「I like it」以外で絵の感想を英語で言う|strike・unsettlingの使い方【アート英語 第11回】

「I like it」以外で絵の感想を英語で言う|strike・unsettlingの使い方【アート英語 第11回】
画像:The Metropolitan Museum of Art, Gift of Cornelius Vanderbilt, 1887(87.25)/Open Access(CC0)

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ART ENGLISH 11/ 15PART C 自分の言葉で語る

全15回のうち 第11回

連載「美術館の英語を読める人になる」

What strikes me is …「I like it」以外で感想を言う

美術館で作品を見て、英語で感想を聞かれたとき、I like it. の次が出てこない。この記事は、連載「美術館の英語を読める人になる」の第11回です。今回から単元C「自分の言葉で語る」に入ります。第10回までに読んできた言葉を、今度は自分の口から出すための形に組み替えていきます。

連載の全体像と学ぶ順番は、アート英語カリキュラム 目次にまとめています。

読了目安 約16分(練習問題を含む)使える型 3つ練習問題 4問

今日のゴール

この回を読むと、「好き・嫌い」を、作品の観察に基づく1〜2文の英語で言えるようになります。

この回で扱う言葉

strikedraw (someone) inrestrainedintimateunsettlingarrestingscaledetail
先に答え:「I like it」を言い換える早見表

感想を言うときの基本は、「何が」「なぜ」を足すことです。

好きという気持ちそのものより、その気持ちを生んだ観察を言葉にすると、相手との会話が続きます。

I like it. だけの場合→観察を足した言い方

まず目に入ったもの

I like it.What strikes me first is the scale.

何度も見てしまう部分

I like this part.I keep coming back to the horse in the center.

感じたことと理由

It’s interesting.It feels unsettling because the horses look out of control.

引き込まれた細部

It’s nice.A small detail draws me in.

I like it. は間違いではありません。ただ、それだけだと相手は「どこが?」と聞き返すしかなく、会話がそこで止まりがちです。

上の表の右列は、どれも作品の中の具体的なものを主語や目的語にしている点が共通しています。

今日の1枚

ローザ・ボヌール《馬市》(1852–55年)、メトロポリタン美術館。並木道の馬市で、白や黒、栗毛の馬の群れが土ぼこりを上げて進み、男たちが手綱を引いて押さえようとしている横長の大きな油彩画。
ローザ・ボヌール《馬市》1852–55年 画像:The Metropolitan Museum of Art, Gift of Cornelius Vanderbilt, 1887(87.25)/Open Access(CC0)
《馬市》の部分拡大。画面の中央。白い馬が黒い馬の横で後ろ脚で立ち上がり、男が押さえようとしている。DETAIL
部分拡大:画面の中央白い馬が黒い馬の横で立ち上がっています
《馬市》の部分拡大。左端のかすみの向こうに、ドームのある建物がかすかに見える。DETAIL
部分拡大:左端のドームかすみの向こうの、ドームのある建物

作品ラベルの形で見てみます。寸法の欄に注目してください。今日の感想の出発点になります。

MUSEUM LABEL

Rosa Bonheur (French, 1822–1899)
The Horse Fair, 1852–55
Oil on canvas
96 1/4 × 199 1/2 in. (244.5 × 506.7 cm)
The Metropolitan Museum of Art, Gift of Cornelius Vanderbilt, 1887 (87.25)

作品名
《馬市》
作家
ローザ・ボヌール(フランス、1822–1899)
制作年
1852–55年
素材・技法
油彩、カンヴァス
サイズ
244.5 × 506.7 cm
所蔵
メトロポリタン美術館(ニューヨーク)ヨーロッパ絵画部門
クレジット
Gift of Cornelius Vanderbilt, 1887(87.25)
画像
The Met Open Access(CC0)/作品ページ(The Met)

ローザ・ボヌールは、19世紀のフランスで動物画家として知られた画家です。《馬市》はパリの馬市を描いた作品で、1853年のサロンに出品されました。横幅は5メートルを超えます。

感想を言う練習には、まず「大きさ」という誰にでも見える事実から入れる作品が向いています。

美術館の解説文で読む

単元Cでは、ここに置く英文の性格が少し変わります。第10回までは三人称の解説文でしたが、今回は美術館の音声ガイドやギャラリートークで、話し手が一人称(I)で作品への反応を語る形にならって書きました(Euphoric " " によるオリジナルの文章です)。

解説文の語彙を、どう自分の感想に組み込むかに注目して読んでください。

GALLERY TALKRosa Bonheur, The Horse Fair, 1852–55

What strikes me first is1 the scale2. The canvas is more than sixteen feet wide, and the horses surge across it from edge to edge. Bonheur painted the horse market on the Boulevard de l’Hôpital in Paris, where she sketched twice a week for a year and a half. I keep coming back to the center of the picture3, where a white horse rears beside a dark one and a handler struggles to hold on. The palette is restrained4, mostly browns and grays, so the pale coats stand out. In the foreground, dust rises under the hooves. It feels unsettling because5 the men barely control the animals. Then a small detail draws me in6: through the haze at the far left, a domed building is just visible.

下線と番号は、このあとの「読み解き」1〜6に対応しています。

全訳を読む

訳:まず目を引くのは、その大きさです。カンヴァスの幅は16フィート(約5メートル)を超え、馬の群れが画面の端から端まで押し寄せてきます。ボヌールが描いたのはパリのオピタル大通りの馬市で、彼女は1年半にわたって週に2回そこへ通い、写生をしました。何度見ても戻ってきてしまうのは画面の中央です。白い馬が黒い馬の横で後ろ脚で立ち上がり、馬を引く男が必死に押さえようとしています。色づかいは抑えられていて、茶色と灰色が中心なので、白っぽい馬の毛並みが際立ちます。手前では、蹄の下から土ぼこりが舞い上がっています。男たちがかろうじて馬を抑えているように見えるので、落ち着かない気持ちになります。そして、ある小さな細部に引き込まれます。左端のかすみの向こうに、ドームのある建物がかすかに見えるのです。

左奥のドームの建物は、パリのサルペトリエール(当時の病院施設)です。馬市がこの建物の近くで開かれていたことが、画面の中の小さな手がかりからわかります。

読み解き:なぜこの言い方なのか

What strikes me first is the scale.:「何が目を引いたか」を主語にする

What strikes me is ~ は「私の目を引くのは~だ」。

strike には「打つ」のほかに、「(考えや印象が)人の心に強く届く」という意味があります。What strikes me is ~ は「私の目を引くのは~だ」。

文の最後に、目を引いたもの(ここでは the scale)が置かれるので、聞き手の注意がそこに集まります。英語では文末に新しい情報を置くと強調される傾向があり、この形はそれを利用した言い方です。

日本語話者が言いがちなのは、気持ちを主語にした文です。

✕
I’m impressed.(何に感心したのかが伝わらない。文法上は正しいが、会話が続かない)
✕
It strikes me the scale.(strike の目的語は「人」。もの を後ろに置く形は誤り)
○
What strikes me first is the scale./The scale strikes me first.

現在形の strikes を使うのは、作品の前に立っている「今」の反応だからです。見終わったあとに振り返るなら、I was struck by the scale.(大きさに打たれた)と過去形の受け身にします。どちらも美術館の会話で自然に使われます。

the scale:size と scale はどう違うか

size は単純な寸法、scale は「何かと比べたときの大きさ」です。

size は単純な寸法、scale は「何かと比べたときの大きさ」です。美術の文脈で scale が好まれるのは、作品の大きさが見る人の体との関係で効いてくるからです。幅5メートルの絵は、前に立つ人の視界をほぼ埋めます。the scale と言えば、その体験まで含めて伝えられます。

✕
The size is big.(意味は通じるが、子どもっぽく聞こえる)
○
The scale is enormous./It’s a huge canvas.

反対の性格を表すのが intimate です。日本語の「親密な」より意味が広く、絵について言うと「小さく、近づいて一対一で向き合う感じの」という意味になります。

手のひらほどの肖像や、室内を描いた小品によく使われます。《馬市》はその正反対なので、It’s anything but intimate.(親密さとはほど遠い)と言えます。

なお、寸法の読み方(96 1/4 × 199 1/2 in. のどちらが高さか)は第6回(作品キャプションの読み方)で扱います。英語圏のラベルでは高さ×幅の順です。

I keep coming back to the center of the picture:「何度も戻る」が「好き」を伝える

「好き」という言葉を使わずに、自分の視線の動きを報告することで、好きだという気持ちを伝えられる言い方です。

keep ~ing は「~し続ける、何度も~する」。I keep coming back to ~ で「(目が)何度も~に戻ってしまう」になります。「好き」という言葉を使わずに、自分の視線の動きを報告することで、好きだという気持ちを伝えられる言い方です。

✕
I keep to come back to the center.(keep の後ろは ~ing)
○
I keep coming back to the center./My eye keeps returning to the center.

ここで使われている the center of the picture の picture は、第1回で学んだ「画面」の意味です。the left side of the picture(画面の左側)、the top of the picture(画面の上部)のように、感想の中で「どこ」を指すときに何度も使えます。

The palette is restrained:ほめ言葉にも使える「抑えた」

重要なのは、この語が欠点ではなく選択を表す点です。

restrained は「抑制された、控えめな」。動詞 restrain(抑える)の過去分詞です。色づかいについて言うと、色数や鮮やかさをあえて抑えている、という意味になります。重要なのは、この語が欠点ではなく選択を表す点です。

restrained意図して抑えた(中立〜ほめ言葉)a restrained palette
plain飾りがない(文脈によっては「地味」)a plain background
dullくすんで退屈(否定的)The colors look dull.

「地味な色」を直訳して The colors are dull. と言うと、作品をけなしているように聞こえます。抑えた色が効果を上げていると感じたなら、restrained を選ぶと意図が伝わります。palette(色づかい)は第2回(色を語る)の語です。

英文では so the pale coats stand out(だから白っぽい毛並みが際立つ)と、抑えた色の効果まで続けています。「restrained だから悪い」ではなく「restrained だから何が起きているか」まで言うと、観察に基づく感想になります。

It feels unsettling because ~:感じたことに理由を付ける

前半で「どう感じたか」、後半で「作品のどこがそう感じさせたか」を言います。

It feels + 形容詞 + because + 理由 は、感想を一文で完結させる基本形です。前半で「どう感じたか」、後半で「作品のどこがそう感じさせたか」を言います。

unsettling は「心をざわつかせる、落ち着かない気持ちにさせる」。scary(怖い)ほど強くなく、はっきりとは言えない不安を表します。

語の意味そのものは「落ち着かない」ですが、美術の感想では欠点の指摘とは限らず、作品が見る人を揺さぶる力をもっていることを言うのによく使われます。似た語に arresting があります。arrest(逮捕する、止める)から来ていて、「思わず足を止めさせる、目を奪う」という意味です。

✕
It is scary.(理由がなく、感想が強すぎる)
○
It feels unsettling because the men barely control the animals.
○
It’s an arresting image.(目を奪われる絵だ)

主語を I ではなく It にしている点にも注目してください。I feel unsettled. だと話の中心が自分の気持ちになりますが、It feels unsettling なら中心は作品に残ります。

painted と keep coming back:作家がしたことは過去形、自分の反応は現在形

「自分の反応も現在形」が加わります。作品の前に立っている今、心が動いているからです。

英文の時制を確認します。Bonheur painted …、she sketched … は過去形。What strikes me …、I keep coming back …、dust rises … は現在形です。

第1回で見た「作家の行為は過去形、画面で見えることは現在形」に、もう一つ「自分の反応も現在形」が加わります。作品の前に立っている今、心が動いているからです。一文の中で両方が混ざっても問題ありません。

最後の文の draws me in は「私を(作品の中へ)引き込む」。draw は第1回の「線で描く」とは別の意味で、「引っぱる」が元のイメージです。

detail は「細部」。a small detail と組み合わせて、大きな作品の中の小さな発見を言う定番の形になります。

また、In the foreground(手前に)は第4回(構図)の言い方です。感想の中にこうした位置の言葉が入ると、聞き手は同じ場所を目で追えます。

使える型3つ

What strikes me (first) is ~.(型1:まず目を引くのは~です)

感想の一文目に使える形です。最後に、目を引いたもの(名詞)を置きます。

What strikes me first is the size of the canvas.まず目を引くのは、カンヴァスの大きさです。
What strikes me is how quiet the room feels.目を引くのは、部屋がとても静かに感じられることです。
I keep coming back to ~.(型2:何度も~に目が戻ります)

作品の中で特に好きな部分を、「好き」と言わずに伝える形です。

I keep coming back to the woman’s hands.女性の手に何度も目が戻ります。
I keep coming back to the little dog in the corner.隅にいる小さな犬に、何度も目が戻ってしまいます。
It feels ~ because ~.(型3:~なので、~に感じられます)

感じたことに、作品の中の理由を付ける形です。形容詞は calm, lonely, unsettling, playful など。

It feels calm because the colors are soft and the lines are mostly horizontal.色がやわらかく、線がほとんど水平なので、穏やかに感じられます。
It feels lonely because the figure is small and far from everyone else.人物が小さく、ほかの誰からも離れているので、寂しく感じられます。

練習問題

Q1選択

( )に入る語を選んでください。

  1. What (strikes / hits / impresses) me first is the scale.
  2. The colors are (dull / restrained), and that makes the white horse stand out.
  3. It’s a tiny painting, very (intimate / enormous).
模範解答を見る
  1. strikes:What strikes me is ~ の形。impresses も文法上は成り立ちますが、「目を引く」の定番は strike です。
  2. restrained:抑えた色が効果を上げている文脈なので、否定的な dull ではなく restrained。
  3. intimate:小さく、一対一で向き合う感じの絵は intimate。
Q2型2を使う

型2を使って、「画面の左側の木に、何度も目が戻ります」を英語で書いてください。

模範解答を見る

I keep coming back to the tree on the left side of the picture.

「画面の左側」は the left side of the picture(第1回の picture=画面)。keep の後ろは coming と ~ing 形です。

Q3和文英訳

次の日本語を英語にしてください。
「馬がほとんど制御されていないように見えるので、落ち着かない気持ちになります。」

模範解答を見る

It feels unsettling because the horses seem almost out of control.

型3の形です。主語は I ではなく It にすると、話の中心が作品に残ります。

別解:It feels unsettling because no one seems to be in control of the horses.

Q4自由作文

好きな作品を1点選び、型1〜3のうち2つを使って、感想を英語で2文書いてください。「好き」を表す like は使わずに書いてみましょう。

解答例を見る

What strikes me first is the bright yellow sky. It feels hopeful because the light seems to spread over the whole town.

I keep coming back to the empty chair. It feels lonely because no one is sitting in it.

答えは作品によって変わります。1文目で「何が」、2文目で「なぜ」を言う構成にすると、like を使わなくても好きな理由が伝わります。

前回の復習

第10回「展覧会タイトルとプレスリリースを読む」の言葉を使う小問です。

R1選択

( )に入る語を選んでください。

The exhibition (brings together / brings up) more than 100 prints.

答えを見る

brings together:「(作品を)一堂に集める」。展覧会の告知文の定番表現です。

R2和文英訳

「この作品は5月まで展示中です」を英語にしてください。

答えを見る

This work is on view through May.

on view は「展示中」。through は「~まで(その月を含む)」の意味で、展覧会の会期によく使われます。

R3読み取り

次の展覧会タイトルの「:」の前と後ろは、それぞれ何の役割ですか。

Rosa Bonheur: Painter of Animals(架空の展覧会名)

答えを見る

前がメインタイトル(短く印象的な言葉。この例のように作家名が来ることもあります)、後ろがサブタイトル(「何の展覧会か」を説明する言葉)です。第10回では「コロンの後ろから読むと内容をつかみやすい」と学びました。

次回予告と目次

トマス・コール《マウント・ホリヨークからの眺め、ノーサンプトン、マサチューセッツ、雷雨の後―オックスボウ》(1836年)、メトロポリタン美術館。左に嵐の雲と原生林、右に日の当たる農地とU字に曲がる川が広がる風景画。NEXT 12

第12回 解釈を述べるsuggests・evokes

ゴール:suggests・evokes・may・seems to を使って、断定しすぎずに作品の解釈を言えるようになる。

画像:トマス・コール《マウント・ホリヨークからの眺め、ノーサンプトン、マサチューセッツ、雷雨の後―オックスボウ》1836年 The Metropolitan Museum of Art, Gift of Mrs. Russell Sage, 1908(08.228)/Open Access(CC0)

全15回の一覧と、学んだ回のチェック表はアート英語カリキュラム 目次にあります。

全15回の目次を見る
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