東北芸術工科大学とは?全19学科・コース・学費・入試・就職率を解説

東北芸術工科大学とは?全19学科・コース・学費・入試・就職率を解説

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こんにちは。ユアムーン株式会社 編集部です。

皆さんは東北芸術工科大学(通称「芸工大」、英語名 Tohoku University of Art & Design)という大学をご存知ですか。山形県山形市にキャンパスを構える私立大学で、1991年12月に学校法人が創立され、1992年4月に芸術学部とデザイン工学部の2学部で開学しました。日本画や洋画、彫刻のような美術の領域から、文化財の保存修復、文芸、プロダクト・建築・グラフィック・映像のデザイン、さらに企画構想まで、2026年度現在は全19の学科・コースが並ぶ大学です。

本記事ではそんな東北芸術工科大学について、基本情報、沿革、学部・学科で学べること、大学院、2026年度入学者の学費、入試の方式、キャンパスと山形での活動、卒業後の進路、主な卒業生まで、公式サイト(tuad.ac.jp)と公式の公開資料で確認できた情報をもとにご紹介します。それでは早速いってみましょう。

東北芸術工科大学って?

基本情報

東北芸術工科大学の本館と鏡橋
東北芸術工科大学 本館と鏡橋(2011年)/撮影:Daut2017(CC BY-SA 4.0)/出典:Wikimedia Commons
正式名称東北芸術工科大学(英語名 Tohoku University of Art & Design、通称「芸工大」)
創立・開学1991年12月に学校法人の創立と大学の設置認可。1992年4月に芸術学部・デザイン工学部で開学しました
所在地山形キャンパス(〒990-9530 山形県山形市上桜田3-4-5)。東京都港区北青山に外苑キャンパスもあります
設置者学校法人東北芸術工科大学(私立)
学長中山ダイスケ(現代美術家、アートディレクター。2026年4月1日現在、理事を兼ねる)
学部・研究科芸術学部(美術科、歴史遺産学科、文芸学科、工芸デザイン学科)、デザイン工学部(プロダクトデザイン学科、建築・環境デザイン学科、グラフィックデザイン学科、映像学科、企画構想学科)、大学院芸術工学研究科
在学者数芸術学部1,163名、デザイン工学部1,386名、大学院73名(2026年5月1日現在)
収容定員芸術学部1,069名、デザイン工学部1,346名、大学院91名(2026年5月1日現在)
教育理念「人類の良心による芸術と工学の運用によって、社会に貢献する人材を輩出する」、スローガン「東北ルネサンス」

公式サイトの「大学設立の宣言・理念」は、大学を、人々が安心して暮らせる社会のために実験と行動を重ねる「運動体」と位置づけています。また、東北の地には縄文時代から1万年を超えて日本古来の精神・文化が受け継がれてきたと述べています。スローガンの「東北ルネサンス」は、地域と共生しながら、地域の文化に育まれた知恵を新しい世界観につなぎ、次世代へ手渡すという決意だと説明されています。

学部の教育方針(教育目的と教育方針のページ)では、「人と自然を思いやる想像力と、社会を変革する創造力を身に付け、自らの意思で未来を切り拓くことができる人材の育成」が目指されています。身につけたい力として、想像力、創造力、意志、社会性の「4つの力」が挙げられ、入学者の受け入れ方針は、芸術やデザインに興味と熱意があり、社会に関心を持って仲間と切磋琢磨できる人を求めるとしています。

学長の中山ダイスケは、公式サイトのメッセージで、パンデミックや戦争、気候変動などで、まるで地球全体が病に侵されているかのようだと述べています。山形を少子高齢化や人口減少など社会課題が先行する「課題先進県」と位置づけ、現役のプロが教員を務めること、地域からの依頼が年間100件を超えることを教育の特色として挙げています。これらは大学自身の説明ですので、「大学がそう位置づけている」という前提で読んでください。

開学から30年、東北芸術工科大学が歩んできた道

東北芸術工科大学の歴史は、1991年12月の学校法人の創立と大学の設置認可から始まります。公式サイトの沿革によれば、翌1992年4月に芸術学部とデザイン工学部で開学しました。1994年には開学記念モニュメント「泉」(ポール・ビュリィ作、山形県・山形市寄贈)が設置され、同年10月には第1回全国高等学校デザイン選手権大会が開催されています。この大会は沿革の中で「以後毎年」と記されています。

1990年代後半には、大学としての骨格が整っていきます。1996年4月に大学院芸術工学研究科(修士課程)が開設され、1997年9月に総合研究センター(現・共創デザイン室)、1999年4月に東北文化研究センターが設立されました。2001年4月には文化財保存修復研究センターが設立され、同月に東京サテライトキャンパスが京都造形芸術大学との共同設置で開設されています。2001年10月には開学10周年記念式典が挙行されました。2005年4月には大学院博士後期課程が設置され、同年に「こども芸術大学」の開学や大学院仙台スクール(修士課程)の開設も行われています。

学科の構成も時代とともに変わってきました。2006年度には、情報デザイン学科を改組してメディアコンテンツデザイン学科を設置し、生産デザイン学科をプロダクトデザイン学科に、環境デザイン学科を建築・環境デザイン学科に名称変更しています。2010年7月には東京外苑キャンパスを開設し(京都造形芸術大学と共同設置)、2011年度に文芸学科を新設しました。2014年度にはコミュニティデザイン学科が設置され、同年9月には第1回山形ビエンナーレ2014が開催されています(以後隔年)。2015年度には美術史・文化財保存修復学科が文化財保存修復学科に名称変更されました。

近年の動きを沿革から追うと、2022年度に開学30周年記念事業を実施し、2023年度に工芸デザイン学科を設置しています。2024年2月には開学30周年記念誌『ローカルが生んだクリエイティブ大学 東北芸術工科大学三十年の軌跡』が発売されました。そして2026年度には学科再編が行われ、全19学科・コースの体制になっています。次の表は、公式の沿革から主な出来事を抜き出したものです。

年主な出来事(公式サイトの沿革より)
1991年12月学校法人の創立と大学の設置認可
1992年4月開学(芸術学部・デザイン工学部)
1996年4月大学院芸術工学研究科(修士課程)を開設
2001年4月文化財保存修復研究センターを設立、東京サテライトキャンパスを開設
2005年4月大学院博士後期課程を設置、こども芸術大学を開学
2010年7月東京外苑キャンパスを開設
2011年度文芸学科を新設
2014年度・9月コミュニティデザイン学科を設置、第1回山形ビエンナーレを開催
2023年度工芸デザイン学科を設置
2026年度学科再編を実施し、全19学科・コースに

2026年度の学科再編について、公式サイトは新設・再編にかかわるコースとして、美術科のグラフィックアーツコースと彫刻・キャラクター造形コース、歴史遺産学科の文化財保存修復コースと歴史遺産コース、グラフィックデザイン学科のグラフィックデザインコースとイラストレーションコース、映像学科のキャラクター・ゲームコース、CG・アニメーションコース、映像クリエイションコース、企画構想学科の企画構想コース、地域デザインコース、食文化デザインコースを挙げています。ゲームやキャラクター、食文化といった、現代の仕事に直結する言葉がコース名に入っていることが分かります。なお、公式の沿革の見出しは「6つの新分野を加えた全19学科・コースに」となっていますが、本文に挙がるコースの数とは単純に一致しません。

2学部で学べること、全19学科・コースの中身

東北芸術工科大学は、芸術学部とデザイン工学部の2学部で構成されています。2026年度の公式サイトの学部学科ページでは、次のように整理されています。「全19学科・コース」は、コースを置く5学科は各コースを1つ、コースを置かない4学科(文芸学科・工芸デザイン学科・プロダクトデザイン学科・建築・環境デザイン学科)は学科を1つと数えた編集部の計算です(コース15+学科4)。以降は、この2学部すべてを対象に、公式サイトの学科紹介をもとに学べる内容をまとめます。

学部学科コース
芸術学部美術科日本画/洋画/グラフィックアーツ/彫刻・キャラクター造形/総合美術
歴史遺産学科文化財保存修復/歴史遺産
文芸学科(コース分けなし)
工芸デザイン学科(コース分けなし)
デザイン工学部プロダクトデザイン学科(コース分けなし)
建築・環境デザイン学科(コース分けなし)
グラフィックデザイン学科グラフィックデザイン/イラストレーション
映像学科キャラクター・ゲーム/CG・アニメーション/映像クリエイション
企画構想学科企画構想/地域デザイン/食文化デザイン

芸術学部:美術科

美術科には日本画、洋画、グラフィックアーツ、彫刻・キャラクター造形、総合美術の5つのコースがあります。公式サイトは、現代社会で求められる新しいスキルや表現を、横断的に学べるのが特徴だと説明しています。アーティストの育成に加え、ゲーム、イラスト、アニメーション、モデリングなど幅広い分野への進路にもつながり、企業や自治体との連携やクライアントワークも活発に行われているとのことです。入試の面では、後述するように、日本画コースと洋画コースは総合型選抜の併願型、一般選抜、共通テスト利用のいずれも選べない点が特徴です。

芸術学部:歴史遺産学科

歴史遺産学科には、文化財保存修復コースと歴史遺産コースがあります。文化財保存修復コースは「祈りのかたち、暮らしのかけら、人々のこころ」を掲げ、信仰や日々の暮らしの中で生まれた文化財を次の世代に引き継ぐことを目指すコースです。学べる分野は、掛軸や屏風、書などの東洋絵画修復、油彩画や版画などの西洋絵画修復、仏像や近現代彫刻などの立体作品修復、科学分析や環境調査を行う保存科学の4つです。

1年次は文化財の構造や技法の基礎を学び、美術館・博物館を見学して保存・管理・展示の実際を学びます。2年次は素材や造形技法、道具の扱い、科学の基礎を学んで絵画や立体の修復演習に入り、3年次は東洋絵画、西洋絵画、立体作品、保存科学の各ゼミに分かれて実際の文化財も扱います。4年次は卒業研究に取り組み、成果を論文にまとめます。公式サイトは附属の文化財保存修復研究センターとの連携を「全国初となる大学附属の修復研究所」と紹介しており、活動例として、山形県鶴岡市・善寳寺の五百羅漢像(531体)の修復プロジェクトなどが挙げられています。取得できる資格は、小学校・中学校(社会)・高等学校(地理歴史)の教諭一種免許状と学芸員で、いずれも指定科目の履修が必要です。

芸術学部:文芸学科

文芸学科は、「ことば」を中心に据え、小説や記事の執筆、マンガ制作、編集企画、文学やアニメの研究などを学ぶ学科です。創作では小説や評論、マンガの描き方、個性的な日本語表現を学び、編集では取材、原稿やラフの作成、校正・校閲、DTPソフトを使った紙面づくりを実践的に学びます。1年次には文芸誌「文芸ラジオ」の制作に取り組み、2年次には1万字小説の執筆や雑誌記事の制作、3年次にはライティングコースと編集コースに分かれてゼミ活動を行います。4年次の卒業制作は、小説、マンガ、単行本、雑誌など自分のテーマで制作します。学科長は文芸評論・小説を専門とする石川忠司教授で、公式サイトは「美大の中の文芸学科」として、マンガやゲームなども視野に入れた実践重視の教育を行っていると紹介しています。

芸術学部:工芸デザイン学科

工芸デザイン学科は、陶器のカップや衣服など日常に関わる工芸を通じて、「大量生産では実現できない、人の心に残るモノづくり」を学ぶ学科です。金属、テキスタイル、陶、漆の4素材を学び、ファッション・ジュエリー、インテリア、クラフト、美術工芸の4分野へ発展させます。レーザーカットや3Dプリントなどのデジタルファブリケーションも使う点が特色で、東北の工芸や地域産業の視察、地域施設での展覧会、市民向けワークショップ、東京で開かれる販売会への参加など、作って売るところまでを経験する機会が用意されています。卒業時には小学校・中学校(美術)・高等学校(美術)の教諭一種免許状と、学芸員の資格が取得できます(指定科目の受講が必要)。

デザイン工学部:プロダクトデザイン学科・建築・環境デザイン学科

プロダクトデザイン学科は、椅子や家電、スマートフォンなど身近な製品を通じて人々の暮らしそのものをデザインすることを目指す学科で、教員は「デザインは生活である」という考えを教育の基盤にしています。UI・UX演習が必修であること、3年次に企業との共同授業があることが特色です。3年次には製品、モビリティ、UI/UX、空間、家具、地域産業のいずれかのコースで企業や地域と連携したプロジェクトに取り組みます。

建築・環境デザイン学科は、住宅やインテリアといった小さな空間から、学校や公園などの大きな空間までを対象に「未来の空間をデザインする」学科です。学生主導のツリーハウス制作、山形市内の空き家活用、JA山形市の賃貸アパートの断熱リノベーション、朝日町のコテージ設計といった実践的なプロジェクトが紹介されています。一級・二級建築士や施工管理技士などの受験資格を得られるほか、卒業時には高等学校教諭一種免許状(工業)、学芸員、測量士補などが取得できるとされています。

デザイン工学部:グラフィックデザイン学科・映像学科

グラフィックデザイン学科は、グラフィックデザインとイラストレーションの2コース制です。グラフィックデザインコースは、UI/UXからポスター、エディトリアル、ブランディングまで多彩な実践プログラムで学ぶコースで、1年次は大学周辺の丘での演習など教室の外も活用して感性を磨き、3年次には山形国際ドキュメンタリー映画祭のポスター制作などに取り組みます。東北をはじめ全国の美術教員採用試験で多くの合格者を輩出していることも公式サイトに記されています。

映像学科は、キャラクター・ゲーム、CG・アニメーション、映像クリエイションの3コースです。キャラクター・ゲームコースは、ゲームを、キャラクターや世界観によって面白い体験や感動が生まれる表現と捉え、ゲームエンジンを使ってプロトタイプから完成までを実践します。3年次にはゲーム会社との共同演習があり、活動実績としてNHK Eテレ「The Wakey Show」のコーナーでの体験型ゲームの担当や、日産自動車と連携した体験デザインの検討が紹介されています。

デザイン工学部:企画構想学科

企画構想学科は、企画構想、地域デザイン、食文化デザインの3コースで構成されます。企画構想コースは、キャッチコピーを「企画とは、幸せな未来をデザインすること」とし、企業や地域の課題をプロジェクトとして扱うプロジェクト実践型の教育が特色です。2年次は実際のイベント運営を通じて事業計画やマーケティングを学び、3年次は少人数のゼミで企業課題を分析して商品開発や広告・PR提案につなげ、卒業時には自分で企画書を書き上げられる状態を目指します。地域デザインコースと食文化デザインコースについては、公式サイトの該当ページ上で詳しい説明を確認できなかったため、本記事ではコース名のみの紹介にとどめます。

大学院芸術工学研究科で、さらに深く学ぶ

大学院は芸術工学研究科の1研究科で、修士課程と博士後期課程があります。公式サイトの沿革によれば、修士課程は1996年4月に開設され、博士後期課程は2005年4月に設置されました。修士課程には芸術文化専攻とデザイン工学専攻の2つがあり、博士後期課程は芸術工学専攻です。教育目的(公式サイト「教育目的と教育方針」より)は、修士課程の芸術文化専攻が「人間の『精神』の充足に寄与する芸術の存在意義を探究し、文化の担い手たらんと研究・創作に取り組み続けられる人材の育成」、デザイン工学専攻が「現代社会が直面する諸問題の解決を図り、真に健やかな生活の実現をめざす、『用』のデザインを志向し、実践し続けられる人材」、博士後期課程が「学究的態度、批評的態度、および利他的態度を備えた、創造的なる〈人間のための研究者〉の育成」とされています。

課程・専攻内容(公式サイトより)
修士課程 芸術文化専攻絵画(日本画・洋画・版画)・彫刻、工芸、複合芸術、保存修復、歴史文化、美術教育学の領域。東北の自然を舞台にアートプロジェクトの構想・運営を学ぶ「アートプロジェクトA・B」や、異分野との協働で新たな価値を生む「ローカルイノベーション」などの教育プログラムがあります
修士課程 デザイン工学専攻主に社会人を対象とする「クリエイティブ・イノベーター・コース」と、主に学部生・留学生を対象とする「クリエイティブ・シナジー・コース」の2コース。プロダクトデザイン、建築・環境デザイン、映像、コミュニティデザインなどの分野を横断して研究できます
博士後期課程 芸術工学専攻芸術文化、歴史文化、文化財科学、デザイン工学の4領域。山形の自然や気候、人々の文化と、制作や実験を結びつける学びを重視しています

デザイン工学専攻のクリエイティブ・イノベーター・コースは、公式サイトによれば文部科学省の「職業実践力育成プログラム(BP)」認定、厚生労働省の「一般教育訓練給付制度」対象講座です。大学院全体の特色としては、文化財保存修復研究センターと連携して保存修復や歴史文化を体系的に学べること、年2回、全研究領域の学生が中間発表を行う「大学院レビュー」があることが挙げられています。2026年5月1日現在の大学院の収容定員は91名、在学者数は73名です。

学費(2026年度入学者)

東北芸術工科大学の学費は、公式サイトの「学費の納入について」と受験生サイトの学費ページで公開されています。学部の授業料は学科・コースによって3つの区分に分かれています。2026年度(令和8年度)入学者の授業料は次のとおりです。

学科・コース前期後期授業料(年額)
歴史遺産学科 文化財保存修復コース600,000円600,000円1,200,000円
歴史遺産学科 歴史遺産コース/文芸学科567,500円567,500円1,135,000円
美術科 全コース/工芸デザイン学科/プロダクトデザイン学科/建築・環境デザイン学科/グラフィックデザイン学科 全コース/映像学科 全コース660,000円660,000円1,320,000円
企画構想学科 全コース610,000円610,000円1,220,000円

授業料のほかに、入学金275,000円、保護者会費/学生会費16,000円、学研災保険料(4年分)4,660円がかかります。受験生サイトの「初年度納付金(予定)」の表では、初年度の合計は次のとおりです。

区分初年度合計入学手続時後期
歴史遺産学科 文化財保存修復コース1,495,660円895,660円600,000円
歴史遺産学科 歴史遺産コース/文芸学科1,430,660円863,160円567,500円
美術科/工芸デザイン学科/プロダクト/建築・環境/グラフィック/映像1,615,660円955,660円660,000円
企画構想学科1,515,660円905,660円610,000円

つまり初年度に大学へ納める金額は、約143万円から約162万円(1,430,660円〜1,615,660円)の幅があります。授業料だけを4年分で比べると、編集部の計算で、最も低い区分(1,135,000円)が454万円、最も高い区分(1,320,000円)が528万円です。この計算には入学金・諸会費・保険料、教材費や住居費・生活費は含めていません。学費は毎年変わる可能性がありますので、最新の募集要項でご確認ください。

大学院の授業料は、公式の学費ページで、2024年度・2025年度入学者向けに芸術工学研究科(修士・博士課程)が前期575,000円、後期575,000円、年額1,150,000円と掲載されています。2026年度入学者向けの大学院の金額は、同ページには掲載されていませんでした。進学を検討する場合は、大学院の募集要項で最新の金額を確認する必要があります。

入試の方式(2027年度入試)

受験生サイトの入試方式のページには、2027年度入試の方式が整理されています。大きく、総合型選抜、一般選抜、大学入学共通テスト利用、その他の特別選抜・推薦に分かれます。日程や出願期間は年度ごとに変わりますので、ここでは方式と選考内容の概要にとどめます。

入試区分方式概要
総合型選抜専願体験型体験授業と面接で評価するコミュニケーション型。募集定員の50%を占めるとされています
併願型A方式総合型選抜の併願型A・Bの合計で募集定員の30%を占めるとされています
併願型B方式併願型A方式と同じ枠です
一般選抜前期得意な試験科目を選んで挑戦する方式。教科1科目+実技1科目、または教科2科目
専願型本学を専願とする受験者向けの方式
後期3月に実施される方式
面接型面接による選抜(実施はオンライン)
大学入学共通テスト利用1科目利用共通テストの1科目の成績を利用
2科目利用(前期・後期)共通テストの2科目の成績を利用(本学独自の試験なし)
その他学校推薦型選抜[指定校]ほか編入学、社会人、シニア、帰国生特別選抜、自治体等推薦型選抜などがあります

公式サイトの注記として、美術科の日本画コース・洋画コースは、総合型選抜(併願型)、一般選抜、共通テスト利用のいずれも選択できないとされています。総合型選抜の専願体験型が募集定員の半分を占める設計は、ポートフォリオや受験勉強だけでなく、体験授業での取り組みと面接を重視する入口を大きく取っているということです。出願の際は必ず最新の「学生募集要項」でご確認ください。

2026年度入試の結果データ(美術科)

大学は入試結果データを公式サイトで公開しています。2026年度入学試験結果データによれば、芸術学部美術科の一般選抜(前期・専願型・後期・面接型)と大学入学共通テスト利用入学試験(1科目利用・2科目利用前期・2科目利用後期)の7区分の合算は、志願者514名(延べ数)、受験者507名、合格者68名、入学者23名でした。受験者数を合格者数で割ると約7.5倍で、これは編集部の計算です。募集人員は、前期・共通テスト1科目利用・2科目利用前期の合算が27名、専願型が7名です。後期・面接型・共通テスト2科目利用後期の募集人員は、公式資料では「若干名」とされています。

区分(美術科)志願者受験者合格者
一般選抜 前期177名176名32名
一般選抜 専願型24名22名4名
一般選抜 後期70名66名1名
一般選抜 面接型3名3名0名
共通テスト 1科目利用158名158名24名
共通テスト 2科目利用前期59名59名6名
共通テスト 2科目利用後期23名23名1名

総合型選抜や学校推薦型選抜まで含めた全試験区分の合算では、美術科は募集124名に対し、志願者1,066名、合格者218名、入学者163名でした。ここで注意したいのは、上の数字が美術科だけ、しかも対象の試験区分を限った集計だという点です。倍率は大学や学科ごとに母数の取り方が違いますので、他の大学の公表倍率と単純に比べることはできません。他の学科の数字は、公式の入試結果データ(PDF)で確認できます。

キャンパスと山形での活動

東北芸術工科大学のキャンパス
東北芸術工科大学のキャンパス(2015年)/撮影:野田晶子(CC BY-SA 4.0)/出典:Wikimedia Commons

メインとなる山形キャンパスは、山形市上桜田にあります。公式サイトのアクセスページによれば、本館、図書館、学生会館、デザイン工学実習棟・研究棟、芸術実習棟・研究棟、アトリエ棟、新実習棟、文化財保存修復研究センター、体育館、能舞台、こども芸術大学認定こども園などが並び、敷地内には農業体験の畑や鏡池、「悠創の丘」もあります。このほか公式サイトには、学内ギャラリー、画材店・セレクトショップの「TUAD STORE」、山形大学・山形県・山形市などと連携した賃貸住宅である準学生寮「山形クラス」の案内ページもあります。

東北芸術工科大学の外観
東北芸術工科大学(2025年)/撮影:掬茶(CC BY-SA 4.0)/出典:Wikimedia Commons

アクセスは、JR山形駅東口バスプールの6番乗り場から「東北芸術工科大学前」行きのバスで約20分です。東京駅から山形駅までは山形新幹線で直通約150分と案内されています。東京には港区北青山の外苑キャンパスがあり、JR総武線「信濃町」駅から徒歩約5分、東京メトロ・都営地下鉄「青山一丁目」駅から徒歩約10分です。

この大学の特徴は、キャンパスの外、つまり山形の地域との結びつきの強さにあります。公式サイトの「山形での活動」には、いくつもの取り組みが記録されています。2014年から隔年で開催されている「みちのおくの芸術祭 山形ビエンナーレ」は、山形県郷土館「文翔館」、山形市中心市街地、そして本学キャンパスを会場としています。2017年11月1日には、山形市が申請したユネスコ創造都市ネットワークの映画分野への加盟が認定されました。大蔵村の肘折温泉で2007年から続く「ひじおりの灯」は、11年目の2017年から地域主体の運営に移っています。映像学科の2年生全員が制作する「やまがたチャンネル」は、2018年度で9年目、作品10本とされています。

取り組み内容(公式サイトより)
みちのおくの芸術祭 山形ビエンナーレ2014年から隔年開催。市民参加・発信型のプログラム運営で、地元市民、産業、若手クリエイターを巻き込む
ひじおりの灯(大蔵村・肘折温泉)2007年から継続。2017年から地域主体の運営へ
やまがたチャンネル(映像学科)2年生全員が制作。2018年度で9年目
善寳寺の五百羅漢像(鶴岡市)五百羅漢像531体の修復プロジェクト
山形エクセレントデザイン平成9年度の初回から本学の専任教員が審査員

連携先として、公式サイトは山形市、大江町、高畠町、大蔵村、金山町など自治体や、山形県、山形県教育委員会、文化庁、山形新聞社、山形銀行、山形国際ドキュメンタリー映画祭などを挙げています。ここまで学外との接点が多いことは、授業が机上で完結しない大学だということをよく示しています。

卒業後の進路

東北芸術工科大学は、卒業・修了者の進路状況を公式の情報公開資料として公開しています。2026年度(令和8年度)の情報公開ページに掲載された、2025年度(令和7年度)卒業者の就職率の資料をもとにまとめます。公式資料の注記によれば、就職率は「文部科学省の定める就職率」で、就職者数÷就職希望者数×100です。分母は卒業生全体ではなく「就職希望者」ですので、進学した人や就職を希望しなかった人は含まれません。他の大学の数字と並べるときは、定義をそろえて見る必要があります。

学科卒業者進学者就職希望者就職者就職率
芸術学部 計247名25名198名193名97.4%
 文化財保存修復学科25名5名19名17名89.4%
 歴史遺産学科28名2名23名22名95.6%
 美術科158名18名120名118名98.3%
 文芸学科36名0名36名36名100.0%
デザイン工学部 計321名8名303名298名98.3%
 プロダクトデザイン学科61名0名59名57名96.6%
 建築・環境デザイン学科46名6名37名37名100.0%
 グラフィックデザイン学科69名0名71名66名97.0%
 映像学科62名2名58名57名98.2%
 企画構想学科50名0名48名48名100.0%
 コミュニティデザイン学科33名0名33名33名100.0%
学部 計568名33名501名491名98.0%

学部全体の就職率は、2025年度が98.0%、2024年度が98.0%、2023年度が97.1%、2022年度が96.5%と公表されています。大学院(芸術文化専攻・デザイン工学専攻・芸術工学専攻の計)の2025年度は、修了者30名、就職希望者23名、就職者18名で、就職率78.2%です。大学院は母数が小さく、専攻によっては就職希望者がいない年もあるため、率の増減は少人数の影響を受けます。なお、表中のグラフィックデザイン学科は、卒業者69名に対して就職希望者71名と、公式資料の数字がそのまま掲載されています(この差の理由は資料からは確認できませんでした)。

主な就職先は、公式の情報公開資料に学科別に掲載されています。いくつか例を挙げると、プロダクトデザイン学科ではトヨタ自動車、マツダ、スズキ、シャープ、いすゞ自動車、建築・環境デザイン学科では旭化成ホームズ、住友林業ホームエンジニアリング、良品計画、グラフィックデザイン学科では博報堂アイ・スタジオ、星野リゾート、セーフィー、映像学科ではスタジオポノック、山形放送、アマナ、企画構想学科では山形新聞社、電通イベントオペレーションズ、丸井グループ、文芸学科では日本郵便、福島民報社、茨城新聞社、美術科ではカインズ、六花亭、島村楽器や各県の公立学校教員などが並びます。美術科の就職先は、美術やデザインに直結する職種に限らず、幅広い業種に広がっていることが分かります。

主な卒業生

東北芸術工科大学の公式サイトには、「卒業生紹介」のページに「活躍する卒業生」が分野別に掲載されています。ここでは、そのページに学科・コースと卒業(修了)年度が明記されている方から、分野の異なる6名をご紹介します。所属や肩書は、公式ページの掲載時点の表記です。

  • 漫画家:藤本タツキ(美術科洋画コース 2014年度卒)
  • クリエイティブディレクター:松田崇弥(企画構想学科 2013年度卒。株式会社ヘラルボニー代表取締役)
  • アーティスト:近藤亜樹(大学院芸術総合領域 2011年度修了)、金子富之(大学院芸術工学研究博士課程 2009年度修了)
  • 映画監督:風間太樹(映像学科 2013年度卒)
  • 建築・設計:長谷川高之(建築・環境デザイン学科 1996年度卒。SANAA所属)

美術大学というと作家や画家の姿が思い浮かびますが、公式の卒業生紹介を見ると、プロダクトデザイナー、アートディレクター、修復師、学芸員、公務員までが並び、進路の幅が広いことが分かります。

まとめ

東北芸術工科大学の本館と鏡橋
東北芸術工科大学 本館と鏡橋(2011年)/撮影:Daut2017(CC BY-SA 4.0)/出典:Wikimedia Commons

いかがだったでしょうか。東北芸術工科大学について見てきました。要点は次の6つです。

  • 1991年12月に学校法人が創立され、1992年4月に芸術学部とデザイン工学部で開学しました。2026年度は学科再編があり、全19学科・コースの体制です
  • 芸術学部は美術科・歴史遺産学科・文芸学科・工芸デザイン学科、デザイン工学部はプロダクト・建築・環境、グラフィック、映像、企画構想の5学科で、美術から文化財修復、文芸、ゲーム、企画まで幅広く学べます
  • 2026年度入学者の初年度納付金は、143万660円から161万5,660円(区分により異なります)。授業料は年額113万5,000円から132万円です
  • 入試は総合型選抜(専願体験型は募集定員の50%)、一般選抜、共通テスト利用などがあり、美術科の日本画・洋画コースは併願型や一般選抜・共通テスト利用を選べません
  • 山形ビエンナーレ(2014年から隔年)をはじめ、山形の自治体・企業・寺社との地域連携が教育の大きな柱です
  • 2025年度卒の学部全体の就職率は98.0%(卒業者568名、就職希望者501名、就職者491名)。分母は卒業生全体ではなく就職希望者です

学費や入試の方式、募集人員は年度ごとに変わります。出願を具体的に考える段階では、必ず公式サイトで最新の情報をご確認ください。

Euphoric " " の視点

東北芸術工科大学で目を引くのは、学科名よりもコース名です。2026年度の再編で、キャラクター・ゲーム、CG・アニメーション、イラストレーション、食文化デザインといった、職業名に近い言葉が学科の下に並びました。大学が「何を教えるか」より先に「卒業後に何になるか」を見せようとしていることが、コース名からそのまま読み取れます。

もうひとつは、数字の読み方です。学部全体の就職率98.0%は、就職希望者を分母にした値で、卒業生568名のうち進学者33名、そして就職を希望しなかった人は分母に入っていません。この数字は大学の努力を示すものではありますが、「卒業生の何割が就職したか」とは別物です。比べるなら、分母の定義が同じ数字同士にそろえるのが筋だと考えます。

この大学の個性は、地域との接続にあります。山形ビエンナーレ、ひじおりの灯、やまがたチャンネル、五百羅漢像の修復など、公式サイトの記録は、授業が学外の依頼や現場と結びついていることを示しています。学長が「課題先進県」と呼ぶ山形で、課題と作品づくりを同時に抱えて学ぶことは、都市部の大学では得にくい環境だと私たちは見ています。

同時に、この環境は人を選びます。山形市で4年間を過ごすことになりますので、作品の発表や人脈を大都市で作りたい人には、距離は負担になるかもしれません。逆に、制作に没頭できる広い敷地と、地域の現場に直接つながる課題に価値を感じる人には、これほど合う場所は多くありません。どちらが良いかではなく、自分がどちらの学び方で伸びるかで選ぶのが、後悔の少ない選び方です。

出願に向けてポートフォリオを用意する段階でお悩みの方は、ポートフォリオ添削サービス「PORTFOLIO SENSEI」もあわせてご覧ください。

もっと知るには

本記事の情報は、東北芸術工科大学の公式サイト(tuad.ac.jp)と公式の公開資料をもとに確認しています。学費・入試方式・募集人員は年度ごとに変わりますので、出願の際は下記の公式ページで最新の情報をご確認ください。

海外の美術系大学と比較したい方は、QS世界大学ランキング アート&デザイン部門の解説もあわせてご覧ください。国内の美大を比べたい方は国内美大の比較記事、国内の他の芸術・美術大学については国内の芸術・美術大学のアート&デザイン学部/専攻をまとめた記事もご用意しています。

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