日本大学芸術学部(日藝)とは?8学科・学費・入試を徹底解説

日本大学芸術学部(日藝)とは?8学科・学費・入試を徹底解説

アートコンサルティング

こんにちは。ユアムーン株式会社 編集部です。

皆さんは日本大学芸術学部(通称「日藝(ニチゲイ)」)という学部をご存知ですか。日本大学の一学部として、東京・江古田に拠点を置き、写真・映画・美術・音楽・文芸・演劇・放送・デザインという8つの学科を一つの学部の中に抱えています。公式サイトの沿革によれば、その始まりは1921年に日本大学法文学部の中に誕生した美学科にさかのぼります。美術やデザインだけでなく、映像、音楽、文学、舞台、放送までを同じ学部で学べる点が、ほかの美術大学にはない大きな特徴です。

本記事では、総合大学である日本大学の中から芸術学部だけを取り上げます。基本情報、沿革、8学科の構成(美術学科とデザイン学科はやや詳しく)、大学院、2027年度入学者向けの学費、入試の方式、キャンパスと施設、卒業後の進路、主な卒業生まで、公式サイト(art.nihon-u.ac.jp)で確認できた情報をもとにご紹介します。あわせて、国際的な大学ランキングで名前を見かけない理由についても、誤解のないように触れます。なお、学費と入試結果の数字は、美術学科の値を中心に示しています。それでは早速いってみましょう。

日本大学芸術学部って?

基本情報

日本大学芸術学部 江古田キャンパスの外観
日本大学芸術学部 江古田キャンパス(2019年)/撮影:larry x(CC0)/出典:Wikimedia Commons
名称日本大学芸術学部(通称「日藝」「ニチゲイ」)。日本大学の一学部です
創設1921年。日本大学法文学部内に美学科が誕生したのが前身とされています
新制の芸術学部としての発足1949年4月。学制改革により、写真・映画・美術・音楽・文芸の5学科で発足しました
所在地〒176-8525 東京都練馬区旭丘2-42-1(江古田キャンパス)。西武池袋線の江古田駅北口から徒歩約1分です
学科写真学科・映画学科・美術学科・音楽学科・文芸学科・演劇学科・放送学科・デザイン学科の8学科
芸術学部長川上央(2023年4月就任。公式サイトの沿革による)
学生数学部3,782名(2026年5月1日現在)。学科別の内訳は後述します
入学定員学部866名(2026年度、8学科の合計)
収容定員学部3,464名(2026年5月1日現在の資料)
大学院大学院芸術学研究科(博士前期課程5専攻・博士後期課程1専攻)
卒業時に授与される学位学士(芸術)

公式サイトの教育方針(ディプロマ・ポリシー)は、「日本大学の目的及び使命」を理解し、「自主創造」を構成する能力を身につけた学生に学士(芸術)を授与すると述べています。土台となるのは「自ら学ぶ」「自ら考える」「自ら道をひらく」の3つの力で、到達すべき能力として、倫理観、世界の現状を説明する力、論理的・批判的思考力、問題発見・解決力、挑戦力、コミュニケーション力、リーダーシップ・協働力、省察力の8項目が挙げられています。

入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)では、8つの芸術分野それぞれを強く志す人、創造性とコミュニケーション能力に富み芸術全般に関心を持つ人、そして「自らが芸術家、クリエイターになることを真剣に考えている人」を求めるとしています。選抜では、小論文・作文・実技などの専門試験と面接を通じて、適性と創造性を個別に直接審査するとも書かれています。美術やデザインの単科大学ではなく、芸術の幅広い領域を同時に扱う学部であることが、この方針からも読み取れます。

1921年から続く日藝の歩み

日藝の歴史は、公式サイトの沿革年表によれば、1921年3月に日本大学法文学部内に美学科が誕生し、4月に開講したことに始まります。同年12月には松原寛が美学科学監に就任しました。1924年には美学科を文学科文学芸術専攻に改称し、1927年には外国文学芸術専攻を英文学専攻と芸術学専攻に分離、1929年には芸術学専攻に映画課程が置かれ、専門部には文学・演劇・映画・美術・音楽の各部門が設置されています。映画や美術、音楽といった今日の学科につながる分野が、すでに昭和初期の段階で並べられていたことが分かります。

校地の変遷も、年表にはっきり残っています。1931年に法文学部と専門部が東京神田鈴木町へ移転し、1933年には東京本郷金助町へ移って実習室を整備しました。この頃から「日本大学芸術学園」と呼ばれるようになったと記されています。そして1939年4月、板橋区江古田(現在の江古田校舎)へ移転します。専門部芸術科に3専攻を増設して計8専攻とし、芸術学部の紋章を制定したのも同じ1939年でした。以後、江古田は日藝の本拠地として現在まで続いています。

戦時中から戦後にかけては、学部にとって苦しい時期でした。1943年には文部省の要請を受けて専門部芸術科が6専攻科に再編され、1944年2月には文科系の専門部芸術科の学生募集が停止されます。1946年には専門部芸術科を復活させて造形科を新設し5科体制としましたが、同年11月に芸術科校舎本館が全焼するという出来事もありました。1948年に専門部工科が廃止され、翌1949年2月、学制改革により新制の芸術学部へ移行し、4月に写真・映画・美術・音楽・文芸の5学科で発足します。

その後の学科の増え方は次のとおりです。1950年3月に演劇学科が増設されて6学科、1960年1月に放送学科が増設されて7学科となり、最後に1996年4月にデザイン学科が増設されて現在の8学科が揃いました(このとき入学定員は840名に変更されています)。大学院は1951年に修士課程の文芸学専攻が設置されたのが最初で、1993年に修士課程が4専攻増設されて5専攻に、1995年には博士後期課程(芸術専攻)が増設されました。1969年には芸術学部芸術研究所が、1994年には芸術学部芸術資料館がそれぞれ設置されています。

キャンパスの整備に関する記述も、年表の大きな柱です。1978年に埼玉県所沢市に校地を購入し、1988年に新校舎の建設を開始、1989年4月に所沢校舎を開設して教養課程を移転しました。2004年以降は江古田キャンパスの整備事業が進み、2007年に東棟、2008年に南棟・食堂棟・大ホール棟、2009年に西棟、2010年に北棟とギャラリー棟が相次いで竣工しています。2017年4月には「新生江古田計画」が始動し、2019年2月にA棟が竣工、同年4月には全学年で江古田修学が始まりました。直近では、2023年4月に川上央が芸術学部長に就任したことが記されています。

年主な出来事(公式サイトの沿革より)
1921年日本大学法文学部内に美学科が誕生(4月開講)
1939年板橋区江古田(現在の江古田校舎)へ移転
1949年新制の芸術学部へ移行。写真・映画・美術・音楽・文芸の5学科で発足
1950年演劇学科を増設し6学科に
1960年放送学科を増設し7学科に
1989年所沢校舎を開設し、教養課程を移転
1995年大学院博士後期課程(芸術専攻)を増設
1996年デザイン学科を増設し8学科に
2019年江古田校舎A棟が竣工。4月に全学年で江古田修学を開始
2023年芸術学部長に川上央が就任

8学科で何を学べるのか

日本大学芸術学部は8つの学科で構成されています。公式サイトの学科・大学院のページでは、それぞれの学科にキャッチコピーが付けられています。ここでは、そのコピーと、各学科の2026年度の入学定員、2026年5月1日現在の在学者数を並べてみます。

学科公式サイトのキャッチコピー入学定員(2026年度)在学者数(2026年5月1日現在)
写真学科光と影が紡ぐ世界の探求100名443名
映画学科進化を続ける芸術の集合体150名646名
美術学科無限に変化を遂げる美の原点60名257名
音楽学科メロディに姿を変えた感情の化身90名394名
文芸学科本当の答えを見出すために120名525名
演劇学科一体化する多彩な芸術の魅力126名566名
放送学科身につけるのは発信力120名514名
デザイン学科社会に問題意識とアイデアを提案し秩序や仕組みを可視化する100名437名
合計866名3,782名

入学定員の合計866名のうち、美術学科の60名は約7%にあたります(編集部の計算)。映画学科が150名、演劇学科が126名と大きいのに対し、美術学科は定員が小さく、少人数で制作に向き合う環境であることが数字から見てとれます。以下では、本記事のテーマである美術系の2学科、美術学科とデザイン学科を詳しく見ていきます。

美術学科:2コース4専攻

公式サイトの美術学科のページによれば、教育理念は、美術の変化を見極めつつ、過去から未来へ続く普遍的な「本質」を探り、人間が本来持つ創造力を育てる人材の育成だと説明されています。学科は2つのコースと4つの専攻で構成されています。

コース専攻公式サイトの説明より
絵画コース絵画専攻デッサンと油彩で人体を描くことを基本に、4年間じっくり絵画に取り組みます。3年次以降は制作方向に応じて少人数のクラスに分かれ、古典技法の実習もあります
版画専攻銅版画、リトグラフ、木版などの基礎から応用までを学び、活版や製本による表現にも取り組みます
彫刻コース彫刻専攻自然観察や塑像によるモデル実習を経て、木・石・鉄などの実材実習へ進み、自主制作に取り組みます
地域芸術専攻アートの力で社会課題に向き合う実践力を養います。2年次にPCやデザインの技術を学び、3年次にはリサーチアートや企業のメセナ活動への参加を通じて社会と関わり、4年次は制作か論文でまとめます

カリキュラムの流れも公式に示されています。制作実習は1年次の基礎から始まり、3年次に応用と個人制作、4年次に卒業制作へと段階的に進みます。1年次にはコースを問わず、デッサン、版画基礎、彫塑を共通で学びます。理論・歴史の分野では、美術学、解剖学、美術史概論、西洋・日本・東洋美術史などがあり、研究分野として素材研究、美的構成研究、版画概論、古美術研究なども挙げられています。

実技と並んで、学外に出る学びが用意されているのも特徴です。3年次から教育実習や博物館実習が行われ、教員免許や学芸員資格につながります。美術館での鑑賞のほか、彫刻コースは新潟の「大地の芸術祭」に2004年から参加しているとも記されています。施設としては、絵画、石彫、版画、金属、木工の各アトリエがあります。教員の例として、公式サイトには彫刻の飯田竜太(准教授)、版画の笹井祐子(教授)、瀬島匠(教授)、地域芸術の鞍掛純一(教授)、美術学・博物館実習の田中修二(教授)らの名前が挙がっています。卒業後の進路については、美術作家のほか、一般企業、教員、学芸員として活躍する卒業生が多いと説明されています。

日本大学芸術学部の美術学科にある絵画、版画、彫刻、地域芸術の4専攻について、所属するコースと学ぶ内容を整理した図
図:美術学科の4専攻(2コース)

デザイン学科:バウハウスの理念を受け継ぐ

デザイン学科は、1996年に増設された、8学科の中でもっとも新しい学科です。公式サイトのデザイン学科のページは、広告、情報メディア、家庭用品、家電、自動車、家具、住宅など幅広い分野を扱い、専門性と幅広い知識を備えたデザイナーを育てると説明しています。「理論と実践」を基本にデザイン思考と制作技術を身につけること、そしてバウハウスの「芸術と技術の統合」という理念を受け継いで発展させてきたこと、少人数教育で一人ひとりの個性を伸ばすことが特徴として示されています。

専門の分野は、2年次以降に選びます。公式サイトには次の3分野が記されています。

分野主な内容(公式サイトより)
ビジュアルコミュニケーションデザインアートディレクション、グラフィックデザイン、広告、ウェブ、ブランディング、パッケージ、タイポグラフィー、エディトリアル、コンピューターグラフィックス、映像、イラストレーションなど
プロダクトデザイン工業製品、家電、車両、生活用品、雑貨、クラフトなど
建築デザイン住宅、集合住宅、公共施設、環境、遊具、リノベーション、インテリア、ディスプレイ、インスタレーションなど

学年ごとの流れは、1年次にデザインの基礎理論と技法を共通教育で学んで自分の適性を知り、2年次に適性に合わせて専門領域を選びつつ他分野も自由に学び、3年次に専門性を磨く実践的な専門教育を受け、4年次にゼミナールと卒業制作・卒業論文に取り組む、というものです。主な授業として、商品開発、建築提案、環境演出へと段階的に制作する「デザインワークショップ」や、銀座の商業施設のショーウインドウを学生が設計し実現を目指す「ウインドウディスプレイ」が紹介されています。学外連携の例としては、足立区立竹の塚中学校のウインドウディスプレイ計画、練馬区との「ねりマルシェ」ショッピングバッグのデザイン計画、株式会社ナガシマ化学工業所との車載オーディオ・エアコン操作システムのデザイン開発が挙げられています。

日本大学芸術学部デザイン学科で2年次以降に選ぶ、ビジュアルコミュニケーションデザイン、プロダクトデザイン、建築デザインの3分野と主な内容を示した図
図:デザイン学科の3分野

そのほかの6学科

公式サイトのアドミッション・ポリシーには、学科ごとに求める人物像が書かれています。美術学科とデザイン学科以外の6学科を、その記述に沿って簡単にまとめます。

学科求める人物像(公式サイトの要約)
写真学科写真表現の歴史・理論・技法を学び、多様な分野で表現を創造できる人
映画学科映画・映像の表現技法を考え、専門とする映画・映像表現を研究・創造できる人
音楽学科西洋音楽を中心に、演奏、創作、研究、制作、マネジメントを学び、音楽文化の価値を創造・展開できる人
文芸学科創作、研究、ジャーナリズムを学び、次世代の文芸表現を担える人
演劇学科劇場芸術と実践を現代社会と結びつけて学び、専門領域を創造できる人
放送学科放送の歴史・理論を学び、自由で豊かな表現を創造できる人

学費のページでは、映画学科が「映像表現・理論」「監督、撮影・録音」「演技」の区分に分かれて表示されています。映画学科の中にも専門ごとの区分があることが分かります。カリキュラム・ポリシーによれば、学科ごとの専門教育を充実させるとともに、学科の枠を越えた総合的な教育課程を組むとされ、初年次教育、芸術教養教育、専門教育、キャリア教育が8つの能力に対応して体系化されています。

大学院芸術学研究科で、さらに深く学ぶ

日本大学の大学院芸術学研究科は、芸術学部の上に位置する大学院です。公式の大学院サイトによれば、博士前期課程には5つの専攻、博士後期課程には1つの専攻が置かれています。

課程専攻公式サイトの説明より
博士前期課程文芸学専攻(昭和26年設置)現代文学を研究・創作の両面から捉え、隣接ジャンルとの関係で文学の未来を探る
映像芸術専攻(平成5年設置)写真、映画、TVなどの専門分野の深化と総合化を図る
造形芸術専攻(平成5年設置)デザイン、美術、美学美術史の専門家を養成する
音楽芸術専攻(平成5年設置)高度な演奏、創作、研究や教育に当たれる人材を養成する
舞台芸術専攻(平成5年設置)演劇の実践教育を基盤に、演出、舞台美術、身体表現などを研究する
博士後期課程芸術専攻(平成7年設置)異分野の芸術が交差する現状を踏まえ、自立した研究活動と高度な表現研究能力を備えた人材を養成する

美術やデザインを専攻した人にとって進学先となるのは、主に造形芸術専攻です。2026年度の入学定員は博士前期課程が合計75名、博士後期課程が8名で、このうち造形芸術専攻は定員15名のところ、志願者208名、合格者46名、入学者38名という数字が公式の情報公開資料に載っています(2026年5月1日現在)。造形芸術専攻の入学定員充足率は2.53で、同じ資料に載る博士前期課程5専攻の中でもっとも高く、志願者数が定員を大きく上回っていることが読み取れます。

学費(2027年度入学者)

日本大学芸術学部公式サイトの学費のページは、2027年度1年次入学者の納入金を学科別に公開しています。ここでは美術学科の内訳をご紹介します。

項目金額備考
入学金260,000円入学時のみ
授業料1,100,000円前学期550,000円・後学期550,000円
施設設備資金400,000円前学期200,000円・後学期200,000円
実験実習料120,000円前学期60,000円・後学期60,000円
後援会費20,000円前学期10,000円・後学期10,000円
校友会費(準会員)10,000円前学期に納入
初年度の年額1,910,000円前学期1,090,000円・後学期820,000円
2年次以降の年額1,650,000円入学金を除く入学年度の納入金と同額、と公式サイトに記載

公式サイトによれば、2年次以降卒業年次までの納入金は、原則として入学金を除く入学年度の納入金と同額になります。納入時期は前学期が4月末日、後学期が9月末日です。2年次以降の年額1,650,000円は、初年度の1,910,000円から入学金260,000円を除いた額に当たります。また、卒業予定年次の後学期には、校友会正会員費の初年度分として10,000円が徴収されます。公式サイトの金額をもとに、美術学科の4年間に大学へ納める学費を編集部で計算すると、初年度の1,910,000円に2年次以降の1,650,000円を3年分加えた6,860,000円になります(卒業予定年次の校友会正会員費10,000円は含みません)。ここに含まれているのは公式サイトに載っている納入金だけで、教材費や画材、住居費・食費などの生活費は含まれていません。

学費は学科によって異なります。同じ2027年度入学者の初年度年額を学科別に並べると、次のようになります。

学科・コース初年度年額2年次以降の年額
写真学科1,900,000円1,640,000円
映画学科(映像表現・理論)1,930,000円1,670,000円
映画学科(監督、撮影・録音)1,980,000円1,720,000円
映画学科(演技)1,910,000円1,650,000円
美術学科1,910,000円1,650,000円
音楽学科1,920,000円1,660,000円
文芸学科1,780,000円1,520,000円
演劇学科1,870,000円1,610,000円
放送学科1,930,000円1,670,000円
デザイン学科1,880,000円1,620,000円

学科による違いは、主に授業料と実験実習料の差から生まれています。もっとも低い文芸学科(1,780,000円)ともっとも高い映画学科の監督、撮影・録音(1,980,000円)では、初年度の年額に200,000円の幅があります。美術学科とデザイン学科は、授業料がどちらも年額1,100,000円で、実験実習料が美術学科120,000円、デザイン学科90,000円という違いです。

大学院の学費(2027年度入学者)も公開されています。博士前期課程の初年度の年額は、文芸学専攻が1,050,000円、映像芸術専攻が1,190,000円、造形芸術専攻が1,210,000円、音楽芸術専攻が1,230,000円、舞台芸術専攻が1,160,000円で、博士後期課程の芸術専攻は1,110,000円です。入学金は200,000円ですが、本大学を卒業した人や本大学院を修了した人(学内者)は入学金の納入がありません。

入試の方式(2027年度入試)

公式サイトの入試情報では、美術学科・デザイン学科とも複数の選抜区分が用意されています。日程や出願期間は年度ごとに変わりますので、ここでは方式と試験内容の概要にとどめます。実際に出願する際は、必ず最新の募集要項をご確認ください。

美術学科の選抜区分(2027年度入試)

選抜区分募集人員主な試験科目
総合型選抜30名(絵画・彫刻コース)絵画専攻は静物を描く実技(5時間30分)、版画専攻はデッサン(静物)、彫刻専攻はデッサン(モノと空間)、いずれも実技に関するレポートと面接。地域芸術専攻は小論文(60分・800字以内)と面接。作品のポートフォリオ(A4サイズ)を選考日に持参
学校推薦型選抜(公募制)5名書類選考、実技(絵画・版画専攻は静物、彫刻専攻はモノと空間で、いずれも6時間)、面接。地域芸術専攻は書類選考、小論文(60分・800字以内)、面接
校友枠選抜若干名校友枠選抜の募集要項を参照
一般選抜 N全学統一方式(第1期)学力検査型1名国語、外国語(各100点・60分)
一般選抜 N全学統一方式(第1期)専門試験併用型14名学力検査(外国語・国語)と専門試験の総合点で判定。絵画専攻は人物を描く実技(5時間30分)、版画・彫刻専攻はデッサン(静物・モノと空間)、いずれも実技レポートと面接(専門試験300点)。地域芸術専攻は小論文、面接
一般選抜 N全学統一方式(第2期)学力検査型1名国語、外国語(各100点・60分)
編入学・転部試験(2年次・3年次)若干名2年次は書類選考、実技(絵画・彫刻は5時間30分、地域芸術は小論文)、面接。3年次は書類選考、実技(6時間)または小論文、面接。出願資格あり

美術学科の募集人員を見ると、総合型選抜の30名が最大で、一般選抜は学力検査型を中心とした2つの区分が各1名、実技を含む専門試験併用型が14名という配分です。実技重視の選抜が中心になっていることが分かります。総合型選抜ではポートフォリオを選考日に持参する必要があり、作品の提出が求められる点も押さえておきたいところです。

デザイン学科の選抜区分(2027年度入試)

選抜区分募集人員主な試験科目
総合型選抜23名小論文、実技、面接(プレゼンテーションを含む)。事前課題のプレゼンテーションボード(A2サイズ)2枚と、作品ポートフォリオ(A4サイズ以上)が必要
学校推薦型選抜(公募制)20名書類選考、実技(鉛筆デッサンまたはデザインプレゼンテーションのいずれかを4時間で選択)、面接。自作作品5点を持参
校友枠選抜若干名校友枠選抜の募集要項を参照
一般選抜 N全学統一方式(第1期)学力検査型2名国語、外国語(各100点)、地理歴史・公民・数学・理科から1科目(100点)
一般選抜 N全学統一方式(第1期)専門試験併用型20名学力検査(外国語・国語)と専門試験の総合点で判定。実技(デッサンまたはプレゼンテーションを4時間で選択)、面接(専門試験300点)。自作作品5点を持参
一般選抜 N全学統一方式(第2期)学力検査型2名国語、外国語、地理歴史・公民・数学・理科などから2科目(100点×2)
編入学・転部試験(2年次・3年次)若干名書類選考、実技(デッサンまたはプレゼンテーション4時間)、面接

入試結果:志願者数・合格者数

公式サイトの2027年度入試のページには、昨年度の参考として2026年度入試の結果が掲載されています。このうち、美術学科の一般選抜N全学統一方式(第1期学力検査型・第1期専門試験併用型・第2期学力検査型の3方式の合算)の数字は次のとおりです。

方式志願者数受験者数合格者数
第1期 学力検査型107名102名7名
第1期 専門試験併用型89名79名24名
第2期 学力検査型15名8名1名
3方式の合計211名189名32名

この数字だけを見ると、受験者189名に対して合格者32名で、受験者数を合格者数で割ると約5.9倍になります(編集部の計算)。ただし、これは美術学科の一般選抜N全学統一方式3方式に限った数字で、総合型選抜や学校推薦型選抜は含まれていません。倍率は大学ごと、また選抜区分ごとに対象の範囲が違うため、ほかの大学の倍率と単純には比べられません。参考までに、デザイン学科の同じ3方式の合計は、志願者331名、受験者248名、合格者50名でした。

別の角度から見るために、学部全体の資料も確認しました。公式の情報公開資料「入学定員及び入学者数」(2026年5月1日現在)では、美術学科の入学定員が60名、志願者数386名、受験者数347名、合格者数86名、入学者数60名となっています。デザイン学科は入学定員100名、志願者数551名、受験者数448名、合格者数133名、入学者数101名です。この資料には選抜方式ごとの内訳が記されていないため、先ほどの一般選抜の数字とは対象の範囲が異なります。

キャンパスと施設

日藝のキャンパスは、東京都練馬区旭丘にある江古田キャンパスです。公式サイトのアクセス案内によれば、西武池袋線の江古田駅北口から徒歩約1分、都営大江戸線の新江古田駅A2出口から徒歩約9分、東京メトロ有楽町線・副都心線の小竹向原駅2番出口から徒歩約11分の位置にあります。駅からほぼそのままキャンパスに着く、通学しやすい立地です。

日本大学芸術学部 江古田キャンパス
日本大学芸術学部 江古田キャンパス(2013年)/撮影:Sun Taro(CC BY-SA 2.0)/出典:Wikimedia Commons

公式の情報公開資料「キャンパス概要」(2026年5月1日現在)によれば、江古田キャンパスの校地は27,294.58平方メートル、校舎の延床面積は55,316.15平方メートルで、棟数は18です。同じ資料には所沢キャンパスも載っており、校地は115,940.98平方メートル、校舎の延床面積は41,326.74平方メートル、棟数は33と記されています。沿革で触れたとおり、江古田キャンパスでは2007年から2010年にかけて東棟、南棟、食堂棟、大ホール棟、西棟、北棟、ギャラリー棟が次々に竣工し、2019年にA棟が加わりました。2019年4月からは全学年で江古田修学が始まっています。

学部の付属施設として、公式サイトの施設紹介には図書館、芸術資料館、芸術研究所が挙げられています。芸術資料館は1994年、芸術研究所は1969年に設置されました。芸術研究所は研究と教育を一体で進める支援のほか、国際シンポジウムや公開講座、公演などを通じた成果の社会還元、企業や公的機関との共同研究、紀要の発行などを行っています。紀要は2021年度から電子版のみとなり、J-STAGEで公開されています。

美術学科には絵画、石彫、版画、金属、木工の各アトリエがあると公式に紹介されています。絵画から彫刻、版画までを同じ学科の中で扱うため、素材ごとの専用のアトリエが整えられていることが分かります。デザイン学科についても、教員の担当科目として図学、立体基礎、ドローイング、タイポグラフィ論などが公式サイトに挙げられています。

世界大学ランキングでの位置づけ

QS(クアクアレリ・シモンズ)社が発表する「QS世界大学ランキング アート&デザイン部門」の2026年版には、日本大学は掲載されていません。編集部でもQSの公式サイトで確認したところ、日本の大学で掲載されているのは、東京大学・千葉大学・筑波大学・京都大学・武蔵野大学・東京藝術大学・慶應義塾大学・京都工芸繊維大学・九州大学・早稲田大学の10校でした(武蔵野大学は武蔵野美術大学とは別の大学です)。

これは、日藝の教育の質が低いということを意味しません。このランキングの配点は学術評判が90%、雇用者評判が10%で、世界の研究者や採用担当者へのアンケートが中心です。国際的な研究の評判が順位に表れやすい仕組みなので、掲載の有無は教育の中身とは別の話として読むほうが正確です。詳しい算出方法や各大学の順位は、アート&デザイン部門QS世界大学ランキングの解説記事をご覧ください。

卒業後の進路

日藝は、卒業者の進路状況を公式サイトの情報公開資料で公開しています。2026年5月1日現在の学部の数字は次のとおりです。対象の卒業年度は資料に明記されていないため、ここでは資料の基準日だけを示します。ここで示すのは美術学科だけではなく、8学科すべての卒業者の合計です。

区分人数
卒業者855名
就職者559名(企業等540名・公務員5名・教員14名)
進学・留学者83名(大学院進学69名・大学進学2名・その他の進学12名)
上記以外213名(一時的就職104名・その他105名)
就職希望者就職率91%
卒業者就職率65%

資料には2つの就職率が並んでおり、分母が違います。「就職希望者就職率」は就職を希望した人のうち就職した人の割合で91%、「卒業者就職率」は卒業者全体に対する就職者の割合で65%です。美術やデザイン、芸術の分野では、作家・フリーランスとして活動する人や、進路が決まっていない人も一定数いるため、2つの数字を並べて見ることが大切です。名前が似ていても中身が違うので、ほかの大学の数字と見比べるときは定義をそろえる必要があります。

就職者559名の産業別の内訳は、情報通信業が171名ともっとも多く、サービス業が133名、学術研究・専門・技術サービス業が68名、卸売・小売業が54名、製造業が41名と続きます。映像・放送・出版・広告など、情報通信とサービス業が中心になっているのは、8学科の構成を反映していると考えられます。

主な就職先は、学科別に公式サイトで公開されています(2026年3月31日現在、順不同、法人格は省略)。美術学科はエヌ・エイチ・ケイ・アート、カイカイキキ、ドン・キホーテ、吉田カバンなど、デザイン学科はZOZO、グラニフ、パナソニック、ぺんてる、Hakuhodo DY ONEなどです。デザイン学科のページには、過去3年間の就職先として、電通、博報堂、積水ハウス、日産自動車、三菱電機などが含まれると書かれています。進路の幅は広く、デザイン学科の卒業生は広告代理店、デザイン事務所、メーカー、建築・設計事務所、建設会社などで活躍しているとされています。

主な卒業生

公式サイトの「卒業生の活躍」ページには、8学科の卒業生が学科別に紹介されています。美術学科とデザイン学科の項目から、一部をご紹介します。

  • 美術学科:青山剛昌(漫画家)、安西水丸(イラストレーター・エッセイスト)、飯田竜太(現代美術作家)、多和圭三(彫刻家)
  • デザイン学科:荒井良二(イラストレーター・絵本作家)、松井龍哉(ロボットデザイナー)、土屋公雄(環境彫刻家)

公式サイトには、デザイン学科は1996年度に美術学科から独立して誕生したため、それ以前の卒業生は美術学科デザインコース時代の卒業にあたる、と注記されています。

美術学科の項目には、漫画家やイラストレーター、彫刻家、現代美術作家と、さまざまな領域の人が並んでいます。公式サイトの教員紹介には飯田竜太の名前が彫刻の准教授として載っており、卒業生が教える側に立っているという循環も見えます。ほかの学科にも、写真、映画、音楽、文芸、演劇、放送の各分野で活躍する卒業生が多数紹介されていますので、気になる方は公式サイトのページで確認してみてください。

まとめ

いかがだったでしょうか。日本大学芸術学部について見てきました。要点は次の7つです。

  • 1921年に日本大学法文学部内の美学科として始まり、1949年に新制の芸術学部として発足しました。1996年のデザイン学科の増設で、現在の8学科が揃いました
  • 学部は写真・映画・美術・音楽・文芸・演劇・放送・デザインの8学科で、学生数は3,782名(2026年5月1日現在)です。美術学科の入学定員は60名、デザイン学科は100名です
  • 美術学科は絵画コース(絵画・版画専攻)と彫刻コース(彫刻・地域芸術専攻)の2コース4専攻、デザイン学科は2年次からビジュアルコミュニケーション、プロダクト、建築の各分野を選びます
  • 2027年度入学者の美術学科の学費は、初年度が1,910,000円、2年次以降が年額1,650,000円です。4年間では編集部の計算で6,860,000円になります(学科によって異なります)
  • 入試は総合型選抜、学校推薦型選抜、校友枠選抜、一般選抜(N全学統一方式)、編入学・転部試験があります。美術学科は実技とポートフォリオ、レポートを重視した選抜が中心です
  • QS世界大学ランキング アート&デザイン部門2026年版には掲載されていません。掲載の有無は教育の質を示すものではありません
  • 卒業者855名のうち就職者は559名で、就職希望者就職率は91%、卒業者就職率は65%です(8学科の合計、2026年5月1日現在)

学費や入試の方式、募集人員は年度ごとに変わります。出願を具体的に考える段階では、必ず公式サイトで最新の情報をご確認ください。

Euphoric " " の視点

日藝の特徴は、8つの芸術が同じキャンパスにあることです。公式サイトによれば、2019年4月から全学年が江古田で学んでいます。美術の学生とデザインの学生、映画や音楽、文芸の学生が、同じキャンパスで学ぶ体制です。美術大学の多くが一つか二つの領域に絞って深く掘るのに対し、日藝は領域を横に広く並べる選択をしています。

この構造は、美術学科にとって長所にも短所にもなると考えます。美術学科の入学定員は60名で、学部全体の866名のうち約7%にすぎません。映画学科150名や演劇学科126名と比べると、キャンパスの中では小さな集団です。ただ、その小ささは、少人数で制作に向き合える利点でもあります。隣に映像や音楽、文芸の人がいる環境で、自分の制作を言葉にし続けられるかどうかが、この学部での4年間の質を分けるのではないでしょうか。

編集部が注目したいのは、美術学科の地域芸術専攻です。公式サイトは「アートの力で社会課題に向き合う実践力を養います」と説明し、3年次にはリサーチアートや企業のメセナ活動への参加を挙げています。作品を描く、彫るという従来の美術に加えて、社会とつながる実践を専攻として独立させた点は、学科全体の方向を示していると読めます。彫刻コースが2004年から「大地の芸術祭」に参加していることも、その延長にあります。

もう一つ、数字の読み方を挙げます。卒業者の就職率には、就職希望者を分母にした91%と、卒業者全体を分母にした65%の2つがあります。どちらも正しい数字ですが、読み取れることは違います。進路が一つに定まらない芸術の分野で、学校がどちらの数字を前に出すかによって、受け取る印象は大きく変わります。進学先を比べるときは、率の大きさより、分母が何なのかを先に見るほうが誠実だと考えます。

出願に向けてポートフォリオを用意する段階でお悩みの方は、ポートフォリオ添削サービス「PORTFOLIO SENSEI」もあわせてご覧ください。

もっと知るには

本記事の情報は、日本大学芸術学部の公式サイト(art.nihon-u.ac.jp)をもとに確認しています。学費・入試日程・募集人員は年度ごとに変わりますので、出願の際は下記の公式ページで最新の情報をご確認ください。

海外の美術系大学と比較したい方は、QS世界大学ランキング アート&デザイン部門の解説もあわせてご覧ください。国内の美術大学を比べたい方は国内美大の比較記事、国内の他の芸術・美術大学については国内の芸術・美術大学のアート&デザイン学部/専攻をまとめた記事もご用意しています。

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