構図は英語で?foreground・focal pointで絵を説明する【アート英語 第4回】

構図は英語で?foreground・focal pointで絵を説明する【アート英語 第4回】
ピーテル・ブリューゲル(父)《穀物の収穫》1565年 画像:The Metropolitan Museum of Art, Rogers Fund, 1919(19.164)/Open Access(CC0)

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ART ENGLISH 04/ 15PART A 見て描写する

全15回のうち 第4回

連載「美術館の英語を読める人になる」

foreground / focal point構図

「構図」を英語で言うと composition。では、「手前に」「奥に」「視線が集まる場所」は英語でどう言えばよいのでしょうか。この記事は、連載「美術館の英語を読める人になる」の第4回です。広い風景の中にたくさんの人が描かれた絵を1枚見ながら、画面の組み立てを英語で説明する言い方を確かめていきます。

連載の全体像と学ぶ順番は、アート英語カリキュラム 目次にまとめています。

読了目安 約15分(練習問題を含む)使える型 3つ練習問題 3問

今日のゴール

この回を読むと、foreground・background、diagonal、focal point を使って、絵の画面がどう組み立てられているかを英語で説明できるようになります。

この回で扱う言葉

compositionforegroundmiddle groundbackgrounddiagonalfocal pointhorizonperspective
先に答え:構図を説明する英語の早見表
構図・画面構成compositionThe composition is organized around ~
前景(画面の手前)foregroundin the foreground
中景middle groundin the middle ground
背景・遠景(画面の奥)backgroundin the background
視線が集まる場所・見せ場focal pointthe focal point of the composition
対角線・斜めの線diagonalon a diagonal, a strong diagonal
地平線・水平線horizona high / low horizon
遠近法perspectivelinear perspective, aerial perspective

今日の1枚

ピーテル・ブリューゲル(父)《穀物の収穫》(1565年)、メトロポリタン美術館。黄金色の麦畑で農民たちが麦を刈り、手前の木陰では人々が食事をとり一人が眠っている。奥には村と教会、霞んだ水辺が広がる油彩画。
ピーテル・ブリューゲル(父)《穀物の収穫》1565年 画像:The Metropolitan Museum of Art, Rogers Fund, 1919(19.164)/Open Access(CC0)
《穀物の収穫》の部分拡大。木の根元で食べたり飲んだりする農民の一団。白っぽいシャツや頭巾が目立つ。DETAIL
部分拡大:木の下の一団前景で食べたり飲んだりする人々。この一団が画面の見せ場(焦点)です
《穀物の収穫》の部分拡大。遠景。村と教会の先に、船の浮かぶ水辺が淡い青の霞に溶けていく。DETAIL
部分拡大:遠くの景色村や教会、船の浮かぶ遠くの水辺。地平線の近くは淡く青い霞へと移り変わります

美術館で作品の横に貼られている作品ラベルの形で見てみます。ラベルの読み方そのものは第6回で詳しく扱います。この作品は寸法の欄が長いのが特徴です(後で少し触れます)。

MUSEUM LABEL

Pieter Bruegel the Elder (Netherlandish, ca. 1525–1569)
The Harvesters, 1565
Oil on oak
Overall, including added strips at top, bottom, and right, 46 7/8 × 63 3/4 in. (119 × 162 cm); original painted surface 45 7/8 × 62 7/8 in. (116.5 × 159.5 cm)
The Metropolitan Museum of Art, Rogers Fund, 1919 (19.164)

作品名
《穀物の収穫》
作家
ピーテル・ブリューゲル(父)(ネーデルラント、1525年頃–1569)
制作年
1565年
素材・技法
油彩、オーク板
サイズ
全体(上・下・右の継ぎ足し部分を含む)119 × 162 cm/当初の画面 116.5 × 159.5 cm
所蔵
メトロポリタン美術館(ニューヨーク)ヨーロッパ絵画部門
クレジット
Rogers Fund, 1919(19.164)
画像
The Met Open Access(CC0)/作品ページ(The Met)

この作品は、アントウェルペンの裕福な商人の邸宅のために描かれた、一年の季節をめぐる連作の1点です。連作はもともと6点だったとされ(12点だったという説もあります)、現存するのは5点。

メトロポリタン美術館の《穀物の収穫》のほかは、ウィーン美術史美術館の3点(《暗い日》《牛群の帰り》《雪中の狩人》)と、プラハの《干し草の収穫》です。ブリューゲルについてはピーテル・ブリューゲル(父)の解説記事で詳しく紹介しています。

美術館の解説文で読む

美術館の壁に掲げられる解説文(ウォールテキスト)の書き方にならって、この作品の解説を英語で書きました(Euphoric " " によるオリジナルの文章です)。まず英文を通して読み、そのあと訳で確認してください。

WALL TEXTPieter Bruegel the Elder, The Harvesters, 1565

In the foreground1, harvesters eat and drink under a tree while one man sleeps. Their pale shirts and headcloths help make this group the focal point2. To the left, other workers are still cutting wheat with scythes. A wall of uncut grain runs on a diagonal toward the middle ground, and a path cut through it leads the eye into the distance3. Beyond the fields, the land falls away to a village, a church, and distant water with ships. The high horizon lets the view extend deep into the background. Near the horizon, the golden palette gives way to a pale blue haze, an effect called aerial perspective4. Painted in 1565, the picture belongs to a series5 on the times of the year; five of the six panels survive.

下線と番号は、このあとの「読み解き」1〜5に対応しています。

全訳を読む

訳:前景では、収穫をする人々が木の下で食べたり飲んだりしていて、一人の男が眠っています。白っぽいシャツや頭巾も手伝って、この一団が画面の見せ場(焦点)になっています。その左では、ほかの農民たちがまだ大鎌で麦を刈っています。刈り残された麦が壁のように斜めに中景へと続き、そこを切り開いた小道が、見る人の視線を遠くへと導きます。畑の向こうでは土地がなだらかに下り、村や教会、そして船の浮かぶ遠くの水辺へと続いています。地平線が高い位置にあるため、眺めは背景の奥深くまで広がります。地平線の近くでは、黄金色の色づかいが淡く青い霞へと移り変わります。これは空気遠近法と呼ばれる効果です。1565年に描かれたこの絵は、一年の季節をめぐる連作の1点で、6枚の板絵のうち5枚が現存しています。

読み解き:なぜこの言い方なのか

In the foreground:画面を「手前・中・奥」の3層で見る

風景画の解説文は、多くの場合、画面を奥行きの3つの層に分けて説明します。

手前が foreground(前景)、真ん中が middle ground(中景)、奥が background(背景・遠景)です。

この解説文も、前景の人々 → 中景の麦の壁 → 背景の村と水辺、という順に視線を奥へ運んでいます。

前置詞は in を使います。層を「場所の広がり」として捉えるからです。

✕
In front of the picture, people are eating.(「絵の前で(=絵の外の、見ている人のいる場所で)人々が食べている」と読めてしまう)
○
In the foreground, people are eating.

日本語の「絵の手前に」をそのまま in front of the picture とすると、絵の外の話になってしまう点に注意が必要です。

ここで、第1回で出てきた ground との違いも整理しておきます。第1回の a dark ground は、画面全体に敷かれた地の色・下地のことでした。background は描かれた空間の奥のほうです。

肖像画の暗い背景は、どちらの語でも言える場合がありますが、「奥行きのある空間の遠く」を言うときは background、「絵の具や素描の下に敷かれた色の面」を言うときは ground と考えると区別しやすくなります。

middle ground は2語で書くのが一般的です(middleground と1語で書く例もあります)。

help make this group the focal point:「中心」と「焦点」は違う

focal point は、もとはレンズの「焦点」。絵画では見る人の視線が最も集まる場所を言います。日本語の「見せ場」に近い語です。

注意したいのは、focal point は画面の真ん中とは限らないということです。

この絵の休んでいる一団は、画面の右下寄りにいます。それでも、いちばん手前にいること、画面の中央にそびえる木の根元に集まっていること、そして周りの黄色や茶色の中で白っぽいシャツや頭巾が目立つことから、視線が集まります。

✕
The center of the picture is the resting group.(位置として事実と合わない)
○
The resting group is the focal point of the picture.

解説文の Their pale shirts and headcloths help make this group the focal point. は、make + 目的語 + 名詞(~を…にする)の形です。「なぜそこが焦点なのか」という理由(白っぽい服)を主語に置いているので、ただ「焦点は一団です」と言うより説得力が出ます。

理由を添えて言うのが、解説文らしい書き方です。

ここで help が入っているのは、白い服が理由の一つにすぎないからです。左で麦を刈る人たちも白いシャツを着ており、白さだけで焦点が決まるわけではありません。

help make(~にするのを助けている)とすると、ほかの理由(手前の位置、中央の木)もあることを含ませられます。理由が一つに決めきれないときに、言い過ぎを避ける書き方です。

第3回で学んだ in strong contrast to ~ を使えば、Their pale clothes stand out in strong contrast to the golden wheat.(白っぽい服が、黄金色の麦との対比で目立つ)と、理由そのものを言うこともできます。

runs on a diagonal/leads the eye into the distance:視線の道筋を言う

diagonal は「対角線・斜めの線」。名詞として on a diagonal(斜めに)、a strong diagonal(力強い斜めの線)、副詞として diagonally(斜めに)と使えます。

水平・垂直の線は落ち着いた印象、斜めの線は動きや奥行きを生む、という説明は構図の解説文の定番です。

lead the eye は「(見る人の)視線を導く」。構図の説明で非常によく使われる言い方です。ここでの the eye は特定の誰かの目ではなく、「見る人の目」一般を指します。

△
The path leads our eyes to the distance.(意味は通じるが、解説文の言い方としてはやや不自然)
○
The path leads the eye into the distance.

前置詞は、行き先が「点」なら to(leads the eye to the church)、「奥行きのある空間」なら into(into the distance、into the background)を選ぶと自然です。似た言い方に draw the eye to ~(~に視線を引きつける)、guide the eye(視線を導く)もあります。

The high horizon/aerial perspective:遠近法は2種類ある

horizon は地平線・水平線。構図の説明では「画面のどの高さにあるか」が大切で、a high horizon(高い地平線)なら地面が大きく広がり、遠くまで見渡す眺めになります。a low horizon なら空が大きく取られます。

発音は「ホライズン」で、「ホ」ではなく「ライ」の部分に強勢が来ます(ho-RI-zon)。

日本語の「遠近法」に当たる perspective には、大きく2種類あります。

linear perspective
線遠近法・透視図法
平行な線が奥へ行くほど近づき、1点(vanishing point=消失点)に集まるように描く
aerial perspective(atmospheric perspective)
空気遠近法
遠くのものほど色が淡く、青っぽく、輪郭がぼやけて見えるように描く

建物の並ぶ街の絵では、道や建物の線が集まる vanishing point を指摘するのが定番です。

一方、この作品の奥行きは、線が1点に集まることよりも、遠くの景色が淡い青の霞に溶けていくことで生まれています。

解説文が an effect called aerial perspective と書いているのはそのためです。

ここで使われている palette は第2回で学んだ語で、「黄金色の色づかい」です。gives way to ~ は「~に取って代わられる・~へと移り変わる」。色づかいが手前の黄金色から奥の淡い青へ変わっていくことを言っています。色の言葉と構図の言葉は、このように組み合わせて使われます。

Painted in 1565, the picture belongs to a series:picture と時制

第1回で、picture は絵・写真を含む広い語で、in the picture は「画面の中で」だと学びました。ここでは the picture が作品そのものを指しています。

英語の文章が同じ語の繰り返しを避けて言い換えることは第1回でも見ましたが、この解説文も painting を一度も使わず、the picture で作品を指しています。構図の話では、画面の表面を the picture plane(画面)と呼ぶこともあります。

時制にも注目してください。Painted in 1565 は作家が描いた過去の行為、belongs、survive は今も変わらない事実なので現在形です。解説文の前半(人々が食べ、眠り、刈っている)もすべて現在形で、これは今この画面で見えていることだからです。第1回から続けて見てきた時制の使い分けが、ここでも守られています。

なお、文頭の Painted in 1565, ~ のように過去分詞で始めて制作年を添える形は、解説文で非常によく使われます。

第7回で詳しく扱います。

また、ラベルの寸法欄に including added strips at top, bottom, and right(上・下・右に継ぎ足された細板を含む)とあるのは、板の端に後から細長い板が足されているためです。当初の画面(original painted surface)の寸法も別に書かれています。寸法欄の読み方は第6回で扱います。

使える型3つ

In the foreground, ~.(型1:前景では~)

画面の層を文頭に置いて、そこに何があるかを言う形です。middle ground、background でも同じように使えます。

In the foreground, two dogs are sleeping by the fire.前景では、2匹の犬が暖炉のそばで眠っています。
In the background, a mountain rises above the town.背景には、町の上に山がそびえています。
~ leads the eye to / into ~(型2:~が視線を…へ導く)

道・川・線などが、見る人の視線をどこへ運ぶかを言う形です。行き先が点なら to、空間なら into。

The river leads the eye to a small bridge.川が、視線を小さな橋へと導きます。
A row of trees leads the eye into the background.並木が、視線を画面の奥へと導きます。
The composition is organized around ~.(型3:構図は~を軸に組み立てられている)

画面全体の組み立ての「軸」を一言で言う形です。人物、線、形など、軸になるものを around の後ろに置きます。organize は米式の綴りです(英式は organise)。

The composition is organized around a single standing figure.構図は、1人の立ち姿の人物を軸に組み立てられています。
The composition is organized around a strong diagonal.構図は、力強い斜めの線を軸に組み立てられています。

練習問題

Q1選択

( )に入る語を選んでください。

  1. (In / On) the foreground, a woman is reading a letter.
  2. The road (leads / takes) the eye into the distance.
  3. Distant hills look paler and bluer because of (linear / aerial) perspective.
模範解答を見る
  1. In:前景・中景・背景の前置詞は in です。
  2. leads:「視線を導く」は lead the eye が決まった言い方です。
  3. aerial:遠くが淡く青く見える効果は aerial perspective(空気遠近法)。線が1点に集まるのは linear perspective です。
Q2型1を使う

型1を使って、次の日本語を英語にしてください。
「前景では、子どもたちが川で遊んでいます。」

模範解答を見る

In the foreground, children are playing in a river.

画面で今見えていることなので現在形(現在進行形)で書きます。Children are playing in a river in the foreground. と後ろに置くこともできますが、層を文頭に置くと、画面のどこの話かが先に伝わります。

Q3自由作文

好きな作品を1点選び、前景・背景・視線の流れのうち2つ以上を使って、構図を英語で1〜2文説明してください。

解答例を見る

In the foreground, a boat sits on the beach. The shoreline leads the eye to a lighthouse in the background.

The composition is organized around a woman at a window. Her white dress makes her the focal point.

答えは作品によって変わります。「型1で前景、型2で視線の流れ」または「型3で軸、make ~ the focal point で理由」の2文にすると、まとまった説明になります。

前回の復習

第3回 光と影(chiaroscuro・sfumato)の言葉を使って、3問だけ解いてみましょう。

R1穴埋め

( )に入る語を入れてください。

The light falls ( ) the right.

答えを見る

from:光の来る方向は fall from。何に当たるかを言うなら fall on です。

R2選択

( )に入る語を選んでください。

The sun (illuminates / shines) the harvesters’ white shirts.

答えを見る

illuminates:「~を照らす」は illuminate(または light)。shine を使うなら shines on です。

R3和文英訳

次の日本語を英語にしてください。
「一人の人物が、暗闇から浮かび上がっています。」

答えを見る

A figure emerges from the darkness.

描写なので現在形です。肖像画のモデル本人なら sitter、描かれた人物一般なら figure を使います。

次回予告と目次

フィンセント・ファン・ゴッホ《麦わら帽子の自画像》(1887年)、メトロポリタン美術館。黄色い麦わら帽子をかぶった男性の顔を、短い筆跡を並べて描いた油彩画の一部。NEXT 05

第5回 筆の跡と質感brushwork・impasto

ゴール:brushwork・impasto・glaze を使って、絵の表面(絵肌)を英語で説明できるようになる。

画像:フィンセント・ファン・ゴッホ《麦わら帽子の自画像》1887年 The Metropolitan Museum of Art, Bequest of Miss Adelaide Milton de Groot (1876-1967), 1967(67.187.70a)/Open Access(CC0)

全15回の一覧と、学んだ回のチェック表はアート英語カリキュラム 目次にあります。

全15回の目次を見る
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