こんにちは。ユアムーン株式会社 編集部です。
皆さんは筑波大学 芸術専門学群をご存知ですか。筑波大学は茨城県つくば市にある国立の総合大学で、その中に、美術とデザインを専門に学ぶ「芸術専門学群」が置かれています。1学年100名という少人数のなかに、洋画・日本画・彫塑・書・版画から、ビジュアルデザイン、環境デザイン、建築デザイン、さらに美術史や芸術支援まで、合わせて14の領域が並んでいるのが大きな特徴です。
本記事は、筑波大学全体ではなく、芸術専門学群と、それにつながる大学院の芸術・デザイン系の学位プログラムに絞った解説です。基本情報、沿革、14領域で何を学べるのか、2026年度の学費、2027年度入試の方式、キャンパスと施設、卒業後の進路、ゆかりのある卒業生まで、筑波大学と芸術専門学群の公式サイト(tsukuba.ac.jp、geijutsu.tsukuba.ac.jp)で確認できた情報をもとにご紹介します。国際的な大学ランキングでの位置づけも、誤解のないように整理しました。それでは早速いってみましょう。
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Toggle筑波大学 芸術専門学群って?
基本情報
| 大学名 | 筑波大学(英語名 University of Tsukuba)。本記事で扱うのは芸術専門学群(英語表記 School of Art and Design)と、関連する大学院の学位プログラムです |
|---|---|
| 開学 | 1973年10月。東京教育大学の移転を契機に、総合大学として発足しました |
| 芸術専門学群の設置 | 1975年4月。第二学群、大学院修士課程・博士課程とともに設置されました |
| 所在地 | 茨城県つくば市(筑波研究学園都市) |
| 設置者 | 国立大学法人筑波大学(2004年4月設置) |
| 募集人員 | 芸術専門学群は合計100名。領域ごとの定員はありません(2027年度入試) |
| 学位 | 学士(芸術学) |
| 取得できる資格 | 中学校一種免許状(美術)、高等学校一種免許状(美術・工芸・書道)、博物館学芸員資格 |
| 教育目標(学群) | 総合大学の中に位置づけられた芸術教育の場としての特色を活かし、学際的・国際的な視野と確かな学力を持ち、かつ柔軟な発想力と豊かな表現力を備え、創造的活力に満ちた美術及びデザインの専門家を養成することを目指す(筑波大学の学群紹介ページより) |
筑波大学の沿革ページは、本学が「開かれた大学」「教育と研究の新しい仕組み」「新しい大学自治」を特色とした総合大学として発足したと説明しています。学長メッセージでは、その歴史を1872年に創立された師範学校から東京教育大学に至る流れの上に置いたうえで、1973年に「新構想大学」として生まれ変わったと述べています。芸術専門学群はその新しい大学のなかで、美術とデザインの専門教育を担う組織です。
求める学生像も公式に示されています。筑波大学入試情報サイトのアドミッション・ポリシーによれば、芸術専門学群は「芸術を追求する熱意のある人材」を求め、社会的・国際的な視点で創造活動に挑戦する意欲や、多分野の知識・方法を使って美術・デザインで社会に貢献しようとする意欲を重視するとしています。入学までに、美術・デザインの基礎的な知識と技能、そして幅広い基礎学力を身につけておくことが望ましいとも書かれています。
新構想大学のなかの芸術専門学群、その歩み
筑波大学の沿革は、1960年代の「移転」の議論から始まります。公式サイトの年表には、1962年9月に東京教育大学が5学部の統合移転候補地の調査を決定し、1963年9月に研究学園都市を筑波地区に建設することが閣議了解された、と記録されています。1970年5月には筑波研究学園都市建設法が成立しました。そして1973年10月、国立学校設置法等の一部を改正する法律により筑波大学が設置され、第一学群、医学専門学群、体育専門学群及び附属図書館をもって開学しました。このとき三輪知雄が学長に就任しています。
芸術専門学群が加わったのは、その2年後です。年表には「1975.4 第二学群、芸術専門学群、大学院修士課程及び大学院博士課程を設置」とあります。1978年3月には東京教育大学が閉学しました。芸術の分野でいえば、日本の大学で「芸術学専攻」を最初に取り入れたのは、筑波大学の前身である東京教育大学に1949年に設置された芸術学科であると、美術史領域のページに書かれています。芸術専門学群の美術史領域は、その伝統を直接受け継いでいるという位置づけです。
その後の大きな節目を、公式の年表から拾っておきます。
| 年 | できごと(公式サイトの沿革より) |
|---|---|
| 1973年10月 | 筑波大学を設置。第一学群、医学専門学群、体育専門学群及び附属図書館で開学 |
| 1975年4月 | 第二学群、芸術専門学群、大学院修士課程及び博士課程を設置 |
| 1978年3月 | 東京教育大学を閉学 |
| 2002年10月 | 図書館情報大学と統合 |
| 2004年4月 | 国立大学法人筑波大学を設置 |
| 2007年4月 | 学群の改組・再編により、人文・文化学群、社会・国際学群、人間学群、生命環境学群、理工学群、情報学群及び医学群を設置 |
| 2020年4月 | 学士課程に総合学域群を設置。大学院は人間総合科学学術院など三つの学術院に改組され、学位プログラム制に移行 |
| 2020年10月 | 文部科学省が、第4期中期目標期間における指定国立大学法人として指定 |
2020年の学位プログラム制への移行以降、大学院の芸術・デザイン系は、後述する人間総合科学学術院のもとに置かれています。
14領域、何をどう学べるのか
芸術専門学群の教育の骨格は、公式サイトの「教育目標」に整理されています。1・2年次は、様々な科目を自由に横断的に履修しながら、専門にとらわれない芸術の基礎を学びます。3年次以降に諸領域の高度で専門的な科目を学び、テーマを絞り込んで、4年次の卒業研究へとつなげる流れです。3・4年次の専門教育は可能な限り少人数のクラスとし、対話を通して個性を伸ばす指導を行うとしています。入試で選ぶ実技検査の科目が、入学後の領域の決定に影響することはないと入試ページに明記されています。
もうひとつの特徴が、卒業要件です。公式サイトは「開学以来、卒業制作と論文執筆の二つを卒業要件としてきました」と説明しています。ものづくりを実践する一方で、文章作成能力と論理的な思考方法を養う、という考え方です。卒業研究は学外の公立美術館で公開展示されると書かれており、筑波大学の学群紹介ページには、毎年2月に茨城県つくば美術館で、その年度の卒業生全員による卒業制作展を開催するとあります。美術史・芸術支援の両領域は論文、その他の領域は作品と論文が課され、優秀作品は筑波大学芸術賞や茗渓会賞として顕彰されます。
14領域の内容は、各領域のページで次のように紹介されています。
| 領域 | 学べる内容(公式サイトの紹介より) |
|---|---|
| 美術史 | 古代から現代にいたるさまざまな時代や地域の芸術を学び、「芸術とはなにか」という根本的な問題を考えます。東京教育大学に1949年に設置された芸術学科の伝統を受け継いでいます |
| 芸術支援 | 「芸術による社会貢献者」の育成を目指して、平成15年度(2003年度)に設置された領域です。芸術教育の研究を基礎に、芸術支援活動の理論と方法を専門に学びます。美術館教育演習などの科目があります |
| 洋画 | 素描実習から専門的な油絵技法へ進む油絵基礎実習、古典から現代までの技法を演習する洋画技法演習などが組まれ、最後に自分の課題を卒業研究としてまとめます |
| 日本画 | 日本画独自の素材と伝統的技術を実習で学びます。日本画実習を中心に、素描実習、古典模写などの技法演習、野外風景実習があり、4年次に卒業制作を課します |
| 彫塑 | 塑造と彫刻に大別されます。塑造実習は頭像・胸像から全身像へと進み、彫刻実習は木彫と石彫に分かれ、鋳造実習やテラコッタ実習もあります |
| 書 | 書家や書の研究者として自立できる人材の養成を目的とします。「書概論」「日本書道史」「中国書法史」などの講義科目と、漢字・仮名の制作を含む実習科目があり、卒業研究では制作と論文の双方が要件です |
| 版画 | 凸版・凹版・平版・孔版の4つの版種を中心に、基礎的な知識と技術を制作を通して修得します。1・2年は概論と基礎実習、3・4年は実技を通した専門科目です |
| 構成 | 造形に共通する基礎的で重要な問題を、理論と実技で専門的に教育します。形体、色彩、テクスチュア、コンポジション、発想法などを深く掘り下げます |
| 総合造形 | 20世紀の芸術を主題に、理論と実制作を通して芸術と社会との関わりを学びます。造形制作、メディアを使った制作、展示のあり方の学習の3つで教育課程が構成されています |
| 工芸 | ガラス、陶磁、木工・漆芸の3分野からなります。素材に関する演習・実習を通じて、専門的な知識、技術、造形力と、ものづくりの伝統への理解を養います |
| ビジュアルデザイン | 視覚に訴えて内容を美しく効果的に伝えるデザインを、総合的に学び研究します。理論と実践の有機的な結合を基本方針としています |
| 情報・プロダクトデザイン | 公式ページには、「身体の動きで演奏する電子楽器」「ストリートファニチュア」「コミュニケーションする楽器のデザイン」などの制作例のタイトルが並んでいます |
| 環境デザイン | 幅広い視点から「環境」をデザインし、研究する領域です。人間と環境の相互依存の関係を明らかにし、それに応じた環境の設計と計画を学びます |
| 建築デザイン | 建築のデザイン(企画、計画、設計など)の仕事に携わる人の養成を主目標とします。知識・技法の習得だけでなく、建築の存在理由を問い続ける人物の養成を心がけるとしています |
並べてみると、伝統的な絵画・彫刻・書・工芸の領域と、デザイン・建築の領域、そして美術史と芸術支援という「理論と社会」の領域が、一つの学群のなかに同居していることが分かります。書領域のページは、書の専門教育を行う組織について「全国の芸術系大学・学部の中で唯一といってよい」と述べています。工芸領域がガラス・陶磁・木工漆芸の3分野を持つことや、芸術支援領域のように美術館教育や芸術活動のサポートを正面から扱う領域があることも、学群の幅の広さを示しています。
総合大学にあることを生かした学びも、公式サイトが強調している点です。教育目標のページには、企業や行政、美術館などに学生を送ること、学外の「現場」から講師を招く授業を行うこと、芸術外の学生や教員、市民と協同する教育プログラムを展開することが書かれています。国際交流では、海外の交流協定大学(現在12大学)と留学生の交換や作品交流展、国際ワークショップなどを開催していると説明されています。

大学院で、さらに深く学ぶ
芸術専門学群の上には、人間総合科学学術院(人間総合科学研究群)の大学院があります。芸術ポータルが示す教育組織は、次のとおりです。
| 学位プログラム | 課程 | 公式サイトの説明 |
|---|---|---|
| 芸術学学位プログラム | 博士前期課程・博士後期課程 | 前期課程のページには、美術史、芸術支援、洋画、版画、日本画、彫塑、書、構成、総合造形、工芸、ビジュアルデザイン、環境デザインの12領域が挙げられています。後期課程は、芸術・デザインに関する高度な学識と専門的な能力を備え、理論から制作まで幅広い領域で国際的にも通用する研究者や高度職業人を送り出すことを目指しています |
| デザイン学学位プログラム | 博士前期課程・博士後期課程 | 1991年に大学院課程にデザイン学(修士、博士)を設置し、2020年度から学位プログラムとして運営しています。国際的トップリーダーの資質を持った高度専門職業人や、研究・教育機関の中核を担う研究者の養成を掲げています |
大学院の募集要項は、大学院募集要項サイト(ap-graduate.tsukuba.ac.jp)で公開され、各学位プログラムのページに入試情報へのリンクがあります。2027年度の芸術学学位プログラム(博士後期課程)の入試は1月実施と公式ページに記載されています。選抜方法や出願要件は年度ごとに変わりますので、志望する場合は必ず最新の募集要項を確認してください。
学費(2026年度)
筑波大学の学士課程の学費は、公式サイトの「入学料・授業料」のページで次のように示されています(2026年4月1日現在)。このページには、芸術専門学群だけに適用される別建ての金額の記載はなく、授業料の欄で除外されているのは学際サイエンス・デザイン専門学群のみです。つまり、芸術専門学群にも同じ額が当てはまると読めますが、ページに「芸術専門学群はこの額」という明記があるわけではない点は、念のため押さえておいてください。
| 項目 | 金額 | 備考 |
|---|---|---|
| 入学料 | 282,000円 | 入学手続き時に納付 |
| 授業料(年額) | 535,800円 | 第1期(4〜9月)267,900円、第2期(10〜3月)267,900円 |
| 初年度の合計(入学料+授業料) | 817,800円 | 編集部の計算 |
在学4年間に大学へ納める入学料と授業料を、編集部で公開情報をもとに計算すると、282,000円+535,800円×4年=2,425,200円になります。この計算に含めているのは入学料と授業料だけです。芸術専門学群ならではの制作材料費や実習費の金額は、公式サイトでは確認できませんでした。美術・デザインの学びでは、作品制作のための材料費や画材費が別途かかるのが一般的ですので、授業料とは分けて考える必要があります。また、住居費や食費などの生活費も含まれていません。
なお、同じページには、授業料の改定は2027年度以降に入学する外国人留学生のみが対象で、日本人学生は対象外であるという注記があります。学費は年度ごとに変わる可能性があるため、出願の際は必ず公式ページで最新の金額を確認してください。大学院の学費も同じ公式ページ(大学院の入学料・授業料)に掲載されています。
入試の方式(2027年度入試)
芸術専門学群の公式ページ「2027年度入試(2026年度実施)について」をもとに、2027年度入試の枠組みを整理します。募集人員の合計は100名で、領域ごとの定員はありません。入試日程や出願期間は年度ごとに変わりますので、本記事では日付に触れていません。学生募集要項と公式ページで必ず最新の情報を確認してください。
| 選抜区分 | 概要(公式ページより) |
|---|---|
| 推薦入試 | 高等学校における学習や活動の成果に加え、芸術に関する資質、意欲、能力を総合的に評価します。選抜方法は実技検査及び面接です |
| 外国学校経験者特別入試(第1種・第2種) | 学習・活動の成果(第1種は日本語能力を含む)に加え、芸術に関する資質、意欲、基礎的な能力を評価します。実技検査及び面接 |
| 国際バカロレア特別入試 | 国際バカロレア資格を取得した者が対象。募集は若干名。実技検査及び面接・口述試験 |
| 個別学力検査等(前期日程) | 「総合選抜」と「芸術専門学群選抜」があります。芸術専門学群選抜の募集人員は45名。大学入学共通テストと実技検査で選抜します |
| 個別学力検査等(後期日程) | 募集人員は10名。大学入学共通テストと実技検査で選抜します |
| Japan-Expert(学士)プログラム特別入試 | 募集は若干名。面接・口述試験。提出書類や作品等も含めて評価します |
前期日程の「総合選抜」で入学した学生は、1年次に総合学域群に所属し、本人の志望と成績や適性に基づいて、2年次から学類・専門学群に移行します。芸術専門学群を第一志望に決めている場合は、「芸術専門学群選抜」で出願する形になります。
共通テストと実技検査の配点
前期日程の芸術専門学群選抜は、大学入学共通テスト(6教科6科目)が730点、実技検査が730点で、合計1,460点です。2段階選抜は行いません。後期日程は、大学入学共通テスト(4教科4科目)が510点、実技検査が300点で、合計810点です。後期日程では、志願者数が募集人員に対する一定の倍率(約10倍)を超えた場合に2段階選抜を行うと書かれています。前期では共通テストと実技検査がほぼ同じ配点で、後期では共通テストの比重が高くなっていることが分かります。
実技検査は「選べる」
実技検査の科目は、午前に1科目(A1またはA2)、午後に1科目(P1〜P5)をあらかじめ選びます。公式ページは「計10通りの組み合わせから、自分が得意とする科目を選択」できると説明しています。
| 時間帯 | 科目記号 | 実技検査科目 |
|---|---|---|
| 午前 | A1 | 論述(美術やデザインに関する幅広い問題から出題) |
| A2 | 鉛筆デッサン | |
| 午後 | P1 | 論述(鑑賞) |
| P2 | 論述(デザイン構想) | |
| P3 | デッサン(木炭又は鉛筆) | |
| P4 | 平面構成 | |
| P5 | 書 |
この仕組みは、14領域を持つ学群ならではです。デッサンが得意な人も、論述で考えを組み立てるのが得意な人も、書に取り組んできた人も、自分の強みで受験できます。しかも先に触れたとおり、選んだ科目が入学後の領域の決定に影響することはありません。後期日程は、午前のA1またはA2から1科目を選ぶ形です。推薦入試にも同じ科目構成が用いられ、高校1校につき4名まで推薦できます。

直近の入試結果(2026年度入試)
大学の入試情報サイトが公表している令和8年度(2026年度)入学試験実施結果から、芸術専門学群の数字を拾います。年度や選抜区分で募集人員が異なる点に注意してください(2026年度の前期日程の募集は48名、後期日程は10名で、2027年度の前期45名とは異なります)。
| 選抜区分(2026年度入試) | 募集 | 志願者 | 倍率 | 合格者 |
|---|---|---|---|---|
| 一般選抜 前期日程 | 48名 | 175名 | 3.6倍 | 52名 |
| 一般選抜 後期日程 | 10名 | 163名 | 16.3倍(第1段階選抜後の受験者81名) | 14名 |
| (参考)学校推薦型選抜 | 35名 | 171名 | 4.9倍 | 35名 |
一般選抜(前期日程と後期日程の合算)では、志願者338名に対して合格者66名でした。後期日程は志願者が多く、第1段階選抜が行われたため、倍率が高く出ています。倍率の出し方や対象範囲は大学ごとに異なるので、他の大学の数字と単純に比べることはできません。推薦入試は、一般選抜には含めず別に示しています。
キャンパスと施設
筑波大学は、東京都心から北東へ約60kmの位置にある筑波研究学園都市の中核にある大学です。公式サイトによれば、研究学園地区は南北約18km、東西6kmに広がる約2,700haの敷地で、約60の教育・研究機関が集まっています。芸術専門学群もこのキャンパスにあります。アートギャラリーT+(ティータス)のアクセスページによれば、東京駅八重洲南口から高速バスでつくばセンターまで約65分、そこから筑波大学中央行きなどのバスに乗る行き方があります。

芸術専門学群らしい施設のひとつが、アートギャラリーT+です。公式の「ティータスについて」によれば、学生が主体となって運営しているギャラリーで、学生からギャラリー設置の声が高まり、2000年に設立計画がスタート、2001年9月に「芸専ギャラリー」としてオープンしました。毎週、芸術の学生や教職員の制作発表の場として使われています。「T」は筑波大学を表し、そこを創造・発信の場とする人たちが「プラスの変化を起こしていこう」という意味が込められているそうです。
展示の場は、学群内だけではありません。「筑波大学アートスペース」は、筑波大学で育まれた感性と知性、創造の発表の場として、また国内外の優れた作品や茨城の郷土の作家の作品を紹介する施設と説明されています。開館日は月曜から金曜で、予約は不要です(2023年11月1日から)。卒業制作展が行われるつくば美術館は、先に触れたとおり茨城県つくば美術館です。
図書館については、筑波大学附属図書館が中央、体育・芸術、医学、図書館情報学、大塚の5図書館からなり、全学共同利用体制をとっていると公式サイトに書かれています。体育・芸術の図書館があるため、芸術系の資料に近い場所で学べる環境が整っていると言えます。
世界大学ランキングでの位置づけ
海外の美術大学を調べたことがある方は、QS社の「QS World University Rankings by Subject」の「Art & Design」部門をご存知かもしれません。2026年版では、筑波大学は101〜150位の順位帯に掲載されています。
この数字の読み方には、注意が必要です。QSの分野別ランキングは、大学単位・分野単位の評価で、芸術専門学群だけを単独で評価したものではありません。また、「101〜150位」のように順位帯で示されるため、1位ずつの細かな順位ではありません。配点は学術評判(世界中の研究者へのアンケート)が90%、雇用者評判(企業の採用担当者へのアンケート)が10%で、順位は「世界がその大学をどう見ているか」という評判の影響を強く受けます。ですので、順位帯は教育内容そのものの優劣を示すものではありません。詳しい算出方法や各大学の順位は、アート&デザイン部門QS世界大学ランキングの解説記事をご覧ください。
卒業後の進路
芸術専門学群は、「就職支援ポータル」で卒業生数と進路を公開しています。2026年10月時点で確認できる最新の表は2023年度までで、2018年度から2023年度の6年分が載っています。
| 年度 | 卒業者数 | 就職者数 | うち企業 | うち教員 | うち公務員等 | 進学者数 | その他(作家・デザイナー他) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2018年度 | 104名 | 52名 | 50名 | 0名 | 2名 | 35名 | 17名 |
| 2019年度 | 109名 | 49名 | 44名 | 1名 | 4名 | 41名 | 19名 |
| 2020年度 | 104名 | 50名 | 37名 | 5名 | 8名 | 29名 | 25名 |
| 2021年度 | 105名 | 47名 | 42名 | 1名 | 4名 | 32名 | 26名 |
| 2022年度 | 107名 | 58名 | 55名 | 1名 | 2名 | 38名 | 11名 |
| 2023年度 | 97名 | 37名 | 33名 | 3名 | 1名 | 38名 | 22名 |
最新の2023年度は、卒業者97名のうち、就職者が37名(企業33名、教員3名、公務員・独立行政法人等1名)、進学者が38名、その他が22名でした。編集部で割合を計算すると、進学が約39%、就職が約38%、その他が約23%です。企業への就職が中心だった年もあれば、2023年度のように進学者が就職者と並ぶ年もあり、学部卒の進路が年によって動くことが分かります。「その他」には、創作活動(作家、デザイナー、クリエーター等)、自営業、進学準備、就職活動中、進路検討中、アルバイトなどが含まれると公式ページに書かれています。つまり、この欄の人数がすべて作家・デザイナーというわけではありません。
2023年度の進学先には、筑波大学大学院、東京大学大学院、京都精華大学大学院、St. Lawrence Collegeが挙げられています。また、同年度の企業就職先には、TBSテレビ、キヤノン、トヨタ自動車、星野リゾート・マネジメント、コーエーテクモグループなどが並びます。
公式の「主な就職先」ページ(過去3年間の内訳)には、より幅広い業種の例が業種別に並んでいます。たとえば次のとおりです。
| 業種(公式サイトの区分) | 主な就職先の例(公式サイトより) |
|---|---|
| ソフトウェア・ゲーム | 任天堂、スクウェア・エニックス、ゲームフリーク、セガ・インタラクティブ、コーエーテクモグループなど |
| アニメーション・映像 | 東映アニメーション、CloverWorks、白組など |
| 広告(代理店・制作) | 大広、日本デザインセンター、GKデザイン機構など |
| 自動車 | トヨタ自動車、マツダ、デンソー |
| アパレル・靴 | イッセイ ミヤケ、TOKYO BASEなど |
| 空間・建築 | 大成建設、住友林業、アキュラホームなど |
| その他のサービス | 四季(劇団四季)、日展、星野リゾートなど |
デザイン系の企業やゲーム、映像の会社が目立つ一方で、自動車メーカーや建設、公共セクターまで進路が広がっているのが、14領域を持つ学群の特徴です。また、大学院への進学も一定数います。領域ごとの進路の違いについては、「芸術専門学群の領域」ページに、たとえば美術史領域は大学院進学や学芸員、洋画領域は中高の美術教員や大学の教員、画家やイラストレーターとしての作家活動、といった傾向が書かれています。
ゆかりのある卒業生
芸術専門学群の公式サイトは、「在学生・卒業生の声」と「芸術キャリア教育」のページで、卒業生を紹介しています。ここでは、そこで卒業が確認できた方を、掲載時点の肩書きとともにご紹介します。
- 岡野恵未子さん(芸術支援):2014年度に芸術専門学群芸術学専攻芸術支援コースを卒業。アーツカウンシル東京でプログラムオフィサーとしてを務めています
- 小中大地さん(ビジュアルデザイン):平成11年度に芸術専門学群ビジュアルデザイン領域を卒業し、令和2年度に筑波大学大学院博士後期課程芸術専攻を修了。アーティスト、絵本作家、イラストレーターとして活動しています
- 橋本千菜美さん(彫塑):平成27年度に彫塑領域を卒業。アーティスト・竹の造形家として活動しています
- 阿部潤さん(クラフト):平成24年度にクラフト領域を卒業し、平成26年度に大学院博士前期課程を修了。陶芸家であり、茗溪学園中学校高等学校の教員でもあります
- 河内大樹さん(版画):平成25年度に特別カリキュラム版画コースを卒業し、平成27年度に大学院博士前期課程を修了。公式サイトの肩書きは「自治体教育委員会、アーティスト」です
- 武藤はるかさん(洋画):平成23年度に洋画コースを卒業。常磐大学高等学校の美術教諭を務めています
公式サイトに載っている卒業生は、作家やデザイナーにとどまらず、美術教員や自治体、文化施設で働く方まで幅広い顔ぶれです。美術の学びを活かす道が一つではないことが、公式の紹介からも分かります。なお、ここに挙げたのは公式サイトの掲載に基づく例であり、卒業生の網羅的な一覧ではありません。
まとめ
いかがだったでしょうか。筑波大学 芸術専門学群について見てきました。要点は次の7つです。
- 筑波大学は1973年10月に発足し、芸術専門学群は1975年4月に設置されました。前身にあたる東京教育大学には、1949年に芸術学科が設置されています
- 1学年100名の少人数のなかに14領域があり、卒業すると学士(芸術学)が授与されます。教員免許や学芸員資格も取得できます
- 卒業要件は、開学以来、卒業制作と論文の二つです。卒業研究は学外の公立美術館で公開されます
- 2026年度の学費は、入学料282,000円、授業料は年額535,800円です。4年間の入学料と授業料の合計は、編集部の計算で2,425,200円です。材料費などは別に考える必要があります
- 2027年度入試の募集人員は合計100名。前期日程の芸術専門学群選抜は45名、後期日程は10名です。実技検査は午前・午後で科目を選べ、選んだ科目が入学後の領域に影響することはありません
- QS世界大学ランキング アート&デザイン部門(2026年版)では、筑波大学は101〜150位の順位帯に掲載されています。ただし、大学・分野単位の評価で、順位帯は教育内容の優劣を示すものではありません
- 2023年度は、卒業者97名のうち、就職37名、進学38名、その他22名でした。進路は毎年動きます
学費や入試の募集人員、日程、配点は年度ごとに変わります。出願を具体的に考える段階では、必ず公式サイトで最新の情報をご確認ください。
Euphoric " " の視点
筑波大学 芸術専門学群で最も目を引くのは、実技検査を「選べる」仕組みです。論述、鉛筆デッサン、デッサン、平面構成、書と、入口の種類が多く、しかも選んだ科目は入学後の領域に影響しません。公式ページがそう明記しているということは、学群が、入口の選び方と入学後の専門を切り離し、受験生の得意を広く受け止めようとしている、と読めます。
もうひとつは、卒業要件です。学群は開学以来、卒業制作と論文の二つを求めてきたと説明しています。作る人にも書く力を求め、書く人にも考える場を用意する。総合大学の中の専門学群という立ち位置を、制度として形にしているのだと思います。美術史や芸術支援のように論文が中心の領域と、制作が中心の領域が同じ卒業展に並ぶことも、その考え方の表れでしょう。
ランキングの数字は、見る側の注意が必要です。筑波大学はQSのアート&デザイン部門で101〜150位の順位帯にありますが、これは大学単位の評判の評価で、芸術専門学群の教室で何が起きているかを直接測ったものではありません。評判の指標は、研究や国際的な発信が多い大学に有利に働きやすいと考えられます。順位は入口の情報にとどめ、領域ごとの教育内容や卒業制作の水準のほうを、じっくり見るほうが実態に近いと私たちは考えます。
進学先を選ぶときは、学費や倍率のような数字に加えて、その学校が何を卒業の条件にしているかを見てください。筑波大学のように、制作と論文の両方を求める学校は、卒業までに何を身につけさせたいのかが、はっきりしています。何を作るかより先に、どんな力をつけたいかで学校を選ぶ。その視点で、14の領域を眺めてみる価値があると思います。
出願に向けてポートフォリオを用意する段階でお悩みの方は、ポートフォリオ添削サービス「PORTFOLIO SENSEI」もあわせてご覧ください。
もっと知るには
本記事の情報は、筑波大学と芸術専門学群の公式サイト(tsukuba.ac.jp、geijutsu.tsukuba.ac.jp)をもとに確認しています。学費・入試の募集人員・配点は年度ごとに変わりますので、出願の際は下記の公式ページで最新の情報をご確認ください。
| 内容 | 公式ページ |
|---|---|
| 大学の沿革 | 筑波大学「沿革」 |
| 芸術専門学群(学群の概要) | 芸術専門学群/教育目標/カリキュラム |
| 入試情報(2027年度入試) | 芸術専門学群「2027年度入試(2026年度実施)について」/アドミッション・ポリシー |
| 学費 | 筑波大学「入学料・授業料」 |
| 大学院 | 芸術学学位プログラム(博士前期課程)/芸術学学位プログラム(博士後期課程)/デザイン学学位プログラム |
| 卒業後の進路 | 卒業生数と進路/主な就職先 |
| アートギャラリーT+ | アートギャラリーT+ |
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