【徹底解説】ビャルケ・インゲルスとは?スキー場のある発電所をつくったBIGの建築家の人生と作品を解説!

【徹底解説】ビャルケ・インゲルスとは?スキー場のある発電所をつくったBIGの建築家の人生と作品を解説!

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こんにちは。ユアムーン株式会社 編集部です。

皆さんはビャルケ・インゲルスという人物をご存知ですか?

ビャルケ・インゲルス(Bjarke Ingels)は、1974年にデンマークで生まれた建築家です。建築事務所BIG(ビャルケ・インゲルス・グループ)の創業者として、屋上でスキーができるごみ発電所「コペンヒル」、数字の8の形をした集合住宅「8ハウス」、ニューヨークのピラミッドのような高層住宅「VIA 57 West」など、一度見たら忘れられない建築を世界中で手がけてきました。日本では、トヨタ自動車が静岡県裾野市で進める実証都市「ウーブン・シティ」のマスタープラン(全体計画)でも知られています。

インゲルスの建築は、奇抜な形だけが注目されがちです。けれども、その形の多くは、日当たり、眺め、移動の道筋、環境への負荷といった、暮らしの条件を解いた結果として生まれています。本記事ではそんなビャルケ・インゲルスの人生と建築作品についてご紹介します。

ビャルケ・インゲルスって?

ビャルケ・インゲルスの肖像。黒いジャケットを着て、少し顔を傾けて話している(2012年、インタビュー映像より)
ビャルケ・インゲルス(2012年12月、designboomのインタビュー映像より)。撮影:designboom magazine(CC BY 3.0)/出典:Wikimedia Commons

基本情報

本名ビャルケ・インゲルス(Bjarke Ingels)
生年月日(没年月日)1974年10月2日生まれ(2026年10月時点で存命)
国籍・出身デンマーク(デンマークの百科事典Lexはグロストルップ生まれ、建築データベースArchnetはコペンハーゲン生まれと記載)
学歴デンマーク王立芸術アカデミー建築学校、バルセロナ建築学校(ETSAB)で建築を学ぶ(1993〜1999年)
分野建築、都市計画、ランドスケープ、プロダクトデザイン
傾向「快楽主義的サステナビリティ(hedonistic sustainability)」。環境への配慮と、使う人の楽しさを両立させる
師事した人物・影響を受けた人物レム・コールハース(ロッテルダムのコールハースの事務所に在籍)
事務所BIG(Bjarke Ingels Group)。コペンハーゲン、ニューヨーク、ロンドン、バルセロナ、上海、ロサンゼルス、チューリッヒ、ブータンに拠点
主な受賞エッカースベア・メダル(2005年)、アガ・カーン建築賞(2016年、スーパーキーレン)、国際高層建築賞(2016年、VIA 57 West)、TIME誌「世界で最も影響力のある100人」(2016年)ほか

インゲルスの師にあたるレム・コールハースや、同じ時代に世界の都市の姿を変えてきた建築家については、以下の記事でも詳しくご紹介しています。

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経歴と作品

コペンハーゲンとバルセロナで建築を学ぶ(1974年〜1999年)

ビャルケ・インゲルスは1974年10月2日、デンマークに生まれました。建築の世界的なデータベースArchnetによると、1993年から1999年にかけて、コペンハーゲンのデンマーク王立芸術アカデミーと、スペインのバルセロナ建築学校(ETSAB)で建築を学んでいます。

デンマークの百科事典Lexによると、学業を終えたインゲルスは、オランダ・ロッテルダムにあるレム・コールハースの事務所に在籍しました。コールハースは、都市計画と建築の両面で世界に影響を与えてきたオランダの建築家です。この事務所で一緒に過ごしたベルギー系デンマーク人の建築家ジュリアン・ド・スメットとともに、インゲルスは次の一歩を踏み出します。

PLOTの時代(2001年〜2005年)

Lexによると、インゲルスは2001年、ジュリアン・ド・スメットと建築事務所PLOTを設立しました。PLOTは、コペンハーゲンのイスランズ・ブリュッゲ地区の港につくられた「港のプール(Havnebadet)」(2003年)などを手がけます。

この時期にインゲルスは、2001年と2003年にヘニング・ラーセン賞を受けました。Lexによると、2004年にはヴェネチア建築ビエンナーレで、ノルウェーのスタヴァンゲルのコンサートホール案の図面によって特別賞を受けています(BIGの公式サイトは、受賞歴に「ヴェネチア・ビエンナーレの金獅子賞」を挙げています)。

VMハウス(2005年)

PLOTの代表作が、コペンハーゲンの新しい市街地オレスタッドに建つ集合住宅「VMハウス(VM Husene)」です。Lexによると、建物の光と眺めを最大限に生かす工夫と持続可能な解決策で注目を集め、さまざまな間取りの住戸がそろっています。

写真のように、外壁から三角形のバルコニーが大きく突き出しています。住戸ごとに向きの違うバルコニーが、建物全体に細かな凹凸をつくり出しています。

コペンハーゲン・オレスタッドのVMハウス。ガラス張りの集合住宅の外壁から、三角形のバルコニーが無数に突き出している。手前は芝生の庭(2011年9月撮影)
VMハウス(コペンハーゲン・オレスタッド、2005年完成)。2011年9月撮影/撮影:cjreddaway(CC BY 2.0)/出典:Wikimedia Commons

BIGの設立と「山」の住宅(2005年〜2008年)

BIGの公式サイトによると、インゲルスは2005年に自らの事務所BIG(Bjarke Ingels Group)を設立しました(Lexは2006年と記しています)。BIGは、一人の創業者から始まり、公式サイトによれば現在は700人を超える組織に成長しています。

マウンテン・ドゥエリングス(2008年)

BIGの初期の代表作が、VMハウスの隣に建つ「マウンテン・ドゥエリングス(VM Bjerget)」です。Lexによると、駐車場と住宅を一体にした10階建ての建物で、郊外の一戸建ての庭のゆとりを、集合住宅の中で実現しようとしたものです。

BIGの公式サイトは、自らの設計の例として「家々と庭でできた山になる駐車場」を挙げています。駐車場の上に、庭を持つ住戸を山の斜面のように積み上げることで、集合住宅の中に一戸建ての庭のゆとりを持ち込もうとしたのです。

コペンハーゲン・オレスタッドのマウンテン・ドゥエリングス。運河の向こうに、住戸が斜めに積み上がった建物が建ち、側面には山の絵柄の外壁が見える(2015年8月撮影)
マウンテン・ドゥエリングス(コペンハーゲン・オレスタッド、2008年完成)。2015年8月撮影/撮影:Naotake Murayama(CC BY 2.0)/出典:Wikimedia Commons

8の字の集合住宅(2010年)

8ハウス(2010年)

2010年、同じオレスタッドに完成したのが「8ハウス(8tallet)」です。Lexによると、400戸を超える住戸と商業スペースを持つ、デンマーク最大級の集合住宅の一つです。さまざまなタイプの住戸と事務所が、建物のまわりを回り込みながら上へと登っていく長さ1キロメートルの通路でつながっています。

名前のとおり、建物は数字の「8」のように輪がつながった形をしています。BIGの公式サイトは、自らの設計の例として、人々が10階のペントハウスまで、タウンハウスに沿って歩いたり自転車で行ったりできる「立体的な街区」を挙げています。8ハウスは2011年に、バルセロナの世界建築フェスティバルで賞を受けました(Lexによる)。

コペンハーゲン・オレスタッドの8ハウス。水路に面して、緑化された屋根が斜めに大きく傾く白い集合住宅が建ち、住戸がテラス状に連なっている(2011年9月撮影)
8ハウス(コペンハーゲン・オレスタッド、2010年完成)。2011年9月撮影/撮影:cjreddaway(CC BY 2.0)/出典:Wikimedia Commons

2010年には、上海万博のデンマーク館も手がけました。Lexによると、コペンハーゲンの象徴である人魚姫の像と、100万リットルのコペンハーゲン港の水を上海に運び、パビリオンに組み込んで大きな話題になりました。

ニューヨークへ(2010年〜2016年)

BIGの共同経営者の紹介によると、2010年にBIGは初めてデンマークの外に事務所を構え、ニューヨークに拠点を開きました。ここからBIGの仕事は、北米を中心に一気に広がっていきます。

VIA 57 West(2016年)

ニューヨーク・マンハッタンのハドソン川沿いに建つ「VIA 57 West」は、2016年に入居が始まった高層住宅です(Lexによる)。BIGの公式サイトによると、中庭のある集合住宅と超高層ビルという、両立しないように見える2つの形式を一つに融合させています。BIGはこれを、中庭(courtyard)と超高層ビル(skyscraper)を組み合わせた「コートスクレイパー(Courtscraper)」と呼んでいます。

建物は、斜めに立ち上がるピラミッドに似た形をしています。BIGの公式サイトは、この建物がハドソン・リバー・パークの北端に位置し、都市の格子状の街区の中に緑の空間を引き込むものだと説明しています。VIA 57 Westは、2016年に国際高層建築賞(Internationaler Hochhaus Preis)を受けました(Lexによる)。

ニューヨーク・マンハッタンのVIA 57 West。夕日に照らされた、ピラミッドのように斜めに立ち上がる高層住宅。手前の道路を車が走る(2017年3月撮影)
VIA 57 West(ニューヨーク、2016年完成)。2017年3月撮影/撮影:Jim.henderson(CC BY 4.0)/出典:Wikimedia Commons

BIG U

ニューヨークでは、都市を水害から守る計画にも取り組んでいます。BIGの共同経営者の紹介によると、「イースト・サイド沿岸レジリエンス(East Side Coastal Resiliency)」プロジェクト、通称「BIG U」は、マンハッタンの海岸線10マイル(約16キロメートル)を守るためのマスタープランです。

BIGの公式サイトは、自らの設計の例として「遊び場や公園を兼ねる洪水対策」を挙げています。堤防を、人が集まる公園としても使える場所に変える発想です。

ロンドンのパビリオン(2016年)

サーペンタイン・パビリオン(2016年)

ロンドンのサーペンタイン・ギャラリーは、毎年夏、ケンジントン・ガーデンズのギャラリーの外に新しいパビリオンを依頼しています(建築メディアDezeenによる)。2016年のパビリオンを設計したのがBIGです。Dezeenが紹介した設計者の説明によると、BIGは、ありふれたレンガの壁の積み方をもとに、ガラス繊維でできた箱形のフレームを積み重ねました。

その壁を、ファスナーを開くように上下に引き離すことで、壁の内側に人が入れる空間が生まれます。設計者の言葉を借りれば、線を面に変え、壁を空間に変える「ジッパーを開いた壁」です。内側の空間は、昼はカフェとイベントの場として、夜はギャラリーが毎年開くイベント「Park Nights」の会場として使われました(Dezeenによる)。

ロンドンのサーペンタイン・パビリオン2016。白っぽいガラス繊維の箱形のフレームが無数に積み重なり、波打つ壁の面をつくっている(2016年10月撮影)
サーペンタイン・パビリオン2016(ロンドン・ケンジントン・ガーデンズ)。2016年10月撮影/撮影:Fred Romero(CC BY 2.0)/出典:Wikimedia Commons

快楽主義的サステナビリティ(2010年代後半)

インゲルスの考え方を最もよく表すのが、「快楽主義的サステナビリティ(hedonistic sustainability)」という言葉です。BIGの公式サイトによると、環境への責任と人の楽しみは対立するものではなく、互いに高め合うものだという考え方です。Lexも、環境にやさしい発展は暮らしの質や喜びを犠牲にしなくてもよい、というインゲルスの主張として紹介しています。

コペンヒル

この考え方を形にしたのが、コペンハーゲンのごみ発電所「コペンヒル(Amager Bakke)」です。BIGの公式サイトによると、ふつうなら目に見えないままになっていたごみ発電所を、あえて建築としてはっきり表現しました。BIGはこの施設を「世界で最もクリーンなごみ発電所」と紹介しています。

斜めに傾いた屋根はスキー場になり、屋上はハイキングができ、外壁は登ることができます。Lexによると、ガラス張りのエレベーターからは発電所が動く様子を見ることができ、施設全体がコペンハーゲンの新しい緑地とランドマークになりました。BIGは、持続可能な都市は環境に良いだけでなく、そこに暮らす人にとってもより楽しいものになる、という「快楽主義的サステナビリティ」の明快な例だと説明しています。

コペンハーゲンのごみ発電所コペンヒル。水辺の向こうに、斜めに傾いた屋根が緑に覆われた巨大な建物が建ち、側面には人工のクライミングウォール、背後の煙突から白い煙が上がる
コペンヒル(Amager Bakke、コペンハーゲン)。撮影:kallerna(CC BY-SA 4.0)/出典:Wikimedia Commons

動画配信サービスNetflixは、デザイナーを紹介するドキュメンタリーシリーズ「Abstract: The Art of Design」のインゲルスの回を、公式YouTubeで全編公開しています。説明文では、屋上にスキー場を載せたクリーンな発電所のような「実用的なユートピア(pragmatic utopian)」の設計として紹介されています。

Abstract: The Art of Design | Bjarke Ingels: Architecture | FULL EPISODE | Netflix(Netflix公式YouTube)

ザ・ツイスト(2019年)

ノルウェーのキステフォス彫刻公園に建つ「ザ・ツイスト」は、2019年に完成した美術館です(BIGの共同経営者の紹介による)。BIGの公式サイトは、この建物を、美術館であり、橋であり、人が中に入れる彫刻でもある「いくつもの分類にまたがる建築」と説明しています。

川をまたぐ橋として、公園をめぐる道筋を一つの輪につなぎ直しています。美術館としては、内向きで縦長の展示室と、川を一望する外向きで横長の展示室という、性格の違う2つの空間をつなぎます。その2つの間を移るときに生まれる「ねじれ」が、建物の名前の由来です。BIGは、こうして生まれた形そのものが、公園の彫刻の一つになっていると述べています。

ノルウェー・キステフォス彫刻公園のザ・ツイスト。森を背景に、銀色の細長い建物が川をまたいで架かり、中央付近で胴体がねじれている(2020年8月撮影)
ザ・ツイスト(ノルウェー・キステフォス彫刻公園、2019年完成)。2020年8月撮影/撮影:Jan-Tore Egge(CC BY-SA 4.0)/出典:Wikimedia Commons

スーパーキーレン

コペンハーゲンのノアブロ地区にある細長い公共空間「スーパーキーレン(Superkilen)」は、BIGが、ランドスケープ設計事務所トポテック1、アーティスト集団スーパーフレックスと共同で手がけたものです。2016年のアガ・カーン建築賞を受けました。建築メディアDezeenによると、地域に暮らす60を超える国籍の人々から、それぞれの国を象徴する物の提案を集めるなど、住民への聞き取りをもとに設計されました。

トヨタ・ウーブン・シティ

Toyota Woven City(ウーブン・シティ)

日本でインゲルスの名前を広く知らせたのが、トヨタ自動車の実証都市「Toyota Woven City(ウーブン・シティ)」です。BIGの公式サイトによると、富士山のふもと、静岡県裾野市の工場跡地を、移動の新しい技術を試すための「生きた実験場」に変える計画です。自動運転、移動サービス、ネットワーク、水素のインフラなどを、実際に人が暮らす街で試します。

2025年9月25日、ウーブン・シティは最初の住民を迎えました。BIGの発表によると、第1期の建物は日建設計が設計し、BIGはマスタープラン、公共空間、ランドスケープを担当しています。第1期には約300人が暮らす予定で、BIGの発表では一般公開は2026年4月からとされています。トヨタの英国法人は、2020年1月の計画発表時の映像を公式YouTubeで公開しています。

Toyota’s Woven City: a Prototype City of the Future(Toyota UK公式YouTube)

現在のBIG

BIGの公式サイトによると、現在のBIGは、ランドスケープ、エンジニアリング、建築、計画、プロダクトの頭文字を取った「BIG LEAP」という体制で仕事をしています。グーグルの新キャンパス「ベイ・ビュー」、レゴ社の「レゴ・ハウス」(2017年開館)、プラハの新しいコンサートホール「ヴルタヴァ・フィルハーモニー」、世界最大の木造建築とされるチューリッヒ空港の新ターミナル、さらにはNASAと取り組む宇宙の居住施設まで、その仕事は建築の枠を越えて広がっています。

働く場所と、自然を重ねる

BIGの公式サイトは、近年の仕事をいくつも紹介しています。ニューヨークの高層ビル「ザ・スパイラル」(高さ1,005フィート)では、高架の線路跡を公園にした「ハイライン」の緑を、らせん状に連なるテラスとして空へと延ばしました。各階の働く場所に、緑の通路が絡み合う構成です。

グーグルの「ベイ・ビュー」キャンパスについて、BIGは、データを重んじるグーグルとの共同作業によって、すべての判断が実際の情報と分析に基づいた建築になったと説明しています。竜のうろこのような太陽光パネルの屋根が光を集め、地中の杭が冷暖房の熱をためたり取り出したりし、植栽は建物から出る水をきれいにする庭として働きます。

古い建物を生かす、水の上に住む

パリのシャンゼリゼ通りにあるギャラリー・ラファイエットでは、1932年のアール・デコ様式の銀行建築を壊さず、家具の大きさで手を加えました。BIGの公式サイトによると、黒く塗られた壁の裏に隠れていたガラスのドームを再び見えるようにし、ドームの下の円形の吹き抜けを、店の中心に据えています。

さらにBIGは、国連人間居住計画(UN-Habitat)の取り組みの一環として、1万人が暮らす浮かぶ街「オーシャニックス・シティ」の構想も発表しています。エネルギー、水、食料、ごみの流れを街の中で循環させ、近隣から都市へと少しずつ大きくなっていく計画です(BIGの公式サイトによる)。

インゲルスは、ハーバード大学、イェール大学、コロンビア大学で教え、BIGの考え方を漫画のような形式でまとめた著書『Yes Is More』でも知られます。Lexによると、『Hot to Cold』(2015年)、『Formgiving』(2020年)といった著書や展覧会、地球全体の計画を提案する「Plan for the Planet」などを通じて、建築を社会と地球の問題に結びつけて語り続けています。

ビャルケ・インゲルスの歩みを6段階で示した図。1993年から1999年にコペンハーゲンとバルセロナで建築を学び、2001年にPLOTを設立、2005年にVMハウスを完成させてBIGを設立、2010年に8ハウスとニューヨーク事務所、2016年にVIA 57 Westとサーペンタイン・パビリオン、2025年にトヨタ・ウーブン・シティが始動する流れを示している。
図:ビャルケ・インゲルスの歩み

年表で見るビャルケ・インゲルス

1974年10月2日、デンマークに生まれる
1993〜1999年デンマーク王立芸術アカデミー、バルセロナ建築学校で建築を学ぶ
2001年ジュリアン・ド・スメットとPLOTを設立。ヘニング・ラーセン賞(2003年にも)
2003年コペンハーゲンの港のプール
2004年ヴェネチア建築ビエンナーレで受賞(スタヴァンゲルのコンサートホール案)
2005年VMハウス完成。BIGを設立(Lexは2006年)。エッカースベア・メダル
2008年マウンテン・ドゥエリングス完成
2010年8ハウス完成。上海万博デンマーク館。ニューヨーク事務所を開設
2016年VIA 57 West、サーペンタイン・パビリオン。アガ・カーン建築賞(スーパーキーレン)、国際高層建築賞、TIME100
2017年レゴ・ハウス開館。C.F.ハンセン・メダル
2019年ザ・ツイスト完成
2025年トヨタ・ウーブン・シティが最初の住民を迎える
ビャルケ・インゲルスの建築で、一つの建物に二つの役割を重ねた例を4つ並べた図。ごみ発電所とスキー場のコペンヒル、駐車場と庭付き住宅のマウンテン・ドゥエリングス、中庭のある集合住宅と超高層ビルのVIA 57 West、美術館と橋のザ・ツイストを示している。
図:一つの建物に二つの役割を重ねる

まとめ

いかがだったでしょうか。ビャルケ・インゲルスの人生と建築作品について、ご紹介してきました。

インゲルスは1974年にデンマークで生まれ、コペンハーゲンとバルセロナで建築を学んだのち、レム・コールハースの事務所を経て、2001年にPLOT、2005年にBIGを設立しました。VMハウス、マウンテン・ドゥエリングス、8ハウスと、コペンハーゲンのオレスタッドで集合住宅の新しい形を次々に提案し、ニューヨークのVIA 57 Westでは中庭と超高層ビルを一つにしました。

屋上でスキーができるごみ発電所コペンヒル、川をまたぐ美術館ザ・ツイスト、そして日本のトヨタ・ウーブン・シティ。インゲルスの建築は、一つの建物に二つ以上の役割を重ね、環境への配慮と使う人の楽しさを両立させようとする「快楽主義的サステナビリティ」に貫かれています。

コペンハーゲンを訪れる機会があれば、オレスタッドの集合住宅群やコペンヒルを、ぜひ実際に歩いてみてください。写真で見る形の面白さの奥にある、暮らしやすさへの工夫が見えてくるはずです。

Euphoric " " の視点

インゲルスの建築は、奇抜な形ばかりが注目されがちです。しかしその形の多くは、日当たり、眺め、移動の道筋、環境への負荷といった、暮らしの条件を解いた結果として生まれています。屋上でスキーができるごみ発電所コペンヒルは、その考え方を最もわかりやすく示す例です。

環境への責任と人の楽しみは対立するものではなく、互いに高め合う。一つの建物に二つ以上の役割を重ねる「快楽主義的サステナビリティ」の発想は、制約を我慢の理由ではなく、新しい楽しさを生む出発点として捉え直す力があることを教えてくれます。

この作品を見に行くには

記事で紹介した建築の多くは、外観を街なかから見ることができます。集合住宅は住まいのため、敷地の中や建物の中には立ち入れない場合があります。公開状況や営業時間は変わることがあるため、最新の情報は公式サイトをご確認ください。

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