連載「美術館の英語を読める人になる」の単語辞典
Art English Dictionaryアートの英単語31語 見て語る編
「表現」「構図」「彩度」「美学」は英語で何と言うのでしょうか。この辞典では、作品を見て語るための英単語31語を、色・光・構図・質感・様式といった意味のまとまりごとに整理しました。各語に、発音の目安、意味、美術館の解説文のような英文の使用例を付けています。
単語を引くだけでなく、連載「美術館の英語を読める人になる」(全15回)では、1回に1枚の名画を読みながら、これらの言葉が実際の場面でどう使われるかを学べます。各語の「詳しく」「関連」から、その語を扱う回へ進めます。連載の全体像はアート英語カリキュラム 目次にまとめています。
収録 31語分類 7つ全語に 英文の使用例と連載へのリンク
発音大文字の部分を強く読みます(米国式の目安)。カタカナは補助です。
詳しく連載でその語を正面から扱う回です。関連は、近い内容を扱う回です。
英文使用例は、美術館の解説文の書き方にならったこの辞典のオリジナルです(米式綴り)。実在のラベル表記を引いた例は、その旨を訳に記しています。
収録語の一覧(押すとその語へ移動します)
「表現」は英語で何て言う?
光と明暗の英単語
質感・線・美しさの英単語
主題・ジャンル・素材の英単語
様式・美術運動の英単語(基本)
コンテンツ
Toggle「表現」は英語で何て言う?
「表現」は文脈によって訳し分けます。気持ちや考えを表すなら expression、何かを形や記号で示す表し方そのものなら representation、絵画や映像で視覚的に表すなら depiction です。動詞は express/represent/depict、人物を描くときは portray も使います。
expression
ik-SPRESH-unイクスプレッション
表現(気持ち・考えを表すこと)、表情
動詞は express。「感情表現」は emotional expression。顔の「表情」の意味でも使うので、文脈で見分けます。
representation
rep-ri-zen-TAY-shunレプリゼンテーション
表象・描き表すこと(表し方そのもの)
動詞は represent(〜を表す・〜を描く)。抽象と対比して、具象的な美術を representational art と言います。
depiction
dih-PIK-shunディピクション
描写(絵や映像で視覚的に表すこと)
動詞 depict は解説文の定番で、This canvas depicts ~(この作品は~を描いている)の形で出ます。人物を「描く」なら portray も使えます。
色の英単語
色は「どの色か」「どのくらい明るいか」「どのくらい鮮やかか」「作品全体でどんな色がそろっているか」の4つの軸で言い分けます。
hue
HYOOヒュー
色相・色み(赤・青・黄など色の種類)
「暖色系の色み」は warm hues。数えられる名詞で、a reddish hue(赤みがかった色)のように形容詞と組みます。
saturation
sach-uh-RAY-shunサチュレーション
彩度(色の鮮やかさ)
解説文では名詞より、形容詞の saturated(鮮やかな)と muted(くすんだ・抑えた)の形でよく出ます。
value
VAL-yooヴァリュー
明度(色の明るさ・暗さ)
美術の授業やデッサンの場面でよく使う語です。美術館の解説文では tone や light and dark で言うことが多く、「価値」と読み違えやすい点に注意します。
tone
TOHNトーン
色調・明暗の度合い
同じ色の中の明るさの段階を言います。tonal contrast(明暗の対比)、earth tones(土の色調)の形で頻出します。
palette
PAL-itパレット
(作品の)色づかい・色の顔ぶれ
道具のパレットだけでなく、作品全体の色の組み合わせを指します。The palette is dominated by ~(色づかいは~が中心)が定番です。
光と明暗の英単語
光がどこから来て、何を照らし、影がどこに落ちるか。明暗の言葉は、画面の「時間」や「ドラマ」を説明するときの土台になります。
contrast
KON-trast(名詞)コントラスト
対比・明暗の差
名詞は前を、動詞(contrast with ~)は後ろを強く読みます。in strong contrast to ~(~と強い対比をなして)は解説文の定番です。
light source
LYTE sorsライト ソース
光源
The light falls from the left(光は左から差している)とセットで、光がどこから来るかを言うときに使います。
cast shadow
KAST SHAD-ohキャスト シャドウ
落ち影(物が床や壁に落とす影)
物そのものの暗い側(shadow)と区別して、地面や壁に「落ちた影」を指します。
構図と空間の英単語
画面のどこに何を置き、視線をどう動かすか。構図の言葉は「手前・中・奥」と「線の向き」で整理すると覚えやすくなります。
composition
kom-puh-ZISH-unコンポジション
構図・画面構成
The composition is organized around ~(構図は~を軸に組み立てられている)が定番です。音楽の「作曲」や「作文」の意味もあります。
focal point
FOH-kul POYNTフォーカル ポイント
視線が集まる場所・見せ場
直訳の「焦点」より「画面の見せ場」の感覚です。the focal point of the composition の形で使います。
perspective
per-SPEK-tivパースペクティヴ
遠近法
線で奥行きを作る linear perspective(線遠近法)と、遠くを青く霞ませる aerial perspective(空気遠近法)を区別します。「観点」の意味もあります。
foreground / background
FOR-grownd / BAK-growndフォアグラウンド/バックグラウンド
前景/背景
前置詞は in を使い、in the foreground(前景に)と言います。あいだの「中景」は middle ground です。
negative space
NEG-uh-tiv SPAYSネガティヴ スペース
余白(形の周りの何も描かれていない部分)
日本語の「余白」に近い語で、描かれた形(positive space)と対になります。直訳の「負の空間」では意味が伝わりにくい語です。
proportion
pruh-POR-shunプロポーション
比率・釣り合い
人体の比率は複数形 proportions が普通です。部分同士の関係を言う語で、大きさの印象そのものは scale で言います。
質感・線・美しさの英単語
表面の手ざわり、形を決める線、そして全体のまとまり。作品の「見た目の質」を言う言葉です。
texture
TEKS-cherテクスチャー
質感・手ざわり(いわゆる「マチエール」)
表面がざらざらか、なめらかか。a rough / smooth texture の形で使います。フランス語由来の「マチエール」は英語の解説文ではほとんど使われず、texture や surface と言います。
line
LYNEライン
線
輪郭線は outline、途切れない線は an unbroken line。線そのものの性格を line quality と言うこともあります。
aesthetics
es-THET-iksエスセティクス
美学・美意識
学問としての「美学」は単数扱いです。形容詞 aesthetic は「美的な」、名詞で「(ある人や時代の)美意識」の意味でも使います。
harmony
HAR-muh-neeハーモニー
調和
色について言うことが多く、color harmony(色の調和)、in harmony with ~(~と調和して)の形で使います。
主題・ジャンル・素材の英単語
何を描いたか(ジャンル)と、何で作ったか(素材)。美術館のラベルや作品名にそのまま出てくる言葉です。
genre
ZHAHN-ruhジャーンラ
ジャンル(主題による絵の種類)
最初の音は「ジャ」より柔らかい zh の音です。美術では genre painting が「風俗画(日常生活の場面の絵)」を指す点に注意します。
landscape
LAND-skaypランドスケイプ
風景画・風景
landscape だけで「風景画」を指せます。海の絵は seascape、都市の絵は cityscape です。
portrait
POR-tritポートレット
肖像画
絵画・素描・写真のどれにも使えます。描かれた人は sitter、自画像は self-portrait です。
still life
stil LYFEスティル ライフ
静物画
複数形は still lifes です(still lives ではありません)。
medium
MEE-dee-umミーディアム
素材・技法(画材)
美術館のラベルの素材欄にあたる語です。複数形は media(mediums も使われます)。「媒体」と訳すと不自然になりやすい語です。
様式・美術運動の英単語(基本)
見た目の特徴で呼ばれる様式の名前です。運動の名前は大文字で書き、-ism は運動、-ist は人(と形容詞)を表します。新古典主義やミニマリズムなど、さらに専門的な運動の名前は姉妹編にまとめています。
abstract
AB-straktアブストラクト
抽象的な・抽象画
形容詞(抽象的な)でも名詞(抽象画)でも使います。反対の「具象的な」は figurative です。
realism
REE-uh-liz-umリーアリズム
写実主義・リアリズム
19世紀フランスの運動を指すときは大文字で Realism、一般的な「写実性」の意味では小文字で書きます。
surrealism
suh-REE-uh-liz-umサリーアリズム
シュルレアリスム(超現実主義)
日本語はフランス語読みで、英語では「サリーアリズム」に近い音です。運動は Surrealism、画家は a Surrealist。
impressionism
im-PRESH-uh-niz-umインプレッショニズム
印象派・印象主義
運動は Impressionism、画家は an Impressionist、形容詞も Impressionist(an Impressionist painting)です。
expressionism
ik-SPRESH-uh-niz-umイクスプレッショニズム
表現主義
20世紀初めのドイツを中心とする運動です。戦後アメリカの抽象表現主義は Abstract Expressionism と言います。
アートの基本英単語一覧
「美術」「芸術」「アート」は英語でどう使い分けるのか、よく使われる基本単語とあわせてまとめました。sculpture・print など作品の種類の言葉は、読み解く編でさらに詳しく扱っています。
よくある質問
「芸術作品」は英語で何と言いますか?
work of art、artwork、pieceのいずれも使えます。1点の作品を指すときはa piece of artやan artworkのように数えます。
「芸術性」は英語で何と言いますか?
artistryやartistic qualityと言います。制作や表現における優れた技量を指すときに使う語です。
art、fine art、the artsはどう違いますか?
artは絵画から音楽まで含む最も広い語、fine artは絵画・彫刻など伝統的な視覚芸術を指す語、the artsは美術・音楽・演劇・文学などを総称する語です。
15回の連載で、場面ごとに学ぶ
この辞典の言葉は、連載「美術館の英語を読める人になる」の次の回で、名画1枚と美術館の解説文を使って詳しく扱います。単語の意味だけでなく、「なぜその言い方をするのか」まで確かめられます。
- EP01第1回 painting / drawing / picture の違いlandscape, portrait, still life
- EP02第2回 色を語るhue, saturation, tone, palette
- EP03第3回 光と影contrast, light source, cast shadow
- EP04第4回 構図composition, focal point, perspective, foreground / background
- EP05第5回 筆の跡と質感texture
- EP06第6回 作品キャプションの読み方medium
- EP07第7回 壁の解説文の型depiction
- EP08第8回 「〜ism」の読み方realism, impressionism
全15回の一覧と、学んだ回のチェック表はアート英語カリキュラム 目次にあります。
全15回の目次を見る 技法・美術史・美術館の専門語は「読み解く編」へあわせて読みたい
- 絵画は英語で何て言う?painting・drawing・pictureの違いを名画で学ぶアート英語 第1回
- 美術の専門用語を英語で|明暗法・図像学・来歴など31語の辞典姉妹編:技法・美術運動・美術館のラベル・理論
- 印象派とは?特徴・歴史・代表的な画家をわかりやすく解説
- 【チュートリアル】Photoshop/フォトショップ覚えるべき機能10選contrast・saturation をデジタルで扱うときに
- アート留学の記事一覧
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