RCAデザイン学部とコミュニケーション学部が統合!17専攻を解説

RCAデザイン学部とコミュニケーション学部が統合!17専攻を解説
ロイヤル・カレッジ・オブ・アート コミュニケーション&デザインスクール(School of Communication & Design)ケンジントン博物館地区

アートコンサルティング

イギリス・ロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アート(Royal College of Art、通称RCA)には、長いあいだ「デザイン学部(School of Design)」と「コミュニケーション学部(School of Communication)」という2つのスクールがありました。この2つは2026年9月1日付で統合され、School of Communication & Design(コミュニケーション&デザイン スクール)という1つのスクールになりました。

つまり、いまのRCAに「デザイン学部」という単独のスクールは存在しません。「コミュニケーション学部」もありません。ただしプログラムが消えたわけではなく、プロダクトデザイン、ファッション、テキスタイル、サービスデザイン、モビリティ、アニメーションといった中身は、そのまま新しい1つのスクールに引き継がれています。「RCAでデザインを学びたい」方は、探すべき名前が School of Communication & Design に変わったと受け取ってください。

この記事では、RCA公式サイト(rca.ac.uk)で2026年10月2日に確認できた情報だけを使い、統合の経緯、新スクールの17のプログラム(専攻)、出願要件・学費・英語要件・キャンパスをまとめました。それでは早速いってみましょう。

コンテンツ

【重要】2026年9月1日、2つのスクールが1つになりました

「New term ➡️ New School of Communication & Design!」(ロイヤル・カレッジ・オブ・アート 公式YouTube/2026年9月1日公開・37秒)。統合の発効日にRCA自身が公開した動画です

公式ニュースリリースに書かれていること

RCAは2026年9月1日、公式サイトのニュース欄で新スクールの設置を発表しました。リード文は「The RCA is bringing its communication and design disciplines together within a single, unified School.(RCAはコミュニケーションとデザインの各分野を、単一の統合されたスクールのもとにまとめます)」です。

本文では、新スクールが既存の School of Architecture(建築)と School of Arts & Humanities(芸術・人文)と並び、大学の学術的な枠組みを3スクール体制(three-School structure)に簡素化する(streamlining)と説明されています。理由はコミュニケーションとデザインの実践が相互に結びついてきたこと、そして学際的な協働の機会を増やすことです。学部長(Dean)は Professor Kerry Curtis です。

旧URLは301リダイレクトで新しいページに転送されます

組織変更の裏づけとして分かりやすいのが、URLのふるまいです。2026年10月2日に実際に確認した結果が下の表です。

旧URL現在の挙動
rca.ac.uk/study/schools/school-design/301(恒久的な移転)で school-of-communication-and-design へ転送
rca.ac.uk/study/schools/school-communication/301で同じページへ転送
programme-finder/digital-direction-ma/301で digital-narrative-arts-ma-mfa へ転送(プログラム改称)
programme-finder/design-products-ma/301で design-products-ma-mdes へ転送(2年制ルート追加)
programme-finder/global-innovation-design-ma-msc/301でプログラム一覧ページへ転送(個別ページなし)

301は「このページは恒久的に移った」という信号です。単独の School of Design ページ、School of Communication ページは、どちらももう存在しません。

公式サイトには、まだ移行の途中が残っています

ここは正直に書いておきます。統合は発効済みですが、公式サイトの表記は揃っていません。2026年10月2日時点で確認できたものを挙げます。

  • 新スクールのページは、ブラウザのタブに出るページタイトルが今も「School of Design | Royal College of Art」のままです
  • Fashion MA に「the School of Design’s interdisciplinary Grand Challenge」、Textiles MA に「See inside School of Design’s RCA2024 Exhibition」、Communication MPhil/PhD に「the RCA’s School of Communication」という旧名が残っています
  • Communication MFA には「choosing from electives provided by each of the RCA’s four Schools(RCAの4つのスクールが提供する選択科目から選ぶ)」という4スクール前提の記述があり、選択科目の一覧も旧スクール名で区分されています
  • 公式のキャンパス案内ページの2026/27一覧は、Digital Narrative Arts MA/MFA を旧名の「Digital Direction MA」のまま載せています

この記事では、出願者向けの一次情報である各プログラムの個別ページの記載を正として扱っています。プログラム名も揺れており、Aardman との共同課程は個別ページが「Aardman RCA Animation…」(スラッシュなし)、スクールページとリリースが「Aardman/RCA Animation…」(スラッシュあり)です。この記事では後者で統一しています。

3スクール体制のなかでの位置づけ

サウス・ケンジントンのロイヤル・カレッジ・オブ・アート
サウス・ケンジントンのロイヤル・カレッジ・オブ・アート(2015年)。ファッション、テキスタイル、サウンド、デザイン・フューチャーズなどがこのケンジントン校舎に置かれています/撮影:Chris Whippet(CC BY-SA 2.0)/出典:Geograph Britain and Ireland 経由 Wikimedia Commons
スクール日本語での呼び方主な領域
School of Architecture建築スクール建築(ARB/RIBA Part 2 対応のMArch)、デザイン実践(Design Practice MArch)、インテリアデザイン、環境建築・都市デザイン、空間実践への転向課程(Architecture & Spatial Practice Graduate Diploma)
School of Arts & Humanities芸術・人文スクール絵画、彫刻、版画、写真、セラミック&ガラス、ジュエリー&メタル、現代美術実践(Contemporary Art Practice MA/MFA)、AIとデジタルアート(Artificial Intelligence & Digital Art MA/MFA。2027/28新設)、キュレーション、執筆、デザイン史
School of Communication & Designコミュニケーション&デザイン スクールアニメーション、ビジュアル・コミュニケーション、情報体験デザイン、デジタル・ナラティブ、プロダクト、ファッション、テキスタイル、サービス、モビリティ、イノベーション・デザイン・エンジニアリング、サウンド、創造教育

RCAが授与する学位の区分は、公式のプログラム一覧ページに「Graduate Diploma, MA, MArch, MEd, MFA, MDes, MRes, MPhil and PhD」と記載されています。学位名の語順は「分野名+学位」で、たとえば「MA Service Design」ではなく Service Design MA です。日本語の解説では逆の語順をよく見かけますが、公式表記は後置です。

新スクール自身の説明は、「material intelligence(素材への知性)」「craft(技芸)」「cultural richness(文化的な豊かさ)」を土台に、確立された制作のやり方を問い直す場だとしています。協働してきた組織として挙がるのは Snap Inc、CERN、Aardman、Sustainable Market Initiatives、Arup、Telefonica です。

RCA Grand Challenge 2026(ロイヤル・カレッジ・オブ・アート 公式YouTube/8分14秒)。スクールを越えた学際プロジェクトの様子です。Fashion MA のページでは、この Grand Challenge への参加が課程の一部として案内されています

この記事はスクール単位の解説なので、大学そのものの沿革、ロンドンでの生活費、奨学金、2027年9月にノリッジ芸術大学と共同で始まる学部課程には触れていません。そのあたりはロイヤル・カレッジ・オブ・アート(RCA)の解説記事でまとめています。

School of Communication & Design の17プログラム

新スクールのページに掲載されている学位課程は17件です(同じページの短期コース7件は扱いません)。キャンパス欄は2026/27年度の開講地で、ホワイトシティのプログラムは2027年に移転します。Sound Practice MA と Aardman/RCA Animation MFA は初回入学が2027年9月なので、2026/27年度には開講していません。

プログラム(公式表記)学位・単位修業年限2026/27のキャンパス
Aardman/RCA Animation (Professional Residency) MFAMFA・300単位5学期/20か月ケンジントン→ブリストル(2027/28から)
Animation MAMA・180単位1年(45週)ホワイトシティ
Visual Communication MAMA・180単位1年(45週)ホワイトシティ
Information Experience Design MAMA・180単位1年(45週)ホワイトシティ
Digital Narrative Arts MA/MFAMA・180単位/MFA・300単位1年(45週)/2年(90週)ホワイトシティ
Communication MFAMFA・180単位1年ホワイトシティ
Communication MPhil/PhDMPhil/PhDPhD 3〜4年(FT)/6〜7年(PT)、MPhil 2〜3年(FT)/4〜6年(PT)ケンジントン
Design Products MA/MDesMA・180単位/MDes・300単位1年(45週)/2年(90週)バタシー
Fashion MAMA・180単位1年(45週)ケンジントン
Textiles MAMA・180単位1年(45週)ケンジントン
Service Design MAMA・180単位1年(45週)バタシー
Design Futures MAMA・180単位1年(FT)/2年(PT)ケンジントン
Intelligent Mobility Design MA/MDesMA・180単位/MDes・300単位1年(45週)/2年(90週)バタシー
Innovation Design Engineering MA/MScMA/MSc・360単位2年バタシー
Sound Practice MAMA・180単位1年(45週)ケンジントン(2027/28から)
Creative Education MEdMEd・180単位1年ケンジントン(ブレンデッド)
Design MPhil/PhDMPhil/PhDPhD 3〜4年(FT)/6〜7年(PT)、MPhil 2〜3年(FT)/4〜6年(PT)ケンジントン

以下、旧コミュニケーション学部に由来するもの、旧デザイン学部に由来するもの、どちらにも収まらないものの順に見ていきます。学費はすべて Overseas and EU 区分(日本からの留学生が該当)の年額、通貨は英ポンド(GBP)です。

旧コミュニケーション学部に由来するプログラム(7件)

BBCメディア・ヴィレッジ(ロンドン・ホワイトシティ)
BBCメディア・ヴィレッジ(ロンドン・ホワイトシティ、2010年)。RCAのホワイトシティ校舎はこの敷地内にあり、アニメーション、ビジュアル・コミュニケーション、情報体験デザイン、デジタル・ナラティブ・アーツ、コミュニケーションMFAが置かれています/撮影:Lewis Clarke(CC BY-SA 2.0)/出典:Geograph Britain and Ireland 経由 Wikimedia Commons

Animation MA(アニメーション)

MA・180単位・1年(45週)/ホワイトシティ(2027年8月以降ケンジントン)/£40,750。アナログ・デジタル・両者のハイブリッドを横断する課程で、公式の言い方では、モーションキャプチャーやXRから、映画以前の技法(pre-cinematic)、古典的な技法、ストップモーションまで試せる環境です。経験者も初学者も対象です。

提出物はプロジェクト3件まで(アニメーションか動画を必ず含む)で、映像は完成作を推奨し3件合計で10分以内。外部リンクは見てもらえないため、すべてアップロードする必要があります。作品ごとにタイトル・媒体・制作年・サイズを記載します。詳細は下の要件一覧表にまとめました。

Aardman/RCA Animation (Professional Residency) MFA

MFA・300単位・5学期/20か月/£40,750(1年目)、2年目は「£tbc」と未定表示。『ウォレスとグルミット』で知られる Aardman とその教育機関 Aardman Academy との共同プログラムで、学位授与と教育・評価の責任はRCAにあります。1年目はケンジントン校舎、2年目はブリストルのアードマン・スタジオでのレジデンシーで、最終学期に上映可能な完成作と配給計画を提出します。

初回の入学は2027年9月、プログラムは認証(validation)手続きの対象と明記されています。提出物は動画プロジェクト3件まで(合計10分以内)ほか。選抜された候補者に短いオンライン面接があると明記されている点が、このスクールで唯一です。

ブリストルのアードマン・スタジオ本社ビル
ブリストルのアードマン・スタジオ本社ビル(2016年)。Aardman/RCA Animation (Professional Residency) MFA の2年目は、この地でのレジデンシーになります/撮影:Jonathan Billinger(CC BY-SA 2.0)/出典:Geograph Britain and Ireland 経由 Wikimedia Commons

Visual Communication MA(ビジュアル・コミュニケーション)

MA・180単位・1年(45週)/ホワイトシティ(2027年8月以降ケンジントン)/£40,200。グラフィックデザインとイラストレーションが「説得、管理、表層」の役に立ってきたことを認めたうえで、ここでは「探究、抵抗、ケア」の道具にすると書かれています。

動画の課題が他と違います。共通要件の2分動画は「自分の創作の歩みを話す」ものですが、この課程では在籍中に取り組みたいプロジェクト提案を述べるよう指定され、公式は選考で重要な役割を果たすとしています。さらに「Do not use AI to generate your proposal(提案をAIで生成しないこと)」と明記されています。

Information Experience Design MA(情報体験デザイン)

MA・180単位・1年(45週)/ホワイトシティ(2027年8月以降はバタシー。同じホワイトシティでも移転先が違います)/£40,200。「情報やシステムは、体験を通してはじめて意味を持つ」という前提から、実験とアクティビズムや共感を統合する内容だとしています。

Digital Narrative Arts MA/MFA(デジタル・ナラティブ・アーツ)

旧 Digital Direction MA からの改称です。公式リリースに「formerly Digital Direction」と明記され、旧URLも新ページへ301で転送されます。MA・180単位・1年(45週)と MFA・300単位・2年(90週)/ホワイトシティ(2027/28はバタシー)/£40,200(1年目)/£33,300(2年目以降)。AI、XR、高度なセンシングを使い、アート、ゲーム、映画、サウンド、ライブ・パフォーマンスにまたがる物語表現をつくります。

【MFA志望者のみ】追加の提出物があります。公式は「Research Proposal (MFA applicants only)」として、MFA2年目の構想と、その研究が置かれる具体的な文脈を示す2ページ以内の計画書を、ポートフォリオ・ステートメント・動画に加えて提出するよう求めています。MAとMFAが同じページで案内されているため、見落とすと必要書類を1点欠いたまま出願することになります。

Communication MFA(コミュニケーション)

MFA・180単位・1年/ホワイトシティ(その後ケンジントン)。公式ページに「This programme will not have an intake in 2027.(2027年の入学枠はありません)」と明記され、学費も2026年9月入学分で £38,650。現代のコミュニケーションを急進的で実験的な創造実践としてとらえる学際プログラムです。

ポートフォリオの要件はMAとはっきり違います。学位課程の課題だけで構成せず卒業後に自分で生み出した仕事を主軸にするよう指示され、作品が公開された場へのリンクと参考文献も入れます。

Communication MPhil/PhD(コミュニケーション研究)

研究学位(フルタイム/パートタイム)/ケンジントン。学費はhigh residency のフルタイムが £33,900/年、low residency のフルタイムが £28,600/年、low residency のパートタイムが £18,550/年。進路として産業界や行政の研究者、各国の高等教育機関の研究者が挙げられています。

提出物の中心は1,000語以内の研究計画です。仮のタイトル、研究分野と貢献を示す導入、先行研究との差異と研究上の問い、研究方法、3年から4年(フルタイム)で完了できることを示す作業スケジュールを含めます。

旧デザイン学部に由来するプログラム(8件)

テムズ川にかかるバタシー橋
テムズ川にかかるバタシー橋(2022年)。RCAのバタシー校舎はこの一帯にあり、プロダクト、モビリティ、サービスデザイン、イノベーション・デザイン・エンジニアリングが置かれています/撮影:amandabhslater(CC BY-SA 2.0)/出典:Wikimedia Commons

Design Products MA/MDes(プロダクトデザイン)

MA・180単位・1年(45週)と MDes・300単位・2年(90週)/バタシー/£40,200(1年目)/£33,300(MDesの2年目以降)。公式の説明が印象的です。「製品は必要を満たすだけのものではない。何が重要か、誰のためか、資源をどう使うかという前提を体現している」。与えられた問題を解くのではなく追いかける価値のある問いを見分けることを学ぶ課程です。

工学、建築、コミュニケーション、スポーツ科学、医療・健康、国際開発・NGO、材料科学、技術開発、UXといった関連分野からの出願も歓迎と明記されています。

Fashion MA(ファッション)

MA・180単位・1年(45週)/ケンジントン/£40,750。公式の説明は、服をつくることより先に「環境、社会的責任、地政学と経済の課題」に関心を向けると宣言しています。ファッションを、年齢、人種、ジェンダー、障害、階級、アクティビズムを語るデザイン言語としてとらえ、システムと構造そのものを検討する立場です。

ポートフォリオの構成は5項目で具体的に指定されています。①デザイン・アイデンティティにおける自分の言語を示す画像1点、②自分のプロセスを示す動画1点、③選んだ身体との関わり方を示す動画1点、④自分のコミュニティは誰か(Who is your community?)、⑤研究の展開が分かるデザインワークです。

Textiles MA(テキスタイル)

MA・180単位・1年(45週)/ケンジントン/£40,750。テキスタイルをデザイン、クラフト、ファインアートの交点に置き、21世紀のテキスタイル実践者の役割を問い直すとしています。修了生の進路には輸送機器・プロダクト・スポーツウェアのCMF(Colour, Material & Finish)も挙がっています。

Service Design MA(サービスデザイン)

MA・180単位・1年(45週)/バタシー(2027年8月以降はケンジントン)/£39,250。企業・公共・社会セクターの実案件(live briefs)に取り組み、デザインリサーチ、システム思考、協働の方法論を身につけます。

デザインの背景がある人もない人も対象で、BA・BScまたは同等の学位、あるいは5年以上の専門職経験が求められます。

Design Futures MA(デザイン・フューチャーズ)

MA・180単位・フルタイム1年またはパートタイム2年/ケンジントン/フルタイム £40,750/年、パートタイム £26,500/年。研究学位以外でパートタイムの学費が示されているのは17件中ここだけです。デザインを学際的な文脈に置き、地球規模の環境・文化・社会の課題に取り組みます。

学位名の表記が公式サイト内で揺れています。個別ページのタイトルと Key details は Design Futures MA ですが、同じページに置かれたプログラム仕様書PDFは「MDes Design Futures programme specification 2026-27」、2026年9月1日のリリースのプログラム一覧は「Design Futures (MDes)」、キャンパス案内ページは2026/27を「Design Futures MDes」、2027/28を「Design Futures MA」と書いています。4か所で揺れているため、この記事は出願者向けの個別ページ(MA)を採りました。出願前に公式ページで学位名をご確認ください。

Intelligent Mobility Design MA/MDes(インテリジェント・モビリティ・デザイン)

MA・180単位・1年(45週)と MDes・300単位・2年(90週)/バタシー/£40,750(1年目)/£33,750(MDesの2年目以降)。公式ページには、修了生が Jaguar Land Rover、McLaren、Geely、SAIC Volkswagen、Polestar、Mahindra でモビリティの方向性を率いていると書かれています。

Innovation Design Engineering MA/MSc(イノベーション・デザイン・エンジニアリング)

MA/MSc・360単位・2年/バタシー/£47,250(1年目)、2年目は「£TBC」表示。17件で最も高額、単位数も最多です。インペリアル・カレッジ・ロンドンとの共同運営が40年続くダブル・マスターで、デザインと工学に科学と事業をつなぎます。

学歴要件がこのスクールでいちばん具体的です。RCAとインペリアル・カレッジ・ロンドンの両校の要件を満たす必要があり、通常は英国の2:1相当以上の学位が求められます(分野はイノベーションに関連するものなら可)。満たさない場合も突出した実務経験があれば検討されますが、両校の委員会の承認が必要です。

英語要件もIDEだけ別扱いです。個別ページに「For the 2027/28 intake these requirements will change to the equivalent of an IELTS Academic score of 6.5 overall (with a minimum of 6.0 in the written component and 5.5 I every other component).」と明記されています。つまり2027/28入学からは、overall 6.5 に加えて writing 6.0 以上が必要です(2026/27入学は他のMA系と同じ各技能5.5以上)。2027年入学でIDEを志望する方は、writing 6.0 を前提に受験計画を立ててください。

インペリアル・カレッジ・ロンドンのクイーンズ・タワー
インペリアル・カレッジ・ロンドンのクイーンズ・タワー(2014年、イベント開催時)。Innovation Design Engineering MA/MSc はこの大学との共同運営が40年続いています/撮影:Doug Lee(CC BY-SA 2.0)/出典:Geograph Britain and Ireland 経由 Wikimedia Commons

Design MPhil/PhD(デザイン研究)

研究学位(フルタイム/パートタイム)/ケンジントン/学費は Communication MPhil/PhD と同じ。公式ページは研究の多くが実践に基づくものだと説明し、領域として Design Products、Fashion、Innovation Design Engineering、Healthcare Design、Robotics、Service Design、Textiles を挙げています。

前身のどちらにも収まらないプログラム(2件)

Sound Practice MA(サウンド・プラクティス)

MA・180単位・1年(45週)/ケンジントン/£40,200。2027/28年度からの新設で、2026年9月16日の公式リリースで発表されました。公式の言い方が明確です。「これは音をつくることについての、もうひとつのコースではなく、音を通して世界に関わることを求めるプログラムです」。3Dサウンド、超音波、水中音響、楽器製作、音声解説、ライブ・コーディング、機械による聴取、音響合成、放送が技法に挙がり、音楽の経歴がない人にも開かれていると明記されています。

所属スクールについては注意が必要です。個別ページには School of Communication & Design と明記されていますが、このプログラムを発表したニュースリリースは記事の分類として3つのスクールすべてを並べており、本文では所属スクールを書いていません。公式サイト内で示し方が揃っていないため、本記事は出願者向けの一次情報である個別ページの記載を採用しています。

Sound Studio: Campus Tour(ロイヤル・カレッジ・オブ・アート 公式YouTube/2026年9月28日公開・3分35秒)

Creative Education MEd(創造教育)

MEd・180単位・1年/ケンジントン/ブレンデッド・ラーニング(通学とオンライン)。公式ページに「we are not recruiting onto this programme for 2027 entry(2027年入学の募集は行いません)」と明記され、学費も2026年入学分で、2026年9月入学の Overseas and EU は £32,100、2026年1月入学は £31,450。カリキュラム設計、つくることの教育学、変化のための教育を扱います。

重要な注意が公式ページに書かれています。これはイギリスの初等・中等・特別支援学校で教えるために必要な教員資格(QTS)を取得する課程ではなく、認定された教員養成課程でもありません。提出物はポートフォリオ不要という点でも他と異なります。

出願要件(公式の表のまま)

出願要件は、まとめ方を変えると意味が変わる箇所です。公式の記載をそのまま表にします。

項目公式の記載
ポートフォリオThree to five files containing your portfolio(3〜5ファイル)。プログラムごとに要件が異なり、詳細は各プログラムページに記載
パーソナルステートメントA 300-word written personal statement about your motivation to study on the programme(300語)
動画A short video, up to two minutes, of yourself talking to the camera about your personal creative journey(最長2分)
出願の本数同一プログラムへの複数回出願は不可。2027年の出願年度内に出願できるのは最大2プログラム(a maximum of two (2) different programmes)
選考の基準Candidates are selected entirely on merit(完全に実力で選抜)。ポートフォリオに示される creativity, imagination and innovation と、修士水準に達する可能性を評価
学歴の要件各プログラムページに記載(specific academic criteria)。全学共通の等級の規定は公式サイトに見当たりません。17件のうち8件には明記があり、下の各プログラムの節に書きました
推薦者Upload contact details for your referee(s)(推薦者の連絡先をアップロード)。事前に依頼が必要です
職務経験Details of relevant work experience.(関連する職務経験の詳細)
面接「In a small number of instances, it may not be possible to make a decision based on an application alone. In these cases, you will be invited to attend an interview either in person or online.(件数は少ないが、書類だけで判断できない場合は対面またはオンラインの面接に招かれる)」「Please ensure you are available for your interview before submitting your application.(出願前に、面接に対応できる状態にしておくこと)」

共通部分は「3〜5ファイル+300語+2分動画」だけです。実質的な勝負は各プログラムの個別要件で、ページ数の上限、件数、動画で話す内容、研究計画の語数までまったく違います。「RCAのポートフォリオは○点」という一般化は成り立ちません。

面接は見落としやすい項目です。案内が各プログラムのページになく、共通の出願手続きページの独立した見出しにしか置かれていません。公式は「件数は少ない」としつつ、出願する前に面接に対応できる状態にしておくことを求めています。呼ばれたかどうかは合否の予測にならないとも明記されています。

もうひとつ、ポートフォリオの方針がスクールによって違います。公式のポートフォリオ助言のページは、芸術・人文スクールには「完成作のみ。制作過程や進行中の作品は見せないでください」と書く一方、建築スクールとこのコミュニケーション&デザイン スクールには「完成作と進行中の作品の両方を入れてください」と書いています。スケッチブック、粗い試作、リサーチ資料も歓迎されます。このスクールに出願する方は、過程を削ってはいけません。

プログラム別の出願要件(公式の記載を列ごとに並べました)

学歴要件・ポートフォリオの上限・ステートメントの語数・動画の課題・面接を、17件ぶん1つの表にしました。「個別の記載なし」は要件が緩いという意味ではありません。

プログラム学歴要件(公式の記載)ポートフォリオの上限ステートメント動画(最長2分)の課題面接
Aardman/RCA Animation MFA個別の記載なし動画3件(合計10分以内)+補助資料3点(各PDF 5ページ以内)300語志望理由と達成したいこと、芸術的・社会的・政治的な関心選抜者に短いオンライン面接。Key details にも「We may be interviewing for this programme.」
Animation MA個別の記載なし(映画、建築、グラフィック、文学、コミュニケーションアート、パフォーマンス、美術史、計算機科学、イラスト、理学・応用科学・数学、ファインアートなど幅広い分野からの出願を想定)プロジェクト3件+補助資料3点(各PDF 5ページ以内、1点は1分以内のショーリール可)。合計10分以内300語+各プロジェクトに100語以内のキャプション志望理由、実践の目標、使いたい媒体と技術、ジャンルか学際か、知的・研究プロセス共通規定による
Visual Communication MA関連分野の学士、または関連分野での同等の実務経験(normally)PDF 1点・25スライド以内/プロジェクト5件まで(中心2件+補助3件が理想)300語+ポートフォリオ冒頭に200語以内の導入文在籍中に取り組みたいプロジェクト提案(選考で重い比重。AIで提案を生成しないことと明記)共通規定による
Information Experience Design MA個別の記載なし(アート・デザインの学士に加え、産業界の実務経験、科学・技術・人文の背景も想定)PDF 1点・プロジェクト2件まで300語自分という人間と創作への姿勢、探究したいことと理由、これまでの経験が作品に与えた影響共通規定による
Digital Narrative Arts MA/MFA関連分野の学士、または映像制作・放送・メディア・ファインアート・グラフィック・サウンド・音楽・イラスト・演劇・執筆・HCI・デジタル制作などでの同等の実務経験(normally)PDF 1点・3件まで(100MB以内、約16対9、本文11pt以上)。MFA志望者は2ページ以内の研究計画を追加300語語りたい物語、作品への野心、技術が物語をどう強めるか、影響を受けた理論や文献共通規定による
Communication MFA(2027年の入学枠なし)個別の記載なし(修士水準でコミュニケーションを学ぶ能力と、修士水準の制作に必要な既存の技術を示すこと)PDF 1点のみ・12ページ以内・約4件・横位置で縦横比1.414300語1〜2分。MFA志望の動機とこの課程を選んだ理由(編集や視覚資料は不要。avi/mp4/mov/wmv)共通規定による
Communication MPhil/PhD個別の記載なし(提案の質・実践の質・研究遂行の準備・指導体制の観点で審査)PDF・5点以内+1,000語以内の研究計画(参考文献表を含む)300語経歴とPhDを目指す動機、研究をこのスクールに置く理由、研究が分野に何をもたらすか面接で研究形態(プロジェクトか論文か、フルタイムかパートタイムか)を相談
Design Products MA/MDesデザイン領域の良好な学士または同等、あるいは関連する背景と、読み書き・会話の英語力上限の記載なし+600〜800語の研究計画(PDF)+任意の「自分の関心」300語既存の「デザインされたもの」を1つ選び、成功や影響、使われ方の良い点と悪い点、自分ならどう改善するかを論じる共通規定による
Fashion MA個別の記載なし画像1点+動画2点+デザインワークの5項目構成300語デザイナーとしての価値観と問い、ファッション産業が応えるべき問い、ジェンダー・信仰・人種・年齢・文化・デジタル・倫理・気候を横断して提示できること共通規定による
Textiles MABA・BSc・BEng のいずれか、または同等の経験と、学びの方向を示すステートメント5つの枠(枠ごとに1つのPDF)。1600×1200ピクセルで閲覧可能なこと300語対面面接で聞かれる種類の問いへの回答として作る。例:ポートフォリオから1件選び将来の関心を最も表す理由、テキスタイル分野で刺激を受けた人物やデザイン、理想のプロジェクトとその進め方共通規定による
Service Design MABA・BSc または同等の学位、あるいは5年以上の専門職経験上限の記載なし(7つの観点で評価)300語サービスデザイナーを志す動機、好きなサービス体験の例、とくに情熱を注ぐ側面、ポートフォリオで一番好きなプロジェクトとその理由共通規定による
Design Futures MA個別の記載なし(デザイン以外の分野・職業からの出願を想定)PDF 1点・10ページ以内+700語のプロジェクト提案(10pt以上、PDF末尾)300語「What does design futures mean to you?(あなたにとってデザイン・フューチャーズとは何か)」に答える。原稿の読み上げは避けるよう明記。速度調整なしの実時間共通規定による
Intelligent Mobility Design MA/MDesアート・デザイン(または関連)分野の学士を修了済み、または最終学年に在籍中。高い水準の描画力と立体形状の理解上限の記載なし(5つの観点で評価)300語モビリティデザインに進む動機、RCAを選ぶ理由、業界の機会と課題、注目してほしいプロジェクト、自分で設定するなら何をどう進めるか共通規定による
Innovation Design Engineering MA/MSc通常は英国の2:1相当以上の学位(イノベーションに関連する分野なら可)。RCAとインペリアル・カレッジ・ロンドン両校の要件を満たす必要。実務経験があると望ましいPDF 1点・20ページ以内300語示された問いのうち最低3つに答える。誰や何に触発されたか、それを作品にどう取り込むか、将来の展望とIDEの役割、学生集団にもたらす独自の技能や視点共通規定による
Sound Practice MA音楽・サウンド・音響の専門教育は不要。ただし作品や研究で音と聴取への関与を示すこと(演劇、デザイン、アート、ジャーナリズム、映像などの経験でよい)PDF 1点・12ページ以内+音声・映像のリンク5つまで(SoundCloud/Vimeo/YouTube、パスワード不可)300語志望理由と、音への関心がどう育ってきたか、探究したい問い共通規定による
Creative Education MEd(2027年の募集なし)学士・Graduate Diploma・修士のいずれかを修了し、創造教育への関心と関与があることポートフォリオ不要400〜600語(共通の300語ではありません)学び続ける動機、学びの共同体と環境に求めるもの、それを最もよく示す例共通規定による
Design MPhil/PhD個別の記載なし(提案の質・実践の質・研究遂行の準備・指導体制の観点で審査)PDF・プロジェクト10件以内(20MB以内)+1,000語以内の研究計画300語経歴とPhDを目指す動機、研究を志望スクールに置く理由、研究が分野に何をもたらすか面接で研究形態を相談

とくに注意したいのは3点です。Innovation Design Engineering は2:1相当という等級が示されている唯一のプログラム、Creative Education MEd はポートフォリオ不要でステートメントが400〜600語、そしてDigital Narrative Arts の MFA を選ぶ場合だけ2ページ以内の研究計画が追加になります。

出願スケジュール(2027年9月入学)

ラウンド出願開始締切(英国時間 正午)結果通知
Round 12026年10月12日(月)2027年1月8日(金)2027年2月19日まで
Round 22027年1月11日(月)公式ページの日付表記に揺れあり(下記参照)公式ページの日付表記に揺れあり
Round 32027年3月24日(水)修士:2027年6月2日(水)/MPhil・PhD:2027年7月14日(水)修士:2027年7月14日まで/MPhil・PhD:2027年7月25日まで
Graduate Diploma(2027年1月入学)受付中(2026年10月2日時点)2026年12月7日公式サイトで確認できず

Round 2 は公式ページそのものに表記の揺れがあります。締切が「Friday Tuesday 23 March 2027, 12 noon (UK time)」、結果通知が「by 5 May February 2027」と、曜日と月名が重複した状態で掲載されています。正しい日付は判断できないため断定しません。Round 2 を狙う方は、出願前に必ず公式ページで最新の表記をご確認ください。なお合否はローリング(提出順)で通知され、最も遅い場合でも締切から6週間後には結果が出ます。

学費(2027年9月入学・Overseas and EU 区分)

RCAの学費はプログラムごとに違います。全学共通の金額は公式サイトに存在せず、学費の案内ページにも一覧がありません。以下は17件の個別ページで2026年10月2日に確認した実額、通貨は英ポンド(GBP)です。

プログラムHome(補助あり)Overseas and EU対象年度
Innovation Design Engineering MA/MSc£20,350(1年目)/2年目はTBC£47,250(1年目)/2年目はTBC2027年9月入学
Animation MA£16,050£40,7502027年9月入学
Fashion MA£16,050£40,7502027年9月入学
Textiles MA£16,050£40,7502027年9月入学
Design Futures MAFT £16,050/年、PT £10,450/年FT £40,750/年、PT £26,500/年2027年9月入学
Intelligent Mobility Design MA/MDes£16,050(1年目)/£13,150(2年目以降)£40,750(1年目)/£33,750(2年目以降)2027年9月入学
Aardman/RCA Animation (Professional Residency) MFA£16,050(1年目)/2年目はtbc£40,750(1年目)/2年目はtbc2027年9月入学
Sound Practice MA£15,900£40,2002027年9月入学
Visual Communication MA£15,900£40,2002027年9月入学
Information Experience Design MA£15,900£40,2002027年9月入学
Design Products MA/MDes£15,900(1年目)/£13,050(2年目以降)£40,200(1年目)/£33,300(2年目以降)2027年9月入学
Digital Narrative Arts MA/MFA£15,900(1年目)/£13,050(2年目以降)£40,200(1年目)/£33,300(2年目以降)2027年9月入学
Service Design MA£15,600£39,2502027年9月入学
Communication MPhil/PhD / Design MPhil/PhDhigh residency FT £10,750/年、low residency FT £8,800/年、low residency PT £5,700/年high residency FT £33,900/年、low residency FT £28,600/年、low residency PT £18,550/年2027年9月入学
Communication MFA(2027年の入学枠なし)FT £15,450FT £38,6502026年9月入学
Creative Education MEd(2027年の募集なし)FT £14,050FT £32,1002026年9月入学

2027年9月入学の金額が公表されている学位課程13件(研究学位を除く)では、Overseas and EU の初年度は最低が Service Design MA の £39,250、最高が Innovation Design Engineering MA/MSc の £47,250です。1年制のMAだけで見ても £39,250 から £40,750 の差があります。為替で円に換算した金額は載せたその日から古くなるため、資金計画はポンド建てで組むのが確実です。

デポジット(入学前に払う前払い金)

オファーを受諾するとき、返金されないデポジットを支払います(学費に充当)。支払いはオファーレターの日付から3週間以内です。

区分対象学位金額
HomeMA, MArch, MDes, MEd, MFA, MRes, MPhil, PhD£1,000
HomeGraduate Diploma公式ページの表記が「£3,00」となっており金額が読み取れません
Overseas and EUGraduate Diploma, MA, MArch, MDes, MEd, MFA, MRes, MPhil, PhD£3,500

ここにも公式サイト内の不一致があります。17件のプログラムページのデポジット欄をすべて抜き出して数えたところ、Overseas and EU は £3,500 が15件、£2,000 が2件(Communication MFA と Creative Education MEd)でした。学費の支払いを案内するページ(旧 tuition-fees のURLは現在このページへ転送されます)は £3,500 としています。£2,000 の2件はいずれも2026年入学の学費を載せているページですが、デポジットの見出しは「Deposits for 2027 entry」なので、古い年度の残りとも言い切れません。さらに支払い案内ページの Home の Graduate Diploma は「£3,00」と桁が欠けた表記です。金額を断定せず、オファーレターに記載された金額に従ってください。

進学割引(公式2ページで範囲が違います)

RCAの課程から別のRCAの課程へ進む場合、学費の割引があります。ただし対象の範囲が公式サイトの2か所で違うため、両方を載せます。

出所公式の記載
各プログラムページ「For alumni who have completed an RCA Graduate Diploma and progress onto an RCA Master’s programme, a progression discount of £1,000 is available. For alumni progressing from an RCA Master’s to another RCA Master’s, a progression discount of £2,000 is available (£1,000 per year for part-time programmes).」(修士から修士へ、と広く読めます)
支払い案内ページ「Students progressing to an MA from Graduate Diploma: a £1,000 fee reduction(2年制フルタイムMAは年£1,000、パートタイムは年£500)」/「Students progressing to an MArch, MFA, MDes, MEd or MRes from an MA or MA/MSc: a £2,000 fee reduction(パートタイムは年£1,000)」/「Students progressing to Postgraduate Research (PhD or MPhil) from MA, MA/MSc, MArch, MFA, MDes, MRes or MEd: a £1,000 fee reduction per year(パートタイムは年£500)」

支払い案内ページ側は MAからMAへの進学を£2,000の対象に含めていません。一方で研究学位へ進む場合の年£1,000は、プログラムページ側に書かれていません。断定できないため、対象になりそうな方は出願前に公式へご確認ください。

英語要件(学位区分ごとに違います)

「RCAはIELTS 6.5」という一括りの覚え方は危険です。学位の区分で要件が変わり、英語準備課程(EAP)を併用する場合の基準も別に設定されています。以下は公式ページの記載をそのまま表にしたものです。

学位区分IELTS AcademicPassword Skills PLUSLanguageCert AcademicPTE Academic
Graduate Diplomaoverall 5.5(全技能5.5以上)overall 5.5(全技能5.5以上)overall 60(全技能60以上)overall 59(全技能59以上)
MA, MArch, MDes, MEd, MFA, MResoverall 6.5(各技能5.5以上)overall 6.5(各技能5.5以上)overall 70(各技能60以上)overall 59(listening・reading 59以上、speaking・writing 60以上)
同上+EAP 6週コース経由overall 6.0(全技能5.5以上)overall 6.0(全技能5.5以上)overall 65(全技能60以上)overall 55(全技能54以上)
同上+EAP 10週コース経由overall 5.5(全技能5.5以上)overall 5.5(全技能5.5以上)overall 60(全技能60以上)overall 46(全技能45以上)
MPhiloverall 6.5(writing 6.5以上、他の技能5.5以上)overall 6.5(writing 6.5以上、他5.5以上)overall 70(writing 65以上、他60以上)overall 59(listening・reading 59以上、speaking 60以上、writing 65以上)
PhDoverall 7.0(writing 7.0以上、他の技能5.5以上)overall 7.0(writing 7.0以上、他5.5以上)overall 75(writing 70以上、他65以上)overall 66(listening・reading 59以上、speaking・writing 66以上)

MA系とPhDでは要求水準がまるで違います。とくに writing の最低点が、MA系の5.5からPhDの7.0まで上がります。研究学位を考えている方は、ここを早めに見ておいてください。

受け付けられるテストは IELTS Academic、Password Skills PLUS、LanguageCert Academic、PTE Academic の4種類のみで、受験はプログラム開始日の2年以内に完了している必要があります。IELTSとPassword Plus の個別技能の再受験(One Skill Retake)は認められません。

学位による免除にも条件があります。対象国の大学で上位second class(2:1相当)以上の学士を課程開始日から5年以内に取得した場合は免除されますが、下位second class(2:2相当)は免除されず、10週間のサマー・プレセッショナル課程に参加する資格が得られる扱いです。そして最も見落としやすいのが次の一文です。「Applicants applying for MPhil/PhD will be required to take an approved English language test.」

つまり研究学位の志望者は、学位による免除を使えません。対象国で学士を取っていても必ずテストを受けます。PhDは overall 7.0・writing 7.0 以上なので、準備期間を長めに見てください。

キャンパス(現在3か所、2027年8月から2か所へ)

ロイヤル・カレッジ・オブ・アート フレイリング・ビル(ジェイ・ミューズ側の入口)
ロイヤル・カレッジ・オブ・アート フレイリング・ビル、ジェイ・ミューズ側の入口(2020年)。ケンジントン校舎を構成する建物のひとつです/撮影:Shadowssettle(CC BY-SA 4.0)/出典:Wikimedia Commons
キャンパス住所(公式表記)このスクールの所属(公式のキャンパス案内・2026/27年度)
RCA KensingtonDarwin & Stevens Buildings, Kensington Gore, London SW7 2EU(両棟へはジェイ・ミューズ経由)Fashion MA、Textiles MA、Design Futures(公式表記は MDes)、Creative Education MEd、Communication MPhil/PhD、Design MPhil/PhD(6件)
RCA Battersea1 Hester Road, London SW11 4AYDesign Products MA、Intelligent Mobility MA、Innovation Design Engineering MA/MSc(インペリアル・カレッジ・ロンドンにも所在)、Service Design MA(4件)
RCA White CityGarden House, Dorando Close, London W12 7FNAnimation MA、Visual Communication MA、Information Experience Design MA、Communication MFA、Digital Direction MA(公式表記のまま。現 Digital Narrative Arts MA/MFA)(5件)
上記は2026/27年度の15件です。Sound Practice MA と Aardman/RCA Animation MFA は2027年9月が初回入学のため2026/27の一覧にはなく、公式は2027/28のケンジントン一覧に Sound Practice MA を、Aardman MFA の1年目をケンジントンとしています(2年目はブリストル)。合わせて17件です。

ただし、この体制は変わります。公式のキャンパスページには「From August 2027, we expect to end our lease of our White City campus and become a two campus university based in Kensington and Battersea.(2027年8月をもってホワイトシティ校舎の賃貸借を終了し、ケンジントンとバタシーの2キャンパス体制になる見込みです)」と書かれています。

移転先はプログラムごとに違います。各プログラムページの記載では、Animation MA、Visual Communication MA、Communication MFA はケンジントンへ、Information Experience Design MA と Digital Narrative Arts MA/MFA はバタシーへ移るとされています。さらに現在バタシーにある Service Design MA は2027年8月以降ケンジントンへ移ります。志望プログラムの開講地は年度によって変わります。出願前にプログラムページの Current location と移転の記載を必ず確認してください。あわせて、ケンジントン校舎では2025年8月から改修工事が進んでいます。2027年の2キャンパス化計画の一部だと説明されています。

ロイヤル・カレッジ・オブ・アート スティーヴンス・ビル(ジェイ・ミューズ側の入口)
ロイヤル・カレッジ・オブ・アート スティーヴンス・ビル、ジェイ・ミューズ側の入口(2020年)。公式の住所表記では、ケンジントン校舎はダーウィン・ビルとスティーヴンス・ビルで構成されています/撮影:Shadowssettle(CC BY-SA 4.0)/出典:Wikimedia Commons

古い情報をお持ちの方へ:2021年との違い

  • 学部の数が4から3になりました。「4学部」と書かれた説明は当てはまりません
  • 無くなったプログラムがあります。Global Innovation Design は個別ページが存在せず、旧URLはプログラム一覧へ転送されます。Design Pathway と Communication Design Pathway の旧URLは Master of Research RCA MRes へ転送。Healthcare & Design MRes は出願受付を終了したと明記されています
  • 単位数と年限を確認してください。1年制のMAは180単位・45週、2年制のMDesとMFAは300単位・90週、Innovation Design Engineering MA/MSc は360単位・2年です

まとめ

ロンドン・ケンジントンの博物館地区の空撮
ロンドン・ケンジントンの博物館地区(通称アルバートポリス)の空撮(2011年)。自然史博物館、科学博物館、ヴィクトリア&アルバート博物館、インペリアル・カレッジ、ロイヤル・アルバート・ホール、アルバート記念碑が集まる一帯で、RCAのケンジントン校舎もこの地区にあります/撮影:Andreas Praefcke/出典:Wikimedia Commons(パブリックドメイン)

いかがだったでしょうか。RCAの School of Communication & Design について見てきました。要点は次の6つです。

  • 旧 School of Design と旧 School of Communication は2026年9月1日付で統合され、School of Communication & Design になりました。RCAは3スクール体制です
  • 単独の「デザイン学部」「コミュニケーション学部」のページは消え、旧URLは301で新スクールのページへ転送されます
  • 学位課程は17件。学位名は「分野名+学位」の語順で、Digital Direction MA は Digital Narrative Arts MA/MFA に改称されました
  • 2027年9月入学の Overseas and EU の初年度学費は、学位課程13件で £39,250 から £47,250。プログラムごとに違います
  • 英語要件は学位区分で違い、MA系は overall 6.5(各技能5.5以上)、PhDは overall 7.0(writing 7.0以上)。研究学位は学位による免除が使えません
  • キャンパスは現在3か所。2027年8月にホワイトシティを離れ、ケンジントンとバタシーの2か所になる見込みです

最後に1つだけ。公式サイト自体が、まだ移行の途中にあります。ページタイトルに旧名が残り、Round 2 の日付には誤記があり、デポジットと進学割引の範囲も揃っていません。この記事の数字や日付も、必ず公式ページでもう一度ご確認ください。

Euphoric " " の視点

デザインとコミュニケーションを分ける線引きが、2026年9月に消えました。どういう理由でその線が引かれていたのかは、外からは見えにくいものだったように思います。

消えたということは、実務でその境目が意味を持たなくなったということだと考えられます。サービスや映像をつくる仕事では、物と情報の両方を同時に扱う場面が多いのではないかと思います。分けておく理由のほうが先に古くなった、という順番です。

ただし、統合は足し算ではありませんでした。同じ時期に、2027年の入学を受け入れないプログラムがあります。一方で、新しく立ち上がる課程もあります。整理には、増えるものと減るものの両方が含まれます。

進学を考えている方にとって、ここで必要になるのは組織図ではなく、志望する課程が来年あるかどうかです。再編の年は、その確認をいちばん丁寧にやる年になります。

ポートフォリオの作り方に不安がある方は、ポートフォリオ添削サービス「PORTFOLIO SENSEI」もあわせてご覧ください。

もっと知るには

本記事の情報は、ロイヤル・カレッジ・オブ・アートの公式発表をもとに2026年10月2日に確認しています。プログラム構成・学費・日程・開講キャンパスは年度ごとに変わります。出願の際は下記の公式ページをご確認ください。

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