こんにちは。ユアムーン株式会社 編集部です。
皆さんは多摩美術大学(通称タマビ、英語名 Tama Art University)という大学をご存知ですか。1935年に多摩帝国美術学校として創立され、2025年に創立90周年を迎えた、日本を代表する美術大学のひとつです。八王子と上野毛の2つのキャンパスを持ち、絵画・彫刻・工芸からデザイン、建築、演劇舞踊まで幅広い領域を美術学部の10学科で学ぶことができます。
本記事ではそんな多摩美術大学について、基本情報、沿革、学部・大学院の構成、2026年度の学費、入試の方式、キャンパスと図書館、卒業後の進路、主な卒業生まで、公式サイト(tamabi.ac.jp)で確認できた情報をもとにご紹介します。あわせて、国際的な大学ランキングで多摩美術大学の名前を見かけない理由についても、誤解のないように解説します。それでは早速いってみましょう。
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基本情報
| 正式名称 | 多摩美術大学(英語名 Tama Art University、通称タマビ) |
|---|---|
| 創立 | 1935年。多摩帝国美術学校として東京都世田谷区上野毛に創設されました |
| 大学設置 | 1953年。多摩美術大学(絵画科・彫刻科・図案科)として設置されました |
| 所在地 | 八王子キャンパス(東京都八王子市鑓水2-1723)、上野毛キャンパス(東京都世田谷区上野毛3-15-34) |
| 設置者 | 学校法人多摩美術大学 |
| 学長 | 内藤廣(建築家、第11代学長。2023年4月就任、任期は2027年3月まで) |
| 学生数 | 4,796名(美術学部4,467名・大学院329名。2026年5月1日現在。教員一人あたりの学生数は8.17名) |
| 入学定員 | 1,157名(美術学部1,015名、大学院博士前期課程137名・博士後期課程5名。2026年度) |
| 教員数 | 専任教員136名(教授92名・准教授33名・講師11名、平均年齢56歳)。このほか客員教授67名、非常勤講師451名が在籍します |
| 教育理念 | 「自由と意力」 |
学長の内藤廣は建築家で、東京大学名誉教授でもあります。公式サイトのアドミッション・ポリシーは、多摩美術大学が育てたい人材について「人間が持つ創造性とは、未来を切り拓いていく力です」と述べたうえで、「観察する力と思考する力」「構想する力と実行する力」「創造する力と表現する力」の3つに集約されるとしています。高等学校の教育課程を学んだ人、もしくはそれに準ずる資格を持った人であれば誰でも入学試験を受験できるとも明記されています。
大学の雰囲気をつかむには、公式YouTubeチャンネルが公開している1分間の紹介動画が手早く便利です。
創立90年、多摩美術大学が歩んできた道
多摩美術大学の歴史は、1935年に東京都世田谷区上野毛で産声を上げました。公式サイトの沿革によれば、「多摩帝国美術学校を現在の東京都世田谷区上野毛に創設する」のが始まりで、初代校長は図案家の杉浦非水、学生数は67名でした。戦時中の1945年には戦災で図案科棟を残して校舎が焼失し、翌1946年に川崎市溝口の仮校舎で授業を再開するという困難な時期も経験しています。
戦後の歩みは、学校の性格が少しずつ大学へと近づいていく過程でもありました。1947年に専門学校の認可を受けて多摩造形芸術専門学校となり、1950年に多摩美術短期大学を設置、そして1953年、ついに多摩美術大学(絵画科・彫刻科・図案科)が設置されます。初代学長は井上忻治でした。1969年には芸術学科と建築科の設置が認可され、今日につながる総合的な美術大学としての骨格が整っていきます。
1970年代には、キャンパスの重心が大きく動きます。1971年に八王子校舎で建築科の新入生を含む1学年の授業が始まり、1974年には美術学部の移転が完了しました。1972年以降は実習校舎11棟が順次完成していきます。緑豊かな多摩丘陵に広大な制作環境を確保したことは、立体作品や大型の工房を必要とする学科にとって大きな意味を持ちました。1998年には情報デザイン学科を新設するとともに、工芸学科・生産デザイン学科・環境デザイン学科への改組転換を行い、1999年には造形表現学部(造形学科・デザイン学科・映像演劇学科)を上野毛キャンパスに設置しています。2007年には、建築家の伊東豊雄が設計した新しい図書館が八王子キャンパスに完成しました(詳しくは後述します)。そして2014年、統合デザイン学科と演劇舞踊デザイン学科が同じ上野毛キャンパスに設置され、同年、造形表現学部(夜間)の学生募集が停止されました。
国際化の歩みも、沿革の中にはっきりと記録されています。公式サイトの年表では、1980年にアートセンター・カレッジ・オブ・デザイン(米国)が友好提携校となり、1982年にシラパコーン大学(タイ)と国際交流協定を締結したことが、海外との提携のはじまりとして記録されています。その後、1991年に中央工芸美術学院(中国)、1996年に弘益大学校・東亜大学校(韓国)、2000年にヘルシンキ美術大学(現アアルト大学、フィンランド)、2012年に国立台北芸術大学とロイヤル・カレッジ・オブ・アート(英国)、2013年にソウル大学美術学部(韓国)とグラスゴー美術学校(英国)、2016年に国立高等装飾美術学校(フランス)、ロンドン芸術大学チェルシー・カレッジ・オブ・アーツ(英国)、ロードアイランド・スクール・オブ・デザイン(米国)と、協定が次々に結ばれていきました。ロイヤル・カレッジ・オブ・アート(RCA)、ロードアイランド・スクール・オブ・デザイン(RISD)、アアルト大学、ロンドン芸術大学(UAL)は、いずれもEuphoric " " で個別に解説している大学です。
直近では、2023年に内藤廣が学長に就任し、2024年には環境デザイン学科が建築・環境デザイン学科へと改称されました。そして2025年、創立90周年を迎え、記念展や記念式典、ホームカミングデイが開催されています。歴代の学長を振り返ると、次のようになります。
| 代 | 学長 | 在任期間 |
|---|---|---|
| 初代 | 井上忻治 | 1953〜1968年 |
| 第2代 | 石田英一郎 | 1968年4月〜11月 |
| 第3代 | 真下信一 | 1970〜1975年 |
| 第4代 | 内藤頼博 | 1979〜1987年 |
| 第5代 | 後藤狷士 | 1987〜1999年 |
| 第6代 | 辻惟雄 | 1999〜2003年 |
| 第7代 | 高橋史郎 | 2003〜2007年 |
| 第8代 | 清田義英 | 2007〜2011年 |
| 第9代 | 五十嵐威暢 | 2011〜2015年 |
| 第10代 | 建畠晢 | 2015〜2023年 |
| 第11代 | 内藤廣(現職) | 2023年〜 |
美術学部10学科、何をどう学べるのか
多摩美術大学の美術学部は、現在10の学科(15の専攻・コース)で構成されています。公式サイトの学科紹介をもとに、それぞれで学べる内容をまとめました。
| 学科・専攻 | 学べる内容(公式サイトの紹介より) |
|---|---|
| 絵画学科 日本画専攻 | 自由な創造性を育み、グローバルに広がる日本美術の新たな可能性を追求します |
| 絵画学科 油画専攻 | 油彩から立体、パフォーマンスまで探求し、時代を超えた新たな創造に挑戦する人材を育成します |
| 絵画学科 版画専攻(2027年度入試より「版画・プリントメディア専攻」に名称変更予定) | アートとデザインを横断する複製メディア表現として版画を学び、デジタル時代の新しい表現を探求します |
| 彫刻学科 | 課題ごとに自由に利用できる全6棟、大小30の専門工房で学び、新たな表現者を育てます |
| 工芸学科 | 陶、ガラス、金属を通じて、社会で求められる創造力と表現力を育みます |
| グラフィックデザイン学科 | 課題を解決できる、次の時代のクリエイターを育てます |
| 生産デザイン学科 プロダクトデザイン専攻 | 世界に通用する自立したデザイナーを育成します |
| 生産デザイン学科 テキスタイルデザイン専攻 | グローバルに活躍する未来のリーダーを育成します |
| 建築・環境デザイン学科 | インテリア・建築・都市環境の3分野を横断し、「空間」のデザインを学びます |
| 情報デザイン学科 メディア芸術コース | 新時代のメディアを開拓し、社会・文化・芸術の先導者を育成します |
| 情報デザイン学科 情報デザインコース | 「情報科学×デザイン」で新しい時代のクリエイターを育成します |
| 芸術学科 | 「つくる。考える。伝える。」をキーワードに、アートをことばにして世界に発信します |
| 統合デザイン学科 | 複雑化した課題を俯瞰し、解決へと導きます |
| 演劇舞踊デザイン学科 演劇舞踊コース | 舞台芸術の未来を支える人材を育成します |
| 演劇舞踊デザイン学科 劇場美術デザインコース | 演劇・テレビ・映画・舞台の演出に必要な総合力を養います |
学科の並びを見ると、日本画や油画のような伝統的な絵画領域から、建築・環境デザインや情報デザインのような比較的新しい領域まで同居していることが分かります。情報デザイン学科は1998年に新設された学科です。2024年には環境デザイン学科が建築・環境デザイン学科に改称され、建築という言葉が学科名に明示的に加わっています。演劇舞踊デザイン学科は、舞台に立つ表現者を育てる演劇舞踊コースと、舞台を裏側から支える劇場美術デザインコースという、ふたつの異なる視点を1学科に収めているのが特徴です。
大学院美術研究科で、さらに深く学ぶ
多摩美術大学の大学院は美術研究科の1研究科で構成され、博士前期課程(修士課程)と博士後期課程があります。公式サイトによれば、博士前期課程は1964年に私立美術大学では日本で初めて認可を受けた大学院です。公式サイトの説明文は「1研究科5専攻の編成」と記していますが、その後に専攻が追加されており、2026年度の収容定員資料と公式サイトの専攻一覧で確認できる博士前期課程の専攻は次の7つです。指導については「クラス制の色合いを濃くし、担当教員によるマンツーマンの指導体制」と説明されています。
| 専攻 | 内容 |
|---|---|
| 絵画専攻 | 日本画研究領域・油画研究領域・版画研究領域の3領域 |
| 彫刻専攻 | 彫刻表現の高度な研究と制作 |
| 工芸専攻 | 2002年開設。陶・ガラス・金属分野の研究 |
| デザイン専攻 | グラフィックデザイン/プロダクトデザイン/テキスタイルデザイン/建築・環境デザイン/情報デザインの5研究領域 |
| 芸術学専攻 | 1998年開設。身体表現研究領域を含みます |
| 統合デザイン専攻 | 2026年に新設された専攻です |
| 演劇舞踊専攻 | 舞台芸術領域の研究と実践 |
博士後期課程は2001年に開設されました。領域ごとの専攻に分かれる修士課程とは異なり、公式サイトによれば「美術専攻1専攻のみを設置し、『実技』と『理論』の調和をもって、領域にとらわれない美術創作研究と美術理論研究の確立を目標としています」。修業年限は3年で、修了要件は総合研究指導(必修)6単位と美術創作研究・美術理論研究(選択必修)12単位以上の合計18単位以上を修得し、博士論文の審査および試験に合格することです。2027年度の募集人員は美術専攻5名となっています。
学費(2026年度)
多摩美術大学公式サイトの学費案内によれば、学費は在学中、入学金を除いて変わらない仕組みになっており、2026年度の金額は2027年度以降の入学者にも同額が適用されるとされています。美術学部の学費は次のとおりです(2026年度)。
| 項目 | 入学時 | 9月 | 年間合計 |
|---|---|---|---|
| 入学金 | 230,000円 | 0円 | 230,000円 |
| 授業料 | 623,500円 | 623,500円 | 1,247,000円 |
| 施設費 | 175,000円 | 175,000円 | 350,000円 |
| 維持費 | 25,000円 | 25,000円 | 50,000円 |
| 実習費 | 16,000〜31,500円 | 16,000〜31,500円 | 32,000〜63,000円 |
| 年間総合計 | 1,909,000〜1,940,000円 | ||
実習費は学科・専攻によって異なり、芸術学科が32,000円、日本画専攻と工芸学科が48,000円、彫刻学科が63,000円、そのほかの学科・専攻は38,000円です。この実習費の金額は授業料には含まれていないため、学科によって年間総額に差が生まれます。初年度は入学金がかかるぶん、1年目の納入額は2年目以降より高くなります。4年間に大学へ納める学費を編集部で計算すると、初年度の年間合計(190万9,000円〜194万円。入学金を含みます)に、2年目から4年目の年額(167万9,000円〜171万円。入学金はかかりません)を3年分加えた合計で、694万6,000円〜707万円になります(低いほうが実習費32,000円の芸術学科、高いほうが実習費63,000円の彫刻学科です)。この計算に含めているのは入学金・授業料・施設費・維持費・実習費だけで、下記の私用材料等預り金・校友会費や、住居費・食費などの生活費は含めていません。これとは別に、学科・専攻ごとに私用材料等一括購入預り金(15,000円〜89,000円。グラフィックデザイン学科と情報デザイン学科は徴収がありません)、入学時に校友会費(終身会費、30,000円)がかかります。
大学院の学費は次のとおりです(2026年度)。
| 項目 | 入学時 | 9月 | 年間合計 |
|---|---|---|---|
| 入学金 | 200,000円 | 0円 | 200,000円 |
| 授業料 | 618,500円 | 618,500円 | 1,237,000円 |
| 施設費 | 120,000円 | 120,000円 | 240,000円 |
| 維持費 | 25,000円 | 25,000円 | 50,000円 |
| 実習費 | 16,000円 | 16,000円 | 32,000円 |
| 初年度納入額合計 | 1,759,000円 | ||
大学院の入学金は、多摩美術大学出身者であれば不要となり、その場合の初年度納入額は1,559,000円になります。ここで示した金額は、入学金・授業料・施設費・維持費・実習費という、大学に直接納める学費です。私用材料費や生活費(住居費・食費など)は含まれていませんので、進学を具体的に検討する段階では、この学費と生活費を区別して考える必要があります。
入試の方式(2027年度入試)
多摩美術大学の入試は、美術学部・大学院とも複数の方式が用意されています。ここでは、2026年10月時点で公式サイトに公開されている2027年度(2027年4月入学)の美術学部入試をもとに、受験生が気になる出願要件を中心に解説します。金額や日程は年度ごとに変わりますので、実際に出願する際は必ず最新の学生募集要項をご確認ください。
一般選抜(一般方式・共通テストⅠ方式・共通テストⅡ方式)
一般選抜には3つの方式があります。公式サイトの入試コンセプトによれば、一般方式は「本学独自の専門試験+本学独自の学科試験」、共通テストⅠ方式は「本学独自の専門試験+大学入学共通テスト」、共通テストⅡ方式は「大学入学共通テストのみ」で評価する方式です。共通テストⅡ方式が使えるのは、プロダクトデザイン専攻、建築・環境デザイン学科、情報デザイン学科(情報デザインコース)、芸術学科、統合デザイン学科、演劇舞踊デザイン学科(劇場美術デザインコース)に限られます。
受験生が最も知りたいのは、学科試験と実技(専門試験)の比重だと思います。一般方式の配点は、15ある学科・専攻・コースのすべてで学科試験(国語100点・英語100点の合計200点)に対し、実技を中心とする専門試験が300点、合計500点という比率です。実技の比重が学科試験の1.5倍になっています。グラフィックデザイン学科や生産デザイン学科、情報デザイン学科、統合デザイン学科などでは、専門試験が鉛筆デッサンと色彩構成(または視覚表現、構成表現、デザイン)の2科目に分かれ、配点は100点から200点まで学科によって異なります(たとえば情報デザイン学科メディア芸術コースは鉛筆デッサン100点・視覚表現200点です)。芸術学科だけは学科試験に加えて、小論文か鉛筆デッサンのどちらかを出願時に選ぶ方式です。
| 学科・専攻 | 学科試験 | 専門試験(実技等) | 合計 |
|---|---|---|---|
| 絵画学科 日本画専攻 | 国語100点・英語100点 | 鉛筆デッサン・水彩(人物)で300点 | 500点 |
| 絵画学科 油画専攻 | 国語100点・英語100点 | デッサン・油彩で300点 | 500点 |
| 彫刻学科 | 国語100点・英語100点 | 立体造形・デッサンで300点 | 500点 |
| 工芸学科 | 国語100点・英語100点 | 鉛筆デッサンで300点 | 500点 |
| グラフィックデザイン学科 | 国語100点・英語100点 | 鉛筆デッサン150点・色彩構成150点 | 500点 |
| 建築・環境デザイン学科 | 国語100点・英語100点 | 鉛筆デッサンで300点 | 500点 |
| 芸術学科 | 国語100点・英語100点 | 小論文または鉛筆デッサン(出願時に選択)で300点 | 500点 |
| 統合デザイン学科 | 国語100点・英語100点 | 鉛筆デッサン150点・構成表現150点 | 500点 |
専門試験の採点基準も公式サイトに公開されています。たとえばグラフィックデザイン学科の鉛筆デッサンは「理解力」「伝達力」「発想力」「描写力」「個性」の5項目で評価され、芸術学科の小論文は「言語運用力」「思考力」「読解力」「理解力」「表現力」「独創性」で評価されます。技術の巧拙だけでなく、課題をどう理解し、何を考えたかが問われる採点基準になっています。
出願期間は、一般方式・共通テストⅠ方式が2027年1月5日13時から1月15日18時まで、共通テストⅡ方式は1月23日18時までです。試験日は学科・専攻により2027年2月7日から16日の間に分かれており、合格発表は2027年2月22日13時にWebサイトで行われます。検定料は1学科・専攻・コースにつき一般方式35,000円、共通テストⅠ方式25,000円、共通テストⅡ方式15,000円で、同一学科内や複数学科の併願には減額制度があります。一般選抜(一般方式・共通テストⅠ方式・共通テストⅡ方式の合計)の入学人員は次のとおりです。
| 学科・専攻・コース | 一般方式 | 共通テストⅠ方式 | 共通テストⅡ方式 |
|---|---|---|---|
| 絵画学科 日本画専攻 | 24名 | 4名 | 募集なし |
| 絵画学科 油画専攻 | 70名 | 50名 | 募集なし |
| 絵画学科 版画・プリントメディア専攻 | 15名 | 5名 | 募集なし |
| 彫刻学科 | 12名 | 12名 | 募集なし |
| 工芸学科 | 30名 | 10名 | 募集なし |
| グラフィックデザイン学科 | 100名 | 60名 | 募集なし |
| 生産デザイン学科 プロダクトデザイン専攻 | 25名 | 15名 | 2名 |
| 生産デザイン学科 テキスタイルデザイン専攻 | 20名 | 12名 | 募集なし |
| 建築・環境デザイン学科 | 30名 | 15名 | 15名 |
| 情報デザイン学科 メディア芸術コース | 30名 | 11名 | 募集なし |
| 情報デザイン学科 情報デザインコース | 21名 | 16名 | 10名 |
| 芸術学科 | 11名 | 8名 | 16名 |
| 統合デザイン学科 | 60名 | 24名 | 18名 |
| 演劇舞踊デザイン学科 演劇舞踊コース | 14名 | 8名 | 募集なし |
| 演劇舞踊デザイン学科 劇場美術デザインコース | 14名 | 5名 | 3名 |
| 合計 | 476名 | 255名 | 64名 |
なお、この一般選抜の募集人員には、外国人留学生選抜と帰国生選抜の人員(各学科・専攻・コースとも若干名)が含まれています。出願資格は、日本国籍を持つ場合は高等学校を卒業した者またはこれに準ずる者、日本国籍を持たない場合はこれに加えて日本留学試験(EJU)の日本語科目で220点以上、または日本語能力試験(JLPT)でN2以上に合格していることが条件です(日本国内の高等学校に2年以上継続して通学し、2027年3月に卒業見込みの者または卒業した者は、この日本語要件が免除されます)。
総合型選抜・学校推薦型選抜
一般選抜より早い時期に実施されるのが、総合型選抜と学校推薦型選抜です。いずれも実技・ポートフォリオ・面接などを組み合わせた選考ですが、学校推薦型選抜は高等学校長の推薦が必要になる点が異なります。2026年10月時点で公式サイトに公開されている2027年度の内容では、出願期間は2026年11月1日13時から11月7日18時まで(出願登録はWEBのみですが、学科・専攻により所定用紙や作品などの郵送提出が別途必要で、郵送は11月7日必着です)、試験日は11月21日・22日(志願者数が多い場合は11月23日にも実施)、検定料は35,000円、合格発表は12月1日13時からです。
| 選抜方式 | 対象学科・専攻 | 募集人数の例 | 選考内容の例 |
|---|---|---|---|
| 総合型選抜 (学校長推薦不要) | 絵画学科 日本画専攻 | 7名 | 作品提出+ポートフォリオ+実技試験+面接 |
| 工芸学科 | 20名 | 小論文+実技試験+面接+ポートフォリオ | |
| 情報デザイン学科 メディア芸術コース | 20名 | オンラインポートフォリオ+面接、または実技試験+面接 | |
| 演劇舞踊デザイン学科 劇場美術デザインコース | 18名 | 作品提出+ポートフォリオ+実技試験+面接 | |
| 学校推薦型選抜 (学校長推薦が必要) | 絵画学科 油画専攻 | 10名 | 作品提出+面接+ポートフォリオ |
| グラフィックデザイン学科 | 24名 | 実技試験 | |
| 建築・環境デザイン学科 | 20名 | 実技試験+プレゼンテーション面接 | |
| 統合デザイン学科 | 18名 | 活動報告書+実技試験+プレゼンテーション面接 |
総合型選抜は日本画専攻、版画専攻、彫刻学科、工芸学科、生産デザイン学科テキスタイルデザイン専攻、情報デザイン学科の両コース、演劇舞踊デザイン学科の両コースが対象です。学校推薦型選抜は油画専攻、グラフィックデザイン学科、生産デザイン学科プロダクトデザイン専攻、建築・環境デザイン学科、芸術学科、統合デザイン学科が対象で、総合型選抜と学校推薦型選抜で対象学科が分かれているのが特徴です。どちらも実技試験に加えてポートフォリオや面接を課す学科が多く、高校での成績だけでなく、それまでに作ってきた作品そのものが評価の対象になります。
キャンパスと施設
多摩美術大学は八王子キャンパスと上野毛キャンパスの2拠点体制です。公式サイトによれば、八王子キャンパスは「緑豊かな多摩丘陵に位置」し、「制作に打ち込める国内有数の環境・設備が揃って」います。公式サイトが「主な施設」として挙げているのは、美術・デザインを中心に21万冊の蔵書を誇る図書館、ギャラリーやデッサン室、研究室、収蔵庫などで構成される複合施設「アートテーク」、専門職員が常駐し全学生が利用できる共同施設「クリエイティブサポートセンター」の3つです。このほか2004年に竣工したレクチャーホールや本部棟もあります。所在地は東京都八王子市鑓水2-1723で、キャンパスは東西12キロメートルに及ぶ多摩ニュータウン開発計画地域の最西部に位置しています。統合デザイン学科と演劇舞踊デザイン学科を除く美術学部の学科は、すべてこの八王子キャンパスで学びます。
一方の上野毛キャンパスは、多摩美術大学の出発点となった場所で、現在は統合デザイン学科と演劇舞踊デザイン学科が学びを展開しています。所在地は東京都世田谷区上野毛3-15-34で、公式サイトは「都心部から至近」「都心にもアクセスしやすい多摩美の原点」と紹介しています。創立90周年記念事業として計画された新棟(本部棟・講堂)が2026年に竣工し、同年から利用が始まりました。講堂は「オクルスホール(Oculus Hall)」、ギャラリーは「サーラブルゥ(Sala Blu)」、交流テラスは「サブチェロ(Subcaelo)」と名づけられています。このほか1号館から3号館、図書館、演劇舞踊スタジオ、学生食堂(Mensa)などの施設があります。

伊東豊雄が設計した八王子図書館
八王子キャンパスの図書館は、建築に関心がある人の間でもよく知られた建物です。公式サイトの施設紹介によれば、この図書館は正門脇の「彫刻の森」にとけ込むかたちで2007年3月に竣工し、本学客員教授である建築家・伊東豊雄の設計によるものです。図書館の公式サイトは伊東豊雄を「我が国を代表する建築家のひとり」と紹介しています。「正門から続く緩やかなスロープをそのまま建物内にまで引き込み、アーチ構造を主体とした、ガラスとコンクリート壁面が一体化した外観」を持ち、「キャンパス周辺の自然環境を積極的に取り込んだ開放的な空間」が特徴とされています。2025年3月末現在の蔵書数は、和書約14万7千冊、洋書約7万8千冊の合計約22万5千冊と、約2,500タイトルの雑誌です。
伊東豊雄は、建築界で「ノーベル賞」とも呼ばれるプリツカー賞の受賞者です。公式サイトは、伊東豊雄の「美しい建築に人は集まる」という建築哲学がこの空間に息づいていると紹介しています。2025年には、ベルギーの出版社Lannoo Publishersが刊行した建築・観光ガイド『150 Libraries You Need to Visit Before You Die(死ぬまでに訪れておきたい図書館150)』に選ばれました。日本からは本学を含む6つの図書館が選出されています。美術大学ならではの、美術・デザイン関連の蔵書が充実している点も特徴です。
世界大学ランキングに掲載されていない理由
海外の美術大学を調べたことがある方は、QS(クアクアレリ・シモンズ)社が発表する「QS世界大学ランキング アート&デザイン部門」という分野別ランキングをご存知かもしれません。結論からお伝えすると、QS世界大学ランキング アート&デザイン部門2026年版に、多摩美術大学は掲載されていません。武蔵野美術大学も同様に掲載がありません。編集部でもQSが公開しているアート&デザイン部門2026年版の掲載校302校を取得して確認し、日本の大学は10校で、そこに多摩美術大学・武蔵野美術大学の名前がないことを確かめています(掲載されている「Musashino University」は武蔵野大学で、武蔵野美術大学とは別の大学です)。
これは、多摩美術大学の教育の質が低いということを意味しません。Euphoric " " が別記事で詳しく解説しているとおり、このランキングの配点は学術評判(世界中の研究者へのアンケート)が90パーセント、雇用者評判(企業の採用担当者へのアンケート)が10パーセントを占め、論文の引用数などの指標は使われていません。つまり、順位のほとんどは「世界の研究者が、その大学の研究をどう見ているか」で決まる仕組みです。
| 指標 | 配点 | 内容 |
|---|---|---|
| Academic Reputation(学術評判) | 90% | 世界中の研究者・教員への「この分野で優れた大学はどこか」というアンケート |
| Employer Reputation(雇用者評判) | 10% | 企業の採用担当者への「優秀な人材を輩出している大学はどこか」というアンケート |
ここで押さえておきたいのは、QSが公開している算出方法の2点です。第一に、学術評判のアンケートで回答者が挙げるのは「自分の専門分野で研究において優れていると考える大学」であり、教育そのものの評価を直接尋ねる設問ではありません。第二に、QSは「国際的な評判を国内の評判より重視する」と明記しており、自国からの回答は海外からの回答の半分の重みで集計されます。回答者が挙げられるのも国内10校・海外30校までで、国際的な影響力が順位に表れやすい設計になっています。2026年版のアート&デザイン部門に掲載された日本の大学10校のうち、美術・デザインの単科大学は東京藝術大学1校だけで、残りは東京大学・千葉大学・筑波大学・京都大学・武蔵野大学・慶應義塾大学・京都工芸繊維大学・九州大学・早稲田大学でした。海外の研究者と日常的に接点を持ち、研究として発信する機会が多い大学のほうが、この指標では名前が挙がりやすいと考えられます。つまりこのランキングに載っていないことは、教育の質ではなく、この指標が何を測っているかの問題だと読むほうが正確かもしれません。詳しい算出方法や各大学の順位は、アート&デザイン部門QS世界大学ランキングの解説記事をご覧ください。
卒業後の進路
多摩美術大学は、卒業生の進路状況を学科ごとに公式サイトで公開しています。2026年10月時点でもっとも新しいデータは2025年度(2026年3月卒業)のもので、2026年5月31日時点の集計です。公式資料の注記によれば、「進路実現率」は進路希望者数に対する進路決定者数(就職、作家・フリーランス、進学、臨時雇用)の割合、「就職率」は就職希望者数に対する就職者数の割合と定義されています。どちらも分母は卒業生全体ではなく「希望者」です。進路を希望していない人や未報告の人は分母から外れるため、卒業生数と進路決定者数を単純に割った数値とは一致しません。指標の名前が似ていても中身が違うので、他大学の数字と並べるときは定義をそろえて見る必要があります。
| 区分 | 卒業生数 | 進路決定者数 | 進路実現率 | 就職率 |
|---|---|---|---|---|
| 美術学部 | 1,030名 | 791名 | 89.4% | 88.6% |
| 大学院 | 162名 | 125名 | 83.6% | 82.9% |
| 全体 | 1,192名 | 916名 | 88.6% | 87.8% |
美術学部の卒業生1,030名のうち、進路決定者は791名です。その内訳は、就職者が551名ともっとも多く、進学が141名、作家・フリーランスなどが99名です(551+141+99=791で一致します)。このほかに就職準備中が71名、臨時雇用(アルバイト・インターン)が20名、進学準備(留学準備)が25名と記載されています。美術大学というと作家活動のイメージが強いかもしれませんが、実数でみると企業などへの就職が進路の中心になっていることが分かります。公式サイトは、就職先について「人気企業ランキング100社(東洋経済調べ)の約半数に、クリエイティブ職や総合職として新卒の就職実績があります」と紹介しています。次の表は、公式サイトが過去2年分(2026年7月14日現在)として公開している「主な就職先」の一覧から、業種ごとに例を抜き出したものです。
| 業種(公式サイトの区分) | 主な就職先の例(公式サイトより) |
|---|---|
| ゲーム・アニメーション・CG | 任天堂、セガ、カプコン、Cygames、東映アニメーションなど |
| IT・情報通信 | リクルート、楽天グループ、サイバーエージェント、MIXIなど |
| 広告・印刷・パッケージ | 電通、博報堂、大広、TOPPANホールディングスなど |
| アパレル・テキスタイル・ジュエリー | イッセイミヤケなど |
| 自動車・輸送機器 | 日産自動車、本田技術研究所、トヨタ自動車東日本、SUBARU、マツダなど |
| 建築・インテリア・店舗・空間 | 大成建設、竹中工務店など |
進路は企業への就職だけでなく、フリーランスのデザイナーやアーティスト、教員など多岐にわたっています。進学を選ぶ学生も一定数おり、学部で基礎を学んだのちに大学院でさらに専門性を深める道も、多摩美術大学では進路のひとつになっています。なお、ここに挙げた数字は2025年度(2026年3月卒業)のものです。年度によって数値は動きますので、最新の集計は公式サイトの「主な就職先」ページでご確認ください。
主な卒業生
多摩美術大学の公式サイトは、FAQページで著名な卒業生を紹介しています。公式に記載があるのは次の方々です。
- ファッション・プロダクト:三宅一生(ファッションデザイナー)、児玉英雄(ドイツ・オペル社の元チーフデザイナー)
- 美術・漫画:長澤英俊(国際的に活躍したアーティスト)、武田秀雄(日本人で唯一、大英博物館で個展を開いた漫画家)、酒井田柿右衛門(十四代。人間国宝)
- 音楽:松任谷由実、小室等
- 映画・演劇・お笑い:竹中直人(映画監督・俳優)、蜷川実花(写真家・映画監督)、ラーメンズ
- 文学:高山羽根子(『首里の馬』で芥川賞を受賞した小説家)
ファッション、美術、音楽、映画、文学と、活躍する分野が多岐にわたっていることが、この大学の卒業生の特徴のひとつです。美術大学というと作家や画家を思い浮かべがちですが、実際にはジャンルを横断して第一線で活動する卒業生が多いことが、公式の紹介からも見てとれます。
まとめ
いかがだったでしょうか。多摩美術大学について見てきました。要点は次の7つです。
- 1935年に多摩帝国美術学校として創立され、1953年に多摩美術大学として設置されました。2025年には創立90周年を迎えています
- 美術学部は10学科15専攻・コースで構成され、絵画や彫刻、工芸といった伝統的な領域から、建築・環境デザイン、情報デザインまで幅広く学べます
- 2026年度の学費は、美術学部が年間190万9千円〜194万円(4年間の合計は編集部の計算で694万6千円〜707万円)、大学院が初年度175万9千円です。在学中は入学金を除き同額が続きます
- 入試は一般選抜(一般方式・共通テストⅠ方式・共通テストⅡ方式)に加え、総合型選抜・学校推薦型選抜があります。一般方式の多くは学科試験200点に対し実技中心の専門試験が300点という配点です
- 八王子キャンパスの図書館は、建築家・伊東豊雄が設計し2007年に竣工しました
- QS世界大学ランキング アート&デザイン部門2026年版には掲載されていません。この部門は学術評判90%・雇用者評判10%で決まり、学術評判は研究面の評価を尋ねるアンケートで、自国からの回答は海外からの回答の半分の重みで集計されます。掲載の有無は教育の質を示すものではありません
- 卒業後の進路は、2025年度(2026年3月卒業・2026年5月31日時点)で美術学部の進路実現率89.4%、就職率88.6%。いずれも分母は卒業生全体ではなく希望者数です。進路は就職が中心で、進学や作家・フリーランスも一定数います
学費や入試の日程、募集人員は年度ごとに変わります。出願を具体的に考える段階では、必ず公式サイトで最新の情報をご確認ください。
Euphoric " " の視点
多摩美と武蔵美は、よく並べて語られます。実際この2校は、もとをたどると同じ学校から分かれています。武蔵野美術大学の公式の年表には、1935年に同盟休校事件が起き、帝国美術学校が分裂して多摩帝国美術学校が設立された、と記されています。
つまりタマビとムサビは、ライバルである前に、分かれた側と残った側です。どちらを選ぶかという問いは、優劣の問題ではなく、分かれ道のどちらに惹かれるかという問題に近いのかもしれません。
この大学で目を引くのは、八王子の図書館です。アーチが連なる構造で、本を読む場所というより、歩くための建築に見えます。学校が図書館にこれだけのものを建てたという事実は、言葉よりも雄弁です。
進学先を選ぶとき、学科の名前と就職率だけを見ると、かえって分からなくなります。その学校が何にお金と手間をかけたか。そこに、何を大事だと思っているかが表れます。
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もっと知るには
本記事の情報は、多摩美術大学の公式サイト(tamabi.ac.jp)をもとに確認しています。学費・入試日程・募集人員は年度ごとに変わりますので、出願の際は下記の公式ページで最新の情報をご確認ください。
| 内容 | 公式ページ |
|---|---|
| 沿革 | 多摩美術大学「沿革」 |
| 学部・大学院の構成 | 多摩美術大学「学部・大学院」 |
| 学生募集要項(入試情報) | 多摩美術大学「学生募集要項 ダウンロード」 |
| 学費のご案内 | 多摩美術大学「美術学部の学費」/多摩美術大学「大学院の学費」 |
| 総合型選抜・学校推薦型選抜 | 多摩美術大学「総合型選抜・学校推薦型選抜」 |
| 卒業後の進路 | 多摩美術大学「主な就職先」 |
| 教員数・学生数 | 多摩美術大学「教員数・学生数」 |
海外の美術系大学と比較したい方は、QS世界大学ランキング アート&デザイン部門の解説もあわせてご覧ください。国内の他の芸術・美術大学については、国内の芸術・美術大学のアート&デザイン学部/専攻をまとめた記事もご用意しています。






