秋田公立美術大学とは?専攻・学費・入試を徹底解説

秋田公立美術大学とは?専攻・学費・入試を徹底解説

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こんにちは。ユアムーン株式会社 編集部です。

皆さんは秋田公立美術大学(英語名 Akita University of Art。公式サイトでは「あきび」とも表記されています)という大学をご存知ですか。秋田市の新屋地区にある公立の美術大学で、4年制の大学としては2013年に開学しました。前身をたどると1952年に設立された秋田市立工芸学校までさかのぼり、公立の美術教育を約70年にわたって続けてきた学校でもあります。

この大学の大きな特徴は、入学の時点では専攻を決めず、1・2年次に分野を横断して学んだうえで、5つの専攻から自分の進む道を選ぶ仕組みにあります。本記事では秋田公立美術大学について、基本情報、沿革、学部と5専攻の内容、大学院、学費、2027年度入試の方式と直近の入試結果、キャンパスと施設、卒業後の進路まで、公式サイト(akibi.ac.jp)で確認できた情報をもとにご紹介します。あわせて、国際的な大学ランキングで名前を見かけない理由についても、誤解のないように解説します。それでは早速いってみましょう。

秋田公立美術大学って?

基本情報

秋田公立美術大学のアトリウム棟とシンボルタワー
秋田公立美術大学のアトリウム棟とシンボルタワー(2013年)/撮影:掬茶(CC BY-SA 3.0)/出典:Wikimedia Commons
正式名称秋田公立美術大学(英語名 Akita University of Art)
開学2013年4月。公立大学法人秋田公立美術大学の設立と同時に開学しました。前身は1952年6月に設立された秋田市立工芸学校です
所在地〒010-1632 秋田市新屋大川町12-3
設置者公立大学法人秋田公立美術大学
学長北郷悟(2023年4月に理事長兼学長に就任)
組織1つの学部(美術学部美術学科)、1つの大学院研究科(複合芸術研究科)、3つのセンター、附属図書館
学生数461名(美術学部433名、大学院修士課程19名、博士課程9名。2026年5月時点)
入学定員美術学部100名、大学院修士課程10名、博士課程2名(いずれも1学年。公式サイトの掲載による)
収容定員美術学部400名、修士課程20名、博士課程6名(2026年5月時点)
基本理念「新しい芸術領域を創造し、挑戦する大学」ほか全4項目(後述)

学長の北郷悟は、公式サイトの学長メッセージで「時を旅する大学」というテーマを掲げています。そこでは、4年制大学として開学して10周年を迎えたこと、そして1952年開学の秋田市立工芸学校や秋田公立美術工芸短期大学から続く、約70年にわたる地域への貢献の歴史が語られています。領域を横断することで新しい芸術表現の可能性を探る姿勢が示され、専門領域を学びながら、自分ならではの表現の言葉を見つけてほしいという願いも述べられています。

公式サイトの基本理念は、次の4つの柱で構成されています。

柱公式サイトの説明(要約)
新しい芸術領域を創造し、挑戦する大学従来の芸術の区分や、西洋と日本の伝統が並存する状態を見直し、現代日本に合った価値観として再構成することを目指します
秋田の伝統・文化をいかし発展させる大学秋田の伝統や生活文化を再評価して現代に活かし、いわば「地域のルネッサンス」を目指します
秋田から世界へ発信するグローバル人材を育成する大学多様な価値観を認め合い、柔軟な思考で新しい表現を探求できる人材を育て、秋田の文化を世界に発信します
まちづくりに貢献し、地域社会とともに歩む大学公立大学として、教員が専門分野で社会貢献を行い、地域の活性化に役立つ人材を育てます

4つの柱のうち2つが、秋田という土地と直接結びついています。美術大学の理念というと「個性」や「創造性」といった一般的な言葉が並びがちですが、この大学の場合は、地域の文化資源を出発点にするという姿勢がはっきり書かれています。後述する専攻の名前にも、この考え方が表れています。

短大から4年制へ、秋田公立美術大学が歩んできた道

公式サイトの沿革によれば、秋田公立美術大学の歴史は1952年(昭和27年)6月、修業年限2年の秋田市立工芸学校として設立されたところから始まります。1975年(昭和50年)4月には秋田市立美術工芸専門学校と改称され、本科3年・専攻科1年の体制になりました。1988年(昭和63年)4月には専攻科を専門課程に改称し、修業年限を2年としています。

転機になったのは1995年(平成7年)4月です。この年に秋田公立美術工芸短期大学が開学し、石原英雄が初代学長に就任しました。短大の開学にともなって、それまでの秋田市立美術工芸専門学校は短大の附属高等学院に改称されています。翌1996年には大学開放センター「アトリエももさだ」がオープンし、1997年には専攻科(1年制)が開設されました。その後、2001年に石川好が第2代学長、2007年に樋田豊次郎が第3代学長に就任しています。

4年制大学化に向けた動きは、2010年(平成22年)10月に有識者委員会が秋田市に設置されたところから本格化します。2011年4月には4年制大学設置準備委員会が設置され、2012年11月に文部科学省から秋田公立美術大学の設置認可が下りました。2013年3月には公立大学法人の設立が認可され、同年4月に大学が開学しています。樋田豊次郎が理事長兼学長に就任しました。

大学院の整備は、開学の数年後から進みました。次の年表は、公式サイトの沿革から主な出来事を抜き出したものです。

年月出来事(公式サイトの沿革より)
1952年6月秋田市立工芸学校(修業2年)として設立
1975年4月秋田市立美術工芸専門学校と改称(本科3年、専攻科1年)
1995年4月秋田公立美術工芸短期大学が開学。石原英雄が初代学長に就任
1996年4月大学開放センター「アトリエももさだ」がオープン
2012年11月秋田公立美術大学の設置認可(文部科学省)
2013年4月公立大学法人秋田公立美術大学が設立され、秋田公立美術大学が開学
2015年4月霜鳥秋則が理事長兼学長に就任
2017年4月大学院複合芸術研究科(修士課程)を開設(2016年8月に設立認可)
2019年4月大学院複合芸術研究科(博士課程)を開設(2018年8月に設立認可)
2023年4月北郷悟が理事長兼学長に就任

こうして並べると、工芸学校の設立から約70年の間に、専門学校、短期大学、4年制大学、修士課程、博士課程と、段階を踏んで教育の幅を広げてきたことが分かります。大学院の博士課程まで備えた公立の美術大学として、2019年に教育課程がひとまず整った形です。

美術学部美術学科、5つの専攻で何を学ぶのか

秋田公立美術大学の学部は、美術学部美術学科の1学科です。公式サイトの「教育の特色」によれば、学科全体で募集する総合入試で学生を受け入れ、1・2年次は素材や技法ごとに分けず、総合科目「現代芸術論」「現代芸術演習」で分野を横断して学びます。1・2年次に素材と技法を総合的に学んだうえで、適性に合う専攻を選び、3・4年次に各専攻へ所属して専門的な科目を履修します(入学者選抜要項のカリキュラム・ポリシーでは、各専攻への所属は2年次後期からと記されています)。4年次後期には「卒業研究」で4年間の学びをまとめます。

公式サイトが示している5つの専攻(5科目群)と、その説明は次のとおりです。

専攻学べる内容(公式サイトの紹介より)
アーツ&ルーツ専攻地域の歴史的な文化資源(ルーツ)を調査・研究し、その再評価から新たな芸術表現を探求します。「基礎理論」「作品制作」「フィールドワーク」の3つを通じて学び、調査研究の成果は作品制作に生かされます
ビジュアルアーツ専攻現代美術の新しい方向性を探り、さまざまな素材や媒体を通じて現代的な表現を展開します。従来の素材、技法、表現形態にとらわれず、多様な媒体で作品を制作します
ものづくりデザイン専攻秋田の文化資源を背景に、人と人との豊かな関係を築くものづくりを提案します。世代を超えて愛されてきたものの文化的背景や価値観を踏まえ、秋田から世界に向けて新たな視点と価値を持つものづくりを考えます
コミュニケーションデザイン専攻多様なメディアを活用したビジュアルコミュニケーションを学び、効果的なデザインやアートディレクションを可能にします。グラフィックデザインの幅広い表現に習熟し、デザイン全体を構築する総合的なディレクションを身につけます
景観デザイン専攻さまざまな表現領域の制作活動を通じて、社会変革を促す「景観」を創造します。自らの身体を景観の現場に置き、感覚・知識・経験を総動員して場所の本質を見抜く作業に取り組みます

専攻の名前を眺めると、日本画・油画・彫刻といった素材や技法で分ける一般的な美術大学の学科構成とは、発想の出発点が違うことに気づきます。「アーツ&ルーツ」は地域の文化資源の調査と制作を組み合わせる専攻で、「景観デザイン」は場所そのものを対象にする専攻です。一方で「ビジュアルアーツ」や「コミュニケーションデザイン」のように、現代美術やグラフィックデザインを正面から学べる専攻もあり、秋田という土地に根ざした専攻と、領域を問わず通用する専攻が同居している構成です。

カリキュラムの構成

公式サイトのカリキュラムのページによれば、授業科目は大きく次の6つの区分で構成されています。

区分内容(公式サイトの説明より)
教養科目人間の歴史・文化、自然科学、環境、外国語、情報などを幅広く学びます
キャリア教養科目社会人・職業人として求められる教養やスキルを養い、作品やプランをプレゼンテーションする力を身につけます
専門共通科目複数の分野にまたがる科目を自分で選んで履修します。総合科目(5専攻を横断して学ぶ)、導入科目(専攻学習に必要な基礎知識・技術)、専門基礎科目、美術理論・美術史科目の4つの科目群で構成されます
専門専攻科目所属する専攻で、より高度な知識・技術を習得します
卒業研究大学での学びの集大成となる科目です
資格課程科目卒業認定単位とは別に修得する自由科目です。教職課程(中学校教諭一種免許状〔美術〕、高等学校教諭一種免許状〔美術・工芸〕)と、博物館学芸員課程があります

美術大学では、実技の授業が中心になるイメージが強いかもしれません。公式サイトの構成を見ると、教養科目やキャリア教養科目、美術理論・美術史科目が独立した区分として置かれており、作品をつくる力と、言葉で説明する力・社会とつなぐ力を並行して育てる設計であることが分かります。教員免許や学芸員資格を目指す学生向けの課程も用意されています。

大学院複合芸術研究科で、さらに深く学ぶ

秋田公立美術大学の大学院は、複合芸術研究科(複合芸術専攻)の1研究科です。公式サイトのキャッチフレーズは「複合と越境の実践を通して、新しい創造領域を拓く」。大学等で表現手法を修めた学生が、他の領域や表現手法と組み合わせ、社会に変化をもたらす「芸術の複合的な研究」へ進むことを目指す研究科で、アート、デザイン、芸術学の指導教員がいます。

課程修了年限入学定員(1学年)開設
修士課程2年10名2017年4月
博士課程3年2名2019年4月

公式サイトの「複合芸術とは」のページでは、この大学院が考える複合芸術を、異なる表現技法や素材を組み合わせることだけを指すものではないと説明しています。主な要素は、自分の専門の外に出て他分野の実践の方法や思想を学ぶこと、そこで得た知識と経験を自分の活動に取り入れること、既存の事物や現象の構成要素の関係を見直し、将来に向けて再配置することの3つです。教育方法としては、修士課程・博士課程のどちらでも、領域の異なる複数の教員と学生が交流する「セッション」と呼ばれるチームティーチングを採用しています。

大学院の特色として公式サイトが挙げているのは、次の3点です。1つ目は国内外での実践経験が豊富な教授・准教授が教えること。2つ目は、現代芸術の「複合」性を考える講義、さまざまな技法を集中的に体験する演習、実社会での実習を組み合わせた、社会での実践を見据えたカリキュラムであること。3つ目は、チームを基本とした指導・研究で、「教員が12名、助手が5名」という指導・支援体制をとっていることです。入学定員が少人数であることを考えると、教員と学生の距離が近い環境だと読めます。

学費

秋田公立美術大学の公式サイトの学費ページ(2026年10月時点の掲載内容)によれば、美術学部の入学時から初年度にかけて必要な金額は次のとおりです。なお、このページには年度の表記がなく、「入学料や授業料などは改定される場合がある」という注記が付いています。ご紹介する金額は、あくまで2026年10月時点で公式サイトに掲載されている所要見込額です。

項目秋田市民秋田市民以外納付の時期
入学料282,000円423,000円入学手続時
授業料(年額)535,800円535,800円入学後。前期・後期に各267,900円
後援会会費(4年分)60,000円60,000円入学手続後
学生会会費(4年分)13,000円13,000円入学手続後
傷害保険料等(4年分)4,660円4,660円入学手続後
同窓会費(入学金および永年会費)15,000円15,000円入学手続後
初年度の合計910,460円1,051,460円

公立大学らしい特徴として、入学料が「秋田市民」か否かで分かれています。公式サイトの注記では、「秋田市民」とは入学日の1年前から継続して秋田市に住所がある人(配偶者または1親等の親族が該当する場合を含む)と定義されています。入学料の差は141,000円で、授業料は市民かどうかにかかわらず同額です。入学検定料は17,000円です。

後援会会費・学生会会費・傷害保険料等・同窓会費は、4年分がまとめて入学手続後に納付される形です。ここで編集部が公開情報をもとに計算すると、授業料が年額535,800円のまま4年間変わらないと仮定した場合、4年間に大学へ納める金額は、秋田市民で2,517,860円(入学料282,000円+授業料535,800円×4年+会費等92,660円)、市民以外で2,658,860円になります。ただし公式サイトが「改定される場合がある」と注記しているとおり、この計算は現時点の金額が続いた場合のものです。また、教科書・用具・材料費などの学修経費は別途必要と明記されており、この計算には含まれていません。住居費や生活費も含んでいません。

奨学金については別ページで案内されています。進学を具体的に検討する段階では、学費だけでなく、制作に必要な材料費や、遠方から入学する場合の住居費も含めて、総額で考えておく必要があります。

入試の方式(2027年度入試)

2026年10月時点で、公式サイトの入試要項のページには令和9年度(2027年度)の入学者選抜要項と、一般選抜・学校推薦型選抜・社会人特別選抜・編入学試験の各学生募集要項が掲載されています。ここでは募集人員と選考の概要をまとめます。出願期間や試験日は年度ごとに変わりますので、日付は記載しません。出願の際は必ず最新の学生募集要項をご確認ください。

選抜区分と募集人員

選抜区分募集人員
一般選抜 前期日程40名
一般選抜 中期日程22名
学校推薦型選抜 推薦選抜Ⅰ 一般推薦16名
学校推薦型選抜 推薦選抜Ⅰ 特別推薦(県内枠)6名
学校推薦型選抜 推薦選抜Ⅰ 特別推薦(市内枠)5名
学校推薦型選抜 推薦選抜Ⅰ 特別推薦(指定校枠)5名
学校推薦型選抜 推薦選抜Ⅱ6名
社会人特別選抜若干名
入学定員(美術学部美術学科)100名(一般選抜62名、学校推薦型選抜38名)

このほか、3年次編入学試験が若干名の募集です。特別推薦には「県内枠」「市内枠」「指定校枠」があり、地域とのつながりを重視する公立大学らしい設計になっています。

一般選抜(前期日程・中期日程)

一般選抜は、大学入学共通テストと、大学が実施する個別試験、調査書等を組み合わせて判定します。公式サイトの2027年度の募集要項で、個別試験と配点の概要は次のように示されています。

日程大学入学共通テスト個別試験総合点
前期日程400点(国語・外国語〔英語〕・数学・地理歴史・公民・理科・情報から、指定の方法で2教科2科目を利用)実技試験「鉛筆デッサン」300点(必修)+選択試験200点(着彩表現・色彩表現・立体表現・小論文から1科目選択)+調査書等20点=520点920点
中期日程500点(国語・外国語〔英語〕・数学・地理歴史・公民・理科・情報から、指定の方法で3教科3科目以上を受験し利用)実技試験「鉛筆デッサン」400点(必修)+調査書等20点=420点920点

前期日程の個別試験は、鉛筆デッサンが4時間、選択試験が4時間(小論文のみ2時間)です。中期日程は鉛筆デッサン4時間で、前期より実技の配点が高くなっています。どちらの日程でも、大学入学共通テストの受験が必要で、過年度の成績は使えません。共通テストの科目の選び方には細かい条件がありますので、詳細は募集要項で確認してください。

学校推薦型選抜・社会人特別選抜

学校推薦型選抜の推薦選抜Ⅰは、大学入学共通テストを免除し、調査書・推薦書・志望理由書等の出願書類、実技試験(鉛筆デッサン)および面接で選抜します。配点は、実技試験が鉛筆デッサン700点、面接が200点(一般推薦と、指定校枠を除く特別推薦はグループ面接、特別推薦の指定校枠は個別面接)です。推薦選抜Ⅱは、大学入学共通テスト、調査書・推薦書・志望理由書等の出願書類、小論文試験(200点)および面接(個別面接、200点)で判定する方式です。推薦選抜Ⅱでは実技試験を課さない点が、推薦選抜Ⅰとの大きな違いです。

直近の入試結果(2026年度入試)

公式サイトでは、令和8年度(2026年度)の入学者選抜試験結果が公開されています(2026年4月1日現在)。美術学部美術学科の結果は次のとおりです。

選抜区分募集人員志願者数志願倍率受験者数受験倍率合格者数入学者数
一般選抜 前期日程40872.2782.04440
一般選抜 中期日程241305.4542.32718
一般選抜 小計642173.41322.17158
学校推薦型選抜 小計36742.1722.04444
社会人特別選抜若干名1-1-11
合計1002922.92052.1116103

表のとおり、2026年度の一般選抜(前期日程と中期日程の合算)は募集人員64名に対して志願者217名、合格者71名でした。学部全体(学校推薦型選抜・社会人特別選抜を含む全区分の合算)では、募集人員100名、志願者292名、合格者116名、入学者103名です。倍率は公式サイトの注記によれば小数点以下第2位を四捨五入して算出されています。

数字を読むうえで注意したいのは、中期日程の志願倍率が5.4倍と高い一方、実際に受験した人は54名で、受験倍率は2.3倍にとどまっている点です。志願者130名のうち受験者は54名ですので、志願しても受験しない人が多い日程であることが分かります。前期日程は志願者87名に対して受験者78名でした。なお、2026年度の募集人員は前期40名・中期24名、2027年度は前期40名・中期22名と、日程によって人数が違います。倍率の対象範囲(志願倍率か受験倍率か、どの区分を合算するか)は大学ごとに異なりますので、他の大学の倍率と単純に比べることはできません。

公式サイトの結果資料には、一般選抜の合格者成績概要も載っています。総合成績は900点満点で、前期日程の合格者は最高点710.00、最低点445.00、平均点549.90、中期日程の合格者は最高点704.00、最低点410.00、平均点517.66でした。学校推薦型選抜・社会人特別選抜の成績概要は公表されていません。

キャンパスと施設

秋田公立美術大学のキャンパスは、秋田市の新屋大川町にあります。公式サイトのアクセス案内によれば、電車の場合はJR秋田駅から羽越本線で新屋駅まで行き、駅から徒歩約15分です。バスの場合は、JR秋田駅から秋田中央交通バス新屋線に乗り、「美術大学前」で下車すれば徒歩1分で着きます。

秋田公立美術大学のアトリエももさだ
秋田公立美術大学のアトリエももさだ(2016年)/撮影:掬茶(CC BY-SA 4.0)/出典:Wikimedia Commons

公式サイトのキャンパスマップで紹介されている主な施設は、次のとおりです。

施設内容(公式サイトの説明より)
レストハウス学生のコミュニティースペース。1・2階はカフェテリア式の学生食堂で、学生ホール、談話室、掲示板、教材や生活用品を扱う売店があります
コンピュータ室講義時間外は開放され、自由に制作できます。Macintosh 118台と、WindowsとLinuxが使える情報教育用PC 85台があります
大講義室定員180人。AV機器、書画カメラ、電動スクリーンを備え、講義のほかガイダンスや講演会にも使われます
附属図書館自然光が入る館内に、美術・工芸・デザイン関係を中心に約4万冊の書籍と、映像ソフト、新聞、雑誌を所蔵。AVコーナーと独立した閲覧室があります
アトリエももさだ旧国立農業倉庫を利用した施設。名称は新屋地区の旧地名に由来します
美大サテライトセンターJR秋田駅西口の商業ビル「フォンテAKITA」6階。学生・教員の作品展示や公開講座、デッサンスクールを開催します
ギャラリー BIYONG POINT(ビヨンポイント)秋田ケーブルテレビ(CNA)内のギャラリー。教員、卒業生、外部作家の展示を定期的に行い、入場は無料です
新屋NINO・KATTE新屋NINOは「空き家プロジェクト」で地域から借りた施設で、学生の展示・制作に使われます。KATTEは本学アトリウム棟1階にある学生作品の展示スペースです

施設の顔ぶれを見ると、キャンパスの中だけで完結せず、まちの中に学生の展示・制作の場が点在していることが分かります。旧国立農業倉庫を使った「アトリエももさだ」、JR秋田駅前のサテライトセンター、地域から借りた空き家と、いずれも地域の既存の建物や場所を活かした運営です。基本理念に掲げる「まちづくりに貢献し、地域社会とともに歩む大学」という方針が、施設の使い方にも表れています。

秋田公立美術大学の附属図書館
秋田公立美術大学の附属図書館(2016年)/撮影:掬茶(CC BY-SA 4.0)/出典:Wikimedia Commons

社会連携と国際交流

公式サイトの社会連携のページによれば、大学の美術・デザインの知を活かして地域の活性化に貢献する人材を育てることを目指し、教員全員が専門分野で社会貢献事業を進めています。事業は、産学官連携事業、知的財産の管理事業、地域連携事業、高大連携授業、その他の企画(子ども向けのアートスクールやデッサンスクールなど)の5つです。

国際交流のページには、協定校として台南應用科技大学(台湾、2017年10月)、リンショピン大学(スウェーデン、2018年12月・学部間)、バンドン工科大学(インドネシア、2019年4月)、1945年8月17日スラバヤ大学(インドネシア、2023年2月)、東亜大学校(韓国、2024年9月)が挙がっています。一方で、協定校との留学プログラムは現在協議中とされています。留学等を希望する学生向けには、短期の語学研修、アートプロジェクト、ワークショップ、学会参加、インターンシップなどを対象にした留学等助成金があり、助成額は対象経費の一部で通年で募集しています。

どこから学生が集まっているのか

公式サイトの「入学者の構成」資料(2026年5月時点)には、美術学部美術学科の入学者103名の出身高校等の所在地別の人数が載っています。もっとも多いのは秋田県の18名で、次いで岩手県12名、宮城県10名、北海道と青森県が各9名です。北海道・東北の7道県を合わせると62名、それ以外の都府県の合計は41名で、兵庫県5名、大阪府4名、新潟県5名、静岡県3名など、全国に広がっています。出身高校の所在地が北海道・東北以外の入学者が4割ほどを占める構成です。

世界大学ランキングでの位置づけ

海外の美術大学を調べたことがある方は、QS社が毎年発表する「QS World University Rankings by Subject」の分野別ランキングをご存知かもしれません。結論からお伝えすると、2026年版のArt & Design(アート&デザイン)部門に、秋田公立美術大学は掲載されていません。公式サイト(topuniversities.com)で確認したところ、この部門に掲載されている日本の大学は、東京大学、千葉大学、筑波大学、京都大学、武蔵野大学、東京藝術大学、慶應義塾大学、京都工芸繊維大学、九州大学、早稲田大学の10校で、そこに秋田公立美術大学は含まれていません(武蔵野大学は、武蔵野美術大学とは別の大学です)。

ただ、これは教育の質が低いという意味ではありません。このランキングの配点は、学術評判(世界中の研究者へのアンケート)が90パーセント、雇用者評判(企業の採用担当者へのアンケート)が10パーセントです。順位のほとんどは、世界の研究者がその大学を研究面でどう見ているかで決まる仕組みですから、教育の内容や学生の制作環境を直接測った指標ではありません。算出方法や各大学の順位については、アート&デザイン部門QS世界大学ランキングの解説記事で詳しくご紹介しています。

卒業後の進路

秋田公立美術大学は、卒業生の進路状況を年度ごとに公式サイトで公開しています。2026年10月時点でもっとも新しいのは令和7年度(2025年度)卒業生のもので、2026年5月1日現在の集計です。公式資料における「進路決定率」は、就職・進学(留学を含む)・作家やフリーランス(起業を含む)のいずれかを希望した人のうち、進路が決まった人の割合として示されています。分母は卒業者全体ではなく、希望者である点に注意が必要です。

区分卒業者・修了者進路決定者進路決定率
美術学部(2025年度)110名97名99.0%
大学院修士課程(2025年度)12名6名100%

学部の内訳は、就職が80名(就職希望者81名のうち決定)、進学が12名、作家・フリーランス・起業が5名で、合計97名です。このほかに、希望進路が未定の人などが12名と記載されています。進路を明確に希望した98名のうち、就職は80名(81.6%)、進学・留学は12名(12.3%)、作家・フリーランス・起業は5名(5.1%)、未決定は1名(1.0%)でした。

就職した80名の職種別の内訳は、次のとおりです。

職種人数割合
クリエイティブ関連業務(グラフィック・パッケージ・プロダクトデザイン、イラスト・背景美術制作、Web制作、映像制作、舞台美術、ものづくり、建築設計等)22名27.3%
販売・接客・サービス業務18名22.5%
企画職・営業職11名13.8%
事務・管理業務9名11.3%
製造・加工業務5名6.3%
公務員・教員・学芸員6名7.5%
その他9名11.3%

美術大学というと、デザイナーや作家になるイメージが強いかもしれません。実際には、クリエイティブ関連業務がもっとも多いものの、全体の3割弱で、販売・接客、企画・営業、事務など幅広い職種に就職していることが数字から分かります。公式サイトの進路先一覧(令和7年度の実績)に載っている就職先には、秋田ケーブルテレビ、草階建築創作所、中川政七商店、宮崎椅子製作所、石塚硝子、カインズ、ベネッセスタイルケアなどの企業名があります。このほか、公務員・教員として、浜松市役所、秋田県教育委員会、青森県教育委員会、山梨県教育委員会、新潟県教育委員会に進んだ人もいます。

進学先としては、秋田公立美術大学大学院のほか、金沢美術工芸大学大学院、京都市立芸術大学大学院、東京学芸大学大学院、東京藝術大学大学院、長岡造形大学大学院、京都芸術大学大学院、アップスアカデミーが挙がっています。大学院修士課程の修了者12名のうち、就職は4名、作家・フリーランスは2名でした。修士課程の就職先は、医学書院、京都芸術センター、八戸ポータルミュージアム はっち、北海道栗山町地域おこし協力隊です。なお、ここに挙げた数字は2025年度のもので、年度によって変わります。最新の集計は公式サイトの「進路就職情報」のページでご確認ください。

まとめ

秋田公立美術大学のキャンパス
秋田公立美術大学のキャンパス(2019年)/撮影:掬茶(CC BY-SA 4.0)/出典:Wikimedia Commons

いかがだったでしょうか。秋田公立美術大学について見てきました。要点は次の7つです。

  • 1952年に秋田市立工芸学校として設立され、1995年に短期大学、2013年に4年制の美術大学になりました。大学院は修士課程が2017年、博士課程が2019年に開設されています
  • 学部は美術学部美術学科の1学科で、総合入試で入学し、1・2年次は分野を横断して学んだうえで、5つの専攻(アーツ&ルーツ、ビジュアルアーツ、ものづくりデザイン、コミュニケーションデザイン、景観デザイン)から選びます
  • 学費(公式サイトの掲載額)は、初年度が秋田市民で910,460円、市民以外で1,051,460円です。4年間の合計は編集部の計算で251万7,860円〜265万8,860円(学修経費は別途)
  • 2027年度入試の入学定員は100名で、一般選抜62名、学校推薦型選抜38名です。一般選抜は大学入学共通テストと鉛筆デッサンを中心とした個別試験で判定します
  • 2026年度入試は、学部全体で志願者292名、合格者116名、入学者103名でした。倍率の対象範囲は大学ごとに違うため、単純には比べられません
  • QS世界大学ランキング アート&デザイン部門2026年版には掲載されていません。この部門は学術評判90%・雇用者評判10%で決まるため、掲載の有無は教育の質を示すものではありません
  • 2025年度の学部の進路決定率は99.0%(希望者に対する割合)。就職80名、進学12名、作家・フリーランス・起業5名で、就職先の職種は多岐にわたります

学費や入試の方式、募集人員は年度ごとに変わります。出願を具体的に考える段階では、必ず公式サイトで最新の情報をご確認ください。

Euphoric " " の視点

秋田公立美術大学の学部は、入学時に専攻を決めません。公式サイトによれば、1・2年次は素材や技法ごとに分けず、「現代芸術論」「現代芸術演習」で分野を横断して学び、そのうえで専攻を選びます。美大の受験では、入る前に日本画か、油画か、デザインかといった進む分野を決める形が多く見られます。この大学は、その決定を入学後に回しています。編集部は、これを受験生の迷いを前提にした、現実的な設計だと読んでいます。

専攻の名前には、この大学が何を軸にしているかが出ています。「アーツ&ルーツ」は地域の文化資源の調査から制作へ向かう専攻で、「景観デザイン」は場所そのものを対象にします。基本理念4つのうち2つが、秋田の文化と地域社会に直接触れています。地方の公立大学が地域を掲げるのは珍しくありませんが、それが専攻名と施設の使い方にまで届いているところに、この大学の一貫性があります。

入試の数字は、見方で印象が変わります。2026年度の中期日程の志願倍率は5.4倍でしたが、実際の受験者は志願者130名のうち54名で、受験倍率は2.3倍でした。志願倍率だけを見ると競争が激しく見えますが、実態に近いのは受験倍率のほうです。倍率を見るときは、何を分母にした数字なのかを確かめる必要があります。

進路の数字から読み取れるのは、美大に進むことと、デザイナーや作家になることは、必ずしも同じではないということです。就職した80名のうち、クリエイティブ関連業務は22名で、販売・接客・サービスが18名、企画・営業が11名と続きます。美術の学びを、創作の外側の仕事に持ち込む人が多数いる。それを失敗と見るか、強みと見るかで、この大学の評価は変わると思います。

出願に向けてポートフォリオを用意する段階でお悩みの方は、ポートフォリオ添削サービス「PORTFOLIO SENSEI」もあわせてご覧ください。

もっと知るには

本記事の情報は、秋田公立美術大学の公式サイト(akibi.ac.jp)をもとに確認しています。学費・入試の方式・募集人員は年度ごとに変わりますので、出願の際は下記の公式ページで最新の情報をご確認ください。

海外の美術系大学と比較したい方は、QS世界大学ランキング アート&デザイン部門の解説もあわせてご覧ください。国内の美術大学の違いについては国内美大の比較記事、国内の芸術・美術大学の一覧は国内の芸術・美術大学のまとめ記事もご用意しています。

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