ・アーツ1890年ごろ(1904年に美術学校設置)ウィンブルドン(SW19)演技、衣装、舞台美術、人形劇、スクリーン向け制作

キャンバーウェル、チェルシー、ウィンブルドンの3校は運営面で一体に扱われています。UALの執行部には「Provost of Camberwell, Chelsea and Wimbledon Colleges of Arts」という1人の責任者が置かれており、3校でまとめて「CCW」と呼ばれることもあります。

カレッジ以外の学び先

志望分野によっては、6つのカレッジではなく次の組織に出願することになります。

  • UAL Creative Computing Institute(CCI):2018年に立ち上がった、創造性と計算技術の交差点を扱う組織です。キャンバーウェルと同じ 45-65 Peckham Road にあり、学士(BSc (Hons) Creative Computing、Creative Robotics、Computer Science、Data Science and AI)から修士(MSc Creative Computing ほか)、UALディプロマ、MPhil/PhDまで揃っています。機械学習と創造性、ヒューマン・コンピュータ・インタラクション、ビッグデータとデジタル・シティズンシップ、クリエイティブ・コーディングなどが研究領域です
  • UAL Decolonising Arts Institute(植民地主義と帝国の遺制を問い直す。チェルシーに拠点)、UAL Fashion Textiles and Technology Institute(ファッションとテキスタイルの持続可能な技術革新)、AKO Storytelling Institute(物語が社会を変える可能性)の3つも、CCIと並ぶインスティテュートです
  • UAL School of Pre-degree Studies:2024年9月に、UALのファウンデーション課程をまとめて置く組織として発足しました。拠点はシェパーズ・ブッシュの 40 Lime Grove です
  • UAL Online:2024年11月に立ち上がった、完全オンラインのパートタイム大学院です。LCCと共同の MA Graphic Design から始まり、2025年1月にLCFと共同の MA Fashion Business、MA Fashion Marketing が加わりました。2026年9月時点では、これに MA Creative Leadership、MA Illustration Practices、MA Photography and Digital Practice を加えた6課程が案内されています。どの課程も Postgraduate Certificate、Postgraduate Diploma、修士の3段階で修了でき、ユニット単位で学費を支払う仕組みです
  • UAL Awarding Body:UAL自身の学生ではなく、イギリス各地の学校・カレッジに対してクリエイティブ分野の資格を設計・授与する部門です

学費(2026/27年度)

以下はUAL公式の学費ページで2026年9月24日に確認した、2026/27年度の金額です。日本からの留学生は原則としてすべて International(国際学生)区分になります。

課程Home(国内)International(国際)
Foundation Diploma in Art and Design(19歳以上)£5,255+登録料£165(19歳未満のHomeは無償)£24,660+登録料£165
Cert HE: Preparation for Design, Media and Screen£9,790£24,660
学部(BA/BSc/Foundation Degree/Integrated Masters)£9,790/年£30,890/年
サンドイッチ(就業体験)年£1,955£5,725または標準学費の20%のうち低い方
修士(45週・higher rate)£15,790£34,885
修士(45週・standard rate)£14,420£30,890
修士(60週・higher rate)£16,610£44,350
修士(60週・standard rate)£15,100£39,690
修士(60週・lower rate)£14,420£34,880
Graduate Diploma£14,420£30,890
完全オンラインの修士£11,530£24,720

60週の課程は、学費の半分を1年目に支払う仕組みです。ここで注意していただきたいのが学部の学費の推移です。国際学生の学部学費は、2023年入学が£29,490、2024年・2025年・2026年入学がいずれも£30,890で据え置かれています。ただしUALは、入学後の年については年5%を上限に値上げする可能性があると明記しています。3年間の学部課程なら、初年度の金額がそのまま3年続くとは限らないという前提で資金を組んでください。同じ修士でも higher rate と standard rate で£4,000近い差がありますので、志望コースのページで必ず個別の金額をご確認ください。なお Cert HE の Home 学費£9,790は、英国政府の法改正が成立することが前提で、成立しない場合は£9,535になるとUALは注記しています。

学費のほかにかかるお金

  • 学費デポジット:国際学生がオファーを受諾して席を確保するには、£4,000の学費デポジットが必要です。学費に充当されます
  • 生活費:UAL公式は、2025/26年度にロンドンで必要な生活費の目安を年間£19,750としています。18歳以上の学生は Student Oyster card で交通パスが30%割引になります
  • 材料費:画材、木材、金属、繊維、プリント代などは学費に含まれません。制作を伴うコースでは無視できない額になります
  • ビザ関連費用:学生ビザの申請料と移民健康保険料(IHS)が別途かかります

国際学生が学部の3年間をUALで過ごす場合、学費£30,890に生活費£19,750を足すと年間£50,000超という計算になります。45週の修士なら学費が£30,890から£34,885ですので、生活費を足して£50,000から£55,000規模です。60週(2年)の課程は学費の総額が£34,880から£44,350で、その半分を1年目に納め、生活費は2年分かかります。早い段階で総額を把握しておくことをおすすめします。

出願の実際

学部はUCAS経由です

UALの学部課程はすべてUCAS(イギリスの大学出願サービス)を通して出願します。大学に直接申し込む窓口はありません。UCASでは最大5つのコースを選べ、不合格だった場合は UCAS Extra でもう1つ追加できます。国際学生は Immigration History Form(IMH)の提出も必要です。

2026年9月24日時点で、2026/27年度入学の出願はすでに締め切られています。公式は2027/28年度入学の出願を2026年秋に開始すると案内しています。直近の2026年入学では、UCASの締切が2026年1月14日の英国時間18時、合否通知が2026年5月13日まで、最終締切が2026年6月30日18時でした。2027年入学の正式な日付は、志望コースのページでご確認ください。

大学院はUALに直接出願します

修士課程は、志望コースのページにある「Start your application」ボタンから直接出願します。出願はラウンド制で、直近の2026年入学では Round 1 の締切が2025年12月2日13時(英国時間)、Round 2 が2026年3月18日13時でした。結果はそれぞれ2026年3月20日まで、2026年6月19日までに通知されます。

実務上、次の2点が重要です。同じコースには年度内に1度しか出願できません。そして出願数に上限はないものの、UAL自身が「3コースを超えて出願しないことをおすすめします」と明記しています。

ポートフォリオ

実技系のコースの多くは、デジタル・ポートフォリオの提出を求めます。UCASまたはUAL出願後に案内があり、PebblePad というシステムにアップロードします。UAL公式の助言は次のとおりです。

  • 3つから5つのプロジェクトから作品を選び、発想と技術の幅を見せてください
  • UALは「磨き上げられた完成作品だけを探しているのではありません。あなたの可能性と、あなたが歩んできた道のりが大切です」としています。実験や失敗も含めて構いません。とくに学部の出願では、この点が重要だと明記されています
  • レイアウトは横長のページ形式が推奨され、InDesign、PowerPoint、Canvaのいずれでも構いません。ページ内の注釈は短く簡潔に、文字サイズは12ポイントが下限です。動画課題が求められた場合、その分もページ数の配分に含まれます

英語のスコア

UALは「コースごとに最低限必要な英語力が決まっています」としており、全体としてIELTS 5.0から7.5の幅に収まります。たとえばセントラル・セント・マーチンズの BA (Hons) Fine Art はIELTS 6.0以上(読む・書く・聞く・話すの各項目で5.5以上)です。IELTS以外に、PTE Academic UKVI、Trinity ISE、LanguageCert Academic SELT、PSI Skills for English、ケンブリッジ英検、TOEFL iBT、Oxford Test of English、国際バカロレアが認められています。スコアはコース開始日の時点で有効である必要があり、多くのテストは2年が有効期間です。基準に届かない場合は、オファー保持者向けの Pre-sessional English(渡英前の英語準備課程)という道があります。

ファウンデーションという道

日本の高校からイギリスの美術系学部へ直接進むのは、制度の違いもあって簡単ではありません。UALにはFoundation Diploma in Art and Design をはじめとするファウンデーション課程があり、1年かけて作品制作の幅を広げ、ポートフォリオを組み立てたうえで学部に進めます。国際学生の学費は2026/27年度で£24,660(+登録料£165)です。

奨学金

UALは「国際学生区分の学生が受けられる資金援助はきわめて限られており、大半の学生は受給できません」と率直に書いています。そのうえで、国際学生が応募できる主な制度は次のとおりです。

  • UAL International Postgraduate £10,000 Scholarships:修士課程を対象に£10,000の学費免除
  • UAL Foundation and Pre-degree £7,000 International Scholarship:ファウンデーションから学部までの全期間にわたり年£7,000の学費免除。最大16件

金額の大きさよりも件数の少なさに注目してください。奨学金を前提にした資金計画は現実的ではありません。

数字で見るUAL

2024/25年度の年次報告書(2025年12月2日付)から、留学を考えるうえで知っておきたい数字を挙げます。

  • 学生数は22,341名。2022/23年度の22,647名から微減し、2023/24年度の21,964名からは持ち直しました。年次報告書はこの数をFTE(常勤換算)とは記しておらず、在籍する学生の数として示しています
  • 学費区分では51%がOverseas(海外)です。ここは誤解されやすいところで、この比率は2021年の55%から52%、51%と、4年かけてゆるやかに下がっています。国際学生が増え続けているわけではありません。それでも収入の58%は国際学生の学費で、依存度の高さは変わっていません
  • 分野別ではビジネス&マネジメント/サイエンス2,385名、コミュニケーション&グラフィックデザイン2,287名、ファインアート2,275名、ジャーナリズム/PR/メディア&出版2,203名、ファッションデザイン2,054名が上位です
  • 職員は教員・研究・技術職1,794名、支援職1,901名、アソシエイト・レクチャラー4,006名です。これとは別に、財務諸表の注記にある平均職員数はFTE(常勤換算)で3,739名と示されており、数え方が違う点にご注意ください

ここで正直に触れておきたいのは、UAL自身が困難を認めている点です。年次報告書は「学生募集における課題に直面している。学生の資金面の圧迫、ビザ規制、セクター全体で感じられている競争の激化、そして運営コストの増加である」と述べ、収入の単一の地域への依存を懸念事項として挙げています。「Size and Shape」という名前で学術ポートフォリオと学生数計画を見直すプログラムも進行中です。コースの新設と統廃合が起こりうる時期だと考えておくのが安全です。

卒業生

UAL公式サイトで確認できる卒業生には、次のような人たちがいます。カレッジごとに顔ぶれが分かれる点が、この大学らしいところです。

  • セントラル・セント・マーチンズ:ステラ・マッカートニー、キム・ジョーンズ、グレース・ウェールズ・ボナー、クレイグ・グリーン(ファッション)、アイザック・ジュリアン(映像・現代美術)
  • ロンドン・カレッジ・オブ・ファッション:JW アンダーソン(2005年修了、2025年にディオールのクリエイティブ・ディレクター就任)、マキシミリアン・デイヴィス(2020年修了、フェラガモのクリエイティブ・デザイナーとして2023年春に初コレクションを発表)、ジミー・チュウ(1980年代コードウェイナーズ)、ペギー・グー(DJ・音楽家)、アレック・ウェック(モデル)
  • チェルシー・カレッジ・オブ・アーツ:スティーヴ・マックイーン、クリス・オフィリ、マーク・ウォリンジャー、トーマス・J・プライス、森万里子、マーガレット・カルヴァート(英国の道路標識をデザインしたグラフィックデザイナー)
  • ウィンブルドン・カレッジ・オブ・アーツ:サラ・グリーンウッド(プロダクション・デザイン)、ローナ・ミューガン(衣装)、サイモン・コスティン、スートラ・ギルモア(セットデザイン)
  • ロンドン・カレッジ・オブ・コミュニケーション:ドメニク・リッパ(ペンタグラムのアソシエイト・パートナー)

日本からUALを目指す方へ

ここまでの内容をふまえて、実務上おさえておきたい点を整理します。

  • 出願先はUALではなくカレッジです。ファッションを学ぶならCSMかLCFかで、通う街も文化も変わります。コースページを見比べる時間を惜しまないでください
  • 大学院は3コースまでに絞る。UAL自身がそう助言しています。数を出すより、志望理由とポートフォリオの精度を上げるほうが合理的です
  • ポートフォリオは完成品の見本市ではありません。UALは「可能性」と「歩んできた道のり」を見ると明言しています。試行錯誤の跡を削り落とさないでください
  • 在学中にキャンパスが移る可能性があります。LCC志望の方はとくに、2027年6月の旧校舎閉鎖と2027年9月の新校舎開設をスケジュールに入れておいてください
  • 英語は早めに片づける。IELTSを0.5上げるには数か月かかりますので、ポートフォリオと並行して進めてください

海外の美術系大学を広く比較したい方は、QS世界大学ランキング アート&デザイン部門の解説もあわせてご覧ください。世界1位のロイヤル・カレッジ・オブ・アート(RCA)は大学院だけの大学で、UALとは性格がかなり違います。

まとめ

いかがだったでしょうか。ロンドン芸術大学について見てきました。要点は次の5つです。

  • UALは1986年のロンドン・インスティテュートを前身とし、2003年に大学の地位を得て、2004年に現在の名前になりました。もとは19世紀から20世紀の職業学校です
  • QS世界大学ランキングのアート&デザイン部門2026年版で世界2位、総合スコアは95.5です。雇用者評判89.4は1位のRCAを上回っています
  • 6つのカレッジと4つのインスティテュートで構成されています。キャンバーウェル、チェルシー、ウィンブルドンの3校は運営上まとめて扱われています
  • LCFは2023年9月にストラトフォードの East Bank へ全面移転しました。LCCは2027年6月に現校舎を閉じ、2027年9月にエレファント&キャッスルの新校舎へ移ります
  • 2026/27年度の国際学生の学費は、学部が年£30,890、修士が£30,890から£44,350です。生活費の公式目安は年£19,750、デポジットは£4,000です

金額も課程も年度ごとに変わります。出願を具体的に考える段階では、必ず志望コースのページで最新の情報をご確認ください。

Euphoric " " の視点

UALは、ひとつの大学が大きくなって6つのカレッジに分かれたのではありません。もともと別々に生まれ、別々の歴史を持っていた学校が、後からひとつの大学になりました。

だから今も、各カレッジの性格ははっきり違います。ファッションに強い学校、印刷と伝達を出自に持つ学校、絵画と彫刻を続けてきた学校。同じ大学の名前を掲げていても、校風も立地も学ぶ内容も同じではありません。

この成り立ちは、学校選びの実務に直結します。UALに行きたい、では足りません。どのカレッジの、どのコースなのか。願書を出す相手は大学ではなく、その一つひとつです。

組織の形は、たいてい歴史の結果です。大きな名前の内側がどうなっているのかを知ることは、進学でも仕事でも、判断を一段深くしてくれます。

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もっと知るには

本記事の情報は、ロンドン芸術大学の公式発表をもとに確認しています。学費・日程・開講キャンパスは年度ごとに変わりますので、出願の際は下記の公式ページで最新の情報をご確認ください。

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